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家電製品レビュー
三洋電機「DW-SA1」

~台所用洗剤も使える高い自由度
Reported by 田中 真一郎

三洋電機「DW-SA1」
 食洗機を使い出して9年ほどになる。共働き+子ども1人の我が家では、食洗機がないとほかの家事に支障が出るレベルまで、食洗機に依存してしまっている。ことに、同居人は手が荒れがちで、毎日食器を手洗いするのが辛いという。食洗機がなかったころは、洗い物を出さない工夫をしたり、朝まとめて筆者が洗ったりしていたが、今は子どももいるので、そんな生活に戻るのはイヤだ。

 我が家の食洗機は、中古で買った我が家に前の住人が置いていった、おおむね10年ほど前のTOTOの製品「EUD110」だ。それまでも別のメーカーの食洗機を使っていたのだが、残されていた食洗機は清潔で十分に使えたし、EUD110を処分して、持ってきた食洗機に置き換えるのも面倒だったので、そのまま使うことにしたのだ。持ってきた食洗機は親戚にあげた。

 EUDII0は、自分が選んで出資したものではないが、我が家の家電の中では最も愛着のある製品かもしれない。洗濯機や掃除機や電子レンジの類は、子どもの頃から慣れ親しんでいるが、家庭を持ってから、家庭の維持に明確に役立ってくれたのは、食洗機だ。だから余計に印象深いものがある。

 そんな大切な食洗機がついに壊れた。ドアの端から水が漏るようになったのだ。

 水漏れならパッキンの交換程度で終わるのではないか、とメーカーに修理を依頼したら、修理は出張ではできない、すべて持ち帰りになる、費用も時間もかかるので新しいのを買ったほうがいい、という。

 EUD110を使い慣れていることもあるし、費用もかけたくない。この程度でまるごと買い替えなど、エコだリサイクルだというご時世にどうも釈然としないが、DIYでも水漏れの原因はわからない。というわけで、新調することにした。


サイズで迷う

 まず迷ったのが大きさだ。EUD110は、流し台の横のスペースに設置していたのだが、背が高く、幅が狭く、奥行きがそこそこある。だいたい500×300×600mm(幅×奥行き×高さ)だ。しかし量販店などの食洗機コーナーに行くと、いまどきの食洗機の大半は、背が低く、幅が広く、薄い。EUD110とは真逆のプロポーションをしているので、同じスペースに入りそうに見えない。

 TOTOは同じようなプロポーションの機種を作り続けているが、行きつけの量販店ではもうEUD110は取り扱っていないし、どこに売っているのかすらもよくわからない。三洋電機にも似たような形の機種があるが、こちらは奥行きがありすぎて入らなさそうだ。それにこの2機種は、後述するが機能的にもオーソドックスすぎて、いまひとつ面白みに欠ける。どうせ新機種を買うなら、今どきっぽい機能やギミックも楽しみたいではないか。

 EUD110を置いてあったスペースの寸法を、周辺を含めて仔細に測り、カタログの詳細な寸法図を見て、さらにメジャー持参で売場の実機の各部寸法を測ったところ、たいていの4~5人用機種は押し込めるとわかった。

 仕様表の外形寸法は、寸法が最大となる部分の数値でしかないのでわからなかったが、たいていの機種は500×300mm程度のスペースに置けるように20mmほどの高さの脚がついていて、これで周囲の段などをクリアできるようになっている。また横幅も、今までよりも多少はみ出すにしろ、そのために台所の使い勝手が悪くなるようなことはないようだった。念のため、「もし設置できなかったら返品」と、販売店と約束して買うことにした。


面白い機種がほしい

DW-SA1の洗剤入れ。専用洗剤も台所洗剤もここに入れ、フタを閉める。本洗浄工程(後述)になると、バネでフタがぱちんと開き、洗剤が投入される仕掛け
 ではどの機種を選ぶか。東芝「DWS-600A」のレポートにもあるように、食洗機の世界ではナショナルや東芝が大きなシェアを握っていて、シャープ、三洋電機、三菱電機、TOTOなどが小さなパイを分け合っている。松下や東芝の安心感も捨てがたいが、どうせなら変わった機能やデザインが欲しい。こういうときに面白いものを出すのが、小さなパイを分け合っているグループだ。

 結局、三洋電機の「DW-SA1」を選んだ。決め手となったのは、「約35dBの静音設計」だ。旧機種では大いに騒音が発生して、台所と居間の間の扉を閉めても、テレビなどの音が聞こえにくくなるのが不満だったのだ。

 さらに、専用洗剤も通常洗剤も使えて、センサーで食器の汚れを検知して洗浄力を制御する機能も魅力的だった。なにかといい加減な我が家では、しょっちゅう食洗機専用洗剤を切らして、あわてて買いに走った経験が幾度もある。食洗機を使うようになっても、食洗機に入らなかったものや、食洗機で洗えないもののために一般の食器洗剤は買い置いてある。両方が同時になくなるということはないだろうから、非専用洗剤も使えるというのは実に便利な機能に思えた。

 というわけでとある週末に量販店で57,800円で購入した。これに標準取付工事料8,400円が加算される。取り付けは次の水曜日になるというが、共働きなので水曜日は家に誰もいない。なので、次の週末に来てもらうことにした。


DW-SA1を設置したところ。左は冷蔵庫。DW-SA1の下に板を敷いて流し台の上に置いている。EUD110も同じような設置の仕方をしていた ドアを開いたときに水栓にぶつからないかどうかも心配だったが、ちゃんとクリアした

分岐水栓に問題

 取り付けはあっけなく終了、と書きたいところだが、ちょっとだけ問題があって、それは水栓だった。我が家にはすでにTOTO用の分岐水栓が取り付けてある。たいていの水栓は同じもの、と聞いていたので、流用するつもりだったのだが、取り付けの段になってTOTOと三洋電機の水栓には互換性がないことがわかった。

 もっともこれはTOTO用から三洋用に変換するアダプタを作業員がちゃんと持ってきていたので、TOTOの水栓の先にそれを取り付けるだけで終了した。心配だった据え付けスペースにも、問題なく収まってくれた。変換アダプタの価格は3,000円だった。30分もかからずに取り付けは終わった。


TOTOの分岐水栓
TOTOの分岐水栓の先(写真左側)に変換アダプタを付けて、DW-SA1に接続した

感動の静粛性と、庫内レイアウトの自由度

ドアは上下に開く
 DW-SA1は、最近の食洗機としては一般的な横長のフォルムで、この形を見るたびに、筆者はいつもエアコンを思い出す。サイズは580×346×540mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約21kg。写真を見ていただければわかるとおり、本体の前半分は流しの上にまたがって設置せざるを得ないので、なんらかの台が必要になる。TOTOの機種では専用の金属板の上に置かれていたが、DW-SA1には寸法が足らず、近所のホームセンターで20mmほどの厚さの木の板を買ってきて、防水スプレーを吹いてこれを台とすることにした。21kgもの重量に木の板が耐えられるかどうかが心配だったが、導入から3カ月ほど経った今のところ、問題はない。

 DW-SA1のドアは長辺の前部にあり、上下に分割して開く。下ドアのハンドルを引くだけで上下ともドアが開閉するが、複雑な機構であろうにもかかわらず、開閉は非常にスムースで、さほど力も必要としない。

 開口部は非常に広く、食器の出し入れはしやすい。開閉、とくに閉めたときに若干剛性感が足りないように思えて心もとないが、水が漏るなどのトラブルはもちろんないし、きっちり閉まってロックされなければ、動作しないようにもなっている。

 上部のドアを開けると、DW-SA1の本体より100mmほど上にはみ出すことになるので、食洗機の上部にはそのくらいの空間が必要になる。また開くと上部ドアが天板をふさぐ形になるので、食洗機の上にモノがおけない。以前の食洗機では上に小さなオーディオや洗剤などを置いていたのだけど、これらは配置を変えざるを得なかった。


本体上部にモノを置けそうなスペースがあるが……
上ドアでふさがれる

コントロール部。右が専用洗剤コース、左が台所洗剤コース
 スイッチ類が並ぶコントロール部は、下ドアのさらに下にある。電源を入れて、洗浄コースを選び、スタートボタンを押す。洗浄コースは食洗機専用洗剤コースと台所洗剤コースに分かれていて、スタートボタンをはさんで左右に配置されている。ぱっと見ではどう操作していいのか迷うが、慣れれば問題ない。

 DW-SA1でまず感動したのはやはり音だ。スイッチを入れてもほとんど音がしないので、最初は動いているのかどうか心配になったほどだ。ドアに着いている窓にしぶきがかかったりするのを見て、やっと「ああ動いているな」とわかる。洗浄が始まり、排水などを行なうとさすがに音が出るので、やはり台所と居間の間の扉を閉めたくなるのだが、閉めれば無音と言っていいくらいだし、音が出る時間がTOTOの機種より圧倒的に短いので、快適性は向上した。

 庫内の食器レイアウトの自由度の高さも、感心したポイントのひとつだ。食器を置く棚は2段あり、どちらの段も2つのエリアに分けてある。上段の左エリアは右エリアよりも低くなっており、高さのあるコップなども置くことができる。さらに、左エリアはカゴの高さを変えることができる。ただし、このカゴの高さ調整は、ピンにカゴの小さな切り欠きをひっかけるだけという仕組み。うまくピンにひっかからないことが多く、ちょっとイライラする。


DW-SA1の庫内レイアウト。上下段に2つずつのエリアがあり、下段のエリアの間には箸やスプーン類を立てたり、包丁を収納する場所がある
上段左エリアのカゴは高さを変えることができる
下げたところ

左エリアのカゴを上げたところ。画面中央のピンでカゴを支えているが、ちょっとひっかけにくい
下げたところ

 上段のカゴはどちらも取り外すことができて、麦茶ポットのような長尺物や、大きな皿などを下段に入れることができる。下段は金属ワイヤと、食器を立てかけるピンで構成されているが、ピンは一部可動式になっていて、食器の大きさに合わせて調整することができる。


上段右エリアのカゴ
外せば長尺モノを入れることができる

上段を支えるレールは上下2つ用意されていて、高さを変えることができる。こちらは下げたところ 上げたところ。我が家ではほぼこの状態で固定

下段右エリアは皿などを立てる場所
長尺モノを入れるときは、皿立てピンを倒す

下段左エリアには、茶碗や丼、皿などを立てるピンを装備
ピンの間隔を変えて大きさの異なる食器に対応する

 もっともここまで自由度が高いと、逆にどこに何を置いていいものか、迷ったりするのは贅沢というものか。おすすめの配置方法が説明書に書いてあるが、食器の形やサイズはかならずしも我が家のものと一緒ではない。

 どんな配置がもっともたくさん洗えて、しかも洗浄効果が高いのかは、やはりユーザーがその家の事情に沿って考える必要があるだろう。まな板や箸のように置き場が決まっている物を入れ、麦茶ポット、鍋などの大きなものを入れ、余ったスペースに小さいものを押し込んでいくということになるが、茶碗やコップ、小皿を収納しきれなくなって、大きな鍋を取り出してやりなおし、なんてことを何回か繰り返した。導入から3カ月経った今でも、新たなトライ&エラーと発見を繰り返している。

 欲を言えば、上段の奥行きと高さがもうすこしあれば、深鍋や炊飯器の内釜などを上段に置けて、ありがたいのだが。

 また、上段も下段もカゴを前方にスライドさせて食器を出し入れしやすくしているのだが、上段のカゴがわずかに前方に出ているだけでも、ドアが閉まらない。ドアを閉めると、自動的にカゴも引っ込むような仕組みがほしいところだ。


上段右のカゴをはずして、下段に大きな皿を入れた
上段カゴを下げて、中華鍋をつっこんだ

経済性重視だが洗浄能力に問題なし

【動画】前面のインジケーターが赤、黄、緑と移り変わり、汚れの度合いを表示する。今回は緑色に決定(WMV形式、約3.3MB)
 DW-SA1の洗浄機能は「しっかりママ洗い」というコピーでアピールされている。その実態は、

 (1) まず水流だけで食器を予備洗い
 (2) 予洗いの排水の汚れ具合を光センサーで検知し、本洗いでの水量と洗浄時間を決定
 (3) 洗剤による本洗いとすすぎ、乾燥

という3ステップを踏む仕組みになっている。本体前面には3色に光るインジケーターがあり、検知した汚れの度合いをひどい順に赤、黄、緑で表示する。予洗いと汚れ検知の最中はこれが各色順番に点滅し、汚れの度合いの測定が終了すると、その色が光るというギミックもある。どこかスロットマシンのようで、つい見入ってしまう。

 ちなみに、3のステップで初めて洗剤が投入される。洗剤ポケットにはバネ仕掛けのフタが付いていて、あらかじめ洗剤を入れておき、これを閉める。3のステップになると自動的にフタが開いて、洗剤が投入される。

 つまりこの食洗機は、「どんな汚れも落とす洗浄能力」よりは、「汚れに応じて水などを節約できる」という経済性のほうが重視された設計になっている。シャープの塩洗浄、東芝のスチームエンジン、ナショナルの除菌ミストと、他の製品が洗浄力を主眼においた機能をアピールしているのとは対照的である。

 水だけでなく洗剤の節約にも配慮されいて、軽度の汚れなら「洗剤なし」コースを選ぶこともできる。家計に与える影響は測定できなかったが、心理的には非常にうれしい機能だ。

 経済性重視だからといって、洗浄能力には不満はない。茶碗にこびりついた米粒が残ったり、グラスの汚れが落ちなかったことが数度あったが、これはいずれも、大きな鍋や炊飯器の内釜を、茶碗やグラスへの水流を妨害する位置に置いてしまったために、うまく洗浄できなかっただけのようだ。ケーキミックスの残りがへばりついたボールはさすがにきれいにならなかったが、これを落とせる食洗機もあるのだろうか。

 以前使っていた10年前の機種の洗浄能力とくらべれば格段に上なのはあたりまえなのだが、我が家では10年間の基準に合わせて、使った食器をすぐに水に漬けておいたり、なるべく時間をおかずに洗浄するようにしている習慣になってしまっているせいもあるかもしれない。

 ウリのもうひとつである「台所用洗剤による洗浄」だが、こちらは洗浄時間が20分ほど長くなるだけで、洗浄能力に違いはみられない。ただし、洗浄コースは「標準」、「2~3人用」、「高温除菌」だけで、専用洗剤にある「パワフル」、「スピーディー」コースはない。


最新機種はイイ!

 食洗機を導入すると「食器をすべて手で洗う」から「食器を庫内に入れる」まで、作業時間が短縮される。こうなると「食器を入れる」時間も短縮したくなるもの。

 この点、DW-SA1はそのレイアウトの自由度の高さゆえ、迷うこともあるものの、総合的に食器を入れる時間も短縮されている。なにより鍋釜フライパンのような大物も手洗いせずにすむようになったし、洗い切れなかったものを洗いなおす手間もはぶけるようになった。

 使っていた機種の故障が原因とはいえ、最新機種に買い換える意義は大いにあったと感じている。





URL
  三洋電機株式会社
  http://www.sanyo.co.jp/
  製品情報
  http://www.e-life-sanyo.com/products/dw/DW-SA1_S/index.html

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2007/05/24 00:33

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