【CEATEC JAPAN 2010】
ユーザーのライフスタイルに合わせるスマートハウスなど

 最先端の電子・情報・通信機器が披露されるアジア最大の総合展示会「CEATEC JAPAN(シーテックジャパン)」が千葉県千葉市の幕張メッセで5日に始まった。開催日程は10月5日~10月9日の5日間。

 CEATEC JAPANの展示物は薄型TV、携帯電話機、TV・ゲーム機、家庭用電化機器(家電機器)、ノートPC、電子部品と非常に幅広い。家電Watchでは省エネルギー家電やエコ家電、ヘルスケア家電などの話題などに絞ってレポートをお届けする。

家電機器をネットワーク接続で一元管理

 現代日本の住宅には、数多くの家電機器が配置されている。例えば、エアコンや洗濯機、冷蔵庫、薄型テレビ、インターホン、照明器具などだ。これらの家電機器をネットワークで結んで一元的に管理することで、電力消費(および地球温暖化ガスの排出)を削減するとともに日々の生活を快適で安全なものにするシステムの開発が進んでいる。このような考えに基づいた住宅を「スマートハウス」、生活を「スマートライフ」と呼んだりする。

 パナソニックでは、「家から街まるごとエナジーソリューションまで」と題するプレゼンテーションを展示ブースのメインステージで実施。住宅内のネットワーク家電を一元管理するホームゲートウェイ(パナソニックは「SEG(スマートエナジーゲートウェイ)」と呼称)と、無線(特定小電力無線)ネットワーク接続機能を備えた冷蔵庫とエアコン、洗濯機を参考出品し、これらを住宅用太陽電池モジュールや住宅用リチウムイオン電池モジュールなどと組み合わせることで、地球温暖化ガスの排出削減と快適で安全な生活を両立させることを狙った生活を提案した。

パナソニックのメインステージにおけるプレゼンテーションの様子ネットワーク接続機能を備えた冷蔵庫とエアコン、洗濯機
ネットワーク家電を一元管理するスマートエナジーゲートウェイ(SEG)。i-SEGは無線(特定小電力無線)による情報通信機能、p-SEGは電力管理機能を備える住宅用太陽電池、住宅用リチウムイオン電池をSEGとつなぐ

 スマートライフの要であるSEGは、タッチパネル形式のディスプレイを備えており、居住者と情報をやり取りできる。例えばエアコンや電子ジャー炊飯器、洗濯乾燥機などの始動時間と停止時間を、居住者が起床時間や外出時間などに併せてタイマー設定できる。

 またSEGは外部とインターネット接続することで、天気予報や新商品などの情報を取り込むことができる。天気予報の変化を見た居住者が洗濯乾燥機の運転モードを洗濯コースから洗濯・乾燥コースに変更する、新商品の洗剤に応じて居住者が洗濯乾燥機の運転モードを切り換えるといったことが可能になる。

 パナソニックは「家から街まるごとエナジーソリューションまで」のテーマによる展示コーナーをメインステージの裏手に設け、来場者がメインステージのデモンストレーションに対する理解を深められるようにしていた。展示ブースにはネットワーク接続機能を備えた洗濯乾燥機、住宅用太陽電池、住宅用リチウムイオン電池、SEG、SEGの表示ディスプレイなどが配置されていた。

洗濯乾燥機やエアコンなどのタイマー設定画面。表示されている機器の起動時間や休止時間を一括してずらすことができる。機器ごとにタイマーを設定しなおす手間を省ける天気予報の変化を知らせる画面。洗濯乾燥機の運転モードを洗濯と脱水のコースから、洗濯と脱水、乾燥のコースへと切り換えることを画面で推奨しているSEGのディスプレイ画面。1日の発電量や消費電力量、電力会社との電力量売買記録が1時間単位で分かる
p-SEG(電力管理用スマートエナジーゲートウェイ)の内部住宅用リチウムイオン電池の内部。多用途リチウムイオン電池モジュールを4個、内蔵する多用途リチウムイオン電池モジュール。出力電圧25.2V、出力容量58.0Ah、セル数は140本、重量は約10kg、外形寸法は470×210×81mm(幅×奥行き×高さ)

ジェスチャー入力でネットワーク対応機器を制御

スマートハウスの説明パネル。ネットワーク対応の機器とホームゲートウェイを無線(Bluetooth)で結ぶ

 日立製作所も、スマートハウスの展示とデモンストレーションを実施していた。ホームゲートウェイと薄型テレビ、タブレット型コントローラ、ジェスチャー入力カメラの実物を参考展示した。ホームゲートウェイとネットワーク対応機器は無線(Bluetooth)で情報を送受信する。

 デモンストレーションでは、ホームゲートウェイとタブレット型コントローラ、ジェスチャー入力カメラを無線(Bluetooth)で結び、タブレット型コントローラと居住者が情報をやり取りする様子を示した。例えば入室するとコントローラが「お帰りなさい」と音声で迎えてくれるほか、電子メールの受信を通知したり、電気自動車(EV)の充電完了を知らせてくれる。また、外出時は居住者が手を振る(ジェスチャー入力カメラに向かってだと思われる)と、コントローラが「行ってらっしゃい」と音声で挨拶する、などのデモンストレーションを披露していた。

スマートハウス向けサービスのプラットフォームタブレット型コントローラの画面例。ドア、カーテン、エアコン、照明をホームゲートウェイ経由で制御するデモンストレーションの様子。説明者が持っているのがタブレット型コントローラ。説明者の左側下端に見えている白い縦長の箱がホームゲートウェイ

全方向に光を照射する蛍光灯型LED照明

従来の蛍光灯型LED照明(最上部の1本)と全方向に発光するタイプの蛍光灯型LED照明(下側の3本)

 このほか省エネルギーおよびエコロジーの関連では、発光ダイオード(LED)照明器具のベンダーであるユアーズ・トレードが、全方向に発光するタイプの蛍光灯型LED照明を動作展示していた。

 従来の蛍光灯型LED照明は、細長い基板上にLEDチップを並べているため、基板の裏側は発光していなかった。今回の蛍光灯型LED照明は基板を2枚対向させ、背中合わせにLEDチップを並べることで全方向に光を照射させている。ただしこの構造だと、放熱と電源のレイアウトが難しくなるという課題が生じる。ユアーズ・トレードは放熱の構造を工夫するとともに、電源を蛍光灯の端部にまとめることで課題を解決したとしている。





(福田 昭)

2010年10月6日 18:09