家電製品ミニレビュー
オムロン「吸入器 スチームサワ NE-S18」
オムロン「吸入器 スチームサワ NE-S18」 |
そろそろやってくるのが花粉症の季節。季節の変わり目のこの季節、風邪を引いている人も結構いるんじゃないだろうか?
花粉症で鼻がムズムズ、目がかゆかゆ! せきでのどがヒリヒリ、タバコを吸ってのどがイガイガというときに効果的なのがお風呂だ。みなさんも経験上から知ってのとおり、お風呂の湯気を鼻やのどから吸い込むと、症状が緩和され少し楽になる。
とはいえ、日がな一日風呂に使っているわけにもいかないし、急騰ポットのフタを開けてスーハー! していたら、ちょっとヤバイ噂が広がりそうだ。
そんなときお勧めしたいのが、最近流行っている吸入器。耳鼻咽喉科に置いてあるガラス管に入った薬液を鼻やのどに差し込んで10分ほど待たなきゃならないアレ(筆者は手持ちぶたさが超苦手)ほど本格的ではないが、調子が悪いときにすぐに蒸気を吸入できるので重宝する。
今回は、医療現場から家庭用の医療機器まで扱うオムロンの吸入器をご紹介しよう。
メーカー | オムロン |
製品名 | 吸入器 スチームサワ NE-S18 |
希望小売価格 | 10,500円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 4,770円 |
■組み立てはちょっと難しいかも?
パッケージを開けてみると、細かな部品が5~6点と本体がバラバラになって入っている。「家電はマニュアルを見ずにとりあえず使っちゃう人」にとって、組み立ては戸惑うかもしれない。筆者はマニュアルライターをしていたこともあり、マニュアルを全部読まないと気が済まない人(携帯電話の分厚いマニュアルも全部読むぞ! 笑)なので、吸入器のマニュアル30ページを全部読んでから組み立てを始めたが、それでも組み立てに5分ぐらいかかった。
パーツはバラバラの状態でパッケージに入っている | 機器に付着した蒸気を水タンクに戻すパーツ。これがどこに刺さるのか分かりづらい | レバーと吸い込み口をセットして完成 |
マニュアルライターとして言わせてもらうなら、「各部の名前」という見出し以外に、「組み立て方」という見出しを立てて2ページぐらいつかって順を追って説明しないと、爺ちゃん婆ちゃんは組み立てられないぞ!って感じだ。
もうチョット手順を追って説明してほしかったマニュアル |
もし組み立てに困ったら、プラモデルの得意な子供やDIY好きの男性なら、嬉々として組み立ててくれるハズなので、周りにいないかを見回して欲しい。1回組み立ててしまえば、バラバラにすることはまずないので、運用上の問題はないだろう。
■意外に面白い吸入器のしくみ
左側のノズルはボイラーに、下のノズルは吸水タンクにつながっている。 |
カタログによれば、鼻やのどの粘膜に素早く浸透する水滴の大きさは13ミクロンだという。日本人の髪の毛の太さは、大体60~90ミクロンと言われているので、13ミクロンの水滴というのはその1/5~1/7程度だ。微生物で有名なミドリムシだって体長が30~50ミクロンなので、それより小さい13ミクロンの水滴なんてものは顕微鏡じゃないと見えない世界。
さすが医療機器に強いオムロンだなーと関心するとともに、ただお湯を沸かして湯気を出すわけじゃないところにさらに感心! それが次の噴霧器の機構だ。
この吸入器には水を入れるところが2箇所あり、1つは本体後部にあるボイラータンク。もう1つは、透明樹脂でできた本体前部の水タンクとなっている。
ボイラーで暖められた水は、水蒸気となって噴霧器のホースから放出される。また噴霧器は水タンクにもホースがつながっており、水蒸気の勢い(気圧が下がるの)で水タンクから冷水が上がって、水蒸気と共に細かい粒状になって噴霧される。絵を書く人にはおなじみのエアブラシと同じ構造で、圧縮空気の変わりに水蒸気を使っているというわけだ。
このようなしくみで、13ミクロンの水滴(ミスト)を毎分6ml安定して噴出できる。さらに加熱された水蒸気は、水タンクから吸い上げられた水と混合されるため、ほどよい温度(約43~45℃の可変)まで下がり、やけどすることはない。
また噴霧量は多いと少ないの2タイプが選べるため、1回の注水で7~12分の噴霧が可能となっている。
こうして13ミクロンの水滴が噴出される | 噴霧量を「多」にした場合 | 噴霧量を「少」にした場合 |
■グッドタイミング!? で風邪をひいたので試してみた!
筆者も花粉症なのだが春に発症する杉花粉ではなく、夏から秋にかけて発症するイネ科の花粉症(そいう言うのがあるのだ!)。だからこの季節、花粉に悩まされることはない。が! つい先日、日本最大のフィギュアショウに取材に行ったときに、グットタイミング? で風邪をもらってしまったので、吸入器を試してみた。
まずはボイラーと水タンクに水道水を入れ準備完了。
せきがひどいので、噴霧の切り替えを「のど吸入」にする。花粉症の場合は「鼻吸入」にすると、ミストが上部から噴霧されるようになる。
タンクは2層に分かれていて、手前が吸水タンク、奥が機器に付いた蒸気を回収する排水タンクとなっている | ボイラーにも注水してセット完了 | 蒸気の噴出方向を決めるレバー |
あとはコンセントを接続して、スイッチON! スイッチはボイラーの温度を変えることで、ミストの量を切り替えることが可能だ。
ボイラーの水が沸騰するまで約30秒。つまり30秒も待てばすぐに蒸気が出はじめるので、咳き込んだらすぐに吸入することだって可能だ。
温度調整は、本体上部にあるスリットを開閉することで、約43~45℃まで温度調節が可能。試してみたところ、43℃だとちょっと冷たく、せきには暖かい45℃ぐらいがいい感じだった。感覚としては、まさに湯船に入って立ちこもる湯気を吸っている感じで、一気にせきが納まって気持ちがいい。
のど吸入のポイントは、口から息を吸って鼻から吐くところ。逆に鼻吸入の場合は、鼻で吸って口で吐く。
蒸気の量は、電源スイッチで切り替え可能 | 温度調整のレバー。「低い」側にスライドすると上部のシャッターが開き、外気を多く取り入れ蒸気の温度が下がる | 「のど吸入」では、蒸気が口元に噴射される。口から息を吸って鼻から吐く |
さらにマニュアルに掲載されていないポイントが1つ! 噴霧量を多くして最大の7分まで吸入していると、口や顔が水蒸気でビショビショになるので、タオルを用意しておこう。
大量の蒸気が出るのでタオルが必須だ | 機器に付いた蒸気は、タンクの排水層に回収される |
■鼻吸入モードは娘で実験!
幸か不幸か中学2年生のお姉ちゃんが軽い花粉症なので、花粉症は彼女で実験! 吸入モードを鼻吸引にして、水をタンクとボイラの2カ所にセット。あとは30秒まって実験スタートだ。
まだそれほど花粉が飛んでいるわけでもないので、劇的な効果は見られなかったが、彼女いわく「鼻がすっきり」ということだった。またコレもマニュアルに記載されていなかったポイントだが、鼻吸入時には箱ティッシュを用意しておこう。
鼻から蒸気を吸入するため、鼻水出まくりなのだ! この状況から見ると、鼻の粘膜に付いた花粉は洗い流されるといった感じだ。
「鼻吸入」にすると、蒸気は上に立ち昇るようになる。鼻から息を吸って口から吐く | 「口吸入」の蒸気 | 「鼻吸入」の蒸気 |
■副次効果として寝癖も直るスグレモノ!
寝ているときに口呼吸をしてしまう人は、朝起きたら吸入器で乾いたのどを潤すのもいいだろう。噴霧量を多くして吸っていると、吸入器から漏れた蒸気が髪の毛に付着し、寝癖も一発で直るという副次効果もある。
パーツはかなり細かなところまで分解でき清掃も簡単。なによりオムロン製で医療用具としても承認されていて安心だ。これからの季節、鼻やのどの調子が悪い人にはお勧めの吸入器といえるだろう。
2010年3月4日 00:00