家電製品レビュー
ビッグなドラムだから仕上がりも抜群。東芝のドラム式洗濯乾燥機は静かで頼もしい
by 神原サリー(2015/12/21 07:00)
東芝のドラム式洗濯乾燥機がフルモデルチェンジしたと聞いて、事務所としても使っている家電アトリエに置いてある洗濯機も入れ替えることにした。元々、アトリエで使ってきたのは、東芝の2014年モデルのドラム式洗濯乾燥機だった。その理由は、何より静音性が高く、1階に暮らしている方の迷惑にならないからだ。
新モデルでは、東芝ならではの振動吸収クッションが進化し、高減衰ゴムを使用したことで振動を受け止めて横揺れを防ぐことが可能になっていると聞いたので、より安心して使うことができる。3色のカラーのうち、アトリエのドアの色にもぴったりと合った、グレインブラウンをセレクトし、さっそく使ってみたので、その使用感をお伝えしたい。
メーカー名 | 東芝ライフスタイル |
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製品名 | ドラム式洗濯乾燥機 TW-117X3L(T) グレインブラウン |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 289,655円 |
大人っぽいブラウンカラーが、思いのほかしっくりなじむ
実はアトリエには、白壁に合わせてホワイトカラーの家電を基本的に置くようにしている。ブルーの冷蔵庫や電気ケトル、グリーンのジューサーなどがアクセントになっているという感じだ。これまで置いていた2014年モデルの東芝のドラム洗もホワイトだったため、「グレインブラウンがおすすめですよ」と言われても、果たして浮いてしまわないだろうかと心配だったのだが、届いてみてびっくり。
先に述べたようにドアのカラーと似ていたこともあり、艶やかで、でも明るすぎない落ち着いたブラウンの洗濯機が想像以上にしっくりなじんで、心浮き立つ気分なのだ。高級感があるため、“洗濯機然”としていないのもいい。毎日、ドアを開けるたびにうれしくなるし、来客もみな誉めてくれる。ブラウンの洗濯機、おすすめだ。たぶん、これが自宅のランドリースペースだったとしても同じ気持ちになったに違いないと思う。
さて、このBigマジックドラムを搭載した「TW-117X3L」の大きな特徴は、本体幅が60cmとスリムなのに、洗濯容量が11㎏と大容量でドラム槽もぐんと大きくなったことにある。実際にドアを開けてみると、開口部の大きさや、ドラムの奥深さなどが従来モデルと全く違うことが実感できる。ドアを開けると同時にLEDランプが点灯して、中の様子がよく見えるのもいい。
使いやすいタッチパネルと静かな運転音
まずはバスタオルなどのタオル類やエプロン、長袖のTシャツなどを洗濯・乾燥してみることにした。調理家電関連の撮影や検証などの仕事が多いのでエプロンが多く、シミがついてしまったものもある。ここのところ、洗濯する時間が取れなかったので、たまった洗濯物をまとめて洗ってみた。
以前のモデルより、開口部がぐんと大きくなっているので洗濯物がとにかく入れやすい。今回、乾燥お急ぎコースも搭載されているが、まずは標準コースから。ガラスの操作部はタッチパネルになっているが、電源を入れるとコースなどが浮かび上がて表示され、コースを選ぶたびに、次に選択できる部分だけが表示される仕組みなので、とてもわかりやすい。
標準コースの洗濯⇒乾燥で3時間13分と表示された。洗濯が始まっても、動いているのか心配になるくらい静かだ。それでついつい心配になって「照明」ボタンを押して、中の様子を確認してしまったくらいだ。運転音が静かなだけでなく、振動がないため、洗濯機の前に立っていても足下がガタガタ響くということがない。耳にも床にもやさしい洗濯機という感じだ。
乾燥終了後にドアを開けると、ふっくらと乾いた洗濯物がドラムいっぱいに広がってなんだかうれしそうにしている。バスタオルも普通のタオルもふかふかでやわらかく、思わず頬ずりしたくなる。これはしっかりと広げながらパイルを起こして乾かしているから。タテ型の洗濯機ではこうはいかないし、外干しは論外だ。
綿100%のTシャツやタンクトップ、ガーゼ素材のタオルや手ぬぐいもシワになることなく、ふっくらと乾いていたが、ちょっと失敗だったのはエプロン。薄手のものは大丈夫だったが、厚手のものは紐がくるくるとなり、アイロン掛けが必須の状態になってしまった。これはさすがに紐の部分を中に折り込んで、洗濯ネットに入れればよかったと反省した。ただ、調理の際についてしまった汚れはきちんと落ちていたので、よしとしよう。
もうクリーニングに出す必要も、アイロンがけも要らないワイシャツ
共働きで多忙な毎日を送っていると、ワイシャツのアイロンがけというのはかなり面倒なものの1つなのではないだろうか。これまでアイロン掛けに精を出したこともあり、やがてはクリーニング店に持っていくようになった。でもそれはそれで、出したり、取りに行ったりするのが手間なのだ。
今回の新モデルは、大型乾燥ファンの搭載で風量がアップし、後方から大量の風が行きわたるようになったため、1㎏ならアイロンを掛けなくても大丈夫、3㎏でもほとんどアイロンがけ不要という「上質乾燥モード(最大4kgまで)」を搭載している。これは試してみないわけにはいかない。
ということで、5枚(半そでも混ざったいたので、これで約1㎏程度だと思われる)のワイシャツを洗濯⇒上質乾燥モードで洗濯してみることにした。仕上がりまでの予測時間は2時間28分。決して短い時間ではないが、運転音も振動も少ないので、深夜に使うこともできる。
乾燥時にドラム槽の照明をつけて、スロー再生できるモードで動画撮影してみたところ、ワイシャツ1枚1枚がしっかり広がって風が当たっているのがわかる。これは仕上がりに期待ができそうだ。
終了後に取り出してみると、薄手の綿100%のカッターシャツは形状記憶タイプでなかったこともあり、かすかにしわが認められたが、それ以外は全く問題なくこのまま着られるレベルの仕上がり。あまりにきれいに仕上がっていたので、ポリエステル混紡なのかと思ったら、綿100%というものもあったほどだ。
自宅に持ち帰って家人に見せたところ、「これならアイロンなしでも、このまま着られる」とお墨付きをもらった。
しつこい衿汚れもきれいになる「温水洗浄」モード
今回、新たに搭載された機能の1つに温水洗浄モードがある。約40℃のつけ置き洗いを約6時間保温しながら行ない、黄ばみ汚れも落とすというコースまであるが、黄ばみの目立つ衣類が自宅にも見つからなかったので、40℃の温水で皮脂汚れなどをしっかり落とす「Ag+約40℃洗浄」を試すことにした。
衿汚れの気になるワイシャツ2枚をこのモードで洗濯してみる。専用ヒーターで温水にするまでの時間などもあるため、洗濯時間は1時間36分と長めだ。洗濯の途中に照明ボタンを押して、槽内の様子を確認してみると、ダイナミックシャワーで洗剤液を浸透させている様子も見えてなかなかおもしろい。このLED照明は洗濯槽の中の洗濯物の取り忘れを防ぐために付けられたということだったが、洗濯中に中を見られるのがこんなに楽しいとは思わなかった。
仕上がりもバッチリだった。衿の汚れはもちろんだが、ワイシャツ全体のくすみのようなものが取れたような気がしてうれしくなった。ほかにも約60℃の温水で洗う白物衣類専用の除菌コースもあるので、赤ちゃんのいる家庭には便利だろう。
ワイシャツの洗濯を究めるなら「アイロン」モードもおすすめ
まだまだワイシャツにこだわって洗濯してみることにする。ワイシャツ(5枚)を乾燥お急ぎコースで洗濯・乾燥するとどんな仕上がりになるのだろうか。こちらは仕上がりまで1時間52分の表示となり、1時間半くらい時間が短縮される。
結果は綿100%のワイシャツだとしわが気になり、アイロンなしではちょっと難しいかもしれない。このコースは、ワイシャツに使うのではなく、タオルや体操服やジャージなど、なるべく早く洗濯・乾燥を終わらせたいという時に使うと便利なのだと思う。
せっかくなのでワイシャツの仕上がり具合を試すために、今度は乾燥時のモードを「アイロン」にしてみた。アイロン仕上げをするために、湿り気を残して乾燥を終了させるというものだ。あらかじめ洗濯済みのワイシャツ3枚(しわになりやすいもの)をアイロンモードにセットして乾燥運転をスタートさせると時間は35分と表示された。これは短い!
終了後に取り出すと、ほんのり湿り気を感じる程度でしわがあまりない。さっそくアイロンをかけてみたが、ドライアイロンが掛けられ、ちょうどよい湿り気なので、すいすいアイロンが掛けられて仕上がりもきれい。洗濯だけをして外干しする場合は、よほど脱水を軽めにしないとしわになりやすいが、これはほとんど乾いているのに、しわがほとんどなくて、普通にアイロンを掛けるよりきれいに仕上がる。
大物の寝具も楽々洗えて、しっかり乾く
洗濯容量11㎏、乾燥7㎏まで対応する大きなドラムなので、自宅で使用しているダブルサイズのボックスシーツを洗濯してみることにした。リネン100%で厚手のものなので、これを外干しするとゴムの入った部分がなかなか乾かないという曲者だ。
しかも麻の素材はしわになりやすかったりするので、どんな具合かと思ったが、標準コースでの洗濯⇒乾燥で隅々までふっくら乾いて、やわらかで風合いのいい仕上がりになって大満足だった。これも大きな洗濯槽とたっぷりの風量がなせる技ということだろう。
付属の「お手入れセット」で毎回メンテナンスを
“Bigマジックドラム”はその名のとおり、洗濯槽に防汚コートを施しているため、洗剤カスなどの汚れがつかず、黒カビやニオイの発生を抑えてくれる。ただ、乾燥フィルターなどのメンテナンスは、毎回する必要がある。
ただし、新モデルではダクトを自動で水洗いしてくれるので、乾燥内部フィルターの掃除機を使ったお手入れは、乾燥時間があまりに長くなった時などだけでOKとなり、お手入れがぐんとラクになっている。
うれしいのは、専用の袋入りの「お手入れセット」が付属していること。乾燥フィルターや内部のホコリの除去のためのブラシとホースを収納して洗濯機に掛けておけるようになっているのだ。乾燥フィルターは大きめで取り出しやすく、内部のフィルターも取り外せるようになっているため、メンテナンスがしやすい。ドアのパッキン付近にたまる綿ぼこりも併せてきれいにするようにしたい。
また、乾燥フィルターほどは汚れがたまりにくいものの、本体左下にある糸くずフィルターも洗濯終了後にチェックして、水洗いしておこう。
「分け洗い」で洗濯の仕上がりがもっとよくなる!
私はドラム式洗濯機というのは、乾燥まで使ってこそだと思っている。外干し派なら、価格が高めでさまざまな乾燥機能がついているドラム式洗濯機はオーバースペックだと思うからだ。でも、本当は乾燥まで使いたいのにドラム式は汚れが落ちにくいと思って、タテ型(全自動)洗濯機を使っているのだとしたら、それは大きな間違い。この「TW-117X3L」は、洗剤液をシャワーの力で浸透させた後、大きなドラム槽によるダイナミックなたたき洗いや遠心力で広げてのもみ洗いするため、使用水量が少ないのに本当にきれいになるのだ。
今回、ワイシャツの仕上がりにこだわっていろいろなモードを試してみたが、おすすめはワイシャツなど仕上がり感を重視したシャツ類を別にしておくことだ。よく聞くのは、みんなまとめて洗濯をし、洗濯終了時にしわになりやすいシャツ類だけを取り出して部屋干し(もしくは外干し)し、他は乾燥機能を使うというやり方。
でも、初めから、「普通の洗濯物」「ドライモードで洗うもの」「ワイシャツ・カッターシャツ(制服など)」と分けておいて、洗濯物の種類ごとに洗濯をする日を決めておいたほうが断然仕上がりも、手間も省けるのだ。
「TW-117X3L」は、温水洗浄モードまでできる至れり尽くせりのドラム式洗濯乾燥機だ。だからこそ、衣類の種類や汚れ具合に合わせて、さまざまなモードを使いこなして、洗濯を楽しみたい。