やじうまミニレビュー
アイリスオーヤマ「家具転倒防止伸縮棒3S 2本セット KTB-12」
■不安はあるけどお金は限られている
アイリスオーヤマ「家具転倒防止伸縮棒3S 2本セット KTB-12」 |
防災関係の本を読むと、「夜、眠っているときは危険だから、寝室に家具を置かないように」と書いてある。また、「どうしても家具を置く場合は、倒れないように転倒防止器具を使うように」とも書かれている。
これは、早朝に起きた阪神・淡路大震災で、睡眠中に家屋や家具の倒壊で亡くなった方が多かったことの教訓だ。
たしかに、そのとおりであり、できるだけそうしたいとは思うのだが、家具の転倒防止器具というのは、なかなかいい値段がする。
たとえば、8月に紹介した「ふんばりくんZ」という製品は、家具と天井の間が極端に狭い場所でも使える特殊な製品ということもあって、1本が3,980円した。取扱説明書には、2本セットで使用するように書かれているので、家具1台につき、約8,000円かかる。我家は、家具が少ないほうだが、それでも転倒防止器具が必要な家具が3つあり、2万円以上の出費となる。
もちろん、命には買えられないし、万が一のための安心料とおもえば納得出来ない金額ではない。しかし、転倒防止器具は、イザという時以外は何のメリットももたらさない。であれば、もう少しなんとか安く上がらないかと思ってしまう。
というわけで、できるだけ安く、しかも手に入れやすい転倒防止器具を探したところ、アイリスオーヤマの「家具転倒防止伸縮棒」という製品を見つけた。家具と天井の間隔に応じて6種類の製品が用意されている。
一番短い機種は、家具と天井の間隔が約13cm~23cmの範囲で使える「KTB-12」という製品で、価格は2本セットで1,216円だ。1本当たりだと608円なので、かなり廉価な設定だ。なお、価格は長いものほど高くなる。
今回は、会員だと送料が無料だったので、アイリスオーヤマの直販サイトで購入した。楽天市場やAmazonのマーケットプレイスでも販売されている。
メーカー | アイリスオーヤマ |
製品名 | 家具転倒防止伸縮棒3S 2本セット KTB-12 |
購入場所 | アイリスプラザ(直販サイト) |
購入価格 | 1,216円 |
■小さくて軽い箱に驚く
到着したパッケージは、想像していたよりも小さな紙箱だった。とても転倒防止器具が入っているとは思えないほどの小ささだ。重さも軽い。
パッケージは簡素な紙箱で小さく軽い | 取扱説明書は箱の裏面に書かれている |
箱を開けてみると、ぎっしりと部品が詰まっている。入っている部品は、台座下部、アジャスター(伸縮するパイプ)、台座上部、アタッチメント(短)、アタッチメント(長)の5種類で、それぞれ2組ずつ入っている。
今回試したのは、一番小さい「SSS」サイズで、12.9cm~23cmの間隔に対応する | 梱包されているパーツのリスト | ぎっしりと部品が詰まっている |
手前左から時計回りに、台座上部、台座下部、アタッチメント(短)、アタッチメント(長)、アジャスター(伸縮するパイプ) | 台座とアジャスターは、溝が噛み合うようになっている | 台座の裏側は柔らかい発泡ポリエチレンが貼られている |
部品はABS樹脂製で、とても軽い。これでタンスや本棚の重さを支えきれるのか、ちょっと不安になるぐらいだ。台座の平らな面には、柔らかい発泡ポリエチレンが貼られていて、家具や天井を傷めないようになっている。
アジャスターは、上の方を回すと伸縮する。家具と天井との間隔が12.9~16.4cmのときは、2つの台座とアジャスターを組み合わせて使う。
間隔が16.4~19.9cmのときは、アジャスターと上の台座の間に、短い方のアタッチメントを入れる。19.9~23.0cmのときは、同じく長い方のアタッチメントを入れる。アタッチメントは、長短のどちらか一方しか使えず、長短を組み合わせて使うことはできない。
取り付け場所に合わせた部品の組み合わせ方 | 基本は台座とアジャスターだけの組み合わせだが、手前のアタッチメントで高さを調節する | アタッチメント(短)を入れると少し高くなる |
アタッチメント(長)を入れた状態 | アジャスターはネジが刻まれていて、回すと伸縮する | 手前が一番低い状態、奥が一番高い状態 |
前から見ると、どうやって伸ばしているかよく分かる | 台座には、アジャスターを回しすぎないように注意が書かれている | アジャスターを回し過ぎると赤い線が出る |
■取り付け位置は家具の奥側が鉄則
だいたい構造がわかったので、実際の家具に取り付けてみた。今回試した家具は本棚で、天井との間隔が約19.4cmという環境だ。
一般的な部屋では天井の高さは2m20cm~2m50cmぐらいあり、家具との間隔も40cm以上あることが多い。しかしマンションの場合、部屋の隅のほうは天井が低くなっている場合が多く、意外に家具との間隔が小さいのだ。
今回固定する書棚。上にエアコンがあるため、天井が低い | 天井と書棚の間隔は19.4cmぐらい | 取扱説明書の取り付け位置の注意 |
まず、天井と家具の天板を叩いて、芯材が入っている部分を確認する。天井と家具の両方で、力がかかってもいい場所を選んで転倒防止器具を置く。置く場所は、家具の奥だ。また、左右も、できるだけ家具の端に置くようにする。
指示に従い、家具の端で奥の方に固定する | 家具の天板が弱いので、端の固い部分に合わせた | アジャスターのネジが伸びているのがわかる。アタッチメントは(短)を使っている |
アジャスターの調整をしていると、上の台座も回ってしまい、作業がやりにくい。家具の天板に置く前に、だいたい寸法を合わせておいて、置いてからは、ちょっとだけ回して調整するようにすると手間がかからない。
固定したら、ちょっと離れたところから見て、上下の台座が、両方とも正面を向いていることを確認する。上下の台座が水平になっていないと、家具を支えきれないからだ。
もう1本も同じように設置したら、2つの転倒防止器具が平行になっていることを確認して終わりだ。
左側も取り付けた状態。家具の左端にあたる天井が弱く、芯材が通っている、ちょっと右寄りの部分に固定した | 左右とも家具の奥に取り付けている |
正直な話、力がかかる支柱の部分が軽いABS樹脂なので、しっかりと固定できているのか不安を感じる。しかし、本棚に手をかけて揺れしてみたところ、しっかりと固定されているようで、前面のガラス戸もほとんど揺れない。ちゃんと役目は果たしているようだ。
■できる備えは、やっておく
こういう突っ張り棒タイプの転倒防止器具を購入する際に注意してほしいことが2点ある。
1つは、家具と天井の間隔に、ちゃんと合致した製品を購入すること。定規や巻尺で、きちんと間隔を測ってから購入しよう。
もう1つは、家具と天井の強度を確認すること。手で叩いてみるとわかるが、家具の天板も天井も、芯材が通っていて強度のある部分と、支えにならない部分がある。家具と天井の両方の強度が確保できなければ、突っ張り棒タイプの転倒防止器具は効果が発揮できない。強度が確保できない場合は、家具の床に敷くタイプの転倒防止器具を検討した方が良い。
アイリスオーヤマの家具転倒防止伸縮棒は、製品自体は特に変わったところもない、ごく普通の転倒防止器具だ。いや、正直に言えば、普通の製品よりも、値段の分だけ安っぽさがある。ただし、これだけ安ければ、いつくるかわからない地震でも、ちょっと備えておこうかという気持ちになる。
なお、アイリスオーヤマの直販サイトでは、1本あたりの単価がさらに安い4本セットや10本セットも販売されているので、同じ製品でカバーできるのであれば、まとめ買いを検討しても良いだろう。
東京直下型地震や南海トラフでの連動地震など、地震の情報は絶えない。いつ来るかわからない地震について、心配し続けていると不安が募るだけで疲れてしまう。できることから順番に備えをしておいて、「やるべきことはすべてやったので、いつ来ても良い」と開き直って、いったん忘れてしまうほうが良いのかなぁとも思う。
今回のような安い防災用品でも備えることができれば、何もしないよりはずっと良いことは間違い無いだろう。
2012年 11月 2日 00:00
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