記事検索
最新ニュース

東京電力、現在も約1,900万kW分の発電所が停止状態【訂正版】

〜停電は解消、今後は火力発電所の復旧がカギ

 3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震から10日、東京電力による計画停電開始からも1週間が経過した。

 東京電力のサービスエリア内では、福島第一原子力発電所の事故と毎日の計画停電情報に振り回される日々が続いている。特に原発事故が深刻なため、それ以外の電力設備については、どのような状況なのかも伝えられることは少ない。

 被災地の中心であり、21日現在で、約24万戸が停電している東北電力管内のことを考えれば耐えなければいけないが、東京電力管内の人々も、現状の情報の少なさから先行きの不安を抱えている。

 少しでも現状を把握するために、東京電力のニュースリリースの当日と最新のリリースを基に確認したところ、原子力/火力発電所を除く各設備については、復旧が進んでいることがわかった。

 まず、サービスエリア内では、11日時点で約405万戸が停電していたが、19日午前1時時点で、すべて復旧した。8カ所が停止していた変電所も、すべて復旧した。

 問題は、発電所だ。もっとも回復したのは水力発電所で、22カ所の発電所が停止していたが、すべて復旧している。

 火力発電所は、11日は7カ所の発電所が停止していたが、まだ4カ所が停止したままだ。被害の少なかった東京湾内の発電所が復旧したが、これらは比較的古く発電容量は大きくない。

 いっぽう、停止している広野/常陸那珂/鹿島/東扇島は、いずれも新しく60万〜100万kWと出力が大きい発電所だ。このうち、東扇島を除く3カ所は津波が大きかった太平洋岸にあったため、被害が心配されている。現在停止している火力発電所の合計発電量は680万kWになる。

 原子力発電所は、まったく回復していない。定期検査分も含め、停止している発電所の合計発電量は1,239.6万kWとなる。火力発電所と合わせて、約1,900万kW分が止まっている計算だ。

 東京電力は、自社で発電している分とは別に、周辺の50Hz圏内の電力会社から随時、電力を購入している。また、60Hzの地域および50Hzだが海を隔てた北海道からも「応援受電」を受けている。

 まず、関西方面から見てみよう。関西では電源周波数が60Hzと異なるため、このエリアの電力会社が発電した電力をそのまま持ってくることはできない。現在、3カ所の周波数変換所の全能力である100万kWが東京電力に送られている。

 また、北海道から海底ケーブルで送られてくる北本連系設備から応援受電(最大60万kW)が開始されている。これは、北海道電力から東北電力を経由して送電される。こちらも容量はこれが上限となる。

 以上、見てきたように、いくつかの発電所が回復し、新たに北海道からの送電が始まったとはいえ、東京電力の供給力はほとんど増えていない。

 とくに企業が活動する平日は電力需要が増え、しかも周辺電力会社から購入できる電気も少なくなる。たとえば、計画停電に追い込まれた14日の需要想定は、4,100万kW(18時〜19時)で、供給力は3,100万kWだった。22日は計画停電を織り込んだ上で、需要想定が3,700万kW(18時〜19時)、供給力が3,550万kWとなっている。

 現状をまとめると、送電施設は復旧したが、送る電力が足りないという状況だ。すでに域外からの送電は限界となっているため、自力で発電所の復旧に努めるしかない。

 電力の需要がもっとも増えるのは夏であり、例年6,000万kW前後のピークを迎える。それまでに、火力発電所の復旧がどれぐらい進むかがカギとなるが、長期的な節電の準備が必要とされることは間違いない。

2008年までの夏期需給見通し。6,000万kW前後で推移している 2008年夏の電力需要明細。7月末から8月中旬が高水準

【23日7時40分 お詫びと訂正】北本連系設備からの送電容量は最大6万kWではなく、60万kWです。また、送電開始は21日ではなく13日です。送電量は日によって変更されています。また、60Hz地域からの送電について「関西で発電した」を「このエリアの電力会社が発電した」に修正しました。以上、お詫びして訂正させていただきます。ご指摘いただいた読者の皆様に感謝いたします。

【付録】

原子力発電所の現状

 11日と21日で状況は変わっていない。
・福島第一原子力発電所 1〜3号機 地震により停止(4〜6号機は定期検査中)
・福島第二原子力発電所 1〜4号機 地震により停止
・柏崎刈羽原子力発電所 1、5、6、7号機は通常運転中(2〜4号機は定期検査中)

火力発電所

 11日は7カ所の発電所が停止していたが、21日は4カ所となった。被害の少なかった首都圏の千葉/横浜/大井/五井が復旧した。一方で、東扇島火力発電所が追加で停止している。

・広野火力発電所 2、4号機 地震により停止中
・常陸那珂火力発電所 1号機 地震により停止中
・鹿島火力発電所 2、3、5、6号機 地震により停止中
・東扇島火力発電所 1号機 地震により停止中





(伊達 浩二)

2011年3月22日 09:21