趣味の節電道入門
第45回:冷感タオルで冷房の稼働時間をカットできるのか?
by 小口 覺(2015/8/5 07:00)
あろうことか冷房を使いすぎて、調子が悪い。とくに朝起きたときのダルさは、エアコンをかけたときと、そうでないときで大きく違う。
もう日本の夏は台湾より暑いといっていいレベルなので、仕方がないとも思うものの、初心にかえって冷房の稼働時間を減らそうと、水で濡らすと冷たくなる「冷感タオル」を導入してみた。
今回購入したのは、「COOLCORE(クールコア)」と、「CHILLY SPORT(チリースポート)」。ともに2,000円弱で販売されている。細かいテクノロジーは異なるが、基本的な使い方やメカニズムは同じ。水で濡らすことで、気化熱を発生させ、タオルの温度を下げるのだ。たいていは首に巻いて使うのではないだろうか。首には太い血管があるので身体全体の熱を下げられるという。
メカニズムは同じとはいえ生地の触感は大きく異なる。「COOLCORE」は、メッシュ地でやわらかいのに対し、「CHILLY SPORT」は水泳をしている人が持っている吸水性の高いセームタオルに似て硬めだ。素材としては、「COOLCORE」がポリエステル、「CHILLY SPORT」は両面ポリビニルアルコール樹脂を使用している。
個人的な感覚では、冷感自体は「COOLCORE」のほうが強い。ぬるくなったら振ることで温度を下げることもできる(空気を通せばいいので、扇風機の前にかざしても同じ効果が得られる)。ただし、含んだ水分が外に出やすいためか、首に巻いておくとシャツなどが濡れやすい。固く絞れば濡れている感は少なくなるが、そのぶん速く乾燥してしまうので、使える時間は短くなる。
首元が濡れるのは嫌な人は、より濡れている感が少ない「CHILLY SPORT」を選ぶと良いかもしれない。こちらは、しっとりとした触感。いずれにせよ、どちらの製品もスポーツタオルであり、ワイシャツやスーツでの使用は想定されてないが、筆者は自宅で仕事をしているので問題ない。Tシャツが濡れたところで構わないのだ。
さて、冷感タオルを使うことでエアコンの使用は抑えられるのか。個人的にはイエスだが、それは冷感タオルに「気分を変える効果」があるからだろう。そもそも人間はいい加減なもので、同じ気温、同じ湿度でも「暑くてツライ、エアコン」となるときと、平気なときがある。
極端なことを言えば、サウナでは暑さを快感として認識しているのであり、暑さ=ツライとは限らない。ところが、たいていの場合、思考は「暑い」→「ツライ」→「エアコンを!」という流れになりがちだ。これが、好きで行ったビーチなんかだと、「暑い」→「夏だ」→「楽しい」となるのだが、日常生活ではなかなかこうは思えない。
ところが、冷感タオルを使うと、「暑い」→「でも首元は冷たい」→「そう悪い環境じゃない」と意識をチェンジすることができ、エアコンを付けなくても大丈夫なことが多くなる。まぁ気分の問題なので、社長が社員に冷感タオルを配ってエアコンをオフにしたら暴動が起きるだろうが、個人レベルで行なう趣味の節電としては全然アリなのである。