やじうまミニレビュー
マクロス「コンパクトソニッククリーナー」
マクロス「コンパクトソニッククリーナー」 |
■格安の“音波洗浄器“を発見
メガネ屋さんでフレームの調整を頼むと、ついでに超音波洗浄機で洗ってくれることがある。レンズを支える前枠や鼻パッドの周辺など、手洗いでは行き届かない細かいところまできれいになって気持ちが良い。
超音波洗浄器とは、洗浄する物体を水に浸し、水を超音波帯域で振動させることで、その物体を洗浄する機械だ。水中にある気体の分子がはじけ、その際の衝撃波で、よごれが剥がれ落ちるそうだ。半導体などの工業用途で使われることが多いが、家庭用の製品もある。超音波帯は一般には20kHz以上(1秒間に2万回以上)の震動を指す。高い周波数の波をぶつけることで、高い洗浄力が得られるそうだ。
自宅にも超音波洗浄器があると良いなぁと思ってはいたが、家庭用の簡易なものとはいえ少なくとも5,000円前後はする。使用頻度を考えると、やや高いような気がして手が出ないでいた。
ところが、先日Amazonで、1,000円(送料別)という“音波洗浄器”を見つけた。マクロスの「コンパクトソニッククリーナー」という製品だ。1,000円という価格なら、使えればラッキーで、外してもあきらめがつくと思ったのだ。
マクロスというメーカーは知らなかったのだが、Webサイトを調べると、ディスカウントショップなどで見かけるアイデア家電を中心に扱っている会社のようだ。
メーカー | マクロス |
製品名 | コンパクトソニッククリーナー |
希望小売価格 | 不明 |
購入場所 | amazon.co.jp |
購入価格 | 1,525円 |
■単三乾電池4本で動作
外箱。メガネ、時計、アクセサリーなどの洗浄を用途としている | 箱の裏側に主な仕様が書かれている。ただし、「振動数:6,500回」というのは謎な記述だ |
到着した商品の外箱は、意外にまともで、きれいに商品説明が印刷されている。取り扱い説明書はA4用紙1枚で、記述は必要最小限だ。もう少しわかりやすくまとめてほしいと思った。ここで、気が付いたのだが、この製品は「音波洗浄機」であって、「超音波洗浄機」ではない。箱に“振動数:6,500回”と書かれているのは6,500回/秒の間違いだろうから、6,5kHzに相当する。先に述べたように超音波帯は一般に20kHz以上を指すので、そこまで届いていないのだ。このあたりが洗浄力にどれぐらい影響するのかも楽しみになった。
本体は、想像していたよりも小さい。本体サイズは190×125×110mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは480gしかない。形が丸いので片手で持つことは難しいが、使わないときでも、棚に入れやすい大きさだ。
本体は白と青の清潔感のあるデザイン | 本体正面。操作部分はこのスイッチだけ |
本体上部。中に入っているのは付属のブラシ | 差し渡しで20cmもない大きさだ | 本体背面。すっきりと何もない |
本体側面。ここにも何もない。反対側も同じ | 本体底面。樹脂製の脚が4つある。乾電池はここから入れる | 乾電池は単三形4本。2本ずつ2段に入れる |
タンクの構造。中のかごは外れるが、タンク自体は本体から外れない | かごがあることで、洗う物とタンクが直に触れ合って傷つくことが防げる |
本体は樹脂製で、白い本体に透明な青の部品が組み合わされており、清潔感がある。ありふれた印象だが、置き場所を選ばないデザインだ。
電源は単三乾電池を4本使用する。一般的に超音波洗浄器は、AC電源で動作するものが多く、乾電池駆動は珍しい。このあたりも“音波洗浄機”になっている理由なのかもしれない。
乾電池の種類はアルカリ乾電池が指定されている。同梱されていないので別に準備が必要だ。保証範囲外だが、手元の製品ではエネループでも動作した。乾電池ボックスは2本ずつ2段に並べるタイプで深い。付属の赤いリボンを電池にくぐらせておかないと、取り出すときに苦労する。また、電池を入れる方向が、全部同じではないので、注意が必要だ。
乾電池以外に用意するのは、水だけだ。水タンクの容量は500ccで、300cc以上の水を入れるように指定されている。
操作部分は電源スイッチだけで、オンとオフしかない。超音波洗浄器では標準装備されているタイマーはなく、洗浄時間を自分で計って電源を切る必要がある。
実際に使ってみると、まずその振動の大きさに驚く。水を入れない状態で電源を入れると、本体が動いてしまうくらい振動が大きい。水を入れた状態では本体が動くようなことはないが、それなりの動作音がするので、同じ部屋にいれば、動いているのを忘れるようなことはないと思う。
うっかり水を入れ忘れると、本体が動いてしまうほど振動がある |
■洗えるものと洗えないもの
この洗浄器では、洗えるものと洗えないものがある。外箱の記述や取扱説明書の注意事項を箇条書きにまとめてみよう。
●洗えるもの
・メガネ(べっ甲フチを除く)
・腕時計のベルト部分
・入れ歯
・アクセサリー
●洗えないもの
・防水でないもの
・高価な貴金属や時計
・腕時計のムーブメント部分
・表面が柔らかい宝石類(べっ甲、真珠、エメラルドなど)
・腕時計本体
・メッキ加工のもの
・接着/接合されたもの
・木/ガラス/陶磁器/コンタクトレンズ/偏光サングラス/カメラ用フィルタ
また、種類が違うものは一緒に洗ってはいけない。チェーン類は重ならないように広げるという注意もある。お互いにこすれ合って傷が付いてしまうからだろう。
自分なりにまとめると、「余り高価なものは避け、1つずつ洗う」というところだ。
■メガネはお勧め。アクセサリーはいまいち
メガネはレンズが傷つかないように上向きに入れる |
とりあえずメガネから始めて、妻のアクセサリーや、硬貨などを洗ってみた。取扱説明書によれば、洗浄時間は5~6分とされているので、一応、5分を目安にしてみた。
メガネはレンズが本体と触れないように、フレームをたたんだ状態で上向きに入れる。タンクが深いので、大柄なフレームでも水面から出ることはなかった。電源スイッチを入れると、水面に振動の波紋が浮かぶ。
洗浄の様子。水面がわかりやすいようにフタを外している |
洗っているときの動作音が何かに似ているとおもったのだが、乾電池式の電動歯ブラシに似ているのだった。充電池を使う高級な電動歯ブラシが「ミー」または「ヴィー」という高い周波数の音なのに対し、乾電池式の廉価な電動歯ブラシは「ヴー」というやや低い周波数の音がする。あれと同じで、高い回転数のモーターや振動子を使うのではなく、低い回転数のモーターで重りを動かして振動を作り出しているだと思う。振動は大きめで、小型のテーブルの上で洗浄作業をしていると、テーブル全体が共振することがあるほどだ。やはり、音波洗浄機だけに振動の周波数が低いのだと思う。
洗ったあとで掛けてみると、レンズもきれいになり照明が明るくなったような印象だ。フレームも細かい汚れが落ちて清潔な感触になる。家人にも好評で、家中のメガネを洗ってしまった。
ただし、古いメガネだと、耳にあたるツルの部分の樹脂が白くなってしまった。もともと少し白かったのだが、洗浄後ははっきりと白い部分が増している。樹脂の部分が、髪の毛などとこすれて傷がついていると白くなりやすいようだ。実用で使う分には問題ないが、ファッション性のあるものは避けた方が良い。
水を入れて洗う物を入れる。鎖はお互いが触れ合わないように広げる | フタをしてスイッチを入れる | 洗浄が始まると水面が波立つ |
大きな音と振動がするので、猫の鉄蔵がチェックに来る | アクセサリーの洗浄例。ホコリは取れるのだが、サビや汚れは落ちない |
あるアクセサリーの洗浄前の状態 | 洗浄後。きれいにはなった感覚は明確にあるのだが写真ではよくわからない |
洗浄前の一部分の拡大図 | 洗浄後の拡大図。汚れ落ちには限界がある |
アクセサリーもきれいになるのだが、ピカピカになるという感じではない。なんというか、薄皮が1枚めくれたような感じで、きれいになる。とくにシルバー系のものだと、洗う前と後で違いがはっきりわかる。ただし、はっきりした汚れでも落ちない場合がある。そういう汚れは、洗剤とブラシでこすった方が有効だ。
洗浄力を見るために、わざと汚い硬貨を選んで洗ってみた。やはり、500円、100円、50円、1円などはきれいになるが、10円と5円は洗う前後の差がわかりにくい。
洗浄前の硬貨 | 洗浄後の硬貨。500/50/1円はきれいになる。10/5円はほとんど変わらない |
予想外に良かったのが部分入れ歯だ。部分入れ歯にある隣の歯に固定するためのツメの部分は、ブラシが届きにくくて曇りが出やすいのだが、そこがきれいになる。洗剤を使っていないため、ポリデントなどの洗浄剤を使ったあとの清涼感はないが、逆に無味無臭に近く、口の中に戻したときに意識しなくて良い。
調子に乗って、歯ブラシを洗ってみたが、これも有効だった。歯ブラシの先頭にある。毛を植えた部分は歯磨き粉が残りやすいのだが、これで洗うと、さっぱりときれいになる。この製品はタンクが大きめなので、こういう大きなものも洗いやすい。音波洗浄器ということをあまり意識せず、こういう雑貨をざくざく洗う方が、この製品には向いているようだ。
部分入れ歯を洗う。タンクが大きめなので総入れ歯でも大丈夫そうだ | 歯ブラシを洗う。さすがに全部は入らないがブラシ部分は十分に浸かる | 洗浄後の歯ブラシ。ブラシの根本の汚れが落ちてすっきりする |
■メガネ洗浄器として最低限の機能は備えている
正直、本体価格が1,000円と安価なので、ちゃんと動くか心配だったのだが、基本的な機能は備えているといった印象だ。メガネを洗浄する用途ならば、この製品は十分に使える。
ただし、腕時計については、ムーブメント部分を水に浸さないで洗うことが難しいのでお勧めしにくい。ちゃんとした超音波洗浄器では腕時計専用の部品が用意されていて、バンド部分だけを洗えるようになっているので、そちらを検討した方が良い。
アクセサリーも洗えるし、実際にきれいになったという印象はあるのだが、落ちない汚れもあるので満足感が得られない場合が多い。とりあえず1回これで洗って、落ちない汚れは洗剤とブラシなどで磨くということになりそうだ。
使っていて感じる最大の欠点は、タイマー機能がないことだ。5分固定でも良いから、自動的に電源が切れてほしい。気がつくと10分以上経っていることがあった。また、動作音と振動はやはり気になる。価格的が価格なのでぜいたくは言えないが、もう少し静かだとうれしい。
高級な超音波洗浄器を使ったときの、見る見る汚れが浮いてくるような強力な洗浄力は、この製品にはない。あくまでも日用品の日常的なお手入れの道具と考えた方が良い。そう割り切れば、本体が小さく乾電池で動くので、使うときだけ棚から出して、すぐに使えるという利点が生きるだろう。ともかく手軽なのが、この製品の最大の魅力だ。
2011年 2月 22日 00:00
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