家電製品ミニレビュー
無印良品「ポップアップトースター M-TT10B」
無印良品「ポップアップトースター M-TT10B」 |
ようやく春らしい季節になってきた。卒業式の袴姿や、真新しいスーツを着込んだ新・社会人を見かけると、自然と自分が一人暮らしを始めた頃のことを思い出す。新生活を始めるときに一番感じたのは、お金がかかるなぁということ。一人暮らし用の小さい家電でも洗濯機、電子レンジ、炊飯器と揃えていくとみるみるお金がなくなっていく。それでも、いっちょまえに、新生活への憧れがあったりするものだから、デザインにもこだわりたい。と生意気を言っていた。
今回紹介するのは、そんな新生活をスタートする人にぴったりな小型のポップアップトースター無印良品の「ポップアップトースター M-TT10B」だ。新生活にぴったり――などと偉そうなことを言ってしまったが、実は私がポップアップトースターを使うのは今回が始めて。最近は、1万円台で購入できる電子レンジにもトースター機能が付いているので、トースター専門の機器の必要性を感じなかったというのが正直なところだ。今回は、その辺を含めて実際に使ってみよう。
メーカー | 無印良品 |
製品名 | ポップアップトースター M-TT10B |
販売価格 | 3,899円 |
まずは、本体の外観から見ていこう。本体はデザインだけ見るとこれって本当に調理家電? と思うほどシンプルで無機質な造り。長方形の箱で、上部にパンの投入口がなかったら、シュレッダーかAV機器に見間違えてしまうほどだ。
長方形の箱――と前述したが、その形の利点として置く場所を選ばないということがある。テーブルの上のちょっとしたスペースはもちろん、キャビネットの隅や、コーヒーメーカーの横などキッチンの空きスペースに無理なく置くことできる。また、白一色で主張のないデザインも、置く場所を選ばない。
スイッチ類は本体側面に控えめに用意されている。中央のダイヤルは、パンの焼き目の濃さを調節するもので、左右には冷凍パン用と、停止ボタンが用意されている。
製品本体 | 本体上部のパン投入口 | 未使用時に投入口にセットするカバーも付属する |
操作は本体側面で行なう | 電源コードの長さは1.2m。やや短く感じた | 本体サイズがコンパクトなので置く場所を選ばない |
本体の機能はごくシンプルでパンを焼くだけだ。パンを投入口にセットして、横のレバーを下げる。焼き上がったらパンが上がってくる。一度に焼けるパンは食パンの場合、2枚まで。焼き上がりの時にブザーなどは鳴らない。
そのほかに備わっているのは、冷凍パンをそのまま焼き上げる機能と、焼き色を調節する機能の2つだけ。説明書もごくシンプルで、使い方に迷うということもない。
■焼き上がるのが早い!
というわけで実際に使ってみよう。まずは、オーソドックスな食パンから。使ってみて、まず驚いたのは、焼き上がりまでの早さ。焼き目がしっかりついたパンがあっという間に焼き上がる。私は焼き目の付いたパンが好みのため、電子レンジでトーストするとだいたい6分ほどはかかる、それがポップアップトースターでは3分の1の2分強でしっかり焦げ目の付いたパンが焼き上がった。
一度に2枚の食パンが焼ける | 焼き目1で焼いたパン。焼き上がりまでの時間は2分10秒 | 裏側もムラなくしっかり焼けている |
焼き目については、好みの問題もあるだろうから、焼き目1/4/7の3段階で焦げ目を試してみた。個人的な好みでいうと私は6~7あたりの焦げ目が好きだ。びっくりしたのは、焦げ目を変えても、焼き上がりの時間がほとんど変わらないということ。若干の差はあるにしても、ほとんど2分前後で焼き上がってしまう。
焼き目が一番淡い1で焼いたパン | 中間の4で焼いたパン | 焼き目が一番強い10で焼いたパン。個人的にはこれくらいカリカリのパンが好きだ |
最初は、パン専門のトースターに魅力を感じないなどと言っていたが、焼き上がりまでの早さは十分魅力的な機能。単純に考えて、電子レンジやトースターなどと比べて、庫内のスペースが小さく、ヒーターが密着しているので半分以下の時間であっという間にパンが焼き上がってしまう。火力が強く、外側がパリッと仕上がっているのも嬉しい。
■ボタン1つで冷凍パンもサクサクに
続いて、試してみたのは冷凍パン。実は私は冷凍パンに関してあまり良いイメージを持っいなかった。我が家のアナログタイプの電子レンジではどうやっても焼き上がりに、ムラができてしまい、おいしいとは思えなかったのだ。というわけで、半信半疑で使い始めた機能だったが、使ってみるとスゴイ! これ、本当に冷凍していたパンだよね、疑ってしまうほど、普通のパンとの焼き上がりの差がない。
今回はベーグルで、試してみたが、ベーグル独特のもちっとした食感もしっかり味わえて、冷凍パンの存在自体見直してしまったほどだ。
冷凍庫で保管していたベーグル | ベーグルのような変形のパンも厚ささえクリアできれば同じように焼ける | 普通のパンを焼くときと同じようにパンをセットしたあと、レバー下げる。あとは、冷凍パンボタンを押すだけだ |
焼き上がりはこの通り。しっかり焼き目も付いて中はもっちりの仕上がりとなった | 卵とベーコンを炒めて食べれば、立派な食事になる |
食べきれないからという理由でパンを買うことを控えていたが、冷凍パンを見直してからは食事に度々登場するように。食べ応えのあるライ麦パンやベーグルなら朝だけでなく夕食に食べても満足度は充分だ |
朝食を食べることもあれば、食べないこともある――なんとも不規則な生活が続いている我が家では、食パンを1斤買ってきてもなかなか食べきれない。これまでは冷凍パンはおいしくないというイメージが先行していたため、冷凍するという頭がなく、そのままダメにしてしまということが多々あった。それが、パンを遠ざける理由の1つになっていた。
ポップアップトースターを使い始めてからは、冷凍パンでも普通のパンと同じように、しかもスピーディーに味わえるので、パンを食べる機会がずっと増えたのだ。
■生活スタイルを確立したシンプル派に
朝ご飯は必ずパンという人なら便利に使いこなせるだろう |
冒頭では、新生活にぴったりなんて言ってしまったが、使い込んでいくうちに思ったのは、これは自分の生活スタイルが確立している人にこそおすすめできる製品だなと思った。
いくら、本体サイズが小さい、デザインが良いといったところで、パンを食べない人にとっては、この製品はやっぱり不要だ。機能も限られているので、食パンだけでなくホットサンドやクロワッサンも食べたいという人にも不向きだろう。
逆に朝はコーヒーに食パンが定番という人には、自信を持っておすすめできる。短時間で、好みの焦げ目がついたパンを焼き上げてくれるので、時間が限られている朝には便利に使える製品だ。1つの製品で色々なことができる便利さというのはもちろん、分かるが、対応幅を広げすぎて、本来シンプルだったものが複雑になってしまっているという例はよくある。無印良品のポップアップトースターは単機能の製品の良さを最大限味わえる製品だ。
2010年4月1日 00:00