新たに売電可能な自家発電設備は128万kW。経産省調査

~燃料コストの高さと、逆潮設備の有無が障壁

 経済産業省は29日、自家発電設備の活用状況に関する調査結果を公開した。

 この調査は電気事業法によって届出が義務づけられている1,000kW以上の自家発電設備を所有している法人を対象にアンケート形式で行なわれた。

 自家発電設備は、全体で3,141カ所、発電容量で5,373万kWとなっている。今回調査された設備の数は公開されていないが、発電容量は全体の89%にあたる4,760万kWとされている。調査期間は7月11日から15日の5日間と短く、短期間で余剰電力の発掘を行なうために、発電容量の大きい設備を優先して調査したことが伺われる。

 アンケートの結果では、「余剰があり売電可能」とする回答が114万kW分あった。経産省では、アンケートの未回収分を含めると、全体で128万kWが売電可能と推計している。また、「すでに売電済み」という回答が324万kWあった。売電可能と売電済みの合計は452万kWとなる。これは、自家発電設備全体の容量に対して約8.4%にあたる。

自家発電の用途。余剰のうち、売電できるが114万kW、売電不可が174万kWあった

 「余剰があるが売電不可」という回答は174万kWあった。売電できない理由は、「燃料コストが高い」「(設備から電力会社へ送電する)逆潮できないなどの系統的制約」「燃料調達が困難」の3つで過半数を占めている。売電価格は、通常で約7円/kWhからとされており、ガスタービンの発電コスト(約34円/kWh)や、A重油を使うディーゼルの発電コスト(約21円/kWh)を大きく下回っている。

下半分が売電できない理由。燃料の調達とその価格、逆潮設備の有無が主な理由大規模な自家発電設備の例。売電価格は約7円/kWhからと安い中規模以下の例。発電コストが高いのに注目。燃料費の高騰により発電を停止している例もある

 今回の調査結果では、中規模以下の自家発電設備の場合、売電に当たっては、燃料コストの補填と、逆潮設備の設置が必要になるとしている。したがって、すぐに売電可能なのは、大規模工場が自家消費目的で設置している設備の余剰電力が中心となる見込みだ。






(伊達 浩二)

2011年8月1日 00:00