富士通ゼネラル、暖房能力と省エネ性で“業界No.1”のエアコン
nocriaの新ラインナップ |
富士通ゼネラルは、暖房能力と省エネ性能で“業界No.1”を謳うエアコン「nocria(ノクリア) Zシリーズ」を、12月10日より順次発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は20万円~33万円前後。フラッグシップモデルの「AS-Z40B2」の店頭予想価格は26万円前後。
同社の最上位モデルに当たるエアコンの最新機種。新製品では、エアコンの基本能力である暖房能力と省エネ性を向上し、かつエアコン使用時のムダを見つけて自動で節電する「ひとりでにeco」機能が特徴となる。
■インバーターと熱交換器を改良。省エネと暖房の基本性能で“業界No.1”
「nocria Zシリーズ」。写真上が18畳~23畳用、6~14畳用の室内機 |
暖房能力と省エネ性については、室外機のインバーターと熱交換器を改良。インバーターには、コンプレッサーに加わる電圧を高めて電流を流すタイミングを最適化した「インターリーブPAMインバーター」を、熱交換器では熱交換率を従来より約20%高めた。また室内機にも、高密度のマルチパス熱交換器と高効率の送風機構を備えている。
この結果、5.6kWクラスにおける低温時暖房能力は8.4kwW、期間消費電力量は1,935kWとなり、いずれも“業界No.1”を実現したとしている。
5.6kWクラス以外でも、全7機種中5クラスの低温暖房能力が“業界No.1”を達成したという。No.1にはならなかった、2.5kWクラス、6.3kWクラスについては“業界No.2”という。
室内機には、高密度のマルチパス熱交換器と、高効率の送風機構を搭載 | 室外機には「インターリーフPAMインバーター」と高効率の熱交換器を搭載した |
室外機のカットモデル | インバーターは室外機正面の右側に搭載されている | 2012年度モデルの低温暖房能力比較。ほとんどの機種で“業界No.1”を達成している |
■センサーで天井に溜まった暖気を発見し、自動で循環。“不在で電源OFF”機能も進化
エアコン使用中のムダを見つけて、自動で節電する「ひとりでにeco」機能では、部屋の暖め過ぎや冷やし過ぎを防止する「いる場所コントロール」が用意された。
これは、室内機に内蔵されているセンサーに加え、リモコン内に温度センサーを搭載することで、運転時の暖め過ぎや冷やし過ぎを感知、設定温度を自動で控えめに抑え、ムダのない運転をするというもの。
例えば暖房運転時の場合、室内機の温度センサーが検知した天井付近の温度と、リモコンの温度センサーが検知したユーザー側の温度に差があると、“天井付近に暖かい空気がたまっている”と判断し、自動的に天井付近に風を送る。これにより、天井付近に溜まった暖気を部屋全体に循環して室内の温度ムラを軽減し、ムダのない運転ができるという。
なおリモコンの通信には、前年モデルに引き続き、2.4GHz帯の電波式無線(RF)を採用。リモコンの向きを室内機に向けなくても操作できる。
部屋の暖め過ぎや冷やし過ぎを防止する「いる場所コントロール」には、リモコンに内蔵されたセンサーがポイントとなる。センサーはモデルさんが指を指している部分にある | 室内機とリモコンのセンサーの温度差から、天井に溜まった暖気を部屋全体に循環し、部屋の温度ムラを解消するという |
リモコンの通信には2.4GHz帯の電波式無線(RF)を使用。動画のように室内機と逆向きの状態でボタンを押しても、操作できる |
さらに、人の不在を感知して運転を停止する「不在ECO」機能も改良。従来の不在ECOでは、不在を感知した後の1時間、3時間で停止するが、これに加えて、30分で運転を休止し、人が戻った場合には自動で復帰する制御も追加する。同社によれば、来客や長電話などで部屋を離れた場合に便利という。
人の不在を感知して、電源を切る「不在ECO」機能を搭載 | 新たに30分後に運転を停止し、戻った場合に自動で復帰する制御を追加した |
不在ECO機能のデモ。人がいないと運転が停止するが、戻ってくると復帰する |
このほか、フィルターの自動掃除機能も搭載。ちなみに同機能は、2003年に富士通ゼネラルが世界で初めて開発した。
■隣の部屋のエアコンも一括コントロール可能。最大電流や待機電力のカットも
自動で節電する「ひとりでにeco」機能に加えて、手動による節電機能も追加された。
リモコンでは、別室の「nocria」を操作し、切り忘れやムダな運転を防止する「いながら別室コントロール」を搭載。リビングに居ながら、子供部屋や寝室など、別室の運転/停止や設定温度変更が個別にできる。別室に誰もいないのにエアコンが運転されている際や、温度設定が高すぎる場合に利用できるという。また、外出する際にはすべてのエアコンの一括OFFもできる。
追加できるエアコンは2台まで。機種は「nocria」に限られる。送受信距離は約10m。1階と2階の間での操作も可能という。電波状態が悪い場合のために、中継器の導入も検討しているという。
1つのリモコンで別室のnocriaの運転がコントロールできる | 別室のエアコンをコントロールする場合は、写真中の矢印のボタン「登録エアコン」を押す | すると、画面に登録したエアコンが表示され、操作できる |
別室のnocriaは、ON/OFFと温度設定が操作可能。全エアコンの一括OFFも可能だ |
リモコンではさらに、運転開始時の最大電流を抑える「電流カット」ボタンを採用。カット量は2段階に調節でき、「電流カット小」では暖房運転時の使用電流の上限を、通常の1/4に抑制、「電流カット台」では、冷房・暖房時の上限を通常の約1/2も下げて運転をする。電流カット運転を使用した場合、設定温度に到達しない場合や、冷暖房効果が出るのが遅くなる場合があるという。
室内機では、待機電力をなくす「オールOFFスイッチ」を搭載。電源プラグを抜くこと無く待機電力がカットできるため、長期の旅行やオフシーズン時に便利という。
最大電流を抑える「電流カット」ボタンは、通常の1/2、1/4から選べる | 室内機正面には、待機電力をカットする「オールOFFスイッチ」も搭載 |
また前年モデルからは、エアコンの運転データをリモコンが自動的に受信、リモコンをパソコンに繋げることで毎日の運転状態をパソコン画面上に表示する機能も継承。電気代をグラフで確認するなど、電気代の管理ができる。なお新製品では、電気契約プランに合わせて、昼間と夜間の電気代単価が設定できるようになった。
このほか、運転状況を音声で知らせる機能、1日4回ON/OFFが設定できるタイマー、浮遊ウイルスや浮遊菌の活動を抑制するプラズマイオンの放出機能も備える。
室内機のサイズは、冷房時の適用畳数で6畳~14畳用が798×282×293mm(幅×奥行き×高さ)、18畳以上用が890×282×293mm(同)。
リモコンとパソコンをつないで、運転データをパソコン上で閲覧する機能もある | 専用アプリケーションの画面 | 前年モデルからは、電気契約プランごとの価格設定が可能になった |
■業界最小サイズのSシリーズにも、Zシリーズと同様の暖房・省エネ機能も
Sシリーズは室内機の幅が728mmとコンパクトな点が特徴。据付場所を選ばずに設置できるという |
Zシリーズに加えて、室内機の幅が728mmと“業界最小”サイズの「nocria Sシリーズ」を、1月21日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は15~22万円前後。
Sシリーズは、一般的なコンパクトタイプのエアコンよりも、室内機が幅で7cm、高さで4.5cm小さい点が特徴。プライベートルームでも、据付場所を選ばず設置できるという。
サイズ以外の仕様は、Zシリーズと同じ。「高密度マルチパス熱交換器」と「インターリーブPAMインバーター」を搭載し、「ひとりでにeco」機能、手動による節電機能も備える。ただしSシリーズでは、Zシリーズのような暖房能力と省エネ性の“業界No.1”は謳われていない。
■“相反する「省エネ」と「暖房能力」を高い次元で実現したエアコン”
富士通ゼネラル 経営執行役上席常務 川島秀司 取締役 |
富士通ゼネラルの 経営執行役上席常務 川島秀司 取締役は、新製品で節電機能を多数搭載した理由について「一世帯当たりのエアコンの保有台数が増えており、電力消費量が年々増えている。保有台数の構成比では、ここ10年の間で、4台以上を持っている世帯が全体の25%を占めるようになった。今やエアコンは生活必需品だが、それゆえ、エアコンの電力消費量の低減は、昨今の節電意識の高まりと共に、最大のニーズになっている」と説明した。
そのうえで、新製品の特徴として、「省エネと暖房能力という基本性能」を掲げた。
「省エネを追求することと暖房能力を追求するのは、技術的には相反するところがある。しかし新製品では、その両方を高い次元で実現した」(川島取締役)
川島取締役は、nocriaの特徴に電波式のリモコンも付け加えた。
「節電機能ではいろいろなメーカーがいろいろな呼び名でやっているが、当社は電波式リモコンを核にしている点が特徴。電波式でないリモコンは、常にエアコン室内機の方向を向けてないといけないが、nocriaでは新聞紙の下に敷いておいても、電波がちゃんと繋がる反応する。これを核にして、役に立つ機能を備えている」
エアコン市場の需要動向。2012年は例年並みの730万台との予測 |
2012年度のエアコン市場の出荷動向については、例年並みの730万台と予測した。2010年度は過去最高の834万台、2011年度は節電需要と早めの夏が影響して780万台になるという。2012年度は反動が予想されるが、節電意識と買い増しによる需要は依然として底堅いという。
(正藤 慶一)
2011年11月17日 18:03