家電製品ミニレビュー
三洋電機「小型空間清浄機 VWP-MF10A」
■実売5千円で買える空間清浄機
三洋電機「小型空間清浄機 VWP-MF10A」 |
今年も花粉症の季節がやってきた。東京でも先週あたりから花粉が飛び始めている。まず、目がかゆくて涙が出る。目の周りはかさかさだ。鼻水も出るので、常にティッシュペーパーが欠かせない。
自宅の各部屋には空気清浄機を備えているのだが、それでも涙と鼻水は止まらない。お医者さんからもらった薬を飲むのは当然として、机の上にも1つ対策グッズを追加した。
それが、今回紹介する三洋電機の「小型空間清浄機 VWP-MF10A」だ。
メーカー | 三洋電機 |
製品名 | 小型空間清浄機 VWP-MF10A |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 5,332円 |
“空間清浄機”というのは聞き慣れない言葉だが、三洋電機がウィルスウォッシャー機能だけを持った製品に付けている名称だ。シャープで言えば「プラズマクラスターイオン発生器」、パナソニックで言えば「ナノイー発生器」にあたる。
ウイルスウォッシャーは、水道水を電気分解してできた電解水をミスト状に放出し、電解水に含まれる活性酸素によって、花粉などのアレル物質やウイルス、ニオイを除去する機能だ。ウィルスウォッシャー機能は、同社の空気清浄機や加湿器にも搭載されているが、空間清浄機はフィルターや加湿機能はもっておらず、純粋にミストだけを放出する。シャープやパナソニック流に言えば「電解水ミスト発生器」というべき製品だ。
eneloop air fresher CAF-VW10TG |
三洋電機の空間清浄機は、最初に発売された「eneloop air fresher CAF-VW10TG」が一番有名だろう。デザインの美しさと、リチウムイオン充電池を内蔵しており、どこでも使用できるという点で印象的な製品だった。この分野の先駆けにふさわしい製品だったといえるだろう。
今回のVWP-MF10Aは、あれに比べると、かなり実用指向の製品だ。バッテリーは積んでおらずACアダプタとなる。デザインもシンプルな箱形だ。しかし、その分、CAF-VW10TGの実売価格が3万円ほどしたのに対し、VWP-MF10Aは実売1万円ほどと格安だった(価格はいずれも発売当時のもの)。それが5千円台まで下がっていたので購入してみたというわけだ。
■卓上に適した大きさと能力
製品自体も小さいものだが、パッケージも小さかった。コンパクトデジカメの箱と同じぐらいしかない。外箱は、ここ数年の三洋電機に共通の白と青を基調にした、エネループ系のデザインだ。
外箱も白と青を基調にした三洋電機らしいデザイン | 外箱裏側には「水の力で空気を洗う」と書かれている | パッケージの製品説明「電解水をミスト状に飛ばします」と書かれている |
箱から取り出した本体は、131×165×67mm(幅×奥行き×高さ)と小さく、重量も650gしかない。ほかにはACアダプタと取扱説明書が入っている。
本体は幅が広く、奥行きが浅い箱形をしている。本体の大部分は白で、フタの部分が青になっている。外箱と同じツートンカラーだが、白はグレーがかっており、スコーンと抜けたピュアホワイトではない。シンプルなデザインと配色で、どこに置いても邪魔にならないだろう。
細部を見ると、本体のデザインは意外に凝ったものであることがわかる。たとえば、ACアダプタの接続口は本体の側面ではなく、底面に設けられている。これは、どの方向から見ても、側面をきれいに見せるためだろう。また、LEDもむき出しではなく、半透明のフタの下に設けられており、透過光特有の少し柔らかい光りかただ。外観写真から思っていたよりも、デザイナーの意向が感じられるデザインだ。
本体は白と青のツートンカラーだ | 操作部分はフタのボタン1つだけ | 30cm定規と並べてもだいぶ小さい |
フタを開けた状態。左が水タンク | 中央の丸がミスト発生部、その上に3つ端子が見えるのが送風口。左の丸い部分は水受け部でタンクが乗る |
本体底面。下から空気を吸い込む | ACアダプタの端子は底面にある | ACアダプタと比べると本体の小ささがわかる |
機能面を見てみよう。製品情報ページを見ても、浄化できる空間の広さについての記載は特になかった。ただし、空気清浄機や加湿器のような強力なファンは搭載されていないので、ミストは本体の周囲にしか届かない。普通の状態であれば、机の周囲ぐらい、2畳分ぐらいではないかと思う。つまり部屋全体を浄化すると言うよりは、特定のポイントを対象と考えるべき製品なのだ。卓上以外で使うとすれば、洗面所やトイレなどが向いているだろう。
今回は自室の机の上で使ってみた。だいたい、新書版の本が置けるぐらいの面積があれば置ける。ただし、本体を置く場所は、壁から50cm以上、天井から1m以上離すように指示されている。また、パソコンなどの電子機器の側にも置かない方が良いだろう。
ある日の机。右端に本機が置かれている | コーヒーカップや目覚まし時計との大きさ比較 | 新書よりも、ちょっと長く幅が狭い。もう少し幅があったほうが倒れにくいだろう。通常時でもこれぐらいミストが出ている |
使い始めにすることは、電源をつなぐことと、水を入れること、あとは電源スイッチを入れれば動き始める。電源を入れるとコポコポという音とともに、水がミスト発生器の方へ流れていく。
タンクが外せるので水組みは簡単。タンクはもうちょっと大きいとなお良かった | ウイルスウォッシャーは水道水が必須の仕組みだ。お湯を入れてもいけない |
フタを閉めて、電源ボタンを押すと、すぐにミストが出始める。フタの中央からミストが出るので、本体のプロポーションと相まって、大きな空気清浄機のミニチュア模型のようにも見える。ミストに手をかざすと、ヒンヤリとして冷気と湿度が感じられる。
ここでミストと言っているのは、要は殺菌効果のある細かい霧だと思えば良い。普通の室温であれば、置いてある場所の周囲が濡れたりすることはない。念のため、本体の下にティッシュペーパーを敷いてみたが、半日動作させても、湿った様子は感じられなかった。極端に神経質になる必要はなさそうだが、紙やパソコンの側は避けた方が良いだろう。
なお、電源ボタンをもう1回押すと、30分間「パワーミスト」運転になり、通常の3倍のミストが出る。繰り返し、パワーミスト運転を行なうと周囲が湿ることがあると取扱説明書に書かれている。
水タンクは約120mlで、通常1時間に10mlのミストが出るので12時間は連続で運転できる計算だ。今回の実機では約10時間使用できた。なお、最初に水タンクを入れると、本体内に水が移動する。なので、もう1度水タンクに水を入れ直すと、少し動作時間が長くなる。なお、パワーミスト運転時は1時間に約30mlだそうだ。
■音と光は気になるが、確実な効果
卓上に置いて、何日か付き合ってみると、この製品は、思っていたよりもにぎやかなだ。動作中は小さい音だが“ブーン”というハム音が聞こえている。日中は気にならないが、夜中に机に向かっていると聞こえる。これはファンの音だそうだ。あと、時々“コポッ”という音がする。これは水タンクから本体に水が落ちる音だ。もう1つミストが発生するときの“ピチャピチャ”という音がすることがあるそうだが、これは気がつかなかった。
こういう動作音とは別に、警告音もにぎやかだ。フタを開けると“ピーピーピーピーピー”という警告音がする。これは、フタがきちんと閉まっていないという警告だそうだが、音が大きめで鳴っている時間も長い。水が完全になくなって停止している場合は鳴らないのだが、そろそろ少なくなったから足しておこうとすると、必ず警告されてしまう。動作音はしょうがないが、警告音にはボリュームかオフにするスイッチがほしい。
ついでに言えば、動作中は常時LEDが2つ点灯している。1つは電源、1つは動作モードの表示なのだが、かなり明るい。日中は良いのだが、私は部屋が真っ暗でないと眠れないので、そのままではつらかった。寝るときはLEDの上に物を置いて暗くしているが、これも消灯モードがほしい。
夜間だとLEDの明るさが目立つ | 気温が20℃以下だとミストが目立つ。これはパワーミスト運転時の様子だ |
というわけで、音と光については、ちょっと不満があるのだが、それを我慢するだけの価値はある。やはり、机の上というごく近い場所でウイルスウォッシャーが動作していると、効果が感じられる。
花粉症について言えば、これ1台で劇的に改善されるわけではないが、一定の効果は感じられる。私自身の例で言えば、これが動いていても鼻水や涙が止まるわけではない。ただし、目の周囲が乾いた状態は改善されるし、鼻やノドの調子は良くなる。これが、ウィルスウォッシャーの効果なのか、ミストによる加湿の効果なのかは、素人には判断が付かないが、この製品の効果であることは間違いない。
お勧めの用途は、オフィスの机の上だろう。多少の動作音も人の居るオフィスでは気にならないし、警告音やLEDの明るさもクリアできるだろう。また、出社時に水を補充しておけば、退出時まで持つので手間はかからない。ずっとデスクワークしている人には、コンセントを確保する手間を考えてもお勧めできる。なお、社内での移動が多い人や、外出先でも使いたいという人にはバッテリーを内蔵した発生器の方をお勧めする。
私自身もそうだが、花粉症はつらい。とりあえず手当たり次第に、マスク、目薬から始まって、内服薬、点鼻薬、空気清浄機など、いろいろな手段で対策を取っている人が多い。その一環として、会社の机の上に、この製品を導入するというのは、5千円ちょっとならアリだと思う。きれいな空気を吸っているという思い込みも含めて、効果のある製品だと感じている。
2011年3月3日 00:00