● エネルギー効率の良いヒートポンプで湯沸かし。自動湯はりや床暖房などの機能も
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エコキュートはヒートポンプユニットを用いることで、ランニングコストを抑えて湯を沸かせる(写真はパナソニックのエコキュート「KUシリーズ」)
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「エコキュート」とは、ヒートポンプを利用して効率よくお湯を沸かす電気給湯器の愛称です。電気の力でお湯を沸かすということで、IHクッキングヒーターと並びオール電化住宅に欠かせない機器となっています。
エコキュートの最大の特徴となるのが、従来の電気給湯器と比べて低い消費電力でお湯を沸かせる点です。これは、エアコンの冷房・暖房技術としておなじみのヒートポンプを利用してお湯を沸かしているからです。ヒートポンプは、こちらで解説したように、空気から熱を取り出すことで、ヒーターを利用する場合に比べて、同じ消費電力で6倍以上もの熱エネルギーが取り出せる利点があるのです。
さらに、電気料金の安い深夜時間帯(夜11時から朝7時)に稼働させてお湯を沸かすことで、ランニングコストを抑える工夫が盛り込まれています。電力会社ではエコキュートの稼働に合わせるように、深夜時間帯の電気料金がさらに安くなる契約プランも用意していますので、組み合わせて利用すれば、電気代を非常に安く抑えることができます。
エコキュートは基本的には、ヒートポンプで沸かしたお湯を、お風呂や台所で給湯するというものになります。しかし中には、自動でお風呂にお湯を張る機能や、沸かしたお湯を床暖房や浴室暖房に使える製品もあります。単に給湯だけでは終わらない、広い使い方ができるというのもメリットでしょう。
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ガス燃焼式の給湯器よりも給湯の効率がよく、CO2排出量も少ない(ナショナル「KUシリーズ」発表会時のパネルより)
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ヒートポンプユニットを使った床暖房にも応用できる(写真は三菱電機の「エコヌクール」)
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ただし、導入の際には1平方mほどの設置場所を確保する必要があります。ヒートポンプでお湯を沸かす給湯ユニット(ヒートポンプユニット)と、沸かしたお湯を溜めておく貯湯ユニットの2ピース構成が基本となっており、貯湯タンクには300~550リットルのお湯を溜めるため、それだけ設置サイズも大きくなってしまうのです。
さらに、ガス給湯器に比べて初期導入コストがかなり割高になる点もネックとなります。しかしこれは、前回のオール電化の項でも述べたとおり、エコキュート導入時には補助金が受けられる制度が用意されています。その後のランニングコストも加味すれば、その差額を取り戻すことも可能で、トータルでは割高にはならないという見方もできます。
ところで、深夜時間帯にヒートポンプでお湯を沸かすというシステムのために、以前は寒冷地での利用が難しかったのですが、現在ではヒートポンプの高効率化が進んで、マイナス20度という低温環境下でもお湯を沸かせる製品が登場しています。寒冷地での利用もほぼ問題がなくなっていると考えていいでしょう。
ちなみにエコキュートは、財団法人電力中央研究所が開発した、CO2を冷媒とするヒートポンプを利用した電気給湯器だけが名乗ることができる愛称です。万が一、冷媒が漏れ出したとしても、CO2なので環境に対する影響が非常に少ないという点もエコキュートの大きな特徴のひとつです。そのため、同じヒートポンプを利用する電気給湯器でも、東芝の「ほっとパワーエコ」のように、エアコンと同じ「R410A」という物質を冷媒としている製品はエコキュートとは呼ばず、補助金は受けられません。
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エコキュートの基本構成は、ヒートポンプユニット(室外機)と、貯湯ユニットの2ピースで構成される(写真はナショナル「KUシリーズ」)
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エコキュートの問題点は、その設置面積の大きさ。そのため各社とも省スペース、小型化を図っている(写真はマンションなどのメーターボックスにも設置できることをアピールする三菱電機の「SRT-HP37W2」)
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近年は寒冷地向けのエコキュートもある(写真は三洋・北海道電力の共同開発による「SHP-TCCH37F-GK」)
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● 暮らしに適したタンク容量が購入のポイント
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エコキュートの容量は、基本は370/460Lだが、これより小さい・大きいタイプを用意するメーカーもある。暮らしに合ったサイズを選びたい
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エコキュートの導入前には、1日にどの程度のお湯を使うかをしっかり考えることがポイントとなります。なぜなら、ガス給湯器のように使うときにお湯を沸かすのではなく、深夜に大量のお湯を沸かしてタンクに貯めておき、日中から夜にかけてそのお湯を使うというサイクルになるからです。
現在市販されているエコキュートでは、お湯を溜める貯湯タンクに、300~550リットルのお湯が溜められます。ただ、大量のお湯を使ってしまいお湯が足りなくなると、昼間の割高な電気料金でお湯を沸かすことになりますので、電気代が高くなってしまいます。また、大量にお湯を使う時のことを考えて大容量の貯湯タンクを選択した場合でも、お湯を使い切れずに余らせてしまっていては無駄になります。そのため、導入時にはどの程度のお湯が必要かしっかり計算した上で、無駄なく使い切れる容量の貯湯タンクを選ぶことが大切です。
一般的には、2~3人の家族では300リットル、3~4人の家族では370リットル、4~7人の家族では460リットルのタンクを選択しておけば問題がないと言われています(参考資料:中部電力)。ただし、この数字はあくまでも目安です。同じ家族構成でも、お風呂に入る時間がバラバラで追い炊きをする機会が多いという場合には、当然必要となるお湯の量も増えてしまいます。そのため、家族構成だけでなく生活パターンも考慮しつつ、購入時に十分相談することが大切です。
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日立のエコキュート「ナイアガラ出湯」におけるシステム構成図
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【エコキュート】の、ここだけは押さえたいポイント
・ヒートポンプを利用するため、ランニングコストを抑えられる ・ヒートポンプユニットと貯湯ユニットでワンセット。そのため設置サイズが大きくなる ・導入前は、1日に湯の使用量を確認しておこう
2008年7月16日 初版
■URL
オール電化 関連記事リンク集
http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/alldenka.htm
■ 関連記事
・ 第9回:オール電化とは(2008/07/09)
・ 第6回:エアコンの心臓部「ヒートポンプ」とは(2008/06/18)
2008/07/16 00:02
平澤 寿康 1968年、香川県生まれ。1990年代前半にバイト感覚で始めたDOS/V雑誌のレビュー記事執筆を機にフリーのライターとなる。雑誌やWeb媒体を中心に、主にPC関連ハードのレビューや使いこなし、ゲーム関係の取材記事などを執筆。基本的にハード好きなので、家電もハード面から攻めているが、取材のたびに新しい製品が欲しくなるのが悩ましいところ。 |
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