コヤマタカヒロの男の料理道具!



ツインバード「タイマー付きスロークッカー EP-D727R」

~食材投入後は放置! 立ち会いなしで煮込み料理が作れる調理器具

ツインバード「タイマー付きスロークッカー EP-D727R」

 シチューやポトフなどの煮込み料理を食べると冬だなあと感じる。我が家でも、これらの煮込み料理は大人気で、自分も妻もこぞって作るのだが、これら煮込み料理にはひとつだけ問題がある。それが煮込み中にキッチンに立ち会っていなければならないということだ。

 昨年秋に3女が誕生した関係で、妻は子供たちのことにかかりきりで、長時間キッチンに立つのが難しく、自分には仕事がある。そんなときに出会ったのが、ツインバードの「タイマー付きスロークッカー EP-D727R」だ。これなら長時間の煮込み中にキッチンで立ち会っている必要がないと飛びついた。

メーカーツインバード
製品名タイマー付きスロークッカー EP-D727R
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格6,857円

 「EP-D727R」は、外釜と、直火対応陶器なべ、そしてガラス蓋で構成されている。サイズは290×280×330mm(幅×奥行き×高さ)で、設置スペースは炊飯器程度だ。

 電源ケーブルは、電気ポットなどでも採用されているマグネットタイプ。基本的には陶器なべに食材を投入して、調理モードを選択、タイマーを回すだけで煮込み料理が作れる。

本体。昔ながらの炊飯ジャーのようなフォルム
ガスコンロに直接かけられる直火対応陶器なべ。深さはあるが幅は狭めだ
専用のガラス蓋。立てかけられるようになっているのが便利だ
本体正面に操作ボタンを配置。ダイヤルは強、弱、味しみ、保温の4モード。タイマーは最大10時間まで設定できる

まずはカレーを作ってみた!

 早速調理をしてみよう。まず最初に作ったのが、家庭料理の定番カレーだ。ジャガイモやニンジン、タマネギなどを一口大に切りそろえ、陶器なべに投入。あとから豚肉を入れる。通常のカレー作りとは異なり、肉などを事前に炒めることもなく、さらに肉と野菜を入れる順番も逆だった。

 特徴的なのが、事前にカレールーをお湯で溶いておいて最初から入れること。このことにより、数十分煮込んだあとにルーを入れて溶かすという工程が発生しないのだ。

一般的なカレー作りの食材を一口大にカットする
野菜、肉の順番で入れる。事前に炒めたりといった工程は不要だ
お湯で溶かしたカレールーを投入。この状態で煮込みがスタートする

 煮込む時間はなんと5時間。通常のカレーのレシピなら、3~40分でできることを考えると、調理時間自体は長くなる。ただし、食材をカットして鍋に投入したあとは立ち会わなくていい。

 5時間後。カレーの完成だ。途中1、2度、気になってかき混ぜたが、特に焦げ付いたりすることもなく、混ぜる必要もなかったように思う。

 完成したカレーは、市販のルーを使っている以上、味こそ想像の範囲内だが、肉や野菜類の柔らかさはまさに「煮込み」カレーのもの。ここまで柔らかく仕上げながらも焦げ付さず、そして煮崩れさせないのはスロークッカーならではだ。

 5時間付けっぱなしで使うとなると、電気代が気になるところだが、基本的にカレーやシチューなどを作るときは1時間あたりの電気代は4.4円。5時間じっくり煮込んでも22円の計算だ。スロークッカーではこのほか、1時間当たりの電気代2.9円の弱モード、1.8円の保温モードなどが用意されている。

5時間後の完成したカレー。鍋底に焦げ付きなどもなかった
驚いたのがジャガイモの状態。5時間も煮込んでいるのにほとんど崩れていない
ごはんにかけてカレーライスの完成。豚肉はホロホロになっており、ニンジンやジャガイモもほどよい食感のあと崩れていく、絶妙な柔らかさだった

野菜や肉を煮込んでみよう

 では続いて、野菜料理や魚料理にも挑戦してみた。2品目は、自宅でもレギュラーメニューとなっている筑前煮だ。作り方は基本的にカレーと同じ。一口大に切った食材を陶器鍋に投入し、この時点で味付けもしてしまう。そしてスイッチを入れるだけだ。

 筑前煮の調理時間は「強」で3時間。ただし、調理後に陶器なべを取り出して、1時間寝かせることで味がしみこむという。完成した筑前煮は、根菜類も適度に柔らかく、非常に美味しくいただけた。個人的には付属のレシピの味付けよりもう少し濃い方が好みだが、このあたりは最初の味付けで調整できるだろう。

筑前煮用に用意した食材。干し椎茸などは水で戻しておく
食材を投入する。カレーとは逆で鶏肉を下に入れ、その上に根菜類を投入する
3時間経過したところ。しっかりと煮込まれている。ここで鍋を取り出して、1時間ほど冷ます
筑前煮の完成。色は若干薄めだが、味はしっかりしみていた。レンコンやゴボウなども、歯ごたえは残りつつ柔らかく煮込めていた

魚料理を作ってみよう

 続いて魚料理を作ってみよう。作るのは鯖の味噌煮だ。3枚に下ろした鯖を用意し、鍋に投入する。今回は1匹分で4切れにカットしたのだが、陶器鍋はそれほど広くないため、重ねて入れる形となった。

 というのも、5時間煮込んでできあがった鯖の味噌煮は非常に柔らかい仕上がりだった。鯖なら一本丸ごと買って、骨ごとぶつ切りにして入れるのも良さそうだ。

3枚に下ろした鯖と味噌をあわせた煮汁を用意
鯖の切り身を鍋底に並べ、煮汁をかけていく。調理は「弱」モードで5時間にセット
しっかりと煮汁がしみこんだ鯖味噌が完成
身もホロホロで問題のない仕上がりだ

陶器なべを直火で加熱してスープを楽しむ

 付属のレシピの中で気になったのが、「身体がよろこぶレシピ」のひとつ「野菜だけスープ」だ。元々冬場になると、ポトフなどを大量につくって食べる習慣もあったので、このレシピを参考に、ポトフ作りに挑戦してみた。

 これまでのメニューと作り方で異なるのが、スロークッカーで調理する前に、陶器なべをガスコンロにかけて野菜を軽く炒め、沸騰するまで煮込むという手順を踏むこと。食材を炒めるときに別のなべを使う必要がないのがうれしい。

 付属のレシピとは一部の食材を変更し、ベーコンを加えて完成したポトフ。キャベツや大根などはトロトロ。味付けはわずかな塩のみで、野菜の旨みとベーコンから出た出汁だけで簡単に作ることができた。

煮込む食材を用意。葉野菜や根菜ならもうなんでもOKだ
一口大にカットして陶器なべに投入。まずは炒める
ガスコンロに直接かけられるのが魅力。ただし、陶器なのでIHは不可だ
最後にキャベツを投入して、強火と弱火を断続的に繰り返してくれる「味しみ」モードで3時間煮込む
野菜たっぷりのポトフの完成。寒い季節、主菜にも、副菜にもできるメニューだ

スロークッカーの魅力は肉をトロトロに煮込めること

 元々は、火のそばにいなくても煮込めることに惹かれてスロークッカーに興味を持った。実際に使ってみても、そのメリットは非常に大きく、ウチの場合、長女が幼稚園に行っている、比較的平穏な14時ぐらいまでの間に仕込みをすませておけば、夕食頃には美味しく煮込めているのが非常に便利だった。

 いろいろと作った中でも、とくに家族の中で評判がよかったのが、ビーフシチューだ。食材を炒めたあと、2時間煮込み、さらに小麦粉で作った手作りのルーを入れて2時間煮込むという、スロークッカーを使ったメニューの中では比較的手間がかかるものだが、口の中に入れた瞬間に牛バラ肉がほぐれていく食感は、洋食屋さんで食べているかのようだった。

材料は小麦粉をまぶした牛バラ肉の塊とジャガイモ、ニンジンなどを用意
牛肉をコンロで炒めたあと野菜も投入。ここにスープや赤ワインを入れてまずは2時間煮込む
続いて溶かしバターと小麦粉を混ぜたルーをスープでのばしながら陶器なべに投入する
さらに3時間煮込んで、ビーフシチューの完成だ
牛肉はトロトロ、ジャガイモはほっくりで、味付けも最高。家族のリクエストで短期間に2、3回は作った

 スロークッカーは、ゆっくり長時間煮込むことで、食材をトロトロ、ホロホロにしてくれること、煮込んでいる間、立ち会わなくてもいいのが魅力だ。特に小さな子どもがいる家庭や、夕方に用事があって夕飯の準備の時間が作りづらいという方にも便利だろう。

 シチューや煮込みといったメニューを考えると冬場のアイテムのようなイメージだが、カレーや筑前煮、煮魚などオールシーズン向けのメニューも充実している。夏場などは、長時間コンロで火を使わなくていいのもメリットになりそうだ。

 調理の便利さと味や食感の良さの両方に利点のある調理器具だ。


コヤマタカヒロ

1973年生まれ。大学生の頃にライターデビューをして現在17年目。パソコンからAV機器、デジタルガジェット、白物家電などの電気が流れる製品と、その関連サービスを中心に執筆活動を展開する雑食系のデジタルライター。一般商品者目線で、最新テクノロジーを伝え、完成品はできる限り自分で試して記事にすることを信条にしている。