家電製品ミニレビュー

車の中でホカホカごはんが炊ける炊飯器「タケルくん」

J.P.Nの「自動車・船舶用DC炊飯器“タケルくん”」

 2010年ぐらいからブームとなっている車中泊。不景気からか宿泊施設に泊まらずに車の中で寝て旅行するというスタイルだ。そんな車中泊を楽しく演出できそうなのが、今回紹介するJ.P.Nの「自動車・船舶用DC炊飯器“タケルくん”」だ。

メーカーJ.P.N(ジェーピーエヌ)
製品名自動車・船舶用DC炊飯器 タケルくん
購入場所Amazon.co.jp
購入価格4,980円

 この製品は車のシガーライターから電源を取って、炊き立てのごはんが食べられるというアイテム。車中泊やキャンプ、非常時に役立ちそうだが、実際においしいごはんが炊けるのか、試してみた。

無洗米を使えばお米を研がずに30分でごはんが炊ける

タケルくんのセット内容。電線、計量カップ、ミニシャモジが揃う。水の量が書かれたマニュアルも大切だが、マジックなどで本体にメモしてしまうのがベストだ

 タケルくんは、車のシガーソケットから電源を取る電線と、専用の計量カップ、スプーンみたいないミニシャモジがセットになっている。

 炊く米は、無洗米が向いている。無洗米なら研ぐ必要が無く、水を注ぐだけで炊ける。

 さっそく使ってみよう。添付されている計量カップで無洗米を測り、釜の中に入れる。1杯でお茶碗半分ぐらい(ラーメン屋の小ライスぐらい)、2杯だと大盛りごはんといった感じだ。タケルくんは計量カップ3杯まで炊けるようになっており、合数にするとだいたい2合分になる。したがって男性2人ぐらいのごはんはまかなえるという計算だ。

 あとはペットボトルのミネラルウォーターでも、水道水でもかまわないが、指定量の水を入れればOK。お釜に水を張る線が印刷されているが、計量カップとの対応は取れていないので注意。また内釜が外せないので、水を注いだり洗ったりするときに少し使いづらい。しかし不便さを楽しむのがキャンプや車中泊の楽しみなので、深刻な問題ではない。

湘南海岸まで出向いて、ごはんを炊いてきた。まずは無洗米をお釜の中に入れる
ミネラルウォーターを入れる。無洗米なので研がずにそのまま水を注ぐ
フタをしてロック。しっかりロックできるので、走行中に炊いても大丈夫。というか走行中に炊いたほうが、すぐに食べられて合理的

 炊飯釜に水を注いだら、電源を車のシガーソケットに差し込んで、炊飯ボタンを押すだけでいい。炊飯中は赤いランプが点灯し、だいたい20~30分ぐらいで緑ランプに切り替わり、炊飯が終わる。しかしこの状態では「蒸らし」が終わっていないので、緑ランプが点灯した保温状態にして、10分間蒸らす。

小さいので社内のダッシュボードなどにおいて炊飯できる
炊飯器に電線をつなぐ
電線をシガーソケットに接続。これで準備完了

 炊き上がったらごはんをよくかき混ぜ、シガーソケットからプラグを脱いておこう。緑のランプが付いた状態にしておくと、ごはんをほかほかに保温できるが、家庭用の炊飯器と違いすぐに水分が飛んでしまうため、最大30分程度としたほうがいいだろう。

炊飯スイッチを押すと、赤ランプが点灯する。炊き上がると保温中を示す緑ランプに切り替わる
30分ほどひまつぶし。わかめ取ってきた(笑)
水蒸気はそれほど出ないので、ダッシュボードに置いてもOK。ランプが緑に変わったので10分ほど蒸す
炊き上がり! 2人前ほど炊いてみた。なんかいつもと違ってちょっとごはんを食べるのにもワクワク!

エンジンをかけたままで炊くのがおいしく炊くポイント

 さてこの炊飯器、ごはんをおいしく炊くにはポイントがある。その決め手は電圧。シガーソケットの電源は、国産乗用車の場合12Vとなっているが、エンジンをかけているときと、かけていないときでは電圧が変わってくるのだ。

 たとえば普通乗用車のカローラ(フィールダー)の場合は、エンジンをかけてると13.89Vで、エンジンを切ってオーディオだけ入るACC(アクセサリ)という状態で11.99V。奥さんが乗っている軽自動車のムーヴ コンテだとエンジンがかかっているときで14.4V、かかっていないときで12.4Vとなっていた。このように電圧は、車種やバッテリー、バッテリーの劣化具合で変わってくるが、だいたいエンジンをかけると14Vぐらい、かけていないときは12Vぐらいになっている。

比較的消費電力の少ない保温状態でも、11.93Vまで下がった
消費電力が多い炊飯状態は、炊き始めで11.49Vまで下がる。炊飯中の30分間エンジンをかけないでいると、電圧は徐々に下がっていく

 電気の特徴として、消費電力が多い機器を使うと、電圧が下がるという現象がある。電気ストーブや電子レンジを使うと、部屋の照明がフワッと暗くなる経験をしたことがないだろうか? これは電圧が下がった瞬間だ。この炊飯器は、8~9A近くの電流が流れ、電気ストーブ並みに消費電力が多い。そのためエンジンをかけていない12Vの状態で炊飯すると電圧が落ちてしまい、うまく炊飯できなくなるので注意したい。

 また電池は使っているとどんどん電圧が落ちてくる。乾電池だと新品なら1.5Vあるが、空になると0.9Vまで電圧が下がる。車のバッテリーも同じで、エンジンをかけずに炊飯器を使っていると、わずかだが少しずつ電圧が下がってしまうのだ(車のバッテリーは充電式なので、エンジンをかけるとバッテリーが充電される)。というわけで、タケルくんでおいしくごはんを炊こうと思ったら、エンジンをかけたままで炊飯するといい。

 電圧による炊き上がりの違いは、こんな感じだ。

14.2Vで炊いたごはんは、少し水分が飛んで硬めの仕上がり
12.3Vで炊いたごはんは、水分もちょうどよくおいしい

 見た目にはほとんど分からないが、14Vで炊くと水分が飛んでしまって少しパサパサした感じになる。12Vで炊くのがベストで、10Vになってしまうとうまく炊けなかった。

 おいしさは、さすがに普段使っている炊飯器ほどではないが、甘みが少ないというぐらいの違いだ。真空パックされたご飯に比べれば格段においしいし、タケルくんで炊いた炊き立てのご飯は、コンビニで売っているごはんよりもおいしい。一度冷えてしまったごはんは、どうやっても炊きたての香りがするごはんにはかなわないようだ。

おかずはや飲み物はコンビニで調達して車内で試食。小学6年生の子どもにも、高校1年生の子どもにもタケルくんで炊いたごはんは好評だった

 なお、タケルくんはトラックなどに向けた24V用タイプも販売されている。

美しい風景や楽しい思い出がオカズになるタケルくん

 エンジンをかけているか否かによって、ごはんのおいしさが変わるなんて小さい話もしたが、ドライブ先の車内で食べるごはんの一番のオカズは、美しい風景だったり、楽しい思い出だ。

わざわざ遠出をしなくても、近くをドライブするときタケルくんを持って行けば、ファミレスで食べる夕食とは一味違うごはんを食べられるだろう

 もちろん家族でドライブした後は、ファミリーレストランで食事をするのもいいだろう。しかし現地でごはんを炊いて、景色を眺めながらの食事もまた格別なものだ。

藤山 哲人