家電製品ミニレビュー

アスク「GUIDE 10 PLUS Adventure/Mobile Kit」

~遂に“本当に使える”ソーラー充電器を発見!
by 藤山 哲人

 スマートフォンの悩みの種は、なんと言っても電池切れが早いこと。暇つぶしにゲームやインターネットを見ていたら、あっという間に電池がなくなって、家に帰る頃には電池切れでシャットダウン(強制電源OFF)なんて経験がないだろうか?

 そんな電池切れの時に、心強い味方となるのがモバイルバッテリーだ。中でも最近注目を浴びているのが太陽光から充電するタイプ。昔は太陽電池で動く機器といえば電卓ぐらいだったが、発電効率が年々高まり、道路標識や街路灯、玄関灯など街で目にする機会も多くなってきた。さらに昨年の震災以来クリーンエネルギーの意識も高まり、小型の太陽電池を使ったさまざまな機器が発売されている。

 今回試したのは、アスクのソーラー充電器「GUIDE10PLUS Adventure Kit」。発電効率の高い「単結晶シリコン」を使った太陽電池パネルとモバイルバッテリーがセットになった製品だ。同時に、太陽電池パネルがひと回り小さな「GUIDE10PLUS Mobile Kit」も使ってみた。

アスク「GUIDE 10 PLUS Adventure/Mobile Kit」。A4サイズの大きな太陽電池パネル。スマホを直接充電できるだけでなく、付属のモバイルバッテリーパックに入れたニッケル水素電池を充電して、そこからスマホを充電することも可能一回り小さな太陽電池パネルのMobile Kit。こちらもニッケル水素電池を使うモバイルバッテリーパックが付属されている。価格は8900円前後

メーカーアスク
製品名GUIDE10PLUS Adventure KitGUIDE10PLUS Mobile Kit
購入場所Amazon.co.jp
購入価格11,500円8,908円

ファーストインプレッションは「太陽電池なのに充電早いじゃん! 」

 太陽電池でスマホを充電するとめちゃくちゃ時間がかかるという印象を持っている読者も多いだろう。筆者も数年前に発売された太陽電池パネルを本体に内蔵した携帯電話(スマホじゃなくて)を使ったのだが、曇りの日は充電できないわ、晴天で1日太陽にかざしておいてもフル充電にならないわで、「こりゃ使えん! 」と思っていた。

 しかしGUIDE10PLUSシリーズは、結論から言うと「かなり」使えるソーラー充電器だ。まずは機能云々言う前に、実際の実験結果を見てもらおう。

本当は同じ端末で充電実験をするのがベストだが、同じものを用意できなかったので、ほぼ電池容量の同じスマホを使った。こちらはXperia acro HDと小さい太陽電池パネルの組み合わせ
こちらはGALAXY SII LTEと大きな太陽電池パネルの組み合わせ
特製の土台を製作し、3階のベランダに並べて太陽電池パネルを設置。同時に2台を充電した

 最初の実験は、太陽電池パネルのUSBコネクタからスマホを直接充電するという方法をとった。詳しい実験内容は以下の通りだ。

・電池容量1,840mAhのソニーエリクソン製Xperia acro HDに小さいパネルのGUIDE10PLUS Mobile Kitを接続
・電池容量1,850mAhのサムスン製GALAXY SII LTEに大きいパネルのGUIDE10PLUS Adventure Kitを接続
・夜明け前の3時から太陽電池パネルを南の空に向けて固定
・バッテリーの充電開始時刻や充電完了時刻、バッテリー残量はアプリを使って測定
・スマートフォンの設定は、WiFiがON、GPSがOFFの状態でスリープ(画面が表示されていない)状態

 実験当日(5月7日)の天気は快晴で、日の出時刻は4時44分となっている。

【ソニーエリクソン Xperia acro HD SO-03D with GUIDE10PLUS Mobile Kit(パネル小)】
 小さいパネルのMobile Kitは、日の出から2時間後の6時43分から充電が始まった。なお太陽電池パネルは太陽が正面に来るように設置すると発電効率が最も高いが、Mobile Kitでは太陽が低い位置から充電を始めたのが特徴的だ。

 なお充電開始時のバッテリー容量は20%だったが、14時16分に充電完了した。


充電時間7時間33分
充電量1,472mAh
1時間あたりの平均充電量196mA/h

 充電時間が長いように思えるが、朝から昼前にかけては太陽が低い位置かつパネルが正面になっていため、発電効率の悪い時間帯も含まれる。後日何回か昼間に充電実験をしたところ、1時間辺りの平均充電用が257mA/h(うす曇り時)という場合もあったので、会社や学校の始業開始となる10時頃から充電すればティータイムの15時前までにはフル充電できるだろう。

【サムスン GALAXY SII LTE SC-03D with GUIDE10PLUS Adventure Kit(パネル大)】
 大きなパネルのAdventure Kitは、小さいパネルより45分程度遅れた7時35分から充電が始まる。大きいパネルだからと言っても弱い日差しでも充電できるわけではなく、より日差しが強くないと発電できないという特徴があるようだ。ただし一定以上の日差しになると、突然充電が始まり、発電量も小さなパネルに比べて多いようだ。

 充電開始時のバッテリー容量は12%だったが、12時42分には充電が完了した。


充電時間5時間7分
充電量1,628mAh
1時間あたりの平均充電量319mA/h

 スマホの充電で重要になるのは、1時間あたりに充電できる容量だ。実験した値は、日の出直後から充電した場合のミニマム値なので、昼に充電するとこれ以上の値が出る。

1時間あたりの充電量は、大きなパネルが小さいパネルの1.6倍ある。価格差はおよそ1.4倍なので充電量で換算すると、大きいパネルの方がお得だ

 この実験結果から出た値で、手持ちのスマホの電池容量を割れば、おおよその充電時間が計算できる。たとえば1,400mAhのスマホの場合は、残量20%で充電した場合1,120mAhの充電が必要なので、大きなパネルを使う(319で割る)と、最長でも3.5時間(小さいパネルなら最長5.7時間)で充電できるというワケだ。

 冒頭で説明したとおり、一昔前の携帯電話は電池容量1,000mAh以下にもかかわらず、晴天で1日太陽に当てておいてもフル充電されなかった点を考えると、大きいパネルで最長3.5時間、小さいパネルでも最長7.5時間と考えれば、十分実用的な太陽電池パネルと言える。

パネルと切り離しできるのモバイルバッテリーパックが使い勝手の決め手!

 GUIDE10PLUSシリーズの最大の特徴は、ニッケル水素電池を使うモバイルバッテリーパック「GUIDE10PLUS」が付属している点だ。太陽電池式のスマホ充電器は数あるが、「太陽電池パネルのみ」の製品だったり、「充電式電池を内蔵した」製品だったりする。パネルのみの製品は天候が悪いとスマホの充電ができず、ただの「黒いまな板」にしかならない。また充電式電池を内蔵した製品は厚みがあって重いので、モバイルバッテリーとして使うのには難がある。

 しかしGUIDE10PLUSシリーズには、太陽電池パネルから切り離して使えるモバイルバッテリーパックが付属しているので、悪天候時はバッテリーパックから充電し、天気のいい日は太陽電池パネルから充電するという2way方式になっている点が魅力だ。

晴天時には太陽電池パネルからスマホを充電悪天候のときにはあらかじめ晴天時に太陽電池パネルで充電したバッテリーパックから充電できる

 モバイルバッテリーパックは、一般的なニッケル水素電池が使えるという点もGOOD! スマホのバッテリ容量や使い方に応じて、単三タイプを入れることも、単四タイプを入れることも可能だ。

 たっぷり充電したい場合は、ソニーやエネループの大容量タイプの単三電池を4本入れて使えばいいし、スマホではなく携帯電話を使っている場合や、スマホで緊急時に電話やメールができればいいという場合は単四のニッケル水素電池を使えばいい。

容量で選ぶなら2,400mAhあるパナソニックのeneloop proがオススメ。価格は単三の4本セットで1,400円程度ソニーのサイクルエナジーゴールドは、容量2,000mAhながら価格が1,000円(単三の4本セット)を切っているので安さが魅力

 太陽電池パネルでモバイルバッテリーパックにセットしたニッケル水素電池を充電するのにかかる時間は、おおよそ次のようになる。


太陽電池パネル単三ニッケル水素電池単四ニッケル水素電池
4時間2時間
4時間2時間
※この数値は、モバイルバッテリーパックのバッテリー残量計が、
80%~100%という幅を持たせた表示になっているため、
メーカー公表値と実際に充電した時間を総合的に判断した参考値です

 実験に際して使ったニッケル水素電池は、単三が2,000mAh、単四が750mAhのもの。電池の状態は、まったく空というわけではなくモバイルバッテリーパックでスマホの充電ができなくなった時点のものという点に注意して欲しい。なぜならニッケル水素電池の空の状態は1.0Vと定められているが、スマホが充電できなくなった電池の電圧を測ってみたところ1.24~1.26Vあったので、半分近く残量があるという状態だ。

バッテリーパックにアダプタを取り付けると単四電池がセットできる太陽電池パネルでバッテリーパックを充電する場合は、専用のコネクタで接続すると急速充電できるパソコンのUSBコネクタに接続することでも、バッテリーパックを充電できる。ただし受電に時間がかかるので、イザという場合の回避措置と考えたほうがいい。

 なお太陽電池パネルにはUSB出力端子がついているが、モバイルバッテリーパックの電池を充電する場合は、専用の急速充電出力端子を使うようになっていて、USBで充電するより2倍~5倍ほど早い。

 さらにこのモバイルバッテリーパックは、パソコンなどのUSB端子からの充電にも対応していて、悪天候が続いて太陽電池パネルが使えないというときは、USBからの充電も可能だ。ただし充電には8~10時間かかる点に注意したい。

モバイルバッテリーパックでスマホを充電。単三ならほぼフル充電可能

 さて太陽電池パネルで充電したモバイルバッテリーパックを使うと、スマートフォンをどのぐらい充電できるだろう。早速実験して調べてみよう。


利用した電池スマホの充電容量
単四ニッケル水素電池(750mAh)520mAh
単三ニッケル水素電池(2000mAh)1,320mAh

 一般的なスマートフォンだと1,400mAh程度の電池を内蔵しているので、単三ニッケル水素を使うとほぼフル充電できるようだ。単四の場合は37%ほどバッテリ容量が増えるという計算になる。

モバイルバッテリーパックでスマホを充電する場合は、USBコネクタを利用する。最高出力は1Aなのでタブレット端末の充電も可能

 なおモバイルバッテリーパックのUSB出力は、5V 1Aまで出力できるので、タブレット端末の充電も可能だ。

電圧は雲量に左右されにくいが、電流(発電力)は顕著に左右される

 ところで、太陽電池パネルは天気や時刻によって発電量が左右されるハズ。だが、Webページを色々当たっても「どれだけ発電量が変わるか?」という記事がなかったので、独自に調べてみたのが次のグラフだ。

太陽電池パネルの発電量の変化(快晴時)

 横軸は時刻を示し、縦軸は太陽電池パネルのUSB端子から出力された電流を示している。USBの出力は規格で5Vと決まっているので、電流が多いほど発電力も多いということになる。

 なお小さいパネルの9時~12時あたりでグラフの線が途切れ途切れになっているのは、機器トラブルによるものなのでご了承いただきたい。カーブ自体は大きいパネルのカーブと同じになるので、補間して見ていただきたい。

 実験当日(5月6日)の天気は、日の出は雲がない快晴。9時からうす雲がかかるもののほぼ快晴に近い天気が日の入りまで続いた。日の入りは4時45分で、日の入りが18時32分だ。

 まったく雲のない状態であれば、12時を頂点にして、らくだのコブのようなカーブを描くはずだが、グラフは時々落ち込んでいる部分がある。これは雲が太陽を横切ったときだ。このように天気としては「快晴」となっている5月6日でも、少し厚い雲が太陽を横切ると大きく発電量が変わってくることがグラフから読み取れるだろう。

雲が太陽を横切ると発電量が大きく変わる時刻によっても発電量は刻々と変換するiPhoneでは「サポート外のアクセサリー」という旨の警告が表示される場合があるが無視してかまわない

 またこの表から太陽電池パネルの大きさで、発電力が大きく変わってくることも分かる。スマホの急速充電は、およそ0.45A(450mA)程度必要なので、大きいパネルなら安定してスマホを急速充電できるだろう。

 このように雲の状況に応じて電流が刻々を変化するのでiPhoneの場合は、警告メッセージが表示される場合がある。これは充電に必要な電流が得られないACアダプタなどを使った場合に表示されるメッセージだ。太陽電池パネルで充電していると、雲で日差しが遮られたときに表示されるが、そのまま無視しておけば、再び日差しがさしたときに充電が始まる。

 さて電流は時刻や雲によって大きく左右することが分かったが、電圧はどうだろう。次のグラフは、うす曇りのときに計測した電圧だ。

電圧は一定の日差しがあれば常に5Vで一定。大きいパネル(オレンジの線)は、小さいパネルに比べ日差しが強くないと5Vまで出ない

 電圧は雲量にはあまり影響を受けず、ぴったり5Vをキープしているのが分かる。特徴的なのは大きなパネルのグラフだ。冒頭の実験結果から、大きいパネルは小さいものに遅れることおよそ45分して充電が開始されたが、それがこのグラフに顕著に現れている。どうやら大きいパネルは、ある程度強い光が当たらないと電圧5Vに達しないため充電開始にならないようだ。

 さて、もう1つ実験したのは「天気予報で曇り」と発表されても、うすい雲がかかった状態の曇りもあれば、今にも雨が降りそうな曇りまである。そのとき電流にどんな変化が出るかを調べたのが次のグラフだ。

曇りの日は、雲量や雲の濃さによって発電量が大きく左右する

 実験当日の空模様は、次のようになっていた。


日付空模様
4月13日朝からうす曇りの状態が続き15時以降は雲が厚く曇りとなった
4月14日一日中雨で充電ができなかった
4月15日日の出から厚い雲が空をおおっていたが9時を境に雲が少ない晴れとなる。15時を境に再びうす雲がかかり日の入りまで続く
4月16日日の出は厚い雲に覆われた曇り空で、9時からうす雲になるも、再び15時から雲が厚くなり日の入りまで曇り空
※いずれも日の出は5時10分ごろで、日の入りは18時10分ごろ

 なお4月16日は、小さいパネルでそれ以外は大きなパネルとなっている。グラフを空模様を対比してみると、出力される電流がバッチリ雲量とリンクしていることが分かるだろう。

4月13日の15時過ぎの空模様。正午は太陽が見えていたが、雲が厚くなり始めた4月14日は、一日中雨がシトシトと降り充電できず
4月15日の14時ごろ。13日に比べると雲が厚く太陽がほとんどみえない。それでも電流は低いながらも発電できる4月16日16時ごろ。わずかに太陽が見えた16時は、発電量(青い線)が少し増えている
小雨程度であればスマホの充電はできるようだ。左上のLEDが緑に点灯して充電モードを示しているほか、右上の電波の強さと時計の間にあるバッテリーアイコンには雷マークが表示され、充電中を示している

 本格的に雨が降っている日はまったく充電できなかったが、傘をささなくてもいい程度の小雨なら、大小ともに充電可能だった。とはいえ、電流が低いので充電にはかなりの時間を要するだろう。

 なお太陽電池パネルのUSB出力は、大きなパネルでも1Aになることは稀なので、タブレット端末の場合はモバイルバッテリーパックから充電するといいだろう。


ライトユーザー向けMobile Kitと12Vも出力できるヘビーユーザー向けAdventure Kit

 さてここまで発電量などを中心にレビューしてきたが、最後に製品の概要を説明しておこう。

【GUIDE10PLUS Mobile Kit(パネル小)】
 小さいパネルのMobile Kitは、A4のコピー用紙の幅を5cm程度つめたような大きさ。2つに折りたたむとちょっと大きめの財布といった感じで、スーツの脇ポケットにギリギリ入るサイズだ。コネクタ類は太陽電池パネルの裏側にあり、チャックで閉められるメッシュのポーチのようになっているので、充電中にスマホを中に入れておくことができる。

パネルを開いた状態は、A4のコピー用紙より少し小さめコネクタは太陽電池パネル裏のポケットにあり、ポケットにスマホを入れてチャックで締めておける
出力コネクタは、USB出力端子と、モバイルバッテリーパック充電用コネクタの2系統折りたたむと大きめのお財布のような感じスーツの脇ポケットにギリギリ収まる大きさだ

 太陽電池パネルは開いた状態で固定できるように、フックなどを引っ掛ける場所があるので、ピンなどで固定できるようになっている。また出力端子は、スマホを直接充電できるUSBコネクタと、モバイルバッテリーパックの充電をする専用コネクタの2系統がある。

Mobile Kitに添付されているモバイルバッテリーパックと電線類

 さらにモバイルバッテリーパック(詳細は後述)がこれに標準添付され、ケーブルはモバイルバッテリーケースの専用充電ケーブルに加え、USB-miniUSBケーブルが付属している。

 なおUSB-microUSBケーブルなどは添付されていないので、スマホに添付されているものを使うか、miniUSB-microUSBの変換コネクタを別途購入する必要がある。

【GUIDE10PLUS Adventure Kit(パネル大)】
 大きなパネルのAdventure Kitは、太陽電池パネルがちょうどA4コピー用紙と同じ大きさで、これにA4の半分の大きさのコネクタとポケットが付いたフタがついている。さすがにポケットに入れるには大きすぎるが、3つ折にするとA4の半分のサイズになるので、小さなカバンでもスッポリ納まるだろう。

 ポケットは少し小さめなので、iPhone 4ならギリギリ収まるが、最近の4インチ以上の大型液晶を備えたスマホは入らない。また小さいパネル同様にパネルを固定する引っ掛ける場所があり、風などで飛ばされないように固定できる。

パネルを開いた状態は、A4のコピー用紙とほぼ同じ大きさ。ただしポケット部分は除くコネクタは太陽電池パネルと同じ面にあるが、折り返せばパネルの陰にできる。ポケットは小さめで、最近の大型液晶を持つスマホはちょっと入らない
出力コネクタは、USB出力端子と、モバイルバッテリーパック充電用コネクタ、反対側には12Vの出力端子があり、車のシガーソケットコネクタが添付されている折りたたむとA4の半分の大きさになるので、ポケットはムリでもカバンなら余裕で納まる

 出力端子は、USBとモバイルバッテリーパック専用コネクタに加え、12V出力端子を持ち、車のシガーソケットコネクタも添付されているが、出力は最大で330mA程度なのであまり使い道はなさそうだ。ラジオや小電力の無線機、LEDライト程度であればシガーソケットから12Vも取れるが、12Vからコンセントの100Vを取れるDC/ACコンバータ、アマチュア無線機などの電源としては使えない。

 こちらもモバイルバッテリーパックに加え、専用充電ケーブルに加え、USB-miniUSBケーブルが付属しているが、microUSBコネクタは添付されていない点に注意して欲しい。

【GUIDE10PLUS】
 両製品に共通して付属されているモバイルバッテリーパックのGUIDE10PLUSは、同社のGUIDE10に準拠した太陽電池パネルを使って、ニッケル水素電池を高速充電できる。

 利用できるサイズは、単三もしくは単四のいずれか。バッテリーケースのアダプタを着脱することで、単三と単四の切り替えが可能だ。

 プラスチック製のケースながら頑丈な作りになっていて、アウトドア用途には最適と言えるだろう。ケースにはワイヤのフックをかける場所があるので、リュックサックなどにカラビナなどを使って引っ掛けることも可能。

アダプタを着脱することで、単三電池にも単四電池にも対応できる。作りはしっかりと頑丈だが、頑丈すぎて電池を取り出しにくいのが難点金属製のワイヤが付いており、カラビナなどでリュックに引っ掛けられるようになってる。ケースのフタもしっかり閉じるので、歩いているうちに、どこかに電池が落ちてしまうなんてことはないはず

 出力端子はUSBコネクタ1口で、最大1Aまで対応しているのでタブレット端末の充電も可能。左側下のスイッチは、3段階になっていて、左で電源OFF、中立でUSB出力ON、右で内蔵の高輝度LED懐中電灯のONが可能だ。

 ニッケル水素電池を充電するには、GUIDE10に対応した太陽電池パネルと専用ケーブルで接続すると急速充電が可能だ。またイザというときは、添付のUSB-miniUSBコネクタを使ってPCなどから充電が可能になっているが、充電には一晩を要する。

パイロットランプは3色表示で、充電中は赤と緑の点滅で充電を知らせる。バッテリー利用中は、電池がなくなるにつれ緑→オレンジ→赤が点灯する
左はスイッチとパイロットランプ、中央はUSB出力コネクタとLED懐中電灯で出力系がまとまっている。右はすべて入力系で、丸いコネクタが太陽電池パネルからの急速充電コネクタで、mini-USBコネクタはPCから充電する場合に使うスマホは充電できなくても、かなり長時間使えるLED懐中電灯はアウトドアで便利に使えるだろう

 残り電池容量の確認は、スイッチを中立に入れると、スイッチ上のLEDで確認できる。スマホ充電中は、残量が緑→オレンジ→赤で表示され赤になると電池切れを示す。とはいえ、スマホが充電できないだけで、電池の電圧は50%ほど残っているので、LED懐中電灯は余裕で使える。

 充電中のランプは、赤点滅、緑点滅(遅い)、緑点滅(早い)で表され、早い緑の点滅で電池の80~100%を充電していることを示している。

GUIDE10PLUSシリーズはUSBダイレクト接続で充電がオススメ

 実験結果などを交えて紹介してきたGUIDE10PLUSシリーズだが、使い方は何通りもあるため、最初は戸惑うかも知れない。そこで最後に、ベストな使い方と、用途に応じてベストなパネルをまとめておこう。


・モバイル太陽光充電器は「単結晶シリコンタイプ」がオススメ

発電効率の高い単結晶シリコンを使っているGUIDE10PLUSシリーズ

 家の屋根につける太陽光発電の場合は、単結晶シリコンタイプは発電効率は高いが高価なため、安価でそこそこ発電効率のいい多結晶タイプが多数リリースされている。

 しかしモバイル用途を考えると、持ち運べるパネルはできるだけ小さいほうがいいので、単結晶シリコンタイプを選ぶといい。もちろんGUIDE10PLUSシリーズは、単結晶タイプだ。

 もし単結晶・多結晶などの区分が書かれていないものがあれば、それは避けたほうがいい。おそらく安価な多結晶タイプか化合物系(ただし化合物系にも高価な高効率タイプもある)タイプだ。


・うす曇り~快晴なら太陽電池パネルからUSBで充電

天気のいい日でかつ、タブレット端末でなければ太陽電池パネルから直接充電するといい

 比較的安定して電流を出力できるうす曇り~快晴の日は、太陽電池パネルのUSBコネクタからスマホを充電するといい。モバイルバッテリーパックのニッケル水素電池を経由すると、エネルギーロスが発生する箇所が増えるので、ダイレクトに接続するといいだろう。ただし充電に1Aを必要とするタブレットなどの場合は、電流不足で太陽電池パネルから直接充電できない場合がある。


・小雨~雲が厚い曇りの場合はいったんGUIDE10PLUSを充電

天気の悪い日やタブレット端末の場合は、太陽電池パネルでバッテリーパックを充電し、フル充電後にスマホに接続して充電する2段階がベスト

 スマホを充電するのに必要な電流が確保できたり、できなかったりという場合(雲が多く、太陽光を頻繁に遮ってしまう)は、モバイルバッテリーパックで充電したニッケル水素電池を使ってスマホを充電するといい。太陽電池パネルにスマホを直接接続してもかまわないが、充電モードと放電モードが頻繁に繰り返されるので、スマホのCPU負荷が多くなり、場合によっては「充電しているのに電池の減りがいつもより早い」なんてことになりかねない。


・赤外線・紫外線フィルムや遮熱断熱ガラスの窓は避ける
 一般的なシリコン系太陽電池パネルは、紫外線~赤外線も吸収して発電するので、これらの光線をカットする窓越しでは発電量が低下してしまう。できるだけ太陽光に直接当てるか、普通のガラス越しで充電するのがベストだ。

・内蔵バッテリーが1,400mAh以下のスマホなら、GUIDE10PLUS Mobile Kitで問題なし
 ヘビーにスマホを利用しない人や、1,400mAh以下程度のバッテリーを内蔵している機種なら、安い小さいパネルでも十分に使えるハズだ。また従来型の携帯電話の場合も、小さいパネルで十分。

・ヘビーユーザーやビルのオフィスで充電するなら、大きいパネルのGUIDE10PLUS Adventure Kit
 できるだけ短時間でスマホを充電したい場合(モバイルバッテリーにはかなわないが……)や、容量が大きいバッテリーを内蔵している機種なら、大型のパネルがオススメだ。また高層ビルのオフィスで窓越しに充電するといった場合、ほとんどが赤外線や紫外線をカットするガラスを利用しているので、小さいパネルでは電力不足になる可能性があるので、大きいパネルを選ぶといい。

 梅雨が明ければ夏本番。強い日差しが毎日照りつけ、空から降り注ぐ無料の自然エネルギーを使わないのはもったいない。ぜひこの“使える”ソーラー充電器で、ソーラーパワーを感じて欲しい。






2012年6月7日 00:00