やじうまミニレビュー
1枚700円する日立掃除機用紙パックの実力
by 伊達 浩二(2014/3/10 07:00)
紙パック式掃除機は袋がいのち
今回は、日立の掃除機用紙パック「GP-2000FS」を紹介する。3枚入りパックが希望小売価格だと2,100円もするので、1枚当たり700円という、すごい紙パックなのだ。
紙パック式掃除機の紙パックは、純正品でも5枚入りで700円からあるし、性能を度外視すれば100円ショップで2枚入の製品だって売っている。
紙パック式掃除機にとって、紙パックの良し悪しが性能に直結する要素であり、いわば「いのち」であることは知っているが、それにしても1枚で700円というのは、すごい値段だ。
この超高級紙パックは、普通の紙パックと、どれだけ違いがあるのか試してみよう。
メーカー | 日立アプライアンス |
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製品名 | GP-2000FS |
希望小売価格 | 2,100円(税込) |
購入先 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 1,300円(税込) |
お値段は標準添付品の4.7倍
GP-2000FSが使えるのは、日立のキャニスター型掃除機で1989年以降に発売された「CV」シリーズという製品だ。日立のキャニスター型紙パック式掃除機の現行機種は、すべてGP-2000FSが使用できる。
ウチで使っている「CV-VP5」という掃除機も、その一つで、ラインナップ上では、下から2番めに当たる普及機種だ。実売価格は8,000円台で売られている。
CV-VP5用に指定されている紙パックは、「GP-75F」という製品で5枚セットになっている。希望小売価格は735円だ。Amazonでは455円で販売されているので、1枚当たり91円という計算になる。
それに対して「GP-2000FS」は、3枚入りなのにAmazonでも1,300円もする。1枚当たり433円だから、実売価格で標準指定品とは約4.7倍もの価格差がある。
チリも逃さず、ニオイも出さず
掃除機に付属しているGP-75Fは「抗菌防臭3層フィルター」と名乗り、袋の内側は抗菌処理されている。それに対してGP-2000FSは、「ナノテク 高補じんプレミアム 衛生フィルター」と名乗っている。製品情報ページにある機能説明を引用すると、次の通りだ。
“極細強力帯電層により、ごみがごみを引き寄せて立体的に捕集する3種・3層構造の目詰まりしにくいパックフィルターです。吸着消臭タイプのナノポーラスゼオライトと分解消臭タイプのナノチタン触媒との相乗効果でお掃除が終わったあとに紙パックにたまったごみのニオイを低減します”
つまり、(1)掃除機が吸い込んだホコリなどを捕える性能が優れている。(2)濾し取るフィルターとしてだけでなく静電気でもチリやホコリなどを捕える。(3)消臭はゼオライトとナノチタン触媒の組み合わせで万全を期す。というわけだ。
とくに紙パック式の弱点である、紙パック内に溜まっているゴミの匂いを消臭することに力が入っているようだ。
もう一つ。紙パックの吸込口のところにシールが付いており、ゴミ捨て時に、この穴からホコリなどが出ないようになっている。これを「こぼさんパック」と言う。
ゴミが溜まっても排気が匂わない
では、実際にGP-2000FSを使ってみよう。
GP-2000FSのパッケージは、袋状のパックだ。紙パックとしては高額な製品だけに高級な印象を出そうとしているが、赤と金が目立ってかえってチープな感じになっている。なんというか、高級な袋入りインスタントラーメンを思わせるデザインなのだ。
高級感を訴求したい気持ちはよく分かるのだが、もう少し、シックな感じにしてほしい。また、パッケージから取り出した袋は、再び封をすることができない。ゼオライトなどが入っていて湿気などの影響を受けやすい製品なのだから、紙パックを1枚ずつ封入するか、1つ取り出しても再び密閉できる構造にしてほしいところだ。
GP-2000FSの本体は、オレンジ色をしている。手に持った感触は柔らかく、標準品のGP-75Fとは厚みがぜんぜん違う。単なる紙袋ではなく、高価で高機能な製品であることが伝わってくる。
GP-2000FSのセット方法で、GP-75Fと違うのは、「こぼさんパック」のフタになる部分が、掃除機の吸込口の部分をふさいでしまわないように注意が必要なことだ。吸込口に台紙の部分を挟むときに、フタの部分をちょと上にはねあげておけば良い。
また、ウチで使っている「日立 CV-VP5」という掃除機は、ちょっと古いタイプなので、「こぼさんパック」のベロの部分を止めておく突起が用意されていない。まぁ、じゃまにならないようにしておけば良いので、困るほどのことではない。
普通に掃除をしていると、GP-75FとGP-2000FSでは、ほとんど違いを感じない。しかし、紙パックにゴミが溜まってくると大きな差が出てくる。なんとなく排気が臭くなってくるGP-75Fに対し、GP-2000FSの排気は臭くないのだ。
もう一つ気づいたのは、空気清浄機の動作だ。掃除機で掃除をしていると、空気清浄機が「強」モードに切り替わることが多い。掃除機の排気に含まれる匂いかホコリに反応しているのだろう。それが、GP-2000FSを使っていると、GP-75Fを使っているときに比べて、空気清浄機が反応する回数が少なくなる。やはり排気がきれいになったのだと思う。
そして、GP-2000FSを使っていて一番うれしかったのは、ゴミがいっぱいになって紙パックを捨てるときだ。紙パックを捨てるときに、掃除機のフタを開けると、ホコリっぽさの入り交じった饐えた(すえた)ニオイがするものだが、それがないのだ。また、紙パックに封ができるので、ホコリが立ったり、ゴミが逆流せず、手を汚さずに捨てられる。
1枚数百円でできるアップグレード
正直な話、実際に手にするまでは、1枚700円もする紙パックはイロモノに見えていた。ウチの掃除機は8,000円ちょっとの低価格品なのに、それに2,100円もする紙パックを使うのはバランスが悪いとも感じていた。
しかし、実際に使ってみると、排気が匂わないことや、紙パックの捨てやすさなど、値段だけのことはあると感じる。ニオイが少なくなったことで、ウチの掃除機が、ちょっぴり上質になり親しみやすくなった。
定量的に計測したわけではないが、空気清浄機の反応を見ていると、ある程度は排気がきれいになっていることは間違いない。自宅に乳児や幼児がいる家庭、アレルギーのある人がいる家庭では、積極的に導入を検討してほしい。
この紙パックは、日立製の掃除機でしか使えないが、パナソニック、東芝、三菱電機なども、脱臭機能や、吸込口のフタなどの技術を取り入れた高機能な紙パックを用意している。高い製品でも、1枚数百円でできるアップグレード手段なので、紙パック式掃除機のユーザーの方は、ぜひ一度確認されることをお勧めしたい。