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大阪府貝塚市「二色の浜工場」に、HIT太陽電池の生産工場を増設する。写真中C棟が新棟
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三洋電機は、同社独自の太陽電池「HIT太陽電池」の生産工場を増築し、2010年度には現在の約2倍となる約600MWの生産能力を目指す方針を発表した。
新棟が建設されるのは、大阪府貝塚市の二色の浜(にしきのはま)工場。2月17日に着工し、10月の完成、2010年度末の操業開始が予定されている。同社のHIT太陽電池の生産能力は、現在は年間340MWだが、今回の新棟建設によって、2010年度には約1.8倍となる年間600MW程度になるという。新棟の延べ床面積は18,000立方m、投資額は約60億円。
HIT太陽電池は、三洋電機独自の太陽電池セルで、セル変換効率(太陽電池のセルが受ける光エネルギーを電気に変える割合)が「業界トップクラス」の19.7%と高い点が最大の特徴。また、温度上昇による出力低下も少ないため夏場の使用に向いており、さらに表面だけでなく裏面でも発電することで、発電量が多いという長所もある。主に住宅用、屋根置き市場に投入される。
なお三洋は、薄膜太陽電池の製造を目的とした新日本石油との合弁会社「三洋ENEOSソーラー株式会社」を設立しているが、三洋ENEOSではHIT太陽電池は取り扱わず、中・大規模市場向けの薄膜太陽電池に集中する。
同社は2020年度の目標として、HIT太陽電池を2GWの生産規模へ拡大すると発表。さらに、HIT太陽電池と薄膜採用電池を合わせて現在よりも20倍増産し、世界での太陽電池のシェアを10%に伸ばすとしている。
三洋電機 執行役員 ソーラー事業部長 前田哲宏氏は、同社の太陽電池について「三洋は世界最高、最大レベルの研究開発陣を持っている。HIT太陽電池の変換効率の高さで、他社との違いを出していきたい」と語った。
また日本市場については、2005年度より廃止されていた家庭用太陽光発電の補助金制度が復活したことをについては「普及数はこれまで右肩下がりだったが、補助金が復活してからは右肩上がりになりつつある。もうしばらく続けていただきたい」と、補助金制度の継続を求めた。
三洋電機は、太陽電池や二次電池をコア事業に据え、「環境・エナジー先進メーカー」への変革を標榜している。
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2010年度には、2008年度予想の約2倍となる600MWの生産能力を目指す
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2020年度にはHIT太陽電池で現状の約10倍、HITと薄膜太陽電池で約20倍の増産を目指す
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写真中央がHIT太陽電池(周辺にあるのはエネループ関連製品)
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HIT太陽電池は変換効率の高さが特徴。現在のセル変換効率は19.7%だが、2010年には22%の高さで量産を目指すという
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夏などの高温時でも変換効率が下がりにくいという特徴がある
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三洋電機 執行役員 ソーラー事業部長 前田哲宏氏
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家庭用太陽光発電の補助金制度が復活。前田氏によれば普及数は「右肩上がりになりつつある」という
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■URL
三洋電機
http://www.sanyo.co.jp/
ニュースリリース
http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0902news-j/0216-1.html
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( 本誌:正藤 慶一 )
2009/02/16 17:56
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