藤山哲人の実践! 家電ラボ

第22回

フィルターの大掃除でドラム式洗濯機の乾燥機能を直す

 「最近、乾燥機の調子が悪くて洗濯物がさっぱり乾かない」「なんだかカビ臭い」ということはないだろうか?

 このようなドラム式特有の故障は、構造が複雑で、密閉された空間の空気を循環するのが原因だ。

 ウチの洗濯機も何度か乾燥機能の調子が悪くなったことがある。サポートセンターに電話する前に、何か自分でできることはないかと思い色々調べてみると、フィルターをお手入れするだけで乾燥機能がほとんどの場合元通りになることが分かった。

 これらの筆者の経験を元に、調子の悪くなったドラム式洗濯機の乾燥機能のお手入れ術を紹介しよう。

 家電ラボのモットーは、わからんことは自分で調べる、やってみる。

忙しいヒトはここだけ! 付属のブラシでフィルターを挿す!?

 乾燥機の調子が悪いときは、フィルターの目詰まりを掃除する。「そんなの当然」と怒られてしまいそうだが、「正しいやりかた」をしているだろうか? マニュアルにはキチンと説明してあるのだが、メーカーや機種によっては分かりづらいことがあるようだ。

取り外せるフィルターに詰まったホコリを掃除すれば、空気の通りがよくなるはずだが、長年使っていると一筋縄ではいかなくなる

 だいたい30分ほどで次の手順のお手入れがでるので、修理依頼の電話をかける前に簡単な清掃で修理できるかどうかを試してみて欲しい。なお細かい手順は機種によりまちまちなので、マニュアルを見て注意事項などを確認して欲しい。

必ずこんなブラシが添付されている。ブラシが曲がっているのは、フィルターが箱型なので作業しやすいようになっているため

1) 歯ブラシのようなフィルター掃除用ブラシを準備

 まず、洗濯機に添付されていたフィルター掃除用のブラシを用意する。歯ブラシみたいなものが必ず添付されているので、「お手入れセット袋」といった袋の中身を確認して欲しい。

2) フィルターを取り外してホコリを取る

 メーカーや機種によってフィルターの形は異なるが、たいてい箱のような形をしているはずだ。まずはそこに溜まっている綿ぼこりをきれいに取り除こう。

 普段の掃除はここまででOK。あとはフィルターを元に戻すだけでいい。

洗濯機からフィルターを取り出し、添付のブラシでホコリをかき出す。普段のお手入れならこれだけでOK

ベタベタするならまず水洗い

 フィルターの綿ぼこりを取ったときや、フィルターのネットがベトつくときは、水洗いするといい。たいていのフィルターは中性洗剤をつけて軽く水洗いしてもOKとなっているはずだ。

 注意するのは、すすぐときに強いシャワーなどを当てないこと。フィルターはとても薄く細かい目なので、破れてしまう恐れがあるからだ。

 もしフィルターが破れてしまったら、必ず交換部品を新しく購入すること。破れた状態で使うと、洗濯機の内部までゴミが侵入してしまい、洗濯機を壊しかねない。

3)掃除用ブラシを使って細かいゴミも取り除く

 添付されているブラシの多くは、細かい網の目に詰まった目に見えない粒状のゴミを掃除するのにも使える。もちろん綿ぼこり状のゴミは、ゴシゴシやって掃除してもいい。

ブラシの毛先をフィルターにプスプス差し込むと、目に詰まったゴミを取れる

 フィルターに詰まったゴミは、ちょうど金網フェンスにボールがたくさんメリ込んでしまったようになっている。それを取り除くために、ブラシをフィルターに挿して、引っかかっているゴミを取るというわけだ。

フィルターの顕微鏡写真。長年使うと、ブラシでホコリを取るだけでは目に詰まった細かいゴミが取れない。これではフィルターが完全に目詰まりしている
掃除機で吸うと半分ぐらい取れたが、まだ半分ほど目詰まりしている
ブラシで同じ場所を10回ずつほど突き、そのあとで掃除機でゴミを吸うと、こんなにキレイになる

 ブラシの先端を1度挿しただけでは、膨大な数のフィルターの目すべてを掃除できない。何度か挿して、目に詰まったゴミを押し出すようにするといい。

 最後は、軽く掃除機で吸うといいが、メーカーや機種などによってはフィルターが損傷するなどで、禁止されている場合があるかもしれない。必ずマニュアルをしっかり読み返して欲しい。

4)洗濯機側のフィルターも掃除

 フィルターは、洗濯機本体にも付いている場合がほとんどだ。ただ、本体側は取り外しができないので、水洗いできない。そこで、添付のブラシを使ったり掃除機でフィルターの目をキレイにする。

 ただし機種によっては、添付のブラシや掃除機でのお手入れを禁止している場合もある。マニュアルの注意事項をよく読んで、指示されている方法で清掃すること。

洗濯機本体側のフィルターにもホコリがついている
ブラシでこすってゴミをかき集める
掃除機で吸うとキレイな仕上がりになる

5)ゴムパッキンなども要チェック!

 フィルターの目はとても細かいので、乾燥中は強い風(高圧の空気)がフィルターの中を通り抜ける。そのためフィルターと洗濯機本体間には、空気がもれないようにゴムパッキンなどが入っている。

ゴムパッキンの間に入ったホコリなどもシッカリ掃除するのがポイント
この機種には、フィルターの2箇所にパッキンがあった。すべてのパッキンをキレイにしよう

 しかし、パッキンに小石や砂、洗剤が乾燥して固形になってしまったものなどが挟まっていると、高圧の空気がそこから漏れ、乾燥運転中に「ビー」「ブー」という音が発生する。

 フィルターは、目詰まりだけでなく、パッキンもキレイにすることを忘れずに! また、フィルターをロックする本体側のフタも合わせてキレイにする。

6)元通りにして乾燥運転してチェック

 お手入れが終わったら、タオルなどを数枚入れて乾燥運転をする。これで、洗濯物の乾燥をチェックするだけでなく、洗濯機内部の空気の通り道も乾燥させる。

新品同様にキレイになったフィルター。ほとんどはこれで生乾きの故障やビー音は解消できるハズ
タオル数枚を入れて乾燥を試運転。ちゃんと乾くかどうかを確かめる

 以上のお手入れは、試運転をのぞけば、ていねいにやっても30分で終わる。これは筆者の感覚だが、おそらく7〜8割のトラブルは解消されるはず。

 それでも、うまく乾燥できないという場合は、洗濯機内部の空気の経路にホコリがつまり、硬く密着していたり、乾燥機能そのもの(ヒートポンプ)が故障しているかもしれない。

 こうなると洗濯機を分解しないとお手入れできないので、すぐにサポートセンターに電話しよう。

空気の流れに逆らって掃除するがポイント

 もう1つ重要なのは、空気の流れを考えてフィルターを掃除すること。そうすると効率よく、よりキレイにできる。

写真右のフィルターのない穴から空気が入り、左(フィルターボックスの底)から出る
フィルター内部。一番手前だけホコリを取ってある
ホコリの溜まる面の裏からブラシを差し込んで、目詰まりしているゴミを押し出す
掃除機で吸う場合は、ホコリの溜まる面に掃除機をかける

 まず取り外しできるフィルターは、ホコリが溜まる方から空気が流れてくるので、ホコリが溜まる面とは反対側からブラシでゴミを押し出すといい。ついついホコリの溜まる面から掃除したくなるが、これではゴミをさらに押し込んでいるのと同じなので非効率だ。

 続けて、掃除機の先に隙間アダプターを取り付けて、外側から押し出したゴミを、内側から吸うといい。面を間違えると、せっかくブラシで落としたゴミが、フィルターに再びこびり付いてしまうので注意。

 またゴミの溜まる面を、歯ブラシのようにブラシでゴシゴシこするのも有効だ。そうすることで、裏側から押し出した繊維状のゴミを、絡め取ることができる。

本体側のフィルターは、ホコリの溜まる面をブラシでゴシゴシこする

 さて、洗濯機本体側のフィルターは、洗濯機の内部に向かって空気が流れる。つまりブラシを差し込んで掃除すると、詰まっているゴミをさらにめり込ませてしまうこともあるため、これは掃除機で吸い込んだり、ブラシでゴミを絡め取るのがベストだ。

 なお、洗濯機に付属しているブラシをなくしてしまった場合は、100円ショップなどで毛先が細くなった歯ブラシを買ってきて代用するといいだろう。さらに、柄の部分をライターなどであぶって曲げれば、作業もしやすくなる。

ブラシの先が細くなっている歯ブラシで、フィルター用ブラシの代用ができる
フィルターにプスプス差し込んで、目詰まりしたゴミを取る
ブラシのクビをライターなどで焙って曲げれば作業しやすくなる

仕組みを理解するとさらにキレイに

 空気の流れを分かりやすくするために、ドラム式の乾燥機能の概略図を掲載しておこう。

本体側のフィルターは、ホコリの溜まる面をブラシでゴシゴシこする

 洗濯槽内の湿った空気は、ポンプや送風機でフィルターへ送られる。洗濯物がある程度乾燥してくると、空気と一緒に衣類の綿ぼこりも飛んできて、フィルターの目にキャッチされるというわけだ。さらに、洗濯機本体側のフィルターでもう一度ホコリを除去したら、湿った空気は除湿ユニットに入る。

 除湿ユニットは、エアコンの除湿機能とまったく同じ。何枚も重ねた薄いアルミ板でできた熱交換器をキンキンに冷やし、湿った空気に含まれる水分をアルミ板が露として除湿するのだ。露はエアコンと同じで、洗濯機の排水ホースから捨てられるので、部屋に湿気が漏れることはない。

 除湿・乾燥した冷たい空気は、ヒーターユニットに入る。これも、除湿ユニットと同じアルミ板でできた熱交換器だが、ヒーターになっている。エアコンで除湿や冷房運転をすると、室外機から熱風が吹き出すのと同じ仕組みで、除湿ユニットで冷えた空気を暖めているのだ。

 こうして、乾燥した温かい空気はドラム内に送られて、洗濯物から水分を奪い、再びフィルターに循環するという仕組みになっている。

フィルターユニット回りは高圧空気が流れるので、空気が漏れるような洗剤の塊、小石、ホコリの塊などは、フィルター以外の部分でもキレイにする
数年に1回は綿棒を使ってしっかりお手入れしたい
ここまできれいにすれば、高圧空気が漏れることはない

 このように、ドラム式の乾燥機能は、密閉された洗濯機内の空気を循環しているので、部屋がジトジトすることがない。

 しかしフィルターが詰まってしまうと、湿った空気と乾いた空気の循環ができなくなるため、洗濯物が生乾きしたり、乾かなくなるのだ。

 場合によっては、脱着式のフィルターが空気圧で持ち上げられ、ゴムパッキンから高圧の空気が漏れ出して「ビー」「ブー」という音を立てる。

 乾燥機が衣類を乾かせない、音を立てる原因がこれではっきりしただろう。

見えないところに排水が残っていてチャプチャプ音がする

 洗濯物が乾かないときに疑いたくなるのが、ドラムを手で回すとするチャプチャプいう水の音。うまく排水できずに、洗濯槽の見えないところに水が溜まっているのかも? と思ってしまう。

 しかしこの水の音は、流体バランサーという機能で故障ではない。流体バランサーは、脱水時などに洗濯物が偏ってしまったときに、バランスを取って、ドラムを安定して回転させるもの。ドラムの円周に、密閉された流体バランサーの容器があり、この中に氷点下の気温でも凍らない水が入っているのだ。

 だからドラムを手で回すと水の音がするが、排水できなかった水が残っているわけではいので安心して欲しい。

調子が悪いと感じたら洗濯機の大掃除を!

 ここで紹介したお手入れは、年に1回やればいい。普段のお手入れは、フィルターのホコリを取り除くだけでOKだ。

 乾燥に時間がかかるようになったり、生乾きのまま、乾燥中に異音がするといったときは、ぜひフィルターの大掃除をしてみてはいかがだろう。

(藤山 哲人)