家電製品ミニレビュー

シャープ「LEDダイニングライト リーフパターンモデル」

~宙に浮かぶ柔らかな光で食卓を彩る、新感覚のペンダントライト
by 藤原 大蔵
シャープ「LEDダイニングライト リーフパターンモデル DL-PD04K」6人掛けテーブル用で、導光板に葉の模様が浮かび上がるデザインだ

 LEDの利点は、低い消費電力で明るい、という効率の良さだけでなく、白熱電球や蛍光灯とは比較にならない程、光源が小さくできる点も挙げられる。小さな光源で、しかも発熱量も低いとなると、器具のデザインの自由度も高くなる。

 今回紹介するのは、小さなLED光源と、「導光板」という光を面で発光する技術を組み合わせた、シャープのペンダントライト「LEDダイニングライト リーフパターンモデルDL-PD04K」だ。「フロートデザイン」と呼ばれる宙に浮かぶようなデザインがとても印象的で、しかも“目にやさしい”、“癒し”などの効果もあるとされている「さくら色」も取り入れているという。


メーカーシャープ
製品名LEDダイニングライト サークルタイプ
6人掛けテーブル用(リーフパターンモデル)
品番DL-PD04K
光色さくら色(2種類)、寒色~暖色(5色)
器具光束1,500 lm
購入価格44,800円 (yodobashi.com)

光の浮遊感を演出する「導光板テクノロジー」の説明画像。カタログより抜粋

 DL-PD04Kの大きな特徴は、眩しさを抑えた間接光だけで照らす柔らかな光にある。LEDは器具内部で光るが、その光は、小さな粒子の拡散材を混ぜ込んだアクリルの導光板を通って多方光に拡散される。これは液晶テレビのAQUOSのバックライト用として培った技術を応用しているという。

 導光板から放たれた光は、面発光のように全体的に柔らかく輝き、眩しさを感じにくい。DL-PD04Kでは、導光板に葉をモチーフとした模様が浮かび上がるが、デザイン的な要素だけでなく、明るさを向上するのにも一役買っている。

消灯時は導光板はほとんど透明で、葉の模様もさほど目立たない点灯すると、アクリル導光板全体が優しく輝き、模様がはっきりと浮かび上がる。LEDは本体の中央内部に隠れており、ほぼ水平の位置から器具を覗き込まない限り光源はほとんど見えない

 実際に使った感想を先に述べてしまうと、「とにかく気持ち良い明かり!」。ダイニングライトというだけあって、テーブル面はしっかり明るく、食べ物の色の印象も非常に良い。器具が顔の近くにあって、導光板の光が直接目に入ってもちっとも眩しくなく、快適なのだ。

 もちろん、LEDならではの調光・調色機能もしっかり備えている。ダイニングスペースでの多用な過ごし方に応じ、2色のさくら色の他、5段階の寒色~暖色が選べ、各色5段階の調光ができる。

 それでは、シャープのLEDダイニングライトの実力について、細かくレポートしていこう。

最初は取り付けに戸惑うかもしれない。でも仕組みが分かれば1人でも取り付けOK

開梱した器具。左上から、アダプター、リモコンホルダー、リモコン。中央が3本のワイヤーとケーブルで繋がっている本体とカバー、電源ユニット。他に導光板を拭くクロスも同梱されている

 取り付けは、天井に付いている一般的な天井用配線器具に接続する。簡単と言いたいところだが、これまで様々な照明器具を取り付けた経験のある筆者でも、開梱した時にはひるんでしまった。

 というのも、電源ユニットと器具本体は分離しており、それぞれが3本の細いワイヤーと一本のコードだけで繋がった状態で箱から出てきたからだ。しかも、全体の重さは3kgもあるうえ、アクリルの導光板の直径は500mmと大きい。さらに、器具を取り付ける天井の高さとテーブルの高さに合わせ、3本のワイヤーのそれぞれの長さを微調整する必要があるからだ。

 ただ、実際に作業をしてみると、そこまで難しくはなかった。ワイヤーの長さは推奨する設置高さに初めから調整されているため、器具を天井から吊り下げるだけならば10分程度で終わる。ワイヤーの長さの調節も、片手で本体を支えながら、導光板が水平になるように、少し調節して離れて器具の傾きを確認することを数回繰り返すだけで、望み通りの高さに調節できた。工具などは一切要らないので、仕組みさえ判ってしまえば、さほど難しくはない。一人でできてしまった。

A3サイズ両面に、写真入りで詳しく取り付け方が説明されている「簡単取り付けガイド」。取扱説明書とは別に同梱されている取り付け手順を順を追って紹介しよう
【1】天井にある引掛けシーリングに、付属のアダプターをはめ込む
【2】アダプターから出ているコネクターを、電源ユニットの本体の中央に通しながら、「カチッ」と音がするまで押し上げて取り付ける。電源ユニットとカバー、本体はワイヤーとケーブルで繋がっているので、取り扱いは十分注意
【3】アダプターから出ているコネクターを、本体のソケットに"カチッ"という音がするまで差し込む【4】カバーを持ってワイヤーに沿って持ち上げ、カバーと電源ユニットの▲印同士を合わせ、時計回りに"カチッ"と音がするまでカバーを回して固定する。これで大きな作業はおしまい
【5】ワイヤーの長さを調整をして、本体の水平を出す。ネジが緩んだままでもワイヤーは抜けない。器具から離れて確認しながら、しっかり水平にする【6】調節が済んだら、ネジをしっかり締めて固定する。難しそうだが、やってみると案外簡単だった【7】余ったケーブルはは、カバーの中に押し込む
【8】以上で完成。本体サイズは500x115mm(導光板の直径x高さ)、天井ユニットは230x65mm(直径x高さ)、重さは約3kgだワイヤーは最大1,450mmまで伸ばせる。我が家の場合、天井から吊り下げて900mmの高さまで下げられた

 改めてDL-PD04Kの本体サイズを見てみると、ペンダント部分は500×115mm(導光板の直径×高さ)で、天井ユニットは230×65mm(直径×高さ)。6人掛けテーブル用だが、頭が当たらない高さに調節すれば、2人掛けの小さなテーブルにも似合った。

 本製品の設計寿命は40,000時間。一度取り付けてしまえば、触れるのは埃をはらう時ぐらいだろう。本体を多少動かしてもワイヤーはしっかり留まっていた。

 器具の取り付けの次は、リモコンだ。明かりのコントロールは、全てこのリモコンで行なう。キーの数は全部で9つと少ないので、すぐに使いこなせるようになるだろう。

 操作は簡単。さくら色で点灯するなら、「八重桜」「ソメイヨシノ」というさくら色2色のキーのどちらかを押し、「明/暗」キーで5段階の明るさを調節する。寒色~暖色で点灯するなら、オレンジ色の「全灯」または「点灯」キーを押し、「寒色/暖色」で調色、明るさは「明/暗」キー調節する。それぞれ5段階の調色・調光ができる。

 なお「全灯」は、寒色~暖色の調光5(100%)の明るさで点灯する。また「点灯」は、消灯・さくら色を点灯する前の光色と明るさを記憶している。

点灯、消灯、調色、調光などの明かりのコントロールは、すべて付属のリモコンで行なう電源ユニットのカバーにはリモコンの受信部があるが、向きはどこでも大丈夫だった

間接光なのに明るく広がる光。特に演色性が高いさくら色がお勧め

 では実際に点灯してみよう。ダイニングテーブルの上80cmに取り付け(以下、条件は同じ)、「全灯(明るさ5)」ボタンで点灯し、各色の100%の明るさで点灯した。

 JIS照度基準によると、食事に適した明るさは300lx前後必要とされているが、DL-PD04の全灯の明るさは、どの光色においても食事に十分な明るさが得られた(297~431lx)。しかも、導光板の光だけで、テーブルの上はもちろん、器具の上、横方向へもたっぷりと広がる。これには驚いてしまった。

【光色1】(寒色100%、明るさ5(100%))で計測スタート。80cm真下のテーブルの明るさは430lxだった。十分に明るく、天井面や周りにも光がしっかり届いている【光色2】「暖色」キーを一回押すと、寒色~中間色の間の色になる。442lxとさらに明るくなった【光色3】さらに「暖色」キーを押すと中間色になる。これが一番明るい状態で431lx
【光色4】再度「暖色」キーを押す。中間色~暖色の間の色になる。明るさは落ちて400lxだった【光色5】もう一度「暖色」キーを押すと暖色100%になる。明るさは328lxになった
【さくら色:八重桜】
リモコンの下部にある「八重桜」を押す。明るさ5で297lxだった
【さくら色:ソメイヨシノ】
ソメイヨシノのキーを押すと、明るさ5で368lx。食事には十分過ぎるほど明るい

 一番明るかったのが、暖色~寒色の中間色で全灯した時。431lxと、読書や勉強、ちょっとした手仕事の明かりとして十分な明るさが得られる。

 明るいだけでなく、演色性もとても良い。特にさくら色の「ソメイヨシノ」は食事のシーンにもドンピシャ。全ての食べ物が新鮮でおいしそうに見え、大いに食欲をそそる。また、影も柔らかい。器具とテーブルの距離は80cmしか離れていないのに、強い影は落ちないため、食卓や人も柔らかな光に包まれる印象だ。

 もう1つのさくら色「八重桜」は、さすがに食事には赤すぎるが、食後のくつろぎのひと時には良いだろう。

食事はソメイヨシノの色合いが一番良かった。淡いさくら色は食事が全て新鮮でおいしそうに見える。くすみはも全く感じられず、影の出方もとても柔らかい寒色100%の光色は、スッキリと冴えた色合い朝の食卓にもぴったりだろうもっとも明るい中間色は演色性も良好。暖かみのある白色は読書や勉強にも良いだろう
暖色100%は、他と並べた写真で比較するとくすんだ印象になるが、肉眼ではおいしそうに見えていた八重桜色は普通の食事には赤っぽすぎる。食後の談笑やゆったりとくつろぐ時は良い

 光色、明るさがリモコン1つで簡単に調節できるので、朝食からくつろぎのシーンまでダイニングテーブル周りを自在に彩れる点も良い。段階数はLEDシリーンぐらいとと比べると少ないが、その分操作はとても簡単。ちなみに一番暗くした時(八重桜・明るさ1)、テーブル面の明るさは37lx。就寝前のゆったりとした時間を過ごす明かりにも向く。

 結論として、DL-PD04Kはダイニングテーブルの明かりとしてとても満足がいく製品だ。導光板を通した柔らかな間接光なのに、十分に明るく、演色性も高い。これまでLEDのペンダントライトはほとんど世に出ていなかったが、新しいスタイルの照明器具としておすすめしたい。

リビングルームでもくつろぎの雰囲気が演出できる

 さて、ダイニングで使えるのなら、リビングルームに取り付けたらどんな印象になるのだろうか。本来の用途ではないので、眩い明るさは期待できないかもしれないが、つい試してしまった。しかし、これがなかなか良いのだ。

 器具の位置は、思い切って床から1.4mの低い位置に設置した。ローチェアやソファに座ってもテレビ視聴の邪魔にならない、ぎりぎりの高さだ。

 点灯すると、8畳の部屋の床、壁、天井がほぼ同じような明るさで照らされ、とても居心地が良い。導光板は直接目に触れる高さにあるが、放たれる光はもちろん眩しくない。テーブル面も十分に明るく感じられた。何よりも、薄い導光板が部屋の中央で柔らかく輝き、印象的なリビングが演出できた。光のアクセント効果もあり、天井が高く、部屋も広々見える印象だ。テーブルが大きく、頭が器具にぶつからないなら、この高さ設定はかなり「アリ」だろう。

床から1.4mの位置に本体を設置し、【ソメイヨシノ・明るさ5】で点灯。煌々とした明るさにはならないが、光が部屋全体に行き渡り、居心地が良い。テーブル面も明るく、空間に浮かび上がって見える器具が印象的だ【八重桜・明るさ5】は、癒しの光に包まれる。写真だととても赤っぽく見えるが、実際の使用時はすぐに馴れてしまう。実際にはゆったりとした気分が味わえる【暖色100%・明るさ3(中間)】明るさ485lmのLED電球を取り付けたスタンドとの相性が良い。スタンドだけでは物足りない明るさも補えるうえ、印象的な空間が演出できる
本体の中央は孔が空いている。器具を下から覗いても表情豊か目線よりも下に取り付けても、美しさは変わらない。画像左:消灯時、右:点灯時

 次に、器具の位置を、頭に触れない床から2mの高さに設置した。ソメイヨシノを最大の明るさで点灯した時、テーブル面の明るさは132lx。煌々とした明るさには程遠いが、くつろぎのシーンやや静かな団欒、テレビ視聴なら満足いく明るさだ。調光・調色ができるので、昼から夕刻までの補助光としても、他の器具と合わせた多灯照明にも向いている。

 ちなみに、器具からはジーという雑音がすることもなく、ラジオにノイズが乗ることもなかった。

今度は床から2mの位置に本体を設置しなおした。【ソメイヨシノ・明るさ5】のテーブル面の明るさは132lx。煌々とした明るさではないが、光がしっかり広がっているため、さほど暗いと感じない【八重桜・明るさ5】で108lx。癒しの明かりならもっと暗くてもOKだ。このまま横になって導光板を眺めても、眩しさは感じられない明るさを押さえれば、多灯照明としても利用できる
左:光色1(寒色100%)、右:光色5(暖色100%)。季節に応じて補助光の光色を変えると雰囲気が変わる

柔らかな光とさくら色で、食事の明かり、くつろぎの明かりに◎!

寒色~暖色の消費電力は最大でも32Wだった。八重桜は26W、ソメイヨシノは27Wと、さくら色照明は消費電力が低め。なお、光色に関わらず、明るさ1(最小時)は2Wで、消灯時は計測不能な0Wだった

 明るさと消費電力から見た効率という点では、LED電球やLEDシーリングライトに比べると分が悪い。DL-PD04Kの消費電力は、最大で32W。最大の明るさのまま1日8時間点灯した場合を試算してみると、電気代の目安は1日約5.6円、1年で約2,057円となった。器具の最大光束は1,500lmなので、LED電球(810lm×2個で消費電力22W弱)や、LEDシーリングライト(光束4,000lm以上で消費電力70W以下)よりも効率が低いことになる。

 しかし、実際に使ってみた感覚でいえば、DL-PD04Kに軍配を上げたい。単体の器具としての完成度が高く、美しいし、薄い導光板で拡散する光は、柔らかくて優しく、取り付けるだけで、部屋の雰囲気がワンランクアップする印象が感じられる。

 さらに、さくら色のLEDが心地良い。以前、シャープのLEDシーリングライト「DL-C504V」のレビューでも触れたが、ソメイヨシノの演色性は高く、食事のシーンだけでなく、普段のメインの明かりとしてとても快適。八重桜の濃い紅色も、1日の終わりのくつろぎの明かりにふさわしく、今回もレビュー中も、毎日のように使っていたほど。どちらのさくら色も、一度使い馴れてしまうと、後戻りできないほどの快適さを実感した。

 価格は4万円を超えているため、“たかがペンダントライト1台”と考えれば高価かもしれない。けれど、さくら色のLEDと導光板の組み合わせで生まれた新しい光の表現と快適性に、高いデザイン性もプラスされた器具は、簡単には見当たらない。実用的なダイニングの明かりとしてはもちろん、使い方次第では、リビングルームのメインの明かりとしてもたいへん魅力的だ。自宅で過ごす時間をより豊かに、そして癒し効果を求める方には、この新感覚のペンダントライトの導入を是非検討していただきたい。







2012年10月11日 00:00