家電製品ミニレビュー

Blueair「空気清浄機 650E」

~シンプルだけど強力! 北欧製の高級空気清浄機
by スタパ齋藤
Blueair「空気清浄機 650E」

 家電Watch編集部から「貴様は空気清浄野郎だからスウェーデン製の空気清浄機も試してみはなれ」風なメールとともに、Blueair(ブルーエア)の「空気清浄機 650E」が送られてきた。

 Blueairはスウェーデンの空気清浄機専門メーカー。世界約40カ国で空気清浄機を販売しているが、とくに米国で評価が高く、250米ドル以上の高級な空気清浄機ではトップシェアを持つ。日本では650E、450E、270Eの3機種(対応フロア面積違い)を展開しているが、今回はフロア面積65㎡(39畳)までに対応した650Eを試用した。


メーカーBlueair
製品名空気清浄機 650E
希望小売価格119,700円
購入場所直販サイト
購入価格119,700円


 てゅーかこのBlueair650Eの印象、まずは、デカっ!! そして重っ!! しかも硬っ!! てな感じ。デザイン面も敢えて北欧風にしたとのことで、外見的にも日本における白物家電とは大きく異なる。存在感も見栄えもヒッジョーに新鮮な、北欧から来た空気清浄機なのであった。
39畳(65㎡)までのフロア面積に対応する650Eのサイズは500×340×660mm(幅×奥行き×高さ)で、質量は約16kg。青いランプとBlueairロゴが見える面(写真では右手前)が前面と思われる側面と上面(グレーの部分)から排気する。吸気は本体下部床近くから。ボディーはスチール製と思われる椅子と並べたところ。対応床面積が広いモデルだけに、かな~りデッカイ!! のであった

 国産の空気清浄機と比べると、サイズ的にもデザイン的にも異端な感じだが、機能的にもそうだ。具体的には、この650E、空気清浄のための機能しか持たない。国産空気清浄機だと、たとえば加湿や滅菌などの付加的機能がイロイロあったりする。が、650Eなどのブルーエア製空気清浄機は、空気中の汚れをフィルターを通して除去する機能しか持たない。なんかこー、小技やオマケなど眼中にない、王道一直線のハードウェアって感じですな。

 ちなみに、空気清浄の方式はフィルター式で、独自のHEPASilent Technology(ヘパサイレントテクノロジー)を採用している。吸い込んだ空気のなかに含まれる粒子(汚れ)をマイナスに帯電させ、これをプラス帯電したフィルターで吸着するというシクミだ。

 また、フィルターとして3ステップHEPASilentフィルターが採用されている。これはフィルターユニット内部が段階的構造になったもの。大きな粒子、中くらいの粒子、小さな粒子という順で段階的に吸着することで、フィルター表面の目詰まりや汚れの蓄積を最小限に抑えているという。

 なお、このフィルター、性能としては「ホコリや花粉、ペットの抜け毛など直径0.1μm以上の粒子を99.97%除去する」となっている。ポイントは“直径0.1μm以上の粒子を99.97%除去”ですな。日本でHEPAフィルターの性能というと直径0.3μm以上の粒子に対する捕集率を指すが、ブルーエアの空気清浄機においてはこの部分の基準がグッとシビア。より高い集塵効率が期待できる。

650Eはフィルター式の空気清浄機。本体上部のパネルを外せばフィルターを交換できる。パネルは工具無しで外せるフィルターも工具を使わずに取り出せる。フィルターは3個使用。6カ月毎の交換が推奨されている本体内部には空気を循環させるための大型ファンと、空気中の粒子などを帯電させるためのワイヤーがある程度。非常にシンプルだ

 使ってみて、まず感じたのは、これまた日本製のソレとはずいぶん違う動作。650Eは本体下部から吸気し、本体側面と上面から排気するのだが、排気部から風が吹き出ているというイメージではなく、排気部全体から空気が湧き出しているという印象なのだ。本体から排気がソフトに出てくる、てな感じ。

 それから、ちょっと驚いたのが空気清浄の効率と動作音。650Eは面積65㎡(39畳)の部屋の空気を1時間に約5回のスピードで濾過するのだそうだ。そーとーな量の吸排気が行われているが、弱運転時の騒音が非常に少ない。耳をそばだてないと聞こえない程度である。

 もちろん常に静かに動作するというわけでもない。たとえば運転スピードをオートに設定していれば、ダストセンサーやニオイセンサーにより、風量を自動調節する。風量は弱/中/強にあたる3段階あり、中や強だとそれなりの騒音になる───650Eを近くに置いた場合、中だと騒音が少々気になるものの会話ができる程度、強だと会話するのに小さくないストレスを感じるくらいの騒音になる。

 集塵などの効率は、拙宅仕事場においてはバッチリという印象。650Eを使い始めて1週間弱だが、机上や上向きに置いたiPad画面上にホコリが目立つことが減った。床に散見された猫ちゃんの毛もあまり見られなくなった。また、やや高めの温度設定でエアコンをドライ運転しているが、梅雨時特有(!?)の締め切り状態室内のニオイも減ったように感じる。

 あと、使用感もシンプルで好印象。特殊な機能はほぼなく、基本的には風量をオートにするかマニュアルにするか程度の操作でよい。また、1時間~8時間まで(30分ステップ)での電源OFFタイマー運転や、電源ON/OFFのタイマー予約も行える。操作は本体の操作パネルや付属のリモコンで行なう。

操作/表示パネル部分もシンプル。機能も多くないので、迷わず使いこなせる電源OFFタイマーや電源ON/OFFタイマー予約にも対応する付属リモコンでの操作も可能。リモコンは磁石を内蔵しており、このように本体など金属部分に吸着することもできる

 シンプルに使えるし、効率良く空気清浄してくれるっぽいし、意外なほど静かに運転してくれる(ことが多い)というのもあり、ちょっと650Eが欲しくなってきた。そんなところに、わりと強めの購入後押し理由が出てきた。またこの理由、購入をためらう理由にもなったりした。

 それは、650Eのメンテナンス性。なんと、フィルター交換以外のメンテナンスは一切不要なんである。国産の空気清浄機でメンテナンス性が高いものでも、たとえば1ヶ月に一度はフィルターカバーを掃除機で吸うとか水洗いするとかいうメンテが要りがちだ。が、650Eはナ~ンにもしなくてイイんである。

 ただし、6ヶ月に1度のフィルター交換が推奨されている。650Eの場合、3枚1セット10,500円のフィルターが1年に2セット、すなわち1年間に21,000円のフィルター代が必要になる。直販での650E価格は119,700円で、1年に21,000円のフィルター代金。もちろんこれに加えて電気代もあるわけで、価格的にはかな~りセレブ感のある空気清浄機なのであった。

 ちなみに、Blueair製品はメーカーの3年間長期保証が受けられる。また、650Eなどの空気清浄機は堅牢性とシンプルさを持ち合わせるので耐久性も十分高いと思われる。長い間シッカリ使える空気清浄機という良もあるかもしれない。

 ともあれ、日本市場に登場した北欧の空気清浄機。国産空気清浄機とはいろいろな面で違った方向を向いており、ストイックなまでに基本機能を重視する姿勢は新鮮でもある。いくつかの取り扱い店舗に実機があるようなので、興味のある方は一度実際に触れるといいだろう。




2010年7月7日 00:00