アーネスト「ツリータワー」

　凝った料理をしようと思えば思うほど増えていくのが調味料だ。もともと料理が好きなのもあって、ちょっと変わった調味料があるとすぐに手が伸びてしまう。

　シンク下のスペースは調味料がぎっしり詰まっているが、意外と置き場所に困るのがスパイス類だ。湿気に弱いのでシンク下には置けないし、戸棚の上などに置くと使いたい時に手元になくて不便。賞味期限があるものなので、せっかく買ったならいつでも使える場所に置いておきたい。

　そこで、購入したのが今回紹介するアーネストの「ツリータワー」だ。製品名だけだとどんな製品かわかりにくいが、要はスパイスケースだ。3つのスパイスケースがセットになっていて、それを重ねて収納できるというもの。それぞれのケースの底には磁石が内蔵されているため、しっかり重ねて収納できる。ケース1つ当たりの容量は約75ml。

　3つ重ねて収納した時の高さは約24cm、キッチンにあるとちょっと目立つ。まず心配したのは「倒れないかな」ということだったが、内蔵されている磁石が強力でしっかりくっついている。

3つのスパイスケースがセットになっている	ケースを重ねた状態。磁石が内蔵されているので安定している

　当初は収納性だけに注目して買ったのだが、使い始めてみるとスパイス収納に便利な機能が色々付いた、よく考えられた製品だった。

　まずは、3つのケースの「穴」の大きさがすべて違っているというところ。料理をする人ならおわかりだろうが、一口にスパイスといっても色々な種類や大きさがある。たとえば胡椒1つとっても、細かい粒状になっているホワイトペッパーから、粗挽きのブラックペッパー、料理によっては実の状態で使うこともある。サイズの合っていないスパイスケースを使うと、出が悪かったり、一気に出すぎてしまうことがあるが、ツリータワーでは3つのケースの穴がそれぞれ、2/4/6mmになっていて中に入れるスパイスの大きさに合わせて容器が選べるように配慮されているのだ。

3つのケースの穴は全て違っている。右から2mm、4mm、6mm	スパイスの種類は様々だが、それぞれサイズが違う

左からブラックペッパー(パウダー)、パセリ、バジル	それぞれケースに入れたところ。左からパセリ、バジル、ブラックペッパー

　次に、蓋が付いていて、密閉性が高いところだ。といっても、独立した蓋は1つだけ、後はケースを重ねることで蓋の役割を果たしている。最初は、その仕組みに少々不安を感じたが、これが意外と使い勝手が良い。シリコンパッキンと磁力で、きっちりと密閉される。

　更に、ケースの中には乾燥剤を収納するスペースが設けられている。ケースの中央部分には筒状のスペースが用意されていて、そこに付属の乾燥剤「シリカゲル」を設置するようになっているのだ。スパイスは水や湿気に弱く、置き場所に困っていたが、蓋付きで、乾燥剤まで用意されているとあれば、コンロ周りなどにも安心して置いておくことができる。

ケースを重ねたところ。一番上のケースだけ専用の蓋が付いているが、下の2つのケースはそれぞれのケースの底面が蓋の役割を果たしている。パッキンがしっかり入っているので密閉性は高い	ケースの中には筒状のケースが設置されている	筒状のケースは簡単に取り外しできる

本体には乾燥剤のシリカゲルが付属する	筒状のケースの中にシリカゲルを折り曲げて設置する

場所を取らず、密閉性も高いので調理の時に便利なコンロ脇などに置ける

　使い始めてから改めて気付いたのは、スパイスをまとめて収納するというのは便利だなということ。ツリータワーはケースを重ねて収納するので、1つを取りだそうとすると自然に3つすべてを取り出すことになる。料理本などによく「塩・こしょうを少々」などとあるように、複数の調味料をセットにして使うことは少なくない。その組み合わせを把握してセットで収納しておくと取り出す手間が省けるのだ。

　この点を活用して、カレーセット、スパゲッティセットのように、料理やテイストごとにスパイスをセットにして収納するというのも便利そうだ。

　もう1つ、今あるスパイスを把握できるという利点もある。スパイスをたくさん揃えても使いきれない、賞味期限が切れて捨ててしまったという話は珍しくないが、セットになっていることで、目的のスパイス以外にも自然と目が行くので、普段なかなか使わないスパイスも積極的に使おうと意識できるのだ。

　カラフルな見た目はもちろん、実用性もしっかり兼ね備えた製品。スパイスケースは意外と種類が少なく、これまでなかなか気に入ったものに出会えなかったがツリータワーは自信を持ってお勧めできる製品だ。