やじうまミニレビュー
ポーレックス「セラミックコーヒーミル ミニ」
ジャパンポーレックス「セラミックコーヒーミル ミニ」 |
挽き立ての新鮮な豆で淹れるコーヒーは、香り高く味わいも豊か。しかし、利便性から市販の挽いてある豆を購入し、コーヒーメーカーで適当に淹れるのが常となっていた。慌しい日常ならそれも仕方がないが、ゆっくりと過ごせる時は、新鮮なコーヒー豆を挽き、立ち上る香りを楽しみながら、本当に美味しいコーヒーを味わいたいものだ。
美味しいコーヒーを家庭で楽しむなら、コーヒー豆を粉砕する器具「コーヒーミル」は必需品。巷には多くのコーヒーミルが溢れているが、今回紹介するのは、ジャパンポーレックスの「セラミック コーヒーミル ミニ」だ。
この製品、手動のコーヒーミルながら、コーヒーの風味を損なわないセラミック製の刃が採用されている点が特徴だ。極・極細挽きから粗挽きまで、豆の「粒度」(挽き豆の粒の大きさのこと)を微妙に調整できるのである。しかも、分解して清掃、水洗いも簡単。さらにいえば、食器棚の隙間に収まるほどコンパクトなのだ。
メーカー | ジャパンポーレックス |
品名 | セラミックコーヒーミル ミニ |
購入店 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 3,497円 |
■小型で持ちやすい。軽くハンドルを廻すだけで簡単に挽ける
ミル本体の大きさは50×132mm(最大直径×高さ)とコンパクト。背の高い缶コーヒーと同じくらいだ。ミル使用時は、長さ145mmのハンドルを取り付ける。ミルの本体はステンレス製でも、総重量は236gと軽く持ちやすい。使わない時は、ハンドルをシリコン製の「滑り止め」に収められる、さらにコンパクトになる。
本体は背の高い缶コーヒーくらいの大きさ。ハンドルを取り付けた最大幅は162mm | 収納時はハンドルを外し、コンパクトに収納できる。横にすれば引き出しにも入る |
まずは、本製品でコーヒー豆を挽く流れを簡単に説明しておこう。基本的には、以下の4つだけだ。
(1) フタを外して豆を本体に入れる
(2) フタを閉じ、フタの孔から飛び出たシャフトにハンドルを差し込む
(3) 本体をしっかり握りながら、ハンドルのグリップを持って時計回りに廻す
(4) 挽かれた豆が受け容器に溜まるので、受け容器を引き抜き、豆を取り出す
このほか、挽き方によって豆の粒度も変えられる。多くのコーヒーメーカーに採用されてるドリップ式、深く濃い味を楽しむエスプレッソなど、コーヒーを淹れる道具によって、豆の挽き方は異なる。したがって、粒度を先に調節しておく必要があるのだが、これについてはのちほど詳しく説明する。
とりあえず、ドリップ用の中挽きで挽いてみよう。小型なので、一度に挽ける豆の最大量は20g(約2人分)だが、中挽きなら2分程で挽き終えてしまった。さぞ力が要ると思いきや、談笑しながら苦もなく軽快に挽けてしまった。本体はシリコン製の滑り止めがついているため握りやすく、ハンドルに力が入れやすいのである。また、フタも受け容器も、茶筒のようにスポン! と抜き差しができる気軽さが小気味良い。
まずは、本体の上から豆を入れ、フタをする。茶筒のように差し込むだけできっちり閉まる | フタの孔から飛び出したシャフトに、ハンドルを差し込む | 本体をしっかりと握り、グリップを持ってハンドルを時計回りに回せば豆が挽ける。それほど力を込めなくても、リズミカルに豆が挽けた |
挽いた豆は「受け容器」に溜まる。容器は本体から真っ直ぐ引き抜いて外す | ステンレス製の粉受け容器は、直径50mm足らずと小さい。しかし、容器内に豆が付着しにくく、滑るように豆が出てくるので、周りを汚さない |
外装がステンレスなので、挽いている過程は目視できないが、挽き終わりのタイミングも明確にわかる。ハンドルがフッと軽くなり、ミルの作動音も変わるからだ。受け容器もステンレスで、豆がこびり付きすぎることもないので、挽いた後の豆の扱いもラクだった。また、ハンドルはシャフトに差し込んであるだけだが、本体に対して水平に廻している以上、外れることも無かった。
結果、豊かな味と香りのコーヒーが楽しめた。また、豆を挽いている時から良い香りが部屋に漂うのもよかった。飲む前からコーヒーの香りが存分に楽しめるのも、コーヒーミルの良さである。
■極細挽きから粗挽きまで、粒の大きさの調節も簡単
豆を挽く流れがわかったところで、この製品の特徴であるセラミック製の刃を見ながら、挽き豆の粒度(粒の大きさ)を調節する方法に話を移そう。
セラミック製の刃は、ソフトクリーム形の内刃と、リング状の外刃の2つで構成されている。外刃は本体に固定され、内刃が回転して豆をつぶしながら挽く |
本製品の刃は、本体に固定されるリング状の「外刃」と、ソフトクリーム形の回転する「内刃」の2つで成り立っている。いずれもセラミック製だ。粒度の調節は、2つの刃を留める調節ネジで行なう。調節ネジを回して、重なり合った刃の隙間の広さを変えて、粒の大きさを挽き分ける仕組みだ。
本体内部に粒度を示すガイドやゲージは表示されていないので、最初は少し戸惑った。しかし、調節には単純な規則性があり、慣れれば簡単だ。というのも、「調整ネジ」を90度区切りで緩めれば、極・極細挽き、中挽き、粗挽と、段階がはっきりとわかるほどきれいに挽き分けられるのだ。
調節ネジの緩め方は、まずはネジを右回りに廻し、外刃と内刃が合わさるように完全に締める。その位置から、ネジを90度ずつ緩め(戻し)て、刃の隙間を広げていく。この刃の隙間が広くなるほど、徐々に粒が大きくなっていくのである。
エスプレッソ用に細かく挽くなら半回転だけ緩めて、一般的なペーパードリップ用の中挽きなら、1回転強緩めればよい。どのぐらい戻したかわからなくなっても、一旦ネジを締め直し、そこから始めれば迷うこともないだろう。ちなみに、調節ネジと内刃と回転するシャフトを繋ぐ「内刃ベース」には突起があり、ネジを45度回転(1/8)する毎にクリック感が指に伝わるため、さらなる微調整もやりやすい。
ドリップコーヒーやエスプレッソなど、コーヒーの種類によって淹れる方法や器具が変わる。それに応じて豆の粒の大きさも変わるので、それぞれに適した粒度もここでまとめておこう。
挽き方の例。調節ネジを90度ずつ緩めたが、パウダー状の粉から、粗挽きまで徐々に粒状が大きくなるのがわかる |
【極・極細挽き】ネジを90度(1/4回転)緩める
・家庭用エスプレッソマシンでは、詰まりを起こすぐらい細かいパウダー状になる
【極細~細挽き】ネジを180度(半回転) ~ 270度(半回転+90度)緩める
・エスプレッソや水出しコーヒーに良いだろう。市販のエスプレッソ用粉はこのぐらいだ
【中細~中挽き】ネジを360度(1回転) ~ 450度(1回転+90度)緩める
・ペーパードリップやネルドリップ、サイフォン向けに良い挽き加減だ
【粗挽き】ネジを1回転半以上緩める
・パーコレーターなど、コーヒーを煮出して作るタイプのものにも対応できる
正直言って、家庭用の小さな手動ミルで、しかもセラミック製の刃で、ここまでちゃんと挽けるとは思っていなかった。しかし、挽き上がった豆の仕上がりは驚くほど均一で、コーヒーの味を劣化させる微粉もほとんど目立たないぐらい、質の高いものだったのである。
挽いたコーヒー豆で、ドリップコーヒーとエスプレッソコーヒーを淹れてみた。ドリップコーヒーはマイルドながら深みがあり、エスプレッソは濃厚ながらも後味がスッキリしたものだった。味わいは違うが、どちらも本当においしく、鮮度の高い香りが楽しめた。
中挽きの豆で淹れたドリップコーヒー。味わいは香り豊かでマイルド。そしてふくよかな深みもあった | ドリップコーヒーと同じ豆を極細挽きにして、専用マシーンで淹れたエスプレッソ。濃厚ながらも後味はスッキリで爽やか |
■水洗いも分解も可。清潔に保ちやすい
この製品のもう1つの特徴は、道具無しで気軽に分解ができるため清潔に保ちやすいところだ。
挽き終わった刃には、豆の残りカスがかなり付着する。このカスは、放って置くと酸化し、次に豆を挽く時、コーヒーの味や香りに悪い影響を及ぼす。
しかし、このセラミックの刃は水洗いに対応しており、微量の洗剤を付けた柔らかいブラシで軽くこすりながら水洗いすれば、あっという間にきれいになってしまう。刃が金属の薄いブレード状ではないので、怪我の心配もなかった。分解・組み立ても、説明書の図は複雑に見えるものの、実際にはいたって簡単である。
中挽き後は、豆の汚れが刃に付くが(写真上)、微量の洗剤を柔らかいブラシで軽くこすり、ぬるま湯で洗えばすぐに落ちる(写真下)。直接手に触れても怪我の恐れは少なく、こまめに洗いやすい | コーヒーミルを分解したところ |
本体の内側はプラスチックのパーツが取り付けてある。指が入るので簡単に拭き取れる | 組み立ては、説明図を見ると複雑そう。しかし、道具は全くいらないので、実際の分解・組み立ては簡単だった |
■市販の粉よりも、断然おいしいコーヒーが味わえる
結論を言うと、ポーレックスのセラミックコーヒーミル・ミニは、とても使い心地の良い優秀なコーヒーミルと断言できる。豆が本当に均一に挽け、粒度調節も思いのほか簡単だった。一度に挽ける豆の量はせいぜい2人分であるが、その分、コンパクトに収納でき、手入れも簡単である。
価格は必ずしも安価ではないかもしれないが、味と香りは、市販の粉のものより断然良い。長く使えるものなので、コーヒー好きならば是非1台備えてみてはいかがだろうか。きっと満足行くコーヒーライフが楽しめるはずである。
最後に余談をひとつ。説明書にはゴマやナッツ類など、油分の多いものは挽かないでくださいとあったが、ならば油分が少なく、乾燥しているものならいいだろう……ということで、煎茶を挽いて、てんぷらやお茶漬けに使える「ひき茶」を作ってみた。手持ちのお茶で必要なだけの量が気軽に作れ、料理にも応用が利く。こんな事ができるのも、刃が気軽に洗えるおかげだろう。
市販のコーヒーの粉を使うよりも、味と香りが断然に良い。コーヒー好きの人にお勧めしたい | 本製品を使って、普段の煎茶を「ひき茶」にした。刃が簡単に洗えるので、料理にも応用できそうだ |
2011年 2月 28日 00:00
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