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第38回:体組成計とは



測定がラクな「乗るだけ」タイプ、部位ごとに細かく測定できる「グリップ」タイプ

体組成計は体重だけでなく、体脂肪量や筋肉、基礎代謝なども測定できる。写真はタニタの体組成計「インナースキャン50 BC-305」
 「体組成計」は、体脂肪や筋肉、骨など、人間の体を構成する成分――いわゆる“体組成”の量を計測する器具のことです。自分の体の状態を把握し、健康のために役立てることができます。当初は、体脂肪率を測定する「体脂肪計」として登場しましたが、その後、筋肉量や骨量なども計測できるようになったため、体組成計と呼ばれるようになりました。

 現在、家庭用として販売されている体組成計の主流となるのが、体重とともに体組成も計測できる一体型ですが、これは大きく2種類のタイプに分かれます。1つは、素足で本体に乗るだけで体組成を計測できる「乗るだけ」タイプ、もう1つは、素足で本体に乗りながら、両手で本体のハンドル部を握り持ち上げる「グリップ」タイプです。

 体組成を計測するという基本的な部分では、どちらのタイプでも大きな差はありませんが、それぞれにメリットとデメリットがあります。例えば、手軽に体組成を計測するという観点では、「乗るだけ」タイプの方が有利です。また、体組成を計測する場合には、脚や腕の角度が少し変わっただけでも誤差が出てしまいますので、安定した姿勢を保ちやすく測定結果に誤差が生じにくいという意味でも有利となります。

 一方、手にハンドルを握る「グリップ」タイプの体組成計では、脚や腕、おなかまわりなど、部位ごとに体組成を計測できるようになります。また、両腕両脚を利用して体組成を計測するので、より正確な体組成が計測できることにもなります。そのため、より正確に、また部位ごとに細かく体組成を計測したい場合には、「グリップ」タイプの方が有利となります。


「乗るだけ」タイプは、本体の上に乗るだけで簡単に体組成が計測できる。写真はタニタ「BC-528-SV」 測定結果は本体上に表示される。写真は「BC-528-SV」での基礎代謝の表示

こちらは「グリップ」式のオムロン「カラダスキャン HBF-701」 写真のようにハンドル部を握って持ち上げることで、部位ごとの詳しい体組成を計測できる 測定データは主に持ち上げたハンドル部に表示される

微弱な電流に対する抵抗値をもとに、蓄積された膨大なデータから体組成を推測

 しかし、何故本体に乗るだけ、あるいはグリップするだけで、体組成が計測できるのでしょうか。

 実は体組成計には、本体やグリップに電極が用意されています。その電極で体に微弱な電流を流すことで、体内の抵抗値(インピーダンスと言います)を計測し、その結果をもとに体組成を計測しています。

 家庭用の体組成計は、実際に体組成を計測しているわけではありません。体組成を正確に計測するには、非常に大がかりな計測装置が必要となります。しかし、そのような大がかりな計測装置の機能は家庭用の計測機器に盛り込めません。そこで、体組成計メーカーは、あらかじめ大がかりな計測装置でサンプルを集め、そのデータをもとに体組成を推測しているのです。


タニタでは骨密度測定装置(DXA)という大がかりな設備でインピーダンスを計測。体組成計はそのサンプルデータを元に、体組成の推定値を表示する
 例えば体組成計メーカー大手のタニタでは、性別、年齢、身長、体重など、条件の異なる様々な人の体組成および体内インピーダンスを、「骨密度測定装置(DXA)」と呼ばれる測定装置を利用して計測しています。サンプルデータは、累計数万人にも及んでおり、その膨大なサンプルデータを元に、体内インピーダンスと体重の計測結果、さらにあらかじめ登録してある性別、年齢、身長の各データから、被計測者の体組成を推測して表示するようになっています。

 もちろん、推測値ですので、実際の値から誤差が生じるのは避けられません。しかし、サンプルデータが非常に多いこともあって、その誤差はかなり少なくなっています。家庭用の体組成計でも、十分に信頼できる値が測定できていると考えて問題ありません。


パソコンや携帯、Web連動でデータを管理できる機種も

 体組成計では、体重や体脂肪率に加えて、内臓脂肪、筋肉量、骨量など、膨大なデータが測定できます。そのため、毎日その膨大なデータを記録するのもかなり大変な作業となります。もちろん、本体に過去のデータをメモリーする機能も用意されてはいますが、一定期間しかデータが保持されませんので、過去の詳しいデータを参照しようとしても見られない場合も少なくありません。そこで最近では、測定データを手軽に活用できるような機能を持つ製品が増えつつあります。

 例えば、タニタの「BC-501」では、専用のUSBメモリに測定データを記録し、そのUSBメモリをパソコンに接続して測定データをPCで管理できるようになっています。また、オムロンの「HBF-363IT」では、赤外線通信で測定データを携帯電話に転送して、携帯電話で管理できるようになっています。こういった製品を利用すれば、膨大なデータも手軽に記録したり参照したりできて非常に便利です。

 また、各メーカーとも、Webを利用して測定結果を活用するサービスも提供しています。Web上で測定結果を管理するのはもちろん、測定結果をもとに健康管理のアドバイスも行なっています。これからは、単に体組成を測定できるだけではなく、測定したデータの活用法が用意されているかどうかも、製品を選ぶ上で重要なポイントとなるでしょう。


タニタ「BC-501」は、USBメモリを経由してパソコンに測定データをまとめられる タニタのウェブアプリケーションサービス「からだカルテ」なら、測定データをグラフ化して見ることも可能

オムロン「カラダスキャン HBF-363IT」。赤外線通信で測定データをNTTドコモの携帯電話に集積できる iアプリ「BI-LINKモバイル」でグラフ表示も可能

毎日同じタイミングで計測するのがベスト

 家庭用の体組成計は、体内インピーダンスから体組成を推測しているという仕様上、計測時の条件によって誤差が大きくなる場合があります。例えば、朝起きてすぐの状態と、1日活動した後の夕方以降とでは、体内の水分分布が大きく異なるために、測定結果も変わってしまいます。そのため、計測誤差を少なくしたいなら、基本的に毎日同じタイミングで計測するのがベストとなります。

 ちなみに、体組成を計測するタイミングとしては、1日活動して帰宅し、食事を取る前、かつ、お風呂に入る前が最も適しています。また、計測時にはなるべく裸に近い状態がいいようです。帰宅時に着替えるのと同時に計測するよう習慣付ければ、毎日同じタイミングで、なおかつ最適のタイミングで計測できます。




【体組成計】の、ここだけは押さえたいポイント

・体組成計は、体重だけでなく体脂肪/筋肉/骨などの量を測定する器具
・測定が簡単な「乗るだけ」タイプ、部位ごとに詳しく測れる「グリップ」タイプに二分される
・体内に微弱な電流を流し、その反応を膨大なサンプルデータから推測している
・パソコンや携帯と連動し、データを保存できるタイプが増えている

2009年2月27日 初版





URL
  現代家電の基礎用語 バックナンバー
  http://kaden.watch.impress.co.jp/cda/word_backnumber/
  体重計/体組成計 関連記事リンク集
  http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/h_meter.htm

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2009/02/27 00:08
平澤 寿康
1968年、香川県生まれ。1990年代前半にバイト感覚で始めたDOS/V雑誌のレビュー記事執筆を機にフリーのライターとなる。雑誌やWeb媒体を中心に、主にPC関連ハードのレビューや使いこなし、ゲーム関係の取材記事などを執筆。基本的にハード好きなので、家電もハード面から攻めているが、取材のたびに新しい製品が欲しくなるのが悩ましいところ。

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