趣味の節電道入門

第47回:組み立てから1カ月……。ソーラークッカーでカリカリベーコンを焼く!

 震災の直後、少しだけソーラークッカーに注目が集まったことがある。鏡で太陽光を集め、その熱で調理する器具だが、市販品はけっこうな値段がしたので、その時は購入しなかった。

 何度か自作を考えたものの、そのうち忘却の彼方に。ところが、久しぶりにAmazonでソーラークッカーを見たら、ダンボール製の組み立てタイプが2,000円切ってるじゃないですか。定価では5,000円近くしていたので半分以下の値段。

 もちろん、節電家としては即購入。そのうち市場から消えそうだし。しかし、節電ブームも完全に落ち着きましたな……。

 ソーラークッカー「ダンパラボ DP-900」が届き、組み立てたのは8月11日のこと。組み立て自体は、ゆっくりやって1時間ほどだった。大事なのは、「いつ使うか」である。

土台を兼ねるダンボールの箱に入って届いた「ダンパラボ DP-900」。購入価格は1,980円(Amazon.co.jp)だった
開封。パーツには番号が振られており、図入りの組み立てマニュアルが付属する
台座との間に挟まれる回転台ユニットによって、太陽の高さに応じてパラボラの角度を変えられる
メインのパラボラ(集熱板)は、切り込み部を折りたたんでお椀状にする
鍋やフライパンを乗せるゴトクをセットして完成
ソーラークッカーにとって最適な角度を求める「高度水準器」も付属する

 直後にベランダに運び、目玉焼きを作ってみたのだが、ときおり曇り空になるので、1時間以上かけても半熟手前の状態にしかならなかった。ソーラークッカーは、太陽が途切れると温度が下がってしまうため、完全な晴天でないと効率が悪いようだ。

フライパンを乗せて卵で初トライ
20分ほどで白身が固まってきたが、この後曇り空になり不完全燃焼な結果に

 ならばと、晴天の日を待っていたところ、お盆明けからは台風やらなんやらで雨が降り続き、次にテストできたのは、組み立てから1カ月後の9月11日。北関東、東北に洪水被害をもたらした低気圧が過ぎ去った翌日になってしまった。

 初回の経験をふまえ、ソーラークッカーに適した料理は何かと考えたところ、熱が通りやすく、冷めても元に戻りにくい食材だという結論に達した。そこで、選んだ食材はベーコン。

 筆者は、ホテルのバイキングなどに出てくるカリカリベーコンが大好きなのであるが、ソーラークッカーならじんわりとベーコンに熱を加えて、カリカリに仕上げてくれると考えたのだ。

 ベーコンと、ついでにマフィンとハッシュドポテトもいっしょにフライパンに入れてリベンジ開始。5分ほどでベーコンは「ジリジリ」と音を立て始めた。そして20分後、ベーコンはアメリカのホテルで出てくるほどのカリカリではないが、カリッと仕上がった。あと10分か20分入れておけばカリカリになったであろう。

1カ月後のリベンジはベーコンで。作ったのは昼だけど朝食のイメージですな
20分後、ベーコンもマフィンとハッシュドポテトの表面もカリッと仕上がった
マフィンに挟んでベーコンポテトサンドの完成。やっぱり目玉焼きもほしかったかな

 ソーラークッカーは、晴れ間が続けば、炊飯やシチューなどの料理も可能というが、今回のベーコンやパンケーキのような比較的薄手のもののほうが失敗はないだろう。

 まぁ、ダメなら途中から火にかければ良いのだが、ソーラークッカーを出したり仕舞ったりするのは正直面倒。出しっ放しで良いと思われるかもしれないが、日なたに放置するのは火災の危険があるし、ダンボールなので雨で濡れるとダメになってしまう。使わないときの置き場所も考え物だ。一度ばらせばコンパクトにまとまるが、二度と組み立てないような気もする……。

 ソーラークッカーが実用性よりも好事家のためのツールであるのは事実だろう。しかし、体験としては面白いし、目立ち度も最高なので、いずれ処分する前にキャンプなどに持っていって使いたいと思う。

小口 覺