藤本健のソーラーリポート
メーカーに聞く、太陽光発電システムの特徴とは[シャープ編]

~太陽電池が安心して使えるWebモニタリングサービス

 「藤本健のソーラーリポート」は、再生可能エネルギーとして注目されている太陽光発電・ソーラーエネルギーの業界動向を、“ソーラーマニア”のライター・藤本健氏が追っていく連載記事です(編集部)


 震災以降、急に注目が集まるようになった太陽光発電。自宅への導入を考えている人も少なくないと思うが、一般的な家電製品と比べてまだまだ情報が乏しく、どんな製品があり、メーカーごとに何がどう違うのか、自分にとって何を選べばいいのか、ということが分かりにくいのが実際のところだ。単純にスペックだけで横並び比較もできないし、価格も100万円、200万円とするものだから、とりあえず1つ買ってみよう、というわけにもいかない。

 そこで当連載では、現在、国内にある太陽光発電のメーカーに直接話を伺い、各社の製品の特徴や他社製品との違い、また目指している方向性、今後の業界動向などさまざまな話しを伺い、インタビューの形で掲載していきたい。

 第1回目である今回は、筆者の自宅に設置してあるシステムのメーカーであり、国内では最大のシェアを持つシャープに伺った。

奈良県の南部、葛城の地にシャープのソーラー基地が!

奈良県葛城市のシャープ葛城工場。建物の窓に、黒い四角形のモノが付いているが、これが太陽電池だ

 今回訪問したのは、奈良県葛城市にあるシャープの葛城工場。ここでは3種類の太陽電池セル(十数cm四方の太陽電池の素子)を生産している。これを世界中にあるシャープの工場に送り、各地で「太陽電池モジュール」と呼ばれるパネルを組み立てている。

 シャープではこの葛城工場のほかに、大阪の堺工場でもセル生産を行なっている。堺工場ではセルからモジュールまでの一貫生産を行なっているとのこと。いずれにせよ、シャープの太陽電池セルはすべて国内生産となっているのだ。

 葛城工場に到着し、建物を見上げると、窓に太陽電池が貼られているのに気づく。またエントランスの屋根を見上げると、ここには薄膜太陽電池が並んでいた。この薄膜太陽電池の間にはLEDも埋め込まれていて、夜は光るようになっているそうだ。


右上の写真を、屋内から見たところ1つ1つの太陽電池に配線が引かれている
また、エントランスの屋根には、薄膜太陽電池が搭載されている薄膜太陽電池は透けて空の雲が見える。発電した電気は、夜の照明に使っているという

 さらに、屋上に案内してもらうと、一面に太陽光発電パネルが並んでいる。この屋上は「ソーラーパーク」と名づけられているそうで、例えば、360度、各方位に向けて並んだパネルや、傾斜角度を変えて並ぶパネルなど、さまざまな種類のパネルの実証実験が行なわれている。ここで発電された電気は、工場で使われているとのことだ。

屋上の「ソーラーパーク」には、多種多様な太陽電池が並んでいる
傾斜角度を変えることで、発電能力にどれほど差が出るかという実験もしている手前に敷き詰められた太陽電池は、メガワット級の出力を備えた「メガソーラー」だソーラーパーク全体の発電量を示すモニター。当日は“メガソーラー”部分が点検中とのことで、発電量は表示されなかった
 今回、この葛城工場で話を伺ったのは、ソーラーシステム事業本部 ソーラーソリューション事業推進センター・システム企画室係長の佐藤努氏、同 結晶太陽電池事業部・商品企画部主事の深田千晃氏の2人(以下、敬称略)。シャープが太陽電池を始めたきっかけから、今後の業界の動向、いちユーザーとしての疑問も含め、いろいろな角度から話しを伺った。


きっかけは創業者・早川徳次。“会社が大きくなれば電気を使う。ならば作ることもしよう”

――私が太陽電池の存在を知って感激したのは、今から30年前の中学生くらいでしたが、その当時からすでに、シャープは太陽電池メーカーとして製品を作っていた覚えがあります。シャープはそもそも、どんなキッカケで、いつごろから太陽電池に取り組んでいたのですか?

シャープ ソーラーソリューション事業推進センター・システム企画室 佐藤努係長

佐藤 もともと太陽電池は、1954年にアメリカの通信会社「AT&T」のベル研究所で発明されましたが、シャープが太陽電池の研究開発に着手したのは、その5年後の1959年でした。その4年後の1963年には、単結晶シリコン太陽電池の量産化に、国内で初めて成功しています。

 当時は、テレビが普及拡大し始めた時代ですが、創業者の早川徳次が、「当社が出しているものは、すべて電気を使うものばかり。今後、会社が大きくなればなるほど電気を使うことになるので、(電気を)作ることもしよう」ということで始めたのです。

 蓄電池の製造も考えたようですが、技術的に成熟度の高い分野だったので、これから開発の始まる太陽電池に目を向けたわけです。

――しかし、その当時の太陽電池は、コストも非常に高く、また今のように売電ができる時代ではありませんでした。どういう利用用途があったのでしょうか?

佐藤 独立電源として、電源のないところで電灯をつけるといった用途です。灯台や測候所、また海の気象を観測する“ブイ”などでも使われました。

宇宙用に開発された太陽電池

 当時、大きかった用途としては“宇宙用”もあります。日本の宇宙開発事業団(NASDA)は、1976年に国産の日本初の実用人工衛星「うめ」を打ち上げていますが、それに当社の太陽電池が採用されています。

 次に来たのが電卓です。同じ76年に、単結晶シリコン太陽電池を搭載した電卓を、世界で初めて製品化しています。同年に、TEALという日本メーカーもソーラー電卓を出しています(TEAL社はすでに解散)。

――当時の電卓は、結晶シリコンの太陽電池だったのですね。最近の電卓に採用されている太陽電池は、どれも茶色っぽい色のアモルファス(非結晶・化合物)のシリコン太陽電池になっていますが

佐藤 当社も、1980年代に入ってからアモルファスシリコンを手がけ、まさにこの葛城工場で83年から量産を開始しました。アモルファスの太陽電池は、単結晶と比較して発電性能が低いのですが、電卓の消費電力が年々下がっていった結果、電卓にアモルファスが使われるようになっています。

シャープの太陽電池事業は、50年以上の歴史があるという1963年の量産開始からカウントした、シャープ太陽電池の累計生産量

系統連系は日本が初めて実現。なのに設置量はドイツが逆転

佐藤 そのような形で、地道に細々とやってきた太陽電池の事業ですが、ターニングポイントになったのが1994年の逆潮流、つまり、太陽光発電などの発電設備を電力会社の送電線に接続して、電力を供給する「系統連系」です。

――独立系ではなく、電力会社と接続して、売電ができるようになった。つまり、いまの体制が整った、ということですね

佐藤 系統連系は、法整備をして実現したもので、実は世界で日本が初めて実施しました。そこに、政府が補助金も出すということで、太陽電池を取り巻く環境が大きく変わりました。

 太陽電池はアメリカで発明されたものだけに、当初はアメリカが進んでおり、生産量でもアメリカが抜きん出ていました。しかし、系統連系がはじまったことで、日本が生産量でも設置量でも世界一となっていったという背景があります。

 しかしその後は、当時から生産装置において進んでいたドイツが、FIT(フィードイン・タリフ。再生可能エネルギーで発電した電力を、電力会社が固定価格で高く買取る制度)といった制度を整えたことによって、設置量は2004年にドイツに追い抜かれ、さらにスペインにも抜かれてしまったのです。


多結晶が中心も、住宅メーカーや業務用途には単結晶や薄膜タイプも提供

――ところで、現在シャープというと多結晶シリコンの太陽電池メーカー、というイメージが強いのですが、ほかにも手がけていますか?

太陽電池の種類は細分化されている。写真中青い部分が、シャープが商業化しているもの
佐藤 この図(左の写真)をご覧になっても分かるとおり、太陽電池にはさまざまな種類があります。その中で当社はかなり幅広く手がけており、多結晶シリコンはそのうちの1つです。現在は当社の中心的な製品であり、住宅用もこれが中心となっています。

深田 ただ、住宅用もすべて多結晶というわけではなく、数十%は単結晶となっています。

――でも家庭向けのカタログを見ると、すべて多結晶となっているようですが……

結晶太陽電池事業部 商品企画部 深田千晃主事

深田 確かに、既築住宅に設置するものなどは、多結晶のモジュールとしています。その一方で、ハウスメーカーに出しているものでは、単結晶シリコンのものがよく使われています。

 多結晶のモジュールは少し青みがかって、キラキラした見た目になっていますが、単結晶は黒いので、デザイン性の面でハウスメーカーから要望されています。産業用にも、単結晶のものがかなり出ています。


シャープの既設住宅向け太陽電池は、基本的には多結晶が中心。多結晶は、写真のように青味がかっている単結晶の見た目は黒い。出力は多結晶よりも大きい

――先日、東京電力のメガソーラーである浮島発電所を見学にいった際も、使われていたのはシャープの単結晶モジュールでした

深田 単結晶を指定されるケースは、海外からもかなりあります。単結晶シリコン太陽電池の比率も、だんだんと高くなっています。

 それ以外では、現在、タイで建設中の世界最大規模のメガソーラーに、当社製品が採用されていますが、ここに使われているのは薄膜シリコンの太陽電池となっています。敷地面積的にはおおよそ1km×2kmという広大な土地で73MWの出力を持つもので、今年末から稼動する予定です。

こちらは薄膜の太陽電池薄膜系は結晶系と比べると、発電効率は低めではあるが、モジュール内に多くのセルが集積できる点が特徴となる
 

“当面は多結晶が価格面で主流。長いスパンで見れば単結晶も強くなる”

――シャープだけでも、それだけいろいろな太陽電池を作っているとなると、われわれユーザーからすると、何をどう選べば良いのか難しそうです。

佐藤 そこは、今後3年、5年、10年、20年と、時間を区切ってお考えいただけると分かりやすくなるでしょう。

 そもそも太陽電池は、光エネルギーを電気エネルギーに変換するのが目的であり、電気ができるという点ではどの方式でも変わりありません。そのときポイントとなるのは、いかに安く作れるかという点でしょう。変換効率を上げていけば、その分、安く作ることが可能になります。数年前はシリコン不足で供給が厳しくなったこともありましたが、現在は解消されています。そこで、当面は従来と同様に多結晶タイプが主流でしょう。

 しかし、変換効率を向上させるという面では、多結晶よりも単結晶が可能性を持っています。先ほどから申し上げているとおり、単結晶は歴史的には一番長いのですが、シリコンメーカーの競争もあって材料の質が高くなり、変換効率向上の余地が出てきたのです。そのため近い将来には、単結晶がかなり強くなるだろうと見ております。

住宅、産業、大規模設置など、マーケット別に見る導入される種別の違い太陽電池の低コスト化と展開の予測図

――先日、ソーラーフロンティアの宮崎県の工場を見学してきましたが[記事はこちら]、CIS(銅、インジウム、セレンを使用した薄膜太陽電池)や、CIGS(銅、インジウム、ガリウム、セレンを用いた薄膜太陽電池)など、アモルファス系の太陽電池も、変換効率という面ではかなり有望そうでした。

アモルファス(化合物)系の太陽電池(下)とシリコン系の太陽電池(上)

佐藤 当社では化合物系の薄膜は手がけておりませんが、確かにCIS/CIGSはなかなか有望だと思います。ただ10年後を考えると、薄膜ではシリコンが中心になるだろうというのが当社の考えです。

 現在CIS/CIGSにはアメリカのメーカー、中国メーカーも参入してきて、これから競争も激しくなるだろうと思いますが、問題になるのが「I」、つまりインジウムの量です。インジウム自体の年産量は太陽電池数プラスGW(ギガワット)分程度と言われており、将来、需要が伸びた時のボトルネックとなります。将来的には材料問題で心配のないシリコン薄膜が要望であると考えているわけです。

 さらにその先でいえば、GaAs(ガリウム砒素)を主成分とした化合物単結晶太陽電池も出てくるでしょう。

――GaAsは、ロケットや人工衛星など、宇宙用で使われている太陽電池ですよね?

佐藤 このタイプの製品は、まだ非常に高価ではありますが、変換効率35%といった非常に高い性能を実現しています。これを集光型のシステムと組み合わせることで、高効率なシステムができてくるでしょう。

――先日、宮崎大学への取材で見ました。設置方法などで難しい面はありそうですが、将来のシステムとして考えるとなかなか楽しみです。


発電量がパソコンやケータイで“見える化”できる無料サービスも

――ここで話を変えまして、サービス面の話を伺わせていただきます。シャープの太陽光発電システムユーザーが使用できる「Webモニタリングサービス」について教えてください

2005年以降のパワコンのユーザーは、発電量などが診断できる「Webモニタリングサービス」が無料で利用できる

佐藤 太陽光発電は、設置することで満足してしまう人もいますが、本当は設置してからがスタートです。当社では10年保証制度をおこなっていますが、「うちの発電量は正常なのかな?」という不安を解消するお手伝いの意味もあって、このWebモニタリングサービスを開始しました。

 このサービスでは、発電状況の「見える化」を実現します。専用モニターだけでなく、テレビ、PC、ケータイで情報を見ることができます。また、発電量が正常かを近隣地域と比較するなど、独自の判断条件で、専用のシステムと人間がチェックをする体制になっており、お客様任せではなく、シャープとして診断するサービスです。

――最近スマートハウスやHEMS(ホームエネルギー・マネジメントシステム)といったキーワードで、太陽光発電に限らない、電気利用に関する見える化がよく話題になっているようですが

佐藤 確かに、見える化は、どんどん増えてきていますが、まだ一部の話にとどまっており、大量普及という状況にはありません。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の実証実験でも、遠隔監視、自動化などが行なわれていますが、商用ベースではありません。

 当社のモニタリングサービスとしては、「安心見守り」ということで、ユーザーには無料でご利用いただけるようにしています。もっともインターネット環境だけはお客様に用意いただく形になりますが、サービス自体はすべて無料です。そして、万が一、異常が見つかれば、十年保証の範囲内で対応いたします。

――無料なんですか? それはユーザーにとっては嬉しいことですが、今後導入する方が対象になって、既存ユーザーは利用できないわけですよね?

佐藤 Webモニタリングサービスは2009年4月から開始したものですが、2005年以降のパワコンが対象になっているので、以前に導入された方であっても、このサービスに対応の電力モニタを新たに購入頂ければ、本サービスを受けることは可能です。ただ、それ以前の機種の場合、対応は難しい状況です。

――私のところは2004年に導入したので、ダメですね……

佐藤 2005年以降のパワコンは技術的なブレークスルーがあり、それ以前のものと大きく変わっているため、残念ながら利用いただくことができません。ただ、パワコンも10年、15年経過すると製品寿命となってくるため、交換ということになってきます。

 太陽電池パネル自体の期待寿命は20年以上ありますし、古い太陽電池パネルであっても、新型のパワコンに接続して利用することは可能です。現状、Webモニタリングサービスの提供期間は10年保証期間内となっていますが、サービス期間延長のご要望も多いため、検討しているところです。


我が家で自立発電がうまくできなかった原因は「突入電流」

我が家では、自立運転がうまくいかなかったが、それは「突入電流」に原因があったようだ(写真は我が家のモニター[左]と非常用のコンセント[右])

――パワコンに関していうと、気になっているのが自立運転時での活用方法です。先日、私も停電時を想定して試してみましたが[記事はこちら]、電気を多く使う井戸用のポンプが使えないのは仕方ないとして、シャープの液晶テレビ「AQUOS」も、工夫しないとうまく使えなかったり、IHクッキングヒーターも動かないなど、かなり苦労しました

佐藤 震災後、自立運転が注目を集め、当社にも問い合わせ、改善要望が数多く寄せられています。

 ただ、自立運転における基本的設計は2004年当時のものと大きくは変わっていません。パワコンもやはり半導体で動いているので、一瞬でも過負荷になると、出力を停止する機能を備えています。一方で家電製品は、最初に電源を入れたとき、瞬間的に大きな電流が流れる「突入電流」とういものがあり、これをパワコンが検知してしまうのです。

――井戸ポンプなどのモーターを使った製品は、突入電流があることを習った記憶がありますが、テレビなどでも起こるのですね。

佐藤 家電製品は、商用電源から安定した大きい電力を供給されることを前提に作られています。電力会社の電気は、大きなタービンを使った発電機で発電をしており、ここには慣性エネルギーがあるので、一瞬の過負荷などびくともしません。しかし、それと同じことをパワコンで実現しようとすると、非常にコストが高い商品になってしまうのです。

 他社製品の自立運転動作については確認できていませんが、各社ともパワコンは近い構造であるため、似た現象が起こるものと考えられます。

――とはいえ、今後は、停電時で発電すること大きな理由として導入する人も増えてきそうですから、ぜひ改善をお願いしたいところです。


自立運転が1,500Wまでしかできない。ゆくゆくは“蓄エネシステム”の誕生も?

――もう1つ、質問させていただきます。なぜ、どのメーカーのパワコンも自立運転時の出力が15A 1,500Wまでに制限されているのでしょうか? 晴天の日、2,000W、3,000W発電しているときなら、無駄なくもっと使いたいと思うわけですが……。

佐藤 これにはいくつかの理由があります。通常のコンセントの規格は100V 15Aとなっていて、安全のため、それ以上は流せません。パワコンに搭載のコンセントは1つであるため、単純にそれが大きな制限となっています。

 また、3kWや4kWの出力がある場合でも天候によって出力は大きく変化します。その際、実際の出力よりも多くの電気を使う過負荷になると、やはりシステムダウンしてしまうので、15Aというのが、そこそこいい数値であるというのも1つの理由です。

 一方で、パワコンのシステム回路的な制約もあって、自立運転時には本来の出力の半分しか出すことができないのです。

――もうすこし詳しく教えていただけますか?

佐藤 一般の住宅に引き込まれている電力線は「単相3線式」と呼ばれるもので、線間電圧200Vの2本の線(U相線、W相線)に、中間の電圧(100V)の線(O相線)を加えて3線としたものです。AC100Vの機器はU相線とO相線、もしくはW相線とO相線との間に接続し、AC200Vの機器はU相線とW相線との間に接続して使用します。

 一方で、パワコンの出力は単相2線となっており、U相線とW相線との間に、発電した電力を供給します。O相線はパワコンに接続されてはいますが、あくまで電圧測定用で、電力の供給には使用していません。

 連系運転時は、AC200Vを出力しており、たとえば定格出力3,000Wのパワコンでは、AC200Vで最大15Aを出力して最大3,000Wの電力を供給します。

 それに対し、自立運転の場合は、パワコンは内部のインバータ回路をU相線、W相線から切り離し、自立運転用コンセントの線に切り替えます。このとき、インバータ回路を連系運転時と同様にAC200Vで動作させると、自立運転用コンセントにAC200Vが出てしまいますので、インバータ回路の振幅が半分になるように制御をかけて、AC100Vで出力します。

 このときのインバータの最大供給電流は、インバータ回路を共用しているので、連系運転時と同じ15Aのままとなり、供給できる電力は1,500Wで、連系運転時の半分になってしまうのです。

 つまりパワコンは、連系運転時と自立運転時で、供給力に差があるわけです。

 自立運転専用インバータ回路を別途設けることで、対応させることは可能ですが、そうすると大きくコストアップしてしまうという問題があるのです。

――なるほど、よくわかりました。とはいえ、今後、多くの人にとって自立運転は太陽光発電における大きなポイントとなることは間違いないと思います。ぜひ、その点の工夫をお願いできればと思います。

佐藤 現在のところ、太陽光発電システムと蓄電池と組み合わせた“蓄エネシステム”といったものも含めて、検討しているところです。ぜひご期待ください。

――ありがとうございました





2011年8月9日 00:00