長期レビュー
シャープ「プラズマクラスターサイクロン式掃除機」 最終回
シャープ「プラズマクラスターサイクロン式掃除機 EC-VX220」 |
独自のゴミ圧縮機構で、サイクロン式といえども楽にゴミ捨てができるシャープの「プラズマクラスターサイクロン式掃除機 EC-VX220」。長期レビュー最終回となる今回は、本体の付属ブラシを使って、普段なかなか掃除できない場所を掃除した。さらに、気になる本体のお手入れ方法についても併せて紹介する。
■使わないなんてもったいない! 本体付属の専用ブラシ
本体付属品。左上から時計回りに、本体、ホース、2段伸縮すき間ノズル、延長管、2WAYベンリヘッド、ヘッド |
EC-VX220に付属する専用ブラシは3種類。布団やカーテンなど布製品に付いたホコリを掃除するのに便利な「2WAYベンリヘッド」、本体延長管にあらかじめセットされている「ベンリブラシ」と、高いところを掃除するのに便利な「2段伸縮すき間ノズル」の3つだ。
ここで改めて聞きますが、みなさんはこういう掃除機付属のブラシちゃんと使いこなしていますか? 正直いうと、私はこれまであまり活用していなかった。本体に収納されているタイプの小型ブラシならまだしも、本体とは独立したブラシは収納場所に困って、ヘタすると梱包の箱から出さないなんてこともあった。
しかし、今回改めて付属ブラシを使ってみると、これがなかなか使える! 使わずにしまったままにするなんてもったいない。
■布団やカーテンなど布製品の掃除に便利な「2WAYベンリヘッド」
まず紹介するのは、円形の独特の形をした布製品用ブラシ「2WAYベンリヘッド」だ。独自の構造と吸い込み口で、布を吸い込まずに、スムーズに掃除機をかけられる。
2WAYベンリヘッド | 吸い込み口 | ゴムのワイパーのような形のものが付いている |
アダプタを付けて、延長管に接続する | アダプタを取りつけたところ | 本体に取り付けたところ |
特に便利なのが、ベッドのマットレスの掃除。厚みがあって重いベッドのマットレスは、洗うことはもちろん、天日干しもできない。なるべく汚れないように、マットレスの上にベッドシートを敷いて、その上からシーツをかけるなど工夫はしているもの、シーツ交換の際に室内のホコリなどがどうしても付着してしまう。
しかし便利ブラシを使えば、マットレス表面に付着したホコリや髪の毛がさっと取れる。布を吸い込むことなく、軽い力でかけられるので、あっという間に掃除が終わってしまった。そのほか、カーテンやソファなどの布製品にも有効。いわゆるコロコロ(粘着テープ)を使うよりも、早く簡単に、布製品のホコリを取り除くことができる。
ベッドのマットレスに使っているところ | カーテンに使っているところ |
■凹凸がある場所の掃除には「ベンリブラシ」
次に試したのは、本体の延長管に付いていた小さな小型ブラシ「ベンリブラシ」だ。先端部分がブラシとなっているため、凹凸のある場所などを掃除するのに便利。一度延長管から取り外して方向を変えてから使う。
便利ブラシはあらかじめ延長管に取り付けてある | 使用時は一度外して向きを変えてから使う |
先端のブラシは、固くて長いので、凹凸のある場所の掃除に便利。壁と床の間にあるすき間やドアの溝など、“掃除機では掃除しずらいけど、ホコリが目立つ”ちょっとした場所を掃除するのにうってつけだ。また、ブラシでホコリをかき出すことができるので、空気清浄機などのフィルター掃除をするのにもぴったりだ。
部屋の隅や溝があるところなどの掃除に便利 | ドアのちょっとした段差にたまったホコリの掃除にも | 空気清浄機のフィルター掃除にも便利 |
■手が届かない高い場所は「2段伸縮すき間ノズル」
最後に紹介するのは、2段階で長さが変えられる「2段伸縮すき間ノズル」だ。ヘッドブラシを外して、簡単に付け替えることができる。エアコンや照明器具など高い場所の掃除が本当に楽にできる。
2段伸縮すき間ノズル | 伸ばした状態 | ブラシ部分 |
エアコンの上や側面のパネル部分、中に付着しているホコリを吸い取る |
今回3つの付属ブラシを使ってみて、つくづく思ったのは「使わなきゃ損!」ってこと。ホコリを取るための専用掃除機具を別に買うくらいだったら、EC-VX220付属のブラシで充分こと足りる。一番のポイントは一度使ってみること。
しかし、付属用のブラシといえども延長管を外してすぐに取り付けられるものばかりではない。EC-VX220のブラシも、アダプタを使ったり、使用時は方向を逆に付け替えたりと、一度は取り扱い説明書をきちんと見る必要がある。もちろん、説明書を見ることは電化製品を使う上で重要ではあるが、掃除機のような日常的に使う製品の場合、そのひと手間が意外と面倒に感じる。付属ブラシをもっと活用させるためにも、もう少し分かりやすい構造にしてもらいたい。
■ヘッドの回転ブラシの掃除はマメにしよう
これから、年末の大掃除をするという人に是非、お勧めしたいのが「掃除機の大掃除」も一緒にするということ。最近の電化製品は、手入れの自動化が進んで、EC-VX220も電源を切る度に、中のフィルター掃除を自動でしてくれる。ダストカップのお手入れなどは、基本的に自動。ゴミが詰まるようなことがあったら、ランプが点灯して知らせてくれるという仕組みだ。
じゃあどこの掃除をするのかというと、それはヘッドの回転ブラシの部分。細かいホコリや髪の毛を絡みとる、大事なところだ。ここがとにかく汚れやすい。回転ブラシの軸部分には髪の毛がぐるぐると絡みついているし、ヘッドの小さな回転タイヤはホコリが詰まって、回転できないような状態。
ヘッド部分はホコリや髪の毛が絡んで、溜まりやすい | 2カ月ほど使っただけでも、ブラシの軸部分には髪の毛が絡んでいる | 小型タイヤは、ホコリが詰まって回転が難しい状態 |
ちなみに、これは何もEC-VX220が特別というわけではない。回転ブラシが進化して、高機能になることで、小さなホコリや髪の毛も逃さずキャッチできるようになった。ただ、ブラシの集じん力が強力すぎて、本体に吸い込むことなく、ブラシ部分に留まってしまうようなのだ。
ちなみに、回転ブラシの掃除の方法は至ってアナログ。回転ブラシ部分を外して、絡まった髪の毛をハサミで切る、ホコリをつまようじなどの尖ったもので取り除くなど、結構手間がかかる。時間にすると約15分ほどは見たほうがいいだろう。
回転ブラシをヘッドから取り外す | 絡まった髪の毛やホコリはハサミなどで切って、取り除く | ブラシ部分のホコリは、掃除機で直接吸い取って取り除く |
今回約2カ月間使って、このホコリの量なので半年、もしくは1年間ブラシの手入れをしていないという人はすぐにでもお手入れすることをお勧めする。高機能なブラシ性能を維持するためにも定期的なお手入れを欠かさずにしたい。
■掃除機の最先端を感じられる一台
大きさや搭載機能を考えると年配の人よりも、若い世代にお勧めしたい一台 |
約2カ月間、EC-VX220を使ってみての印象を一言でいうと「若い人向き」の製品かもしれないということ。これまでにない圧縮機構やプラズマクラスターを放出するという最新機能はもちろん、ロボットっぽい本体デザインや、時間を気にすることなく掃除できる低騒音性能など若い男性や、共働きの夫婦に嬉しい機能が多数搭載されている。
逆にいうと、うちの母の年代にはちょっと勧められない。一番の理由は5.8kgという本体重量。持ちやすさや操作しやすさに配慮しているとはいえ、移動時や階段を掃除することを考えると、やっぱり負担が大きい。シャープでは、その部分に配慮して重量2.8kgのコンパクトタイプ「EC-PX120」も用意している。一戸建てに住む人や重いのはイヤという人はそちらを選ぶといいかもしれない。
ゴミ捨てが気になる、ニオイが気になるなどの理由からサイクロンを遠ざけていた“アンチサイクロン派”の人には一度使ってもらいたい製品。私自身、長い間サイクロンを使ってきて気になっていた問題が、EC-VX220では全く気にならなかった。
個人的に嬉しかったのは、運転音が小さいということ。これまで「窓を開けて、音が気にならない午前中にするもの!」と、なんだか構えて、気合いを入れてからしていた掃除機がけという作業が「時間を問わず、気になった時にするもの」というようにイメージが変わった。さまざまな最新技術により、ユーザーの負担を減らしてくれる、掃除機の最先端を感じられる一台と言えるだろう。
2010年12月22日 00:00
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)