家電製品ミニレビュー

スポーティな電動アシスト自転車、ヤマハの「YPJ−R」を試し乗り!

ヤマハ「YPJ−R」

 主婦の普段の足としてはもちろん、ビジネスシーンでも、かなり浸透してきた電動アシスト自転車。ただ、その利用のされ方は自転車本来の持つ「走る」楽しさよりも、実用に重点が置かれてきた。

 12月10日にヤマハ発動機が発売する「YPJ−R」は、電動アシスト自転車の新しい可能性を提示する、スポーツ自転車としての性格を色濃く打ち出したモデル。発売前に、その走り味を試す機会に恵まれたのでレポートしていく。

メーカー名 ヤマハ発動機
製品名 YPJ−R
購入場所 11月下旬にYPJ−R特別サイトに掲載予定
価格 248,400円

ロードレーサータイプのタイヤやフレームを採用した電動アシストが新しい

 電動アシスト自転車といえば、そのほとんどは軽快車、いわゆる“ママチャリ”タイプ。だが、「YPJ−R」は見た目からしてこれまでのそれとは全く違う。ハンドルはドロップハンドルで、タイヤも細く、フレームもシャープで、スピード感に溢れるロードレーサータイプである。

ロードレーサータイプの電動アシスト自転車、ヤマハ「YPJ−R」
後ろから見てもスポーティ

 フレームの下部には、クランクにパワーを伝える電動アシストの心臓部であるドライブユニット「PW」を搭載している。「YAMAHA」のロゴが入ったドライブユニットは、重量は3.5sだがフレームの下部にあるため重心が低く、安定性が増すと考えられる。また、ドライブユニットはそれなりの大きさはあるものの、フロントのチェーンリングがそのほとんどを隠してしまい、スポーツバイクの精悍な印象を損なわない。

ドライブユニット「PW」
搭載されるバッテリー

 ダウンチューブには2.4Ahリチウムイオンバッテリーが装備される。重量は0.6s。ママチャリタイプに使われている容量の大きいバッテリーの重量が約3sであることを考えると、相当に軽い。もちろん、容量は総走行距離に関係するが、“走る”ことに重点の置かれたYPJ−Rにとっては必要十分な容量と言える。

 完成車の重量は15.4s(Mサイズ)。一般的なスポーツバイクが10sを切るなかでは重いと言わざるを得ない。しかし、同社の電動アシスト自転車「PAS」の最新モデルの完成車重量が27.3sなのに比べると、脅威的な“軽さ”と言って良い。特に電動アシストの力を得る際に10s以上の軽量化は、そのまま推進力につながるので、強力な武器となる。

ハンドルステムに取り付けられた液晶ディスプレイ
時間や走行距離をはじめ、多彩なデータを表示する
液晶ディスプレイを操作するためのスイッチユニット部
ディスプレイを取り外すとアシスト機能が使えなくなる

多機能なサイクルコンピューターを搭載

 ハンドルステム部分には、大型の液晶ディスプレイと、スイッチユニットが搭載される。このディスプレイがサイクルコンピューターとして、かなり優れている。スピードメーター、時計、ケイデンス(1分間のペダルの回転数)、走行モード表示、10段階のバッテリー残量メーターが一覧できる。さらに切り替えによる多機能表示では、平均車速、最大車速、トリップメーター(走り出しからの走行距離)、オドメーター(前回リセット時からの積算走行距離)、残りアシスト走行可能距離、バッテリー残量(%表示)、消費カロリー、ペダリングパワーメーターと盛りだくさんだ。

バッテリー(写真左)に専用アダプター(同右)を取り付けると、モバイルバッテリーとして活用できる
専用アダプターにはUSB端子が2つ用意されている
スマートフォンやデジカメの充電も可能だ

 なかでも、ケイデンスや消費カロリーは、一般的なサイクルコンピューターではミドルクラスのモデル以上での機能となる。さらに特筆すべきはパワーメーターだ。昨今のロードレーサーのトレーニングでは、パワーメーターを使ったトレーニングが主流となっているが、パワーメーターはそれだけで10万円以上するものがほとんど。その機能が標準装備されているというのはコストパフォーマンスにも優れる。それだけでなく、平坦路や坂道において自分の出力ワット数やスピードの変化を見ながら走るのは、それだけで楽しく、特に単調なコースを走る際には大きなモチベーションにもなる。

 アシスト機能の走行モードは3つ。しっかりとアシストするハイモード、アシストと走行距離のバランスを両立したSTD(スタンダード)モード、アシスト力は最小限にしつつ走行距離を伸ばし、ロードバイクと同等の軽さを感じられるエコモードがある。

 走行距離は、ハイモードで14q、STDモードで22q、エコモードで48qとなっているが、平坦路ではアシストをオフにして、坂道や疲労を感じてきたらアシスト機能を使うという走行シーンによって使いわければ、走行距離を伸ばせる。

 ロードバイクとしての基本性能も充実している。フロントとリアの変速機やブレーキには、一般的なロードレーサーではミドルクラスの完成車に採用されるシマノのコンポーネント105をアッセンブルしている。

シマノのコンポーネント「SHIMANO105」を採用。リヤは11段変速
フロント2段変速

自然なアシストによる、適度な運動強度と走る楽しさを体感

 実際に都内を走ってみた。一般的な自転車では、都市部を走る際、信号待ちからのスタートでストレスを感じることが多い。だが、STDモード以上であれば、ペダルの踏み始めからアシストしてくれるので「よいしょ」と力を入れる感覚は皆無で、非常にスムーズに走り出せる。

信号待ちからのスタートでもスムーズに走り出せる

 そのままある程度スピードが乗ってきたら、エコモードかアシストをオフにしてもペダルが重くなるという感覚は一切にない。それに、アシスト機能が作動するのは時速24qまでなのだが、走行中にディスプレイを見ると、24q以上で走っていることも多く、いつアシストが切れたのかわからない。

自然なアシストで、走りを後押ししてくれる

 つまり、アシストがごく自然であり、走りを後押ししてくれながらも、乗り手の脚力にも適度な負荷をかけてくれるのである。電力と自力の役割分担が、とてもバランス良く設計されている印象だ。加えていうならば、平坦路を走る場合には、車体重量約15kgが、ハンデと感じることはなかった。

 そして、電動アシストが最もその性能を発揮するのが坂道だ。実際に平均勾配15%(100m進んで15m標高が上がる坂)の坂に挑んでみる。平均勾配15%が、どのくらいの坂道かといえば、ごく一般的なママチャリでは途中でペダルが止まり、足をついてしまうほど。ロードバイクでも、ダンシング(立ち漕ぎ)でようやく進めるほどにキツい坂だ。

平均勾配15%の坂道を走ってみた
座ったままで楽々と登っていけた

 設定したアシストモードはハイモード。ひと踏み目からアシストの恩恵を強く実感するほどに、力強く“加速”した。その後もサドルに座ったままで、約200mは続く坂を楽々登り切ることができた。STDモードでも、普通なら踏み込むのすらペダルが重く感じるときでも、しっかりと力を入れた分、ペダルを踏み込むことができる。そのため、自力で登る感覚も得ながら、頂上まで登ることができた。

風を切って走る爽快感が誰にでも味わえる自転車

 ロードバイク型の電動アシスト自転車「YPJ−R」は、スポーツバイクに乗るには体力に自信がないという方や、脚力に不安を感じる女性でも、風を切って走る爽快感や、坂を登った先にある眺めのいい景色を満喫できる。

 何より、アシストが過剰ではなく自然なので、そこに至るまでの道のりを自力で登ったというような達成感をも得られる。そんな「YPJ−R」は、スポーツバイクの入り口を、より広げてくれる1台になる。

(頓所 直人)