家電製品ミニレビュー
ケーズウェーブ「MyWave SPIN DRY 3.0」
~コンパクトな脱水専用機
by 伊達 浩二(2013/9/10 00:00)
かなり希少な脱水専用機という存在
ケーズウェーブが販売している「MyWave SPIN DRY 3.0」(以下SPIN DRY)という製品は、脱水専用機という、ちょっとめずらしい分野の製品だ。
以前は、ソメラやトーマスという、海外製の高速な脱水専用機があったが、ここ数年で姿を消している。一般ユーザー向けの脱水専用機は、SPIN DRYと、もう1機種しか見つけられなかった。日本市場では希少な製品だ。
このちょっと変わった製品を、今回は紹介しよう。
メーカー | ケーズウェーブ |
---|---|
製品名 | MyWave SPIN DRY 3.0 |
購入場所 | Amazonマーケットプレイス |
購入価格 | 10,290円 |
簡素な梱包
脱水専用機が欲しかった理由は、我が家の全自動洗濯機の脱水機能が弱く、純綿(綿100%)の洗濯物だと、水気が残ってしまうからだ。普通に洗濯したあとで、もう一度、追加で脱水をしているのだが、それでも厚手のTシャツやバスタオルは、水気を帯びていて重い。
知らないメーカーと輸入代理店の製品ではあるし、1万円ちょっとという価格も不安だったのだが、他に選択肢のないジャンルなのだ。
到着したダンボール箱は、ごく簡素なもので、製品名が印字されているだけで、レタリングされたロゴや製品写真などはない。最初はこれは外箱で、もう1つ内箱があるのだろうと思っていたら、いきなり製品が入っていたので、ちょっと驚いた。
箱は天板と底板がなく、製品の上と下を発泡スチロールではさみ、その周囲を筒状のダンボールで巻いた形になっている。白物家電というよりは、工場設備の部品のような梱包だ。
本体はコンパクトで、サイズは350×365×600mm(幅×奥行き×高さ)、重量は7.2kgだ。本体は、女性の膝より少し高いぐらい。重さは両手で持って移動できるぐらいだ。写真で見た印象よりも、小さく、軽い。
刺激臭と脱水槽の汚れ
梱包を解いて、本体を取り出すと、揮発性の刺激臭がする。どうも、本体に付属しているプラスチック製のホースが臭うようだ。
また、本体のフタを開けてびっくりしたのだが、脱水槽の壁面がホコリで汚れている。どれぐらい汚れているかというと、雑巾で軽く拭くと、拭いたところがはっきり分かるぐらいだ。さすがに気持ちが悪いので、バスルームに運んで、シャワーとスポンジで、本体内部を洗った。
内部を洗うことで刺激臭も減ったが、2日ほど経っても、まだ少し匂いは残っている。
正直な話、こういう製品は久しぶりで、第一印象はあまり良くない。
ベランダに設置、それなりの脱水力
気を取り直して、ベランダに設置した。うちは洗面所が狭いので、ベランダに設置したが、排水はホース式なので、洗面所に本体を置いて、バスルームに排水するという使い方もできる。このあたりは、ホースがなかったソメラやトーマスよりも使い勝手が良い。
脱水容量は3.0kgとある。実際には、大きめの男性用Tシャツなら4枚、タオルケットなら2枚ぐらいが適量だ。押しこめば、もう1枚ずつ入る。普通のタオルだったら10枚以上入るし、ちゃんと折りたためば、セミダブルサイズのベッドマットも入った。
洗濯物を入れたら、付属のプレートを入れ、2枚あるフタを閉めて、排水ホースを倒す。最大5分のタイマーを、ぐるっと回せば、脱水が始まる。うちでは、どれぐらいの洗濯物なら何分とか考えずに、いつも最大限の5分回している。
試しに、Tシャツ、タオルケット、ベッドマットを、脱水してみた。これらは洗濯機で普通に洗濯し、さらにもう一度、脱水してある。普通の洗濯機では、これ以上絞れない状態だ。しかし、SPIN DRYで脱水してみると、それぞれ、533g→503g、642g→541g、1,065g→982gと、30gから100gぐらい軽くなっている。つまり、洗濯物1つ当たり、30ccから100ccの水分が脱水できたことになる。
SPIN DRYで、脱水したあとの洗濯物は、しっとりとした感触は残っているものの、脱水する前に比べると水分が少ないのがわかる。その分、干した後に乾くのも早い。曇り空の日だと、2~3時間ぐらいは乾くのが早く、午前中に干せば、夜になる前に取り込んでも大丈夫だ。
それなりの実力は示してくれたので、SPIN DRYに対する印象はかなり改善された。トーマスで絞った時のような、すぐ乾きそうな感触には及ばないが、一般的な全自動洗濯機の脱水機能よりは優れていることがわかったからだ。
また、しばらく使っていて分かったのだが、SPIN DRYはトーマスに比べると、神経質さがなくて付き合いやすい。
トーマスは回転数が高く、入れた洗濯物のバランスが崩れると振動と騒音が発生したが、SPIN DRYは少しだけバランスに配慮して洗濯物を入れてやれば、ほとんど暴れることなく回ってくれる。トーマスが3,000rpm(50Hz)なのに対し、SPIN DRYが1,350rpm(同)と、回転数が半分以下なので、その差が出ているのだ。
オプションのステンレス槽も試す
今回は、SPIN DRYのオプションとして販売されている「ステンレス槽」も試してみた。
これは、SPIN DRYの脱水槽内に、ピタッとはまるもので、業務で野菜や漬物などを脱水する人が主なターゲットとなっている。
しかし、梱包を解いた状態のステンレス槽は汚れていた。もちろん洗ったのだが、どうも気乗りせず、食品に使う気になれないでいる。私の神経が細いことは認めるが、やはり、これは業務で大量の食品を扱うような方々に向いた製品だと思う。
最初からステンレス槽が付属している「MyWave SPIN DRY 3.0Plus」というパッケージも用意されているが、とりあえずPlusなしのSPIN DRYを購入し、どうしても試してみたかったら、あとでステンレス槽を追加購入することをお勧めする。
なお、一般的な脱水にステンレス槽を使うと、脱水した洗濯物を、そのまま下げて物干しに行ける。我が家の場合は、ベランダに置いたSPIN DRYから、そのまま干すのでメリットはないが、SPIN DRYの設置場所と物干し場が離れている場合は、カゴに移し替える手間が省けるのはメリットだろう。
こんな人に向いている
SPIN DRYが向いているのは、「いまある全自動洗濯機の脱水機能に不満があるけど、洗濯機全体は買い換えたくない」というような人だ。
また、ソメラやトーマスなどの超高速脱水機を使っていて、その後釜を探しているという人もいるだろう。正直、あれらに比べると脱水力では劣るが、あれほどの神経質さはないので付き合いやすくはある。脱水力の差を割り切れるかどうかが乗り換えられるかどうかの分かれ目になるだろう。私は、ベランダに屋外干しをするので、これぐらいの脱水力で実用になるが、屋内干ししかできず、強力な脱水力が必要な人には不満が残る可能性が高い。乗り換えを諦めて、乾燥機能付きの洗濯機を導入するという判断もあるだろう。
最後にメーカーに希望したいのは、製品力の向上だ。揮発性の匂いと、脱水槽の汚れは、この製品の第一印象を著しく損ねている。数少ない脱水専用機だけに、ぜひ、品質管理の改善を期待したい。