やじうまミニレビュー

明和電機「オタマトーン」

~大人が楽しむ、脱力系おたまじゃくし型電子楽器
by 石井 和美


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明和電機「オタマトーン」

癒し系の見た目に惹かれて電子楽器を衝動買い

 今回紹介するのは明和電機のサイトで一目見た瞬間から、心を奪われてしまった電子楽器「オタマトーン」だ。癒し系のかわいらしいデザインと、味のある音色に、楽器は何一つできない私がついつい衝動買いしてしまったものだ。

 オタマトーンはその名の通り、おたまじゃくしの形をした電子楽器である。巷では大変話題になっており、日本玩具協会が主催する「日本おもちゃ大賞2010」の「ハイターゲット・トイ部門」で、大賞を受賞している製品でもある。奇妙なガジェット作りを得意とする明和電機だが、このオタマトーンは手軽に楽しめる電子楽器として、特に人気が高い製品だ。



メーカー明和電機
製品名オタマトーン
希望小売価格2,940円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格2,249円

 本体サイズは27cmで、ホワイトとブラックの二種類で単四乾電池を3本使用する。本体では2種のボリュームと3種のオクターブが楽しめるようになっていて、それらはスイッチで簡単に切り替えられる。

オタマトーンにはとぼけた表情の顔がついている黒い部分は全てスイッチになっている。ここを押さえることによって音が出る音符の頭部分は360度回転する
裏にはボリュームスイッチ、オクターブスイッチが付いている単四電池3本付属。電池を取り替えるときはプラスドライバーが必要

音は簡単に出る

 基本の持ち方は、人差し指と親指でつまむように持つ。シッポスイッチと呼ばれる黒い長方形の部分を押さえる。すると、「ウー」という音が鳴る。基本的にはこのシッポスイッチを押すだけで演奏できる簡単な楽器だ。

 音を出すのは簡単だが、演奏となると話は別。それなりに練習が必要になってくる。オタマトーンでは、シッポスイッチの押す場所を変えることで、音の高さが変わる。これがオタマトーンの基本的な演奏方法で、説明書では「プッシュ奏法」と呼ばれている。

 まずは、付属の「オタマトーン練習シート」を使って演奏のコツをつかむことから始めよう。シートの数字に合わせてシッポスイッチを押してかえるの合唱を演奏する。この基本的な練習を繰り返すうちに、音の位置がわかるようになるので、あとはひたすら練習するのみだ。音の位置がわかれば、楽譜がなくてもメロディを思い浮かべて演奏できるようになる。

オタマトーン練習シート。ここのオタマトーンを置いて数字の通りにシッポスイッチを押せば、かえるの合唱が演奏できるようになるこのように右手でシッポスイッチを押さえ、左手で顔部分を持って演奏する

音階はLow/Mid/Hiの3段階が選べる。動画ではLowで1オクターブを演奏している……つもり。等間隔ではないので、最初は覚えるのが大変だ

こちらはMid。かなり微妙な音程になってしまったが……Hiでも演奏。高音のほうが聞き取りやすい

知れば知るほど奥深い

口をパクパクすることでエフェクターのような効果が得られる。笑った顔もかわいらしい

 プッシュ奏法に慣れてきたら、ほかの演奏方法に挑戦してみよう。しっぽスイッチを押したまま指をスライドすると「キュイーン」という音に変わる。これが「スライド奏法」だ。いわゆるポルタメント(徐々に音を変えて演奏すること)であり、ちょっとロックな印象になる。

 とぼけた表情の顔部分には、実はスピーカーが内蔵されている。口を開け閉めすることでスピーカーから出る音が「ウー」から「ワー」に変わる仕組みなのだ。顔の横にある「ポッチ」を押すと、口が開いて音が変わる。この“口パク”を連続して行なうと「ワウワウワウ」といったビブラート演奏になって、ギターやベースに使われるエフェクターのような効果が得られる。これが「口パク奏法」で、うまく使えるようになると演奏の幅がグッと広がる。


口をパクパクさせてワウワウさせてみたところスライド奏法。キュイーンという音が、なかなかロック

 最初はその愛くるしい見た目や珍しい音に惹かれて、衝動買いしてしまったオタマトーンだが、これがなかなか奥深い。

 見た目だけでいうと子供向けのように見えるが、対象年齢は15才以上だ。単純だが、音の位置を把握して曲を奏でるのは、大人でもある程度練習しないと難しい。我が家の5才と2才の子供たちも興味津々だったが、すぐにあきらめてしまった。オタマトーンは、あくまでも大人が楽しむ電子楽器なのだ。

 歌を歌いながら演奏したり、ほかの楽器とのセッションをするなど、アイデア次第で色々な演奏が楽しめそうだ。口をパクパクする様子もかわいらしく、見ているだけでも癒される。オタマトーン演奏者は「オタマニスト」と呼ばれており、YouTubeなどでは、オタマニスト達による演奏動画がたくさんアップされている。そちらも参考にして欲しい。


Midで「たんたんたぬきの」で有名な聖歌を演奏。子供にオオウケだった。テンポの早い曲では音が追いつかない場合もあるので、童謡などの楽曲が向いているだろう。演奏している方も楽しい!

 しっかり練習して完璧な演奏を目指すというよりは、そのとぼけた外見と音を楽しむための楽器。練習して上達しても“へたうま”な演奏になってしまう。本体にも「正確な12音階とは多少異なります」と注意書きがある通り、音階はかなりアバウト。むしろそのその脱力系な音色が魅力でもあるので、音痴ぶりを楽しんで欲しい。




2010年 7月 23日   00:00