家電製品ミニレビュー
ダイキン「soine-ソイネ-」
■眠りのリズムとエアコンの温度を合わせる
ダイキン「soine-ソイネ-」(左)と、ダイキンのエアコン「うるるとさらら」のリモコン |
節電対策の1つとして、扇風機が記録的な売り上げを伸ばしているこの夏、社会全体の共通の意識として「エアコンをなるべく使わないように」「使っても極力設定温度は低めに」というのがあるようだ。私もせめて梅雨明けするまでは――とエアコンを付けるのを我慢していたクチだが、梅雨明けして朝8時から30℃を超すような天気が続く中、エアコンなしで寝るのはかなりキツイ。
寝不足で体調を崩したり、熱中症になってしまっては、節電どころではなくなってしまうので、夜間、特に就寝中はエアコンをうまく使いこなしたい。そこで導入したのが、空調機器メーカーのダイキンから、この夏発売された睡眠時専用コントローラー「soine-ソイネ-」だ。soineは、付属のセンサーで「睡眠リズム」を解析、眠りの状態に合わせてエアコンの温度を調整するという、ユニークなコンセプトのコントローラーだ。
メーカー | ダイキン |
製品名 | soine-ソイネ- |
直販サイト 販売価格 | 19,800円 |
睡眠リズムの解析方法は、1分間に1回行なわれるセンサーによるセンシングで、その時の眠りの状態をチェック、寝返りが多かったり、動きが多かったら、寝苦しい、もしくは暑いと判断し、エアコンの温度を調整してくれるのだ。また、人が眠るときに90分周期で繰り返す「レム睡眠」「ノンレム睡眠」による体温調節の変化も考慮。眠りのリズムに合わせてエアコンの温度を自動でコントロールする。エアコンの稼働を必要最低限にできるので、節電にもつながるという。
また、センサーで解析した「睡眠リズム」は、本体に30回、つまり30日分まで記録できる。睡眠リズムはグラフと、独自の睡眠リズム指標によって表示される。
体感センサーで体の動きを検知、その情報を基にエアコンをコントロールする | 眠りのリズムを考慮し、眠りに適した室温を提供するという |
なお、soineは、エアコンと連動させて使用するが、対応するのは2003年以降のダイキン製のエアコンのみ。soine自体もダイキンの直販サイト「ダイキンの考えるお店」でのみ販売されている。
■温度や風量、時計機能まで搭載
何はともあれ、まずは使ってみよう。soineは、ベッドや布団など寝る場所にセットして使う。まずはセンサーと本体をつないで、センサーをいつも寝ている場所のシーツの下に設置する。
製品パッケージ | パッケージには「睡眠時専用コントローラー」とある | パッケージには、本体とセンサー、本体とセンサーを接続するコードが入っている |
製品本体 | 裏側 | センサーと本体をつないだ状態 |
この時に注意したいのが、センサーを置く位置。下すぎたり、上すぎたりするとうまく感知できないので、ちょうど腰あたりの位置に置くようにしよう。また、シーツの下に置くと前述したが、マットレスなど厚手のものの下におくと、センサーが体の動きをうまく感知できないので、これも注意しよう。また、soineとエアコンの間は7mまで。これ以上になると、うまく通信ができない場合があるという。
センサーをシーツの下にセットする | 本体はベッドや布団の横に置く | soineとエアコンの距離は7mまで対応 |
本体を設置したら、次に設定を行なう。本体では、あらかじめ起床時刻を設定しておくことで、目覚ましとして使えるほか、温度や風量なども設定できる。画面は大きく、ボタンの数もそれほど多くないので。設定はスムーズに行なうことができた。
ここまでできたら、あとは本体とエアコンの連動を確認するだけだ。後付けのリモコンの設定というと面倒なイメージがあったが、さすがに同じメーカーの製品だけに、設定はとても簡単。本体メニューから受信確認を選択して、ボタンを押すだけ。するとエアコン本体から「ピピ」という小さな確認音がする。これで連動が確認できる。
本体で日付や温度などを設定する | 風量も細かく設定できる | エアコン本体の連動は受信確認というメニューを使って簡単に行なえる |
■寝入りまでセンサーでフォロー
就寝前にsoineの「冷房開始」ボタンを押す |
ここまで用意したら、ソイネ本体の「冷房開始」ボタンを押して寝るだけだ。自動運転でも、温度を設定しても利用できる。
【お詫びと訂正】初出時、必ず自動運転に設定すると表記しておりましたが、これは誤りでした。訂正してお詫びさせていただきます。
なお、注意したいのはこの時エアコンの電源を入れておくこと。ソイネを使用するときは、基本的に就寝中は常にエアコンの電源が入っている状態だ。
さて、寝るといっても、誰もがすぐに寝られるわけではない。私の場合もベッドに入ってしばらくは本を読んだり、テレビを見ていたりして、本当に眠りに就くのは2~3時間後だったりする。soineでは、ここらへんの個人差もセンサーでフォロー、寝返りなどの動きが小さくなって、ユーザーが眠りに入ったと検知したときに、soineで設定した運転内容をエアコンに送信し、運転が始まる。就寝中は、電子音が鳴るわけでもなく、soineを使っていることすら忘れてしまうほど。ただし、その間もsoineとエアコンはしっかり動いている。体の動きが小さくなってきて、眠りに入ったなと判断すると、設定温度を3時間かけて2℃下げ、その後眠りのリズムに合わせて1℃単位の揺らぎをつけながら運転を続けるという。
一週間ほど使ってみたが、一番の変化は「暑くて目が覚めることがなくなった」ということだ。
soine導入前は、就寝時に2時間ほどタイマー運転の設定をして、そのまま寝ていた。そのため、一晩のうちに何度も暑さで目覚めて、その度に1時間のタイマー設定→寝る→暑くてまた起きるなんてことを繰り返していた。だからなのか、夏の間はなんだかいつも睡眠不足で、夏バテもしょっちゅうだった。
それが、soineを使い始めてからは、夜中に目が覚めることなく朝までぐっすり眠れるようになったのだ。soineが自動でエアコンをコントロールしてくれるので、夜中にエアコンのリモコンを探して、ゴソゴソ――なんてこともなくなった。
一方、気になったのは、エアコンの温度が下がりすぎて「寒い」と感じることがあったことだ。soineの温度設定は28℃にしてたのに、朝起きたら室内の温度計は26℃。タオルケット1枚で寝るのには、低すぎる温度だ。soineには体感センサーはあるものの、温度センサーはついていないので、室温まではコントロールできないようだ。私の場合、眠りが浅くなるのか、朝に寒さを感じて起きることが多かった。
ただし、この辺の感じ方はそれこそ千差万別だろう。たとえば体温でも私の平熱は35.2分とかなり低め、体温が37℃近くある人とは寒いと感じる温度や暑さへの感じ方も違ってくる。エアコンを付けっぱなしにしないと寝れない人もいれば、エアコンが苦手な人もいる。
私個人でいえば、今の季節、やっぱりエアコンがないと寝られない。soineを使い始めて改めて「暑いと寝不足になる」という事実を認識した。夜中に何度も目が覚めてしまうので、常に眠りが浅い状態で、朝起きてもだるいという状態が続いていた。夜中に何度も起きるような寝苦しい夜を過ごすのなら、soineのような製品をうまく活用した方が健康にもいいだろう。
なお、soineの運転はあらかじめ設定しておいた起床時間までとなる。ただし、運転が止まるのはsoineだけで、エアコンの運転は止まらない。コントローラーとして考えると、ここはちょっと気になる。せっかく同じメーカーの製品なのだから、エアコンのリモコンとしての機能を搭載しても良かったのではないだろうか。
エアコンとsoineの連動がイマイチだったのは少々不満が残る | soineを使うときは手元にsoineとエアコンのリモコンの両方を用意しておかなければならない |
■自分の就寝リズムがグラフで確認できる
soineのもう1つのユニークな機能が、眠りリズムをグラフで確認できるということ。眠りの質が☆で表示される機能も搭載されている。自分の眠りを客観的に見る機会はほとんどないので、とても面白い。
たとえば、体調が悪くてふせっていた7月10日。10時間近くベッドで寝ていたのだが、☆の評価は1つ。長く寝ていれば良いというわけではなさそうだ。
睡眠リズムを解析、グラフで表示する機能を搭載 | 体調を崩し10時間以上寝ていたこの日、睡眠時間は長いのに、睡眠リズムは☆1つだった |
■エアコンとうまく付き合っていくために
今までにない新しいジャンルの製品だが、使ってみた印象としては「付加価値機能が搭載されたリモコン」といったところ。
リモコンとしての使い勝手には少々不満を感じたものの、室内の温度だけでなく、眠りのリズムまで考慮して温度を調節してくれるというのは、新しい。今話題のスマートハウスの考え方にも、通じるところがありそう。
エアコン本体と併せてのシステム化や細かい設定、センシングに対応していくことで、さらなる可能性が感じられる製品だ。
2011年7月22日 00:00