実体不明の「グリーン電力証書」の販売トラブルが増加――国民生活センター
国民生活センターは、実体不明の「グリーン電力証書」を扱った販売トラブルが急増していると発表。消費者に対し、「代わりに申し込んでほしい」「謝礼を払う」など、実体がよくわからない契約を締結しようとする怪しい勧誘には耳を貸さないよう、注意を呼びかけている。
グリーン電力証書は、自然エネルギーで発電した電力が持つ“エコな価値”を取引できるようにするためのもの。これを購入した企業や団体は、自然エネルギーで発電していることがPRできる。民間で自主的に取り組まれている制度で、代表的なものに、グリーンエネルギー認証センターが運営するグリーン電力証書認証制度がある。
しかし国民生活センターによれば、実体不明の「グリーン電力証書」が販売されており、これに伴う販売トラブルが増加しているという。同センターにおける、実体不明のグリーン電力証書に関わる相談件数は、2011年10月には24件、同11月には38件、同12月には50件に増えている。年齢別では60歳以上が約9割、性別では女性が約9割を占める。
代表的なグリーン電力証書の例 | 実体不明の「グリーン電力証書」の例。なおこれは、相談者から国民生活センターに送られてきたもの |
手口としては、事業者から「『グリーン電力証書』を高値で買い取る」「代わりに購入してくれたら謝礼を払う」と勧誘されるものがある。消費者が契約しても、「グリーン電力証書」が買い取られたり、報酬が払われることはなく、最終的には事業者と連絡がとれなくなってしまうという。
また、消費者が事業者の代わりに、太陽光発電事業の加盟店の入会金を支払い、入会の契約をしたものの、なぜか「グリーン電力証書」が届き、購入したことになっていたというケースもある。同センターではこの手口について、以前トラブルになった「水資源の利権」や「有料老人ホームの利用権」、「鉱物の採掘権」などと同様、実態の疑わしい内容の契約をさせ、代金を振り込ませた後は連絡を断つ、詐欺的な手法と酷似していると指摘した。
同センターでは消費者へのアドバイスとして、契約の内容を理解できなければ絶対に契約をしないこと、個人がグリーン電力証書を購入しても利益は得られないこと、“謝礼を付けて買い取る”、“あなたは損しない”などといった勧誘はきっぱりと断ることを挙げている。
グリーンエネルギー認証センターではホームページにて、一旦発行したグリーン電力証書について、転売を認めていないことを明らかにしている。なお、同認証センターが発行するグリーン電力証書には、発行事業者のマークや発電種別、発電期間などの事項やマークが記載されているが、国民生活センターが公開している実体不明の「グリーン電力証書」には、同認証センターが定める事項は記載されていない。
(正藤 慶一)
2012年2月2日 16:35