やじうまミニレビュー
長谷川刃物「万能はさみ アームレスラー ハードスニップ」
長谷川刃物「万能はさみ アームレスラー ハードスニップ NAW-195」 |
筆者は家電のレビューをするかたわら、工作系の記事も書いていたりするが、ある日、家電Watch編集部から「工作大好きなオッサンにやらせとけ!」とばかりにあるモノが送られてきた。長谷川刃物の「万能はさみ アームレスラー ハードスニップ(以下、アームレスラー)」だ。今回は、この万能ハサミについてレビューしてみよう。
メーカー | 長谷川刃物 |
製品名 | 万能ハサミ アームレスラーハードスニップ NAW-195 |
希望小売価格 | 1,890円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 1,485円 |
■“刃物の町”岐阜県関市の名刀ならぬ名ハサミ
製品の紹介に移る前に、うんちくをひとつ。メーカーの長谷川刃物は岐阜県関市に本社を構えるが、関市は刃物の生産がさかんであることで知られている。
その理由は、今から750年ほど前の鎌倉時代までさかのぼる。ある刀匠が移り住んで以来、関市は刃物の町として多くの刀鍛治職人を輩出してきたが、時代の変化とともに刀鍛治職人は、包丁やナイフ、ハサミを作るようになる。そして現在、国内の包丁の51%、ナイフは56%、理髪用のハサミや刃物は74%が、関市のものとなっているという。そして今や、ドイツと肩を並べるほどの刃物のブランドになっているのだ。(出典:岐阜県関刃物産業連合会ホームページ)
魚で言えば大分の関サバ、いわば刃物のルイ・ヴィトンとも言える、岐阜県関市で作られたこのハサミ。はたしてそのブランドにかなうハサミなのか、というのもこのレビューのテーマでもある。
話を製品に戻そう。見た目はごくありきたりの工作用ハサミのようだが、その切断能力は非常に高い。パッケージによると次の通りらしい。
・アルミ 厚1.0mm(1mmまで切れるという意味。以下同じ)
・鉄板 厚0.6mm
・銅版 厚0.6mm
・ステンレス 厚0.3mm
・アルミ線 直径4.0mm
・銅線 直径3.0mm
・ひご 直径4.0mm
これはもう工作用のハサミのレベルを越えて、金切り(ブリキ)バサミ並みのスペックだ! しかも金属の切断だけではなく、薄い紙でもシャープに切れるというから凄い。
■大きな金切りバサミよりも軽く切れちゃうスグレ物
このハサミの凄いところは、まずは小ささだ。
我が家にある工作用の金切りバサミは、裁縫用の裁ちバサミと同じか一回り大きいので、最大に開くと手に収まらない。一方のアームレスラーは、片手にジャストフィット。またグリップには指状の浅いくぼみが彫られているので、しっかり握れて力も入りやすい。
刃はバネで戻るようになっていて作業も楽。グリップについている針金は、刃を閉じた状態にロックできるので安全 | 左は長年愛用している金切りバサミ。最大に開くと筆者の手に余る。片手ではお相撲さんでもなければ握れないだろう。一方、右のアームレスラーは、筆者の手にピッタリ収まりコンパクト |
刃を触ってみると、シャープに研がれているのがわかる。かなり期待が持てそうなので、さっそく色々な金属板を買ってきて、切れ具合を試してみた。詳細は下の写真を見てほしいが、アルミ板も銅板も真鍮板も楽勝で切れた!
1mmのアルミ板は軽く切断できる。アルミ缶程度の厚さなら、紙のように切れてしまうほど | 0.5mmの銅板も楽々と切断OK。表示には最大0.6mmとあったが、おそらく1mm程度までは切れるのではと感じた | 銅よりも硬い0.5mmの真鍮板も楽勝。しかし、凄い切れ味だな…… |
しかも、愛用していた金切りバサミよりも、軽い力で切断できてしまう。感覚的には、工作用のハサミで工作用ダンボールを切る程度の力で、金属板が切れてしまうのだ。
では、アルミや銅、鉄より硬いステンレス版はどうだろう? 詳細は写真を見て欲しいが、結果を先に言うとこれまた切れました!
手持ちの金切りバサミには、金属板が刃から逃げないように、刃にギザギザの波が付いているが、このアームレスラーには波が付けられていないにもかかわらず、しっかり金属板に食いついているのも特筆するところだろう。
0.3mmのステンレス板。多少硬いものの、ジョギッ! という感じで切れてしまう | さらに厚い0.5mmのステンレス板に挑戦。パッケージに書いてあった切断能力よりも0.2mm厚いが、力さえ入れれば片手で切れる。例えて言うなら、普通のハサミでダンボールを2枚重ねで切った感じだ | 切断能力の1.5倍ある1.5mmのアルミ板も試したところ、ご覧の通り片手で切れる |
さてこのハサミの根元には、針金や竹ヒゴなど、細くて固いものを切るための刃も付いている。そこで、以前ペンチで切断しようとして、くじけそうになった経験のある針金ハンガーを切ってみよう。
刃の根元に針金ハンガーをセット。ペンチだと渾身の力を込めても切れない針金ハンガーだが…… | 片手でバチンッ!と見事に切れた | さらに硬い直径2mmのステンレス針金も、片手で切断OK |
というわけで、これまた問題なく切れちゃいました!
切断能力以上の金属板を切ったにもかかわらず、刃こぼれは一切なかった |
これだけ酷使すると、刃もかなりこぼれているのでは? とチェックしてみたが、刃こぼれは一切ない。切れ味もさることながら、刃の頑丈さにも目を見張るのがアームレスラーだ。
■金属だけじゃなく紙やプラスチックもOK
金属版が紙のように切れるこのハサミ。プラスチックやゴム、薄い紙まで切れることは言うまでもない。下の写真のようにラクラクでカットできる。
オーディオ機器の下などに敷く防振用の分厚いゴムも、ザクザクと切れた | 屋根などに使う樹脂性の波板も楽々 |
刃は錆びないステンレス製なので、園芸の枝バサミや料理用バサミとして、冷凍した薄切り肉を切るのにも使えそうだ。針金ハンガーと同じぐらい固い春雨もジョキジョキ切れるだろう。さらに、曲線も自由に切れるというのがポイントだ。
樹脂製のボトルは楽勝で切れる | コンパクトなので波型も自由に切れる | もちろんアルミの板のコーナーを丸く切るのもカンタン |
機密情報を書き込んだCD/DVD-Rなどの破砕などにも使えるので、ビジネスシーンでも利用価値があるだろう |
市場価格は、およそ1,800円といった感じだが、激安店などでは1,000円を切っているところもある。下手な枝切りバサミやキッチンバサミよりも安くお買い得という点も見逃せない。また両きき仕様となっているので、左ききの人も大丈夫だ。
「アームレスラー ハードスニップ」の万能さは、金切りバサミだけに留めておくのはもったいない。工作にはもちろん、切れ味のいいキッチンバサミや枝切りバサミが欲しいという人にも、ぜひおすすめしたい。
2011年 4月 18日 00:00
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