やじうまミニレビュー

ELPA「緊急地震・津波警報対応 AM/FMラジオ ER-EQ30P」

〜安定した動作で受信感度も高い緊急警報受信機

やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです

地震に備える手段

ELPA「ER-EQ30P」

 東日本大震災から、今日で2年経つ。被災された方々には、改めてお見舞い申し上げます。

 私の周囲では、直接的な被災はほとんどなかったが、会社からの帰宅困難で苦労した部下や、自宅が一部被災した知人がいた。

 そして、余震が続く中、頻繁に鳴り響いていたのが、緊急地震速報を告げる独特のチャイム音だった。ひどいときは1日に十数回は聞いていたと思う。

 今回紹介するELPA「緊急地震・津波警報対応 AM/FMラジオ ER-EQ30P」は、この緊急地震速報と、緊急警報放送を知らせる警報機だ。一般的なラジオとしての機能を持っている点が特徴となっている。

メーカー名 ELPA(朝日電器)
製品名 緊急地震・津波警報対応 AM/FMラジオ ER-EQ30P
販売価格 8,060円
購入場所 ヨドバシ.com
購入価格 7,980円

緊急地震速報と緊急警報速報

緊急地震速報(EEW)と緊急警報放送(EWS)の解説。自動で緊急放送に切り替わるのが、今回の製品の利点だ

 本体の説明の前に、緊急地震速報と緊急警報速報について、おさらいしておこう。よくわかっているという方は飛ばしていただきたい。

 緊急地震速報(EEW)は、気象庁が中心となって2007年に正式運用を開始したシステムだ。すごく簡単に言うと、地震が発生した直後のP波(縦波)を受け、S波(横波)の到着前に警報するものだ。P波の方が速いため、遅いS波が到着するまでに、うまくすると数秒程度の余裕がある。その時間を、振動に対する備えにあてることができる。TV/ラジオに限らず、携帯電話でも受信するサービスが普及している。

 緊急警報放送(EWS)は、津波や大規模地震の警報などが発令された場合に行なわれるものだ。緊急地震速報よりも、ずっと以前からある。こちらは、東海地震の警戒宣言が発令された場合や、津波警報が発令された場合に放送される。NHKを始めとするTVとラジオが対象だ。

 残念なことだが、緊急地震速報や緊急警報放送の情報は万能ではない。東日本大震災の直後は、緊急地震速報があっても、ほとんど揺れが感じられず肩すかしをくらうようなこともあった。ただし、震災について現状で手に入る警報としては、ほぼ唯一の手段であることも間違いはない。

 また、携帯電話やパソコンで緊急地震速報の情報が入手できる現在でも、バッテリーの寿命や電源のON/OFFに左右されず、常に緊急警報を監視し続けてくれる専用機の存在意義は十分にある。

基本はACアダプターで使う

 ER-EQ30Pの本体は白の樹脂製で、一般的なポータブルラジオよりも一回り大きい。本体サイズは160×100×38mm(幅×奥行き×高さ)だ。重量は212gで、乾電池を入れた状態でも303gと軽い。

本体は片手で持てるぐらい小さい
30cm定規との大きさ比較
本体全景
右側面。左から、イヤフォン端子、ACアダプター端子、ボリュームダイヤル
背面。FM用外部アンテナ端子とロッドアンテナ
左側面は何もない
本体手前もなくもなくすっきりしている
本体上面。シンセサイザーチューナーを使ったラジオとしては基本的な操作体系。監視状態のLEDが点灯している
本体底面。単三電池ボックスのフタには電池を入れる方向が図で示されている。左右に壁掛け用の穴が用意されている
受信周波数帯の表示。FMは国内用になっている
単三乾電池4本を入れた状態で303gだった
本体の右上にLEDが用意されている。緊急時に点滅するほか、「ランプ」ボタンで点灯する

 この製品を使う前に、まず初期設定が必要だ。EEWとEWSは、初期設定ではNHKのFM放送を経由して受信している。したがって、設置時に、設置する地域の地域コードを、2桁の数字で設定する必要があるのだ。

 この地域コードは、取扱説明書に記載されているが、本体単体でも分かるようにしてほしい。一番良いのは県名で表示してくれることだが、地域コード表をシール化して本体裏面に貼るという手もある。

 東京都のコードである“16”を入力し、続いてEWSの受信範囲設定を行なう。設定は3通りで、[ALL]が全国、[LOCAL]がその地域だけ、[OFF]がEWSを伝えない。デフォルトはALLになっている。

初期設定で地域コードを設定する
取扱説明書に書かれている、プリセットされる放送局の一覧。ここでは東京都周辺の部分を示している
EWSの受信範囲を設定する。ここでは[ALL]にした

 以上の設定が終了すると、「監視」と書かれたランプが点灯し、警報監視状態に入る。FM放送波の受信がうまくいかない場合は、監視ランプが点滅し、さらに感度が低い場合は消灯する。

 この監視状態では、FM放送を受信し続けており、EEWとEWSを受信すると、電源が自動的に入り、ほぼ最大音量でスピーカーから放送を伝える。また、本体のLEDライトが点滅する。

 毎月1回、放送が行なわれるEWSの試験放送を受信した様子を動画に撮ったので、見て欲しい。撮影中に本体が動いてしまっているが、これは固定が甘かったからだ。試験放送が月に一度しかなく、撮り直しができなかったのでお許しいただきたい。

 なお、緊急放送を受信した状態では、音量の調整は受け付けてくれず、最大音量になる。警報を伝えたいのはわかるが、かなり大きな音なので調整はさせて欲しいと感じた。ある一定の音量以下にならないようにして、それ以上の範囲で音量調整ができると良いだろう。

【音量注意】EWS試験放送を受信したときの動作。最大音量で音声が出る

 また、この警報状態を解除するためには、「設定」ボタンを2秒間押すのだが、慌てていて押せなかった。これを押すと、解除されるということが、もう少し分かりやすく表示してほしい。一番良いのは、「警報解除」というボタンが独立してあると良いだろう。

 警報監視状態では、ラジオのチューナーはずっと働いており、電力を消費している。この製品は単三電池4本でも使用できるのだが、スピーカーを使ってラジオを聞くときはアルカリ乾電池で約17時間しか持たない。単三を4本使うラジオとしては、かなり短めだ。

 また、ラジオをオフにした状態でも、警報監視状態は続いているので、電池を消耗し続ける。警報監視状態では、同じくアルカリで約40時間しか持たない。したがって、取扱説明書にも「乾電池は停電など非常時の予備電源です。通常はACアダプターを接続してご使用ください」とある。いざ、警報が入ったときに、電池切れでは困ってしまうからだ。

付属のACアダプターはちょっと大きめだ
ACアダプターは5.5V/600mA
本体側面にACアダプターを接続する
予備電源は、本体底面からアルカリ乾電池4本を入れる

ラジオの感度と音は良い

 ER-EQ30Pは、一般的なラジオとしても動作する。AM/FMの2バンド対応だ。チューナーはデジタル式で、初期設定で地域コードを設定したときに、一緒にその地域で聞ける主な放送局がプリセットされる。また、「お気に入り選局ボタン」が5つ用意されており、よく聞く放送局を登録しておくことができる。

この製品の外箱は警報機能付きラジオとして機能を訴えている
背面に主な機能が書かれている。別途、取扱説明書も付属する
箱の側面に、特徴がわかりやすくまとめられている

 NHK FM以外の他の局を聞いていても、緊急放送時は警報を受信する。チューナーを2個搭載していて、1つは緊急放送専用で監視を続けているのだ。

ラジオ受信中の画面

 最初はラジオ機能はおまけと思っていたのだが、受信感度や音質が思いの外良いのでびっくりした。都内の鉄筋コンクリート製ビルの中でも、Inter FM/TOKYO FM/J-WAVE/NHK FMを問題なく聞き取れる。夜になると、状況にもよるがNACK5やFMヨコハマも入る。

 また、本体が大きいせいか、スピーカーからの音も聴きやすい。スピーカーはモノラルだし、音楽を聞くというよりは、アナウンスが聞き取りやすいというレベルの話ではあるが、想像していたよりはずっと良かった。家庭内で、家事のBGMとして聞く分には不満はないと思う。

 なお、ラジオの操作はほとんどプッシュボタンだが、ボリュームだけはダイヤルでアナログ式になっている。どうせならボタン操作に統一してほしかった。

受信感度が高く、誤作動も少ない

 このタイプの、FM放送波を使った緊急警報装置は、レビューを掲載しなかった分も含めて数機種試してきた。各製品ごとに特徴があるが、自分なりに重視している点が2つある。

1)情報が来るラインであるFM放送の受信能力が高い
2)FM放送からEEW/EWSを間違いなく分離し、警報を鳴らす

 (1)については、もともとのラジオとしての受信感度が低い製品がある。特に都内の場合、オフィスや住居がともにビル内ということも多いので、屋外よりもずっと条件が悪いのだ。

ロッドアンテナは伸ばすとかなり長い

 この製品の場合は、ラジオを聞いていても受信感度が良いことがわかる。また、アンテナも長めで、ちょっと受信感度が低い場合でも、アンテナを伸ばすとカバーできることが多かった。

 外部アンテナ端子もあるのだが、入力端子がミニプラグなので、たとえばTV用のアンテナ端子から変換するのに専用のケーブルが必要となる。このあたりは、もう一工夫してほしい。

 (2)については、とくにEWSを誤って認識する製品がある。これが長期間使わないとわからないのが辛いのだが、1カ月に1〜2回という頻度でも、急に大きな音がするので、すごくびっくりする。

 このER-EQ30Pでは、約1カ月監視状態を続けてみたが、1度も誤動作がなかった。また、毎月1度行なわれている、緊急警報放送の試験放送もきちんと動作した。いずれも、当たり前のことではあるが、最低限の基本機能は確保されていると感じている。

定評あるユニデンに次ぐ警報機

ユニデンの「地震津波警報機 EWR200」。2010年に発売された製品だが、その実力は高い

 私が試している範囲では、いま市場にあるFM放送波を使った地震/津波警報機の中では、ユニデンの「地震津波警報機 EWR200」が優れている。このジャンルの元祖とも言える製品だが、その実力は高い。私は自宅にも設置しているが、受信感度に優れるだけでなく、連続動作させても誤動作を起こしたことがない。また、あえて警報専用機にしているという点で、操作がわかりやすいのも良い点だ。

 今回試用したELPA「ER-EQ30P」は、受信感度や安定性で、同種のライバルより優れており、ユニデンに次ぐ製品だと感じた。

 使い勝手の点では、警報受信時の音量調整や、警報からの解除などユニデンの方が優れている部分が多い。しかし、ELPAも使っている際の印象は悪くない。まじめに作られている製品という印象はある。

 また、一般的なラジオとしても使用できるという点で、ELPAの方が便利であることは間違いない。外出などの際に持ち歩けるのも大きなメリットだ。たとえば、海辺に遊びに行く時に、万一の津波に備えて持って行くことが可能だ。防水でないのが惜しいが、海釣りをされる方などには最適だろう。

 常に警報を監視しているため、通常のラジオに比べると電池の消耗が大きいのは不利だが、警報を知らせてくれることに比べれば、我慢出来る範囲だろう。また、電源は単三電池なので、入手に困ることはないだろう。

 震災に備えて、緊急警報受信機が欲しいという方、特に、まだ防災用ラジオを備えていないという方にお勧めできる製品だ。

(伊達 浩二)