経済産業省は、頻発する給湯器や暖房機器の使用による一酸化炭素中毒の死亡事故をふまえて、事故の防止強化策を発表した。
概要としては、ユーザーに対する使用法の注意喚起、機器の安全基準の厳格化、安全性が低い機器の交換対応の強化の3点を軸としている。
ユーザーに対しては、「製品安全総点検週間」を年1回実施し、また毎月第2火曜日を「製品安全点検日」と制定。安全点検日に合わせてセミナーを開き、注意喚起を行なう。なお3月には、セミナーや千人規模のシンポジウムを開催。新聞広告での告知など、呼びかけを徹底する。
そのほか、自治体や消費者センター、大学など、各方面に対して注意喚起を要請する。国民生活センターでは、2月27日にセミナーの開催を決定。全国大学生活協同組合では、大学入学者にチラシを送付する。また各自治体・消費者センターでは、回覧板やパンフレットの配布も行なう予定。
メーカーをはじめとする業界には、従来の「換気の重要性」に加えて、「死に至る危険性」についても、新聞・テレビでの広告や、チラシの作成・配布などで、ユーザーに知らせるよう要請する。また、死亡事故が相次いでいるガス機器の事業者に対しては、ユーザーや小売店の求めに応じて無償点検を実施するよう指示している。
安全規制の強化としては、ガス事業者に対し、事故が起きた不完全燃焼装置付きの開放式小型給湯器について注意事項を追加するよう指示している。さらに、ガスが点火しなかった場合に再点火を繰り返すと、不完全燃焼防止装置にすすが付着し作動しなくなることから、連続での再点火を禁じるアナウンスの強化も求めている。
また、ガス用品の基準を、より安全性を高めたものへ改正するという。湯沸かし器やストーブへの再点火防止装置搭載を義務化するほか、一酸化炭素の排出量基準をより厳しくする。
なお、開放式小型湯沸かし器の安全性も再検討する。リンナイ製の湯沸かし器による事故について行なった事故原因の究明と点検の結果をもとに、対策を講じるとしている。
ガス事業者では、1月より不完全燃焼防止装置の付いていない給湯器・風呂釜の回収を実施しているが、2月に金網式のガスストーブで死亡事故が発生したことを受けて、同方式のストーブも交換対象に追加する。なお、不完全燃焼防止装置が付いた給湯器であっても、高濃度の一酸化炭素を排出している場合は、交換を受け付ける。同省は事業者から定期的に交換の進捗状況の報告を受け、それに対する指導を行なう。
同省では、事故情報の開示を徹底するとして、過去のガス事故について、メーカーと製品の形式名の発表を3月上旬に行なう予定。また、ガス機器の経年劣化による事故を防ぐための制度については、長期的に検討するとした。
■URL
経済産業省
http://www.meti.go.jp/press/index.html
ガス機器等燃焼機器による一酸化炭素中毒事故等の防止強化策について
http://www.meti.go.jp/press/20070223002/20070223002.html
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( 本誌:正藤 慶一 )
2007/02/23 15:48
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