ももや「ムッキーちゃん」

　近頃急に暑くなったせいか、さっぱりしたものが食べたくなってきた。なので、スーパーに行くとついつい夏みかんや八朔に手がいってしまう。

　しかし、柑橘類にありがちな、“憎たらしいくらいに分厚い外皮”と、“そのままでは飲みこめない薄皮”をむくという作業が面倒臭い。特に、爪を伸ばしている女性なら余計にそう思うだろう。そこで見つけたのが「ムッキーちゃん」という名の皮むき器だ

　なんともわかりやすいネーミングだが、これは柑橘類の皮をむくための製品。ナイフいらずでみかんの皮をむけるというシロモノだ。

　本体は手の平に収まるコンパクトなサイズで、外皮をむくためのツメが付いた白い上蓋と、果実の薄皮カット用の刃が備えられた、オレンジ色の底部に分かれる。一見すると「本当にこんなものでミカンの厚い皮がむけるのか？」と疑問に思う人も多いだろう。筆者も使用前は半信半疑だった。

上蓋のツメ部分は、外皮をカットするためのもの。プラスチック製	底部分にはさりげなく、薄皮カット用のカッターが隠れている

　使用法は、まず白い上蓋のツメを、みかんの“おしり”の部分に直角に当て、みかんを下から上に回していく。すると、外皮に切れ目が入る。ナイフとは違ってスパッと切れるわけではないが、内側の果肉に傷を付けずに切り込みが入れられる。無理に力まなくてもスルスルと皮に切れ目が入る。結果、切れ目が入った外皮を、簡単に手でむくことができた。

みかんの“お尻”の部分にツメをさす。ほとんど力はいらない	ムッキーちゃんを動かすのではなく、みかんを回していくのが皮むきのポイント

　外皮をむいた果実を房に分けたら、ここでもまたムッキーちゃんの出番。今度はカッターのついたオレンジ色の底部分を手に取り、ひっかけ部分のついたほうから刃に向けて、房を横に滑らせていく。すると、薄皮にスッと美しい切れ目が入るのだ。あとは薄皮をはがすだけ。

　何も道具を使わず、手でこの作業をするとなると、どうしてもぐちゃぐちゃになってしまうのだが、これだとツルンと果肉が取れる。しかも手も汚れにくい。簡単なので、テレビを見ながらでも使えてしまう。

　ムッキーちゃんを使えば、子どもに食べさせるときや、来客に出すときなどでも、お店で食べるときのようにキレイな状態で出すことができるだろう。薄皮まで完全に向くのが面倒なら、切り目だけ入れてお皿に並べておけばいい。ジャムやゼリー、ケーキ作りの際にも役立つこと間違いなしだ。

ムッキーちゃんの溝に房をセットし、スライドさせるだけで薄皮にキレイに線が入る	薄皮をむいた後のみかん。ちょっとオシャレなお皿に盛り付けると、これだけで食卓が華やかになる

　実はこのムッキーちゃん、みかん以外にも利用できるという。同社のHPを見てみると、「牛乳パックを開く」「段ボールを開く」「切り口のない袋を開く」といった、“カッター代わり”としても使えるようだ。

　この際に使用するのは、薄皮をむくときに使用した刃のついた底部分。牛乳パックでも段ボールでも、口が開いている部分から刃を入れ、下にスライドさせていく。この要領を何度か繰り返すと、ハサミやカッターと同じように、しかも指を切ることなく開くことができる。

　袋の場合は開けたい部分をつまんで角ができるようにし、そこに刃を入れて横にスライドする。筆者も紙パックと袋で試してみたが、少々切り口は波打つものの、簡単に開けることができた。

牛乳パックをカットする場合は、口部分を開け、上方から下へとスライドさせる	少し切り口がいびつだが、あっという間に全部カットできた	お菓子の袋を開ける際は、牛乳パック同様、カッター部分をスライドさせるだけでOK。開けにくい袋のときに役立つ

　エプロンのポケットにムッキーちゃんを忍ばせておけば、みかんの皮むきだけでなく、牛乳パックや段ボールの解体、袋開けにも役立つ“一石四鳥”なアイテムなのだ。アウトドアで便利なのが万能ナイフなら、インドアではムッキーちゃんがそれに当たるのかもしれない。

　安全面については、一通り使っても手を切ったりすることはなかった。薄皮カット用の刃も、直接触れにくい構造となっている。とはいっても、刃が付いている以上はケガする可能性がゼロとは言い切れない。子供が使用する際には十分に注意したいところだ。

　柑橘系の果物を頻繁に食べる人にとって、買って損はしないアイテム。もっと簡単にみかんの皮がむければいいのに……と一度でも考えたことがあるなら、ぜひ試してほしい。