三菱、レンジとグリルを組み合わせた新コンセプトの調理器具「ZITANG」

レンジとグリルを組み合わせた新しいコンセプトの調理器具

「ZITANG(ジタング) RG-FS1」。左からレッド、ブラック

 三菱電機は、レンジとグリルを組み合わせた新しいコンセプトの調理器具「ZITANG(ジタング) RG-FS1」を5月10日より発売する。希望小売価格は84,000円。本体カラーはレッドとブラック。

 庫内容量13Lのグリル機能付き電子レンジ。同社によると、スチーム機能やオーブン機能を搭載した大型のオーブンレンジを購入しても、使うのは電子レンジ機能が中心で、オーブン機能の使用頻度は月3回以下と答える人が多かったという。オーブン機能の使用頻度が低い理由としては、調理に時間がかかる、電気代が気になる、オーブン調理後はレンジ機能が使えないなどが挙げられた。また、近年は電子レンジで使えるシリコンスチーマーやタジン鍋などの調理器具が増えたこともあり、レンジで簡単に調理するというニーズが増えているとする。

 これらのニーズを受け、ZITANGは「毎日使いたくなる調理器具」をコンセプトとして開発された。従来のオーブンレンジのスタンダードであった、大型の庫内、二段調理機能、スチーム機能などを全て省略。温まる時間が早くなるように、庫内サイズは最小限とし、従来の加熱方法の弱点をカバーするため、レンジとグリルを組み合わせた「レンジグリル」機能を新たに搭載した。

オーブン機能の使用頻度は月3回以下がほとんど一方レンジ機能の使用頻度は約9割が毎日と回答ZITANGでは、使われていない機能は省略してレンジとグリルの2つを充実させている
製品本体扉を開けたところ庫内の様子
操作パネル同社が2007年に出したスチームオーブンレンジとの大きさ比較従来の加熱方法の弱点を見直して、レンジとグリルの2つを組み合わせた「レンジグリル」機能を搭載した

 従来のオーブンレンジでは、レンジ、グリル、オーブンの3つの加熱方法(機種によってはスチーム加熱も搭載する)を搭載していた。しかし、レンジ加熱の場合、中から加熱するため食材がしんなりしてしまう、グリル調理の場合、外から加熱するため中が冷たいまま仕上がってしまう、オーブン加熱は時間がかかるなどの欠点があった。

 ZITANGでは、レンジとグリルの加熱を組み合わせることでこれを解決。加熱方法を途中で切り替えることで、中までしっかり熱が通るほか、表面に焦げ目をつけることもできるという。さらに、調理時間も従来より大幅に短縮できるという。

 食品を隅々まで均一に加熱するため、加熱方法も改良している。マイクロ波を庫内にらせん状に放射する「3Dウェーブ加熱」採用により、従来の直線的なマイクロ波よりも加熱ムラが少なく、均一に温めることができるという。また、効率的な素早い加熱ができるように庫内の底面と天面、背面にそれぞれ3つのヒーターを搭載している。庫内に3つのヒーターを配置するのは「業界唯一」だという。

マイクロ波をらせん状に放射する「3Dウェーブ加熱」を採用庫内3面にヒーターを搭載して熱まわりを良くしたレンジとグリルを組み合わせることで調理時間を短縮できるという
調理例。スパニッシュオムレツの加熱前。材料を切って混ぜ合わせただけ庫内に入れた状態加熱後。レンジだけでなくグリルも組み合わせて加熱しているので、表面には焦げが付く。加熱時間は約13分

 庫内容量は13Lとした。これにより素早い加熱ができるほか、庫内のスペースが小さいため、余分な時間や電気代を省略できるという。なお、庫内を小容量化しても、耐熱ボウルやとっくり、マグカップなどほとんどの調理容器が使用できるという。庫内を少容量化したことで、年間消費電力量は63.6kWhで大幅な省エネ化に成功。これはオーブンレンジとしては「省エネNo.1」だという。

従来の庫内サイズだと、空きスペースが多く、加熱効率が良くなかったZITANGでは、空きスペースが少ないので、時間も電気代も節約できるとする

見やすさと使いやすさにこだわったデザインと操作パネル

 本体デザインは、角ばったスクエアデザインを採用。オープンキッチンにも置けるように裏面もフラットな造りとした。本体は背面を壁に沿わせて置ける「壁ピタ」構造を採用。

 操作パネルは、次に押すべきボタンを光で案内する「らく楽操作パネル」を採用。液晶画面は見やすいブラック液晶とした。

フラットで角ばったスクエアデザインを採用オープンキッチンに置けるように背面もフラットな造りとした次に操作するべきボタンが光る「らく楽操作パネル」を採用。液晶画面はブラックで見やすい

 本体付属の「セラミック角皿」は、調理後そのまま食卓に置けるようなデザインを採用。お皿を新たに出す必要がないため、手間が省けるという。

お皿としてそのまま食卓に出せる「セラミック角皿」を付属調理用角皿として使用する調理後の料理をそのまま食卓に出しても違和感がない。こちらは「鮭のチャンチャン焼き」

 また、別売りで「トッププレート RG-TP1」も同時発売する。通常オーブンレンジや電子レンジの上は、高熱になるため、物などを置いておくことはできないが、トッププレートを使えば物を置けるという。耐熱温度は90℃。希望小売価格は7,350円。

 本体サイズは518×412×266mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約16kg。最大消費電力は1,360W。出力切替は700W/600W/500W/200W/100W相当に対応。

本体上部にセットする別売りの「トッププレート RG-TP1」本体にセットした状態

とにかく使っていただきたい

三菱電機ホーム機器 家電製品技術部 家電先行開発グループ グループマネージャー 金井孝博氏

 三菱電機ホーム機器 家電製品技術部 家電先行開発グループ グループマネージャー 金井孝博氏は、今回の製品の開発のきっかけについて「とにかく、お客様に使っていただける製品を、というのが最初。我々技術者が色々考えてあれもこれもと多機能な製品を考えてもお客様に使っていただけなければ意味がない」と語った。

 また、会場には同社の炊飯器「蒸気レスIH 本炭釜」も併せて展示。ZITANGとは、本体の高さがほとんど変わらず、デザインや色の面でも共通するところがある。

「見せられる調理家電として、先に成功していた蒸気レスIHをある程度は意識した。当初は高さも揃えたいと思ったが、そうすると、ボウルやとっくりなどの調理器具が入らなくなってしまう。色々なものを試して、ギリギリまで小さくしたのが今のサイズ」だという。

 本体には51のレシピが掲載されたメニューブックが付属するが、本体には調理メニューなどはあえて搭載していない。

 「番号などでメニュー番号を呼び出すのは面倒だし、使い勝手も悪い。基本的には、センサーで検知して自動で仕上げる仕様とした。レンジグリル機能は様々な調理が可能な加熱方法なので、お客様自身のアイディアやメニューが生きる製品。そこで、我々の考えたメニューを押しつけるようなことはしたくなかった」

 このため、メニューブックは後からレシピが追加できるようなホルダー形式を採用している。「お客様自身でどんどんメニューを増やしてもらえれば」と製品への期待を語った。

本体付属のメニューブック後からレシピが増やせるホルダー形式を採用している



(阿部 夏子)

2011年4月13日 14:42