ティファール「エッグロースター」

　4年ほど前からティファールの鍋を使っている。取っ手が外れる独特の機構に最初は少々戸惑ったが、慣れてからは、これ以外使えないかもというほど愛用している。

　今回紹介するのは、そのティファールの鍋シリーズのエッグロースター。日本のユーザーからかねてから要望があったという卵焼き専用のフライパンだ。

　ティファールの鍋は、鍋の本体と取っ手部分は別売りになっている。私の場合、自宅にすでに取っ手を持っていたが、もう1本欲しいと思っていたので、エッグロースターと一緒に改めて購入することにした。

　エッグロースターは、長方形をしたいわゆる卵焼き器だ。一般的な卵焼きと比べると大きめの印象で、フチの部分も高め。表面は、ティファール独自の「エキスパート」コーティングが施されている。これは、汚れが付きにくく、金属ヘラも使えるというものだ。

　鍋の中央には温度変化を表すマークが備えられている。このマークは同社の鍋に多く採用されているもので、温度が180～200℃になると、中央のマークが消えて、食材を入れるタイミングを知らせてくれるというものだ。

左が取っ手。右がエッグロースター。取っ手はエッグロースターだけでなく、ティファールのほかの鍋にも使える。取っ手の購入価格はAmazon.co.jpで1,680円	エッグロースター本体	中央には温度を示す「お知らせマーク」が設置される

取っ手は鍋の一部を挟みこむようにして固定する	取っ手を取り付けた状態	我家のシンク下。左がティファールの鍋、右が普通の鍋。取っ手がないので収納がすっきりとできる

　というわけで、まずはオーソドックスな出し巻き卵から作ってみた。材料は卵にダシ、調味料少々。出し巻き卵は、薄い卵焼きを丸めるようにして作っていくもので、卵を少量づつ焼いて、丸めて、さらに卵を足して、丸めるという作業を繰り返していく。

　正直いうと、最初はうまくできなかった。ポイントは、丸める時の作業だが、最初これがうまくいかなかった。普段使っている卵焼き器よりも、フチの部分が高いため、箸で丸める作業が難しいのだ。

　ただ、4～5回使い続けるうちに、きれいに作れるようになった。これは慣れが占める部分が多いのではないか。普段使い慣れた卵焼きを使っている人にとって、最初は使いづらいかもしれない。

出し巻き卵を作っている様子。一般的な卵焼き器より、フチの部分が高いので巻くのに苦労した	できあがり。なんとか形になった。作り慣れている人にとっては、形の違いに戸惑うかもしれない	取っ手の一部が出っ張ってしまっているので卵液の量が多めだと、取っ手に引っ掛かってしまう。ちなみに左の写真の卵焼きは、卵中サイズ3つで作ったもの。それくらいなら問題なく作れる

　何度か卵焼きを作った上で、気付いたのは「これは出し巻き卵ではなくて、普通の卵焼きを作った方が良いかもしれない」と思った。卵を巻く作業がうまくいかなかったので、巻く作業を省略した具入りの卵焼きを作ってみた。イメージ的にはオムレツと思ってもらえば分かりやすい。

　今回は中に明太子を入れた卵焼きにチャレンジ。一度に全ての卵液を入れて素早くかき混ぜたら、火を弱くして、明太子を卵の上に置いていく。あとは、全部を巻くだけだ。今回もやや形が崩れてしまったが、出し巻き卵に比べて微修正が効くので、作りやすかった。

事前に味付けした卵を一度に鍋に入れて、すぐに箸でかき混ぜる	その後、上に明太子をのせて巻いていく	できあがり。明太子と卵焼きがトロっとして、ご飯がすすむ一品だ

■ティファールならでは! のオーブン調理

　エッグロースターは取っ手を外すことで、オーブン対応の耐熱皿としても使える。今回は、卵を使って「スペイン風オムレツ」を作った。材料は、家にあった野菜とベーコン、さらに粉チーズと塩コショウを少々。先に具材をエッグロースターで炒めて、後から卵を加えたらあとはオーブンで加熱するだけ。加熱時間は180℃で12分。

　ふっくらとしたスペイン風オムレツができた。ガスで調理するのとは違った風味で、なかなかおいしい。手軽に作れる割に、ボリュームもあってそれなりに見栄えもするので、来客時などに便利なメニューだ。また、冷めてもおいしくいただけるので、お弁当のおかずとしてもお勧め。

家にあった残り物の材料を全て細かく刻んで、先に炒める		あとは、卵を入れて、具材が片寄らないように軽くかき混ぜる

エッグロースターのサイズならトースターで手軽にオーブン料理ができる	焼きあがり。ふんわりとした仕上がりはオーブン料理ならではだ	皿に盛り付けたところ。ボリュームがあって、それなりに見栄えもするので来客時の一品におすすめ

　フライパンをそのまま、オーブンに入れるというのは、普通ではちょっと考えられないことだが、ティファールの製品ならそれが可能だ。特に、今回のエッグロースターはサイズが小さいので、小型のトースターにもそのまま入れることができた。また、取り外しできる取っ手がオーブンの出し入れの時に役立つ。

　一般的な耐熱皿に比べて、格段に手入れが楽なのも大きな魅力。テフロン加工なので、水でさっと流してブラシで洗うと、あっという間にきれいになってしまう。

水でさっと流して、ブラシで軽くこするだけであっという間にキレイになってしまう	粉チーズなどこびりつきやすい食材も残ることはなかった

　独自の構造や加工は、日本の卵焼き器とは異なるものだが、基本的には使いやすい製品。ちょっとクセがあるので、自分なりの卵焼きを極めているという人よりは、これから卵焼きに挑戦する人向きかもしれない。

　気になったのは、取っ手部分が内側に出っ張ってしまっていること。卵焼きは巻いていくうちに、どんどんサイズが大きくなってくるので、この出っ張りに卵 が引っ掛かってしまうことがあった。出来映えの良し悪しを左右するのはもちろん、卵が取っ手部分に絡んで後片付けも大変だった。これは、ぜひ直してもらい ところだ。

　個人的に評価したいのはオーブン用器具としての使いやすさ。取っ手を使って取り出すことができるので、オーブン料理の一連の流れが非常にスムーズになる。今回は卵に関連した料理をあえて作ったが、ハンバーグやグラタンなど様々なオーブン料理で活躍してくれそうだ。

　収納や手入れ面など、調理器具で気になる問題をクリアしているのはやはりポイントが高い。日常的な卵料理はもちろん、オーブン用器具としてなど、さまざまな用途が用意されていて、料理の幅が広がりそうな一品だ。