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三洋電機、HIT太陽電池モジュール滋賀工場の開所式を開催


 三洋電機が、滋賀県大津市の三洋電機滋賀事業所内に建設を進めていたHIT太陽電池モジュールの生産拠点「ソーラー事業部滋賀工場」が完成。8月から本格稼働するのにあわせ、8月5日、開所式を行なった。


ソーラー事業部滋賀工場
ソーラー事業部滋賀工場が建設された三洋電機滋賀事業所 ソーラー事業部滋賀工場は、JR石山駅から車で約5分の距離にある

三洋電機の代表取締役副社長ソーラー事業担当・駿田和彦氏
 駿田副社長は、「この地は、三洋電機が創業間もない1950年から家電商品の主力工場として稼働し、1953年には国内初の洗濯機を生産。日本の家電製品の歴史を語る上で、大切な事業拠点となっている。その洗濯機事業が、昨年、群馬に集約されたことで、三洋電機が独自に開発したHIT太陽電池のモジュール工場として生まれ変わることになる。現在、三洋電機では、2010年の600MWの太陽電池の生産、2020年には4GWの生産規模を目指しており、日米欧の世界三大市場での量産体制を強化している。滋賀工場を、HIT太陽電池モジュールの主要生産拠点として、今後の動向を見ながら、さらなる生産規模拡大を検討している」とした。

 来賓として挨拶した滋賀県副知事・田口宇一郎氏は、「地球温暖化や、エネルギー需給への議論が高まるなか、人と地球にやさしい技術を持つ三洋電機は、環境で世界をリードする企業。このほど稼働する太陽電池のモジュール工場は、その第一線の工場となり、ここから発信される技術と製品によって、世界を舞台に、活躍することを期待する」とした。

 また、大津市産業観光部部長・村田省三氏は、大津市の目片信市長の代読として、「この地から生まれた洗濯機は、三洋電機の名を世界に知らしめた。新たな太陽電池モジュールの工場の稼働によって、環境・エナジーの先進メーカーとしての飛躍を期待するとともに、地域経済の活性化にも資するものと感謝する」などとした。


滋賀県副知事・田口宇一郎氏 大津市産業観光部部長・村田省三氏 ソーラー事業部滋賀工場で行なわれた開所式典の様子

テープカットに臨む関係者
 大津市では、2006年度から、新規設備投資を行なう企業に対しての助成制度を開始しており、今回の太陽電池モジュール工場も、同制度の助成を受けている。また、開所式典では、テープカットや記念植樹、新工場の視察が行なわれた。

 ソーラー事業部滋賀工場は、7,000平方m(約2,100坪)の建物面積、7,800平方m(約2,300坪)の延床面積を持つ、鉄骨造りの一部2階建ての工場となっている。

「既存の国内工場のラインをベースに、新工場のラインを設置した。製造面では、これまでの経験を生かして、効率的な設備づくりを行なっている」(ソーラー事業部事業企画部・木山精一部長)とした。投資額は約20億円。

 2008年度は、年産40MWの生産能力で稼働する計画であり、「社員の習熟度にあわせて、生産能力を拡大していくことになる」(三洋電機ソーラー事業部長の前田哲宏執行役員)としている。


月桂樹を植樹する関係者 月桂樹で作られた月桂冠は勝者に授与されるもの。ソーラー事業の勝者になることを込めて植樹したという

 工場内部の写真撮影は禁止とされたが、現在は、1ラインが稼働しており、約半分のスペースを使用しており、最大100MWまでの拡張が可能だという。今後、第2ラインの増設によって増産体制を敷けるほか、同事業所内には、新たに工場棟を建設できるスペースがあるという。

 生産ラインは、「コ」の字型で構築されており、島根三洋電機、二色の浜工場で生産されたセルがラインに投入されると、セルと配線材をハンダ付けする「タブストリング」、材料をガラス、EVA、セル、EVA、バックシートというように重ね合わせる「セッティング」、これらを一体化する「ラミネート・キュア」、出力を取り出す端子ボックスを手作業で装着する「端子ボックス取り付け」、疑似太陽光によって出力を測定する「完成品特性検査」の各工程を経て、モジュールとして出荷される。

 セルがラインに投入されて、モジュールとして完成するまでに、約3時間だという。現在は、10cm角のセルを使用したモジュールが生産されている。


三洋電機ソーラー事業部滋賀工場で生産される最大出力210W、18.9%のセル変換効率を持ち、12.5cm角のセルを72枚搭載したNKH210(左)と、最大出力200W、19.7%のセル変換効率を誇る、10cm角のセルを96枚搭載したBK200 二色の浜工場で生産されている12.5cm角のセル

 一方、同工場の屋上には、最大出力210Wと200Wをあわせて、240枚の太陽電池モジュールが設置されており、50KWの出力が可能だという。

 現在、同社では、HIT太陽電池セルの生産を、大阪府貝塚市の二色の浜工場、島根県雲南市の島根三洋電機の2か所で行なっている。二色の浜工場は、12.5cm角のセルで、2008年度の生産規模は210MW。島根三洋電機は、10cm角のセルで、生産規模は130MWとなっている。

 また、モジュール工場として、二色の浜工場(2008年度の生産規模見込み35MW)、東京製作所(同60MW)の国内2拠点、ハンガリー工場(2007年度実績で145MW)、メキシコのモンテレー工場(同20MW)の海外拠点2拠点を、それぞれ稼働させており、今回稼働させた滋賀工場は、これに加わる形で、国内向けモジュール生産の主要拠点となる。

「2008年度は、滋賀工場の新設、今年秋には、島根におけるセルの増産体制の確立によって、340MWの生産体制を確立する」(前田執行役員)とした。


三洋電機ソーラー事業部長の前田哲宏執行役員 ソーラー事業部事業企画部・木山精一部長 屋上には240枚の太陽電池モジュールが設置されており、50KWの出力が可能




URL
  三洋電機株式会社
  http://www.sanyo.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0808news-j/0805-1.html

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大河原克行の「白物家電 業界展望」
三洋電機のコア事業、太陽電池への取り組み(2008/07/31)



( 大河原 克行 )
2008/08/05 17:10

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