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第17回:電子レンジとは



食品の水分子がこすれ合う摩擦熱で加熱

マイクロ波を発生し、食品内の水分子を振動させて加熱するのが電子レンジだ(写真はシャープ「RE-TD1-W」)
 電子レンジは、電波を利用して食品を温める調理器具のことです。お弁当や冷凍食品の調理、料理の温め直しなどに重宝する調理器具で、現在では生活必需品と言ってもいい存在であることは、言うまでもありません。高級タイプのオーブンレンジ、スチームレンジにも、電子レンジ機能は搭載されています。

 しかし、なぜ電波で食品が温まるのでしょうか。改めて加熱の原理を確認しますと、まず電子レンジは波長の非常に短い電波(マイクロ波)を食品に向かって照射します。その食品に含まれる水分子がマイクロ波のエネルギーを吸収し、水分子が振動し始めます。この振動で水分子同士がこすれ合うことで摩擦熱が生じ、発熱します。これが、電子レンジで食品を加熱できる原理です。

 この原理は、アメリカの軍事メーカーであるレイセオン社の技術者が、レーダーの開発のためにマイクロ波の実験を行っていた時に偶然発見したものです。その後、レイセオン社は1947年に世界初の電子レンジを発売しました。日本で初めて電子レンジを開発したのはシャープ(当時の早川電機工業)で、1961年のことでした。1962年に業務用としての販売が開始され、1964年には東海道新幹線の食堂車に導入されるなどして話題となりました。

 電子レンジ登場当時は、ほとんどが業務用向けだったことや、販売価格が非常に高価だったこともあって、一般家庭で利用できるようなものではありませんでした。しかし、火を使わずに手軽に食品を温められる利便性の高さが徐々に受け入れられ、さらに価格も低下したことで、一般家庭にも普及が進んでいきました。その後、冷凍食品の発達や、電子レンジで温めるだけですぐに食べられる食品の登場などによって、電子レンジは家庭になくてはならない存在に成長したのです。


電子レンジが発熱する仕組み。電波を発することで庫内の食品の水分子がこすれ合い、その摩擦熱で発熱する(資料提供:シャープ) 1962年に発売された、国産第1号の電子レンジ「R-10」。メーカーは早川電機工業(現在のシャープ)

コンビニの電子レンジにターンテーブルがない理由

 さて、家庭用の電子レンジでは、電子レンジ庫内のターンテーブルに食品を載せて加熱するという構造が一般的です。これは、食品を回転させることで、食品にマイクロ波をむらなく照射し加熱するための仕組みです。

 ところが、コンビニエンスストアなどで利用されている業務用の電子レンジではターンテーブルを備えていないものがほとんどです。また、近年では家庭用の電子レンジでもターンテーブルを備えていない製品が増えています。これらの製品では、庫内でマイクロ波を乱反射させる構造を取り入れたり、ターンテーブルではなくマイクロ波のアンテナ自体を回転させることによって、食品をむらなく加熱できるようになっています。

 ターンテーブルを利用する電子レンジでは、お弁当を温める場合など、庫内で箱の角がぶつかってうまく回転せず、温めムラが発生することがあります。ターンテーブルのない電子レンジなら、庫内にギリギリ入るサイズの食品でもムラなく温めることができます。


1966年、ターンテーブル式の電子レンジを世界で初めて開発したのも早川電機工業(現シャープ)だった ターンテーブル式の電子レンジでは、弁当箱など大きなものを加熱する場合、庫内で壁につっかえて回転しない場合がある(写真はシャープ「RE-TD1-W」) ターンテーブルのない平面(フラット)式は、食品を回転させずにムラなく全体を温められる(写真は東芝「ER-E3」)

平面式の電子レンジでは、庫内底部のマイクロ波の発生装置が回転しているため、食品をまんべんなく加熱できる(動画は東芝「カロリエVS ER-E350」)

利用できない器や不向きな食材がある

 電子レンジは、手軽に食品を温められる非常に便利な調理器具ですが、電波を使って食品内部から加熱するという性質上、利用時に気を付けなければならない点がいくつかあります。

 まず、食材を乗せる器ですが、金属製の器や鍋、耐熱性のないガラス器やプラスチック容器などは利用できません。基本的に、金箔などの金属による装飾が施されていない、陶器や磁器、耐熱ガラスなどの素材でできた器を利用する必要があります。もし、金属製の器や金属による装飾が施された器を利用すると、金属とマイクロ波が反応して火花が生じてしまいますので、絶対に庫内に入れてはいけません。また、耐熱性のないガラス器は食材の熱によって割れることがありますし、耐熱性のあるプラスチック容器でも、使い方によっては熱で溶ける可能性があります。

 また、電子レンジでの加熱に向かない食材もあります。例えば、たまごを電子レンジで加熱すると爆発するということは非常に有名ですのでご存じの方も多いかもしれません。それ以外にも、ソーセージのように膜で覆われている食材も、そのまま電子レンジで加熱すると破裂する危険があります。

 食材が破裂するだけですめばいいですが、それが原因で火災が発生したり、ケガをする可能性も十分考えられます。製品のマニュアルには、利用できない器や食材についての記述がありますので、そちらを参照しつつ、使用が禁止されている器を使ったり、不向きな食材を加熱することは絶対に避けるようにしましょう。


シャープの高級オーブンレンジ「ヘルシオ」では、電子レンジ機能に加え、高温のスチームで調理する機能も搭載されている
 ちなみに、高級タイプのレンジでは、非常に高熱のスチーム(過熱水蒸気)を使って調理を行なうタイプもあります。これについては機会を改めて紹介します。





【電子レンジ】の、ここだけは押さえたいポイント

・マイクロ波を食品に放出、水分子を振動させ、その摩擦熱で発熱する
・ターンテーブルのない製品では、庫内ぎりぎりのサイズの食材もむらなく加熱できる
・金属やたまごなど、対応しない器や食材の利用は非常に危険

2008年9月10日 初版




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2008/09/10 00:02
平澤 寿康
1968年、香川県生まれ。1990年代前半にバイト感覚で始めたDOS/V雑誌のレビュー記事執筆を機にフリーのライターとなる。雑誌やWeb媒体を中心に、主にPC関連ハードのレビューや使いこなし、ゲーム関係の取材記事などを執筆。基本的にハード好きなので、家電もハード面から攻めているが、取材のたびに新しい製品が欲しくなるのが悩ましいところ。

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