やじうまミニレビュー
ムロコーポレーション「チョイむき」
ムロコーポレーション「チョイむき」 |
TVを見ていたら面白そうな製品が映っていた。果物を地球儀のように固定して回転させ、皮をむく道具だ。
手も触れることなく、ハンドルを回すだけでクルクルと螺旋状に皮をむいていくのだ。りんごもクルクル、グレープフルーツもクルクルとむけていく。非常に楽しそうで興味深かったので、試してみることにした。
気になる製品は、その名も「チョイむき」。メーカーのムロ・コーポレーションは、本来自動車部品のメーカーであり、皮むき機は近年生まれたものらしい。
メーカー | ムロ・コーポレーション |
製品名 | フルーツ皮むき機 チョイむき |
希望小売価格 | 4,980円 |
購入場所 | 楽天市場 |
購入価格 | 4,980円 |
「チョイむき」のパッケージは、いともあっさりした白一色のボール箱だった。製品名や製品情報は、側面にシールを貼って表示してある。「チョイむき」という、あまりにも肩の力が抜けたネーミングに、ある意味非常にマッチしている。
「チョイむき」は組み立て不要でそのまま使用できる。皮をむく刃の部分に、危険防止のための安全カバーがついているのが唯一の付属品だ。
大きさは162×260×244mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは1,015g。家庭用のかき氷機のような大きさと雰囲気だ。
パッケージ | 本体 | 背面。簡単な注意書きと使い方がシールを貼って記されている |
使わないときは、刃の部分に安全カバーをかけるようになっている | 下から出た3本の「回転爪」と、上の「ピン」で食材を支える |
取扱説明書とちょっとしたレシピ集のほかに、厚紙に丸い穴を開けた大きさガイドがついてくる。これは何かというと、「チョイむき」では、直径3cm以上、10cm以下のものしかむくことができないため、その大きさを実物大で示したものだ。なかなか親切な付録だ。
本体の下から出ている「回転爪」と、上の「アーム」から出ている「ピン」の2カ所で果物を固定し、ハンドルで「回転爪」を回して刃にあてていくことで、皮をむいていく仕掛けだ。
むける果物の大きさを示す紙製ガイド | 果物が大きすぎた例 |
■5種類の果物限定?
取扱説明書によると、「チョイむき」は、オレンジ・グレープフルーツ・レモン・リンゴ・キウイの5種類の果物に使用可能という。
漠然と、もっと色々なものにも使えると思っていたので、これを読んで「たった5種類?」と落胆しそうになった。しかし、この5種類以外に使用してはいけないとか、危険だとかは書いてないので、自己責任でほかのものもむいてみたいと思った。
まず、リンゴをむいてみることにした。
「回転刃」には皮の薄い果物用、厚い果物用の切りかえがついているので、これを「薄い」用に切り替えておく。そして、ハンドルを空回しして、一番低い位置までおろしておく。
この状態まで本体をセットしてから、はじめてリンゴを設置する。下の「回転爪」にヘタの方を固定し、スプリングの入った「アーム」で、上を押さえる。
そしてハンドルを回すと、ガラガラという音と共に、リンゴはクルクルと回転し、回転刃がリンゴの曲線に沿って器用に上へ進んでいく。これはかなり面白い。回すのが楽しい。回すにつれ、細いリボン状の皮がどんどんむけてたまっていく。皮は最後まで切れずに1本につながっていた。
リンゴをむいているところ |
むいた表面には、このような規則的なシマ模様ができる |
リンゴは丸々きれいにむけて、大成功だ。一番上と下に、むけていない丸い部分が小さく残ってしまうが、これは固定のために必要な部分だから仕方がないだろう。
細く螺旋状にむいていくので、むいた果実には独特の横ジマ模様ができる。これを、「包丁でむいたのと違うのでいや」と考えるか「飾り切りみたいでかえっていい」と考えるかは価値観次第だ。
続いて、出盛りのプラム、モモにも試してみた。
どちらも皮が薄くてやわらかく、むくのが難しい果物なので、どうかなと思ったが、とてもスムーズにスルスルとむけた。熟れすぎていない、堅めの実だったのも良かったのかも知れない。
プラムをむいているところ |
続いてトマトを試した。しかしこれは、皮がツルツルすべって刃が入らないようでダメだった。
使っていくうちに気付いたのは、一個むくたびに、ハンドルを空回しして元に戻すのが面倒くさいということ。実際むいている時のクルクルは非常に楽しいのだが、何もないのにカラカラと回すのはちっともうれしくない。どこかを押すとワンタッチでピッと戻る、そういう仕組みになっていたらいいのにと思ってしまう。
■グレープフルーツは難しかった
次にグレープフルーツを試した。
回転刃を、皮の厚い果物用に設定する。作業自体はスイッチをパチンと切り替えるだけで簡単だが、文字表示等がないので、最初の頃は毎回「どっちだっけ」と迷ってしまう。「厚い」「薄い」などの表示があった方がいいと思う。
グレープフルーツを固定し、ハンドルを回す。
皮の中のフワフワしたところの摩擦が強いらしく、リンゴやプラムの時より少し力がいる。といって、特に大変だと言うほどではない。順調に刃は進み、柑橘特有のさわやかなの香りが立ちのぼるのも、いい感じだ。「チョイむき」では長い長いリボン状にむいていくため、包丁でむく時に比べ刃のあたる面積が多く、匂いも強く香るようだ。
ところが、全体の3分の1くらいまで来ると、下の「回転爪」がはずれてグレープフルーツが座礁してしまった。リンゴなどと比べて大きくて重いので、力のかかる部分がはずれてしまうらしい。直径10cm以下の果物という指定は知っていたが、そんなに厳密に考えず、10cmをいくらか越えるグレープフルーツを用意したのがいけなかったのかも知れない。
そこで、添付の実物大ガイド紙を持ってスーパーに行き、直径10cmを下回るグレープフルーツを選んで買ってきた。再度挑戦だ。
ところが、やっぱりうまくいかない。途中で回転爪がはずれ、止まってしまうのである。
おかしいと思って取説をもう一度よく読むと、「直径」では10cmだが、「高さ」は8cm以内でないといけないと書いてあるのを見つけた。(実物大ガイド紙には記述がなかった)自分のうかつさを棚に上げて言うのだが、世の中、取説を丹念に全部読む人ばかりではないのだから、こういうことは大きく目立つように書いてほしいものだ、
高さ8cmまでということは、実質的に直径8cm以下ということになってくる。10cm以下のグレープフルーツを探すのにもいくらか手間取ったくらいだから、8cm以下のを用意することは、多分できないだろう。都合3個のグレープフルーツで失敗したあげく、今回はあきらめることにした。
そのかわり、直径約7cmのオレンジで試したところ、これはうまくいった。グレープフルーツ同様さわやかな匂いを放ちながら、最後まで全くスムーズに丸むきができた。最初から最後までつながった長い皮は約3m。2つに折って持ち上げてみると、床から、肩の上まで届いた。これは、人の手ではできないだろう。
オレンジをむいているところ |
■野菜にも便利に使える
色々なものをむいてみた。上から時計回りにプラム、ジャガイモ、ダイコン、ニンジン |
ここで、果物以外のものも試してみることにした。じゃがいも、ニンジン、長芋、大根などである。
まずはじゃがいもを試した。
「チョイむき」にセットしてハンドルを回す。じゃがいもの表面は、リンゴやオレンジと比べてデコボコしているので心配だったのだが、回転刃は、床屋さんのカミソリのように器用にジャガイモの表面をフォローし、予想以上にキレイにむいてしまった。
果物の時同様に、固定した部分に小さくむき残しができるのだが、ここは調理の際に切り取ってしまえばいい。このジャガイモの結果にいたく感心し、「これがあれば、一人でもカレーが作れる」と言ったのはのはうちの夫である。彼は手先が不器用で、包丁を使うのを苦手としている。
ジャガイモをむく。デコボコしている割にはきれいにむける | 再びジャガイモをむく。このような「折り返し運転」もできる |
食材をいくつかに分断するのは大丈夫だが、薄切り、皮むきなどのデリケートな作業は苦手で、特に皮むきがハードル高いそうだ。食事作りがそんなに嫌いではないが、いかんせん不器用というタイプなので、彼が一人暮らしをするとしたら「チョイむき」はかなり必須なものになるだろう。
次に大根、山芋を試した。この両者は、おろし金でおろせば簡単に食べられる食材だが、おろす前には皮をむかなければならないところが、包丁が苦手な人には1つのハードルだ。しかし「チョイむき」でやれば皮むきは簡単だ。包丁のスキルが低い人でも大根おろしやトロロ作りの全行程ができる。
こういうふうに野菜を切って料理にも使えるのだから、果物(しかも5種のみ)限定にしない方がよかったのではないか。何だか、野菜に使う用途の方がずっと広がりがありそうだ。
ニンジンをむく。径が小さめのものは、このように上からでもむくことができる |
■取説に注文がある
「チョイむき」は下から刃をスタートさせて、上に向けてむいていくことになっている。そのため、毎回ハンドルを空回しして、刃を一番下に移動させてから次をはじめねばならない。これが煩わしいことは前述した。
なぜ、下から始めねばならないかというと、多分、上の方にハンドルが上がっていると大きな果物や野菜をセットするときに邪魔になるからだ。取説には書いてないがそういうことだと思う。
ところがジャガイモや大根、あるいはプラムは、グレープフルーツなどと比べて小さいあるいは細いため、ハンドルが上に来ていても邪魔にならず、食材をセットすることができる。刃は上下とも同じように当たるため、上から始めても問題なくむけるのだ。
だから、下から始めて一個むいて、次はそのまま上からもう一個、という風に往復で使うことができる。空回しの手間が省けて、とても気分的にもラクだった。
こうしたことを、私は実際にいろんなものをむいて、たまに失敗したりしながら学んだが、取扱説明書に初めから書いてあればよかったと思う。ハンドルを空回しして戻す作業にしても、「その作業をする理由」が書いてあれば、納得してできるというものだ。
■愛嬌のある、実直な製品
しかし、見慣れたジャガイモや大根が、クルクル回りながら螺旋状にむかれていくのは、愛嬌のある不思議な景色だ。手にとって包丁でむくものと決めていた既成概念が揺すられて、なんだか面白い。
工場見学番組などで、卵が自動で割られたり、チクワが勝手に回りながら焼けていたりするのを見ると、妙に面白く、ついじっと見てしまうものだが、それに似た感覚だ。製品自体にも、パッケージや取説にも、自動車部品という堅い商売の会社らしい実直なものを感じる。
水をかけて洗えるので手入れが楽だ |
水洗いできるので、使用後の手入れは簡単だ。流しに持っていって、水をジャージャーとかけるときれいになる。果物をむくと、刃のまわりだけでなく固定用の爪やアームも糖分で果汁でぺたぺたしてしまうので、水洗いできるのはありがたい。
だたし、回転刃をカバーしている輪の部分に、むいた皮が詰まって残っている場合があるので、そこは毎回確認したい。
はっきり言って、「どのお宅にもぜひ一台」といってお勧めできるものではないが、使う人のライフスタイルによっては、楽しく便利につきあっていける製品だと思う。
たとえば、子供のある家庭ではうけるだろう。絶対、ハンドルを回すのを面白がると思う。いちおう刃のついたものだから、子供だけに任せることはできないが、大人がそばについてセットを手伝い、ハンドルを回す方をやらせてあげればいいだろう。
また、不器用な人、加齢や体の不調などで包丁のスキルが限定される人の場合、相性さえ合えば大事な相棒になると思う。
2010年 9月 21日 00:00
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