やじうまミニレビュー
究極の無水調理ができる、鋳物ホーロー鍋「バーミキュラ」
by コヤマタカヒロ(2014/6/10 07:00)
カレーやシチュー、肉じゃが。煮物を作るのに欠かせない鍋。注文後半年以上、ずっと到着を待っていた鍋がついに届いた。それが究極の無水調理ができると評判の、鋳物ホーロー鍋「VERMICULAR(バーミキュラ)」だ。
鋳物ホーロー鍋とは、分厚い鉄鋳物で作った鍋に、ガラス質の釉薬を焼き付けたもの。蓄熱性が非常に高く、さらに同じく鋳物製の重たいフタでしっかりと密閉できるため、湯気が逃げにくく、少ない水分で調理できるのが特徴となっている。
海外製の製品では、ルクルーゼや、ストウブなどが有名だが、今回購入した「バーミキュラ」は名古屋にある愛知ドビーという鋳造メーカーが2010年より製造を始めた鋳物ホーロー鍋だ。
メーカー | 愛知ドビー |
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製品名 | VERMICULAR オーブンポットラウンド22cm |
希望小売価格 | 25,200円(5%税込み・代引き手数料含む) |
購入場所 | 公式オンラインショップ |
購入価格 | 25,200円(5%税込み・代引き手数料含む) |
重たいフタでしっかり密閉するから無水調理ができる!
VERMICULARは、直径22cmと18cmの2サイズがあり、今回はよりたっぷりと料理できる22cmを選択した。取っ手とフタを含めた本体サイズは300×140mm(直径×高さ)で、容量は3.5L。重量は4.2kgと重い。ホーローの塗装色は全7色あり、パールブラウンを選んだ。今回は選ばなかったがオプション(3,240円)でフタの部分に名前の刻印もできる。
沢山ある鋳物ホーロー鍋の中でも、バーミキュラを選んだ理由は、製品としての完成度の高さだ。たとえば、バーミキュラでは、ホーローを3層に加工している。それが、外装の美しさだけでなく、遠赤外線効果による食材の加熱、蓄熱性の向上、そして高い耐久性などを実現しているのだ。また、鋳物鍋のキモとなる、密閉性を確保するため、フタと鍋本体の接合部分は、30度の円錐形に精密加工を施しており、しっかりと締まるようになっているという。
また、実際に使っていてその効果に驚かされたのが、鍋底にあるリブ加工だ。最初は肉などに焼き色を付けるためかと思っていたが、このリブが食材を点で支えるため、加熱時に鍋底に貼り付かなくなり、結果として具材の焦げ付きを防ぐことができるのだ。
過去に仕事で、他の鋳物ホーロー鍋とあわせてバーミキュラを使ったことがあったが、無水調理という点で、明らかに料理のできあがりが違うことを経験していた。
そのとき、これは購入しようと決めたのだが、その後すぐにバーミキュラの人気が沸騰。注文しても1年以上、届かないという話を聴き、落ち着くまで待つことにしていた。そして昨年、11月にどうせ待つなら注文してから待とうと思い立ちようやく注文。今年5月にようやく自分だけのバーミキュラが届いた。
甘みも増し、おいしく調理できるが、味付けも変える必要あり!
さて、早速届いたバーミキュラで最初に調理するのは、この鍋の代名詞ともいえるメニュー、無水カレーだ。これは、タマネギ、ニンジン、トマトなどから出る水分だけでカレーを作ってしまうというもの。水を入れないため、野菜の甘みを最大限に楽しむことができる。
しかも、調理は簡単。具材を順番に鍋に投入したら、あとはフタをするだけ。時間が経って水分が出てきたら、カレールーを投入し、味を調整するだけで完成だ。
早速作ったカレーだが、実はちょっと忘れていたことがあった。前述の通り、バーミキュラで調理すると食材の甘みが最大限に強調される。そのため、中辛のカレールーだと、ハッキリ言って甘すぎるカレーができてしまったのだ。食べるときにスパイスをプラスすることで調整はできるが、「次からは辛口のルーを買わないと」なんて話すことになった。バーミキュラで作ったカレーは味も大きく変わるという証明になった。
その後も無水調理の肉じゃがにも挑戦。焦げ付かないか心配だったが、味もしっかり入り、子どもたちに一瞬でジャガイモを完食されてしまうほどの人気メニューとなった。
ムール貝の白ワイン蒸しは、バーミキュラの密閉性を活かした蒸し料理。蒸気が出てきたら、火を消し、あとは余熱で加熱した。するとムール貝の風味も失われず、ぷりぷりの食感に。また、鍋に残ったスープも絶品だった。
焦げ付くことなく、つややかごはんが炊ける!
今回バーミキュラを購入することに踏み切った一番の理由が、ごはんを再び鍋で炊くことだった。昔はずっと土鍋でごはんを炊いていたのだが、子どもが食べるようになってからは炊飯器がメインなっていた。しかし、そうなると自分用の玄米や分づき米などを炊くことができない。以前使っていた土鍋は割れてしまったので、どうせならおいしく炊けるバーミキュラでと決めた訳だ。
まずは白米での炊飯テスト。付属のレシピにしたがって、4合の白米と水を鍋に投入し、30分ほど浸した上で中火での加熱をスタート。あとは蒸気が出てきたら弱火にして10分。そして止めて10分蒸すだけだ。
若干、付属のレシピブックの火力調整とは異なることをしたが、ごはんはふっくら艶やかに炊けた。普段使っている炊飯器と比べても、お米のハリ、ツヤは段違いのできだった。ガスとバーミキュラならではの高温加熱によるものだといえるだろう。
しかも、購入後初めて炊いたにもかかわらず、鍋底が全くといってほど焦げていなかったことにも驚かされた。もちろん、最初の中火時間を延ばしたり、最後に1、2分ほど強火で加熱すればおこげも楽しめるだろう。
約半年待つが、料理好きなら絶対におすすめ
筆者がバーミキュラを注文したのが、昨年の10月31日だ。その時点ではオンラインショップより納品は約8カ月後になることが伝えられていた。また、注文から納品までの期日がかかるため、決済は着払いのみに限定されているのも特殊だ。
注文後は、ほぼ毎月、「バーミキュラ生産状況のお知らせ」メールが届く。メールには到着予定が記載されているほか、バーミキュラを製造する方々のインタビューが掲載されている。約半年、バーミキュラが届くまでの間にその製造工程や、こだわりのポイントなどを学びながら待てるのだ。
そして3月に届いたメールで到着予定が、5月頃に前倒しされることが分かった。さらに途中で消費税アップがあったが、事前に注文していたこともあり、消費税は5%のままで購入できる旨が記載されていた。こういうのも非常にうれしいポイントだ。
そして5月8日。筆者のバーミキュラが完成した連絡が届いた。約半年間待ち焦がれていた鍋がついに到着した。
到着からまだ約1カ月。多忙な日々も重なり、作りたいと思っているメニューをまだ半分も作れていない。しかし、すでに自宅にある鍋の中でレギュラーの座は獲得した。付属レシピはもちろん、Webに数多く掲載されているバーミキュラのためのレシピも多数チェック済みだ。
鋳物ホーロー鍋は、フタを含めた重量は4kg以上と非常に重く、片手では持てないので、使い勝手が100%いいとはいえない。しかし、栄養たっぷりのおいしい料理を楽しみたいなら、是非、1つ持っておくといい鍋だ。