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家電製品ミニレビュー
愛工業「オカカ7型 電動セット装置」

~電動のかつお節削り器で削りたてのかつお節を楽しむ
Reported by 本誌:阿部 夏子

愛工業「オカカ7型 電動セット装置」
 基本的に和食が好きなのでゴマや海苔、煮干しやかつお節などのストックは欠かさない。私の場合、その中でもよく使うのがかつお節だ。オカカおにぎりや、冷や奴はもちろん、サラダやスパゲッティにまで使っている。自宅にはスーパーで買った小分けのストックがいつも用意してあるが、小さい頃に専用のカンナで削っていたかつお節の味が今でも忘れられない。

 家族の中にアレルギーの者がいたこともあって、食にはこだわっていた家庭だったが、独立してからというもの、利便性が優先してしまっていて今ではすっかり市販のかつお節を使うようになっている。いつでも使える便利さは良いが、それでも、削りたての魚の味がしっかりするあのかつお節の味はやっぱり格が違う。

 ただ、かつお節削りの記憶はおいしさだけではない。削るときに腰が痛くなったり、カンナを刃の具合が難しく、力を均等にいれないと粉状のものばかりできてしまったりと手間がかかる苦労もあった。

 そんなワケで、懐かしい削りたてのかつお節に思いをはせながらも自宅でやろうとすると腰が重かった。そんな時に知ったのが、電動でかつお節削りができるという製品、今回紹介する愛工業「オカカ7型 電動セット装置」だ。これならば力がいらないので、自宅で使うのには良いかもしれない――と思い、さっそく使ってみた。

メーカー愛工業
型番オカカ7型 電動セット装置
希望小売価格25,000円
購入場所直販サイト


 そもそも愛工業では昭和43年から腰や手に負担の掛からない回転式のかつお節製造器を生産しているという。今回のオカカ7型は使用者の高齢化などから「電動の製品はつくれないか」という声があがり開発された製品だという。そのため、オカカ7型では、同社が製造していた手動式の製品をそのまま組み込めるような構造になっている。


モーターが搭載されている電動部 手動の回転式としても使える本体 オカカ7型では手動式のものをモーター搭載部にはめ込んで使う

 25,000円という価格と、かつお節削り専用という用途を考えるとちょっと家庭用という雰囲気ではないが、開発までの経過を聞くとうなずける。実際、かつお節削りというのはなかなか骨の折れる作業なのだ。コチコチに乾燥した本節を刃物でうす~く削っていくのはかなり力を使う。それが、回転式になったとしてもやはり力は必要だろう。

 もともとあった製品を組み込んで使うという用途の製品だけあって、モーターを含めた本体はかなり大きい。本体サイズは266×236×384mm(幅×奥行き×高さ)で、設置場所を考えると据え置きで使うと言うよりもそのたびに出し入れして使うというのが現実的だろう。

 本体はモーター搭載部と、回転式の刃が組み込まれている本体の2つに分れている。構造的には単純なもので、本体上部の回転軸に電動モーターのナットを差し込み、モーターの力で回転させる。

 組み立ては、その軸の部分を中心に行なう。ナットを差し込んでモーター搭載部の金属部分に差し込むだけだ。結合部分の部品調整にやや手間取るものの、組み立て自体はさほど難しくない。


本体の上部にはナットが組み込まれている そこに高さを出す高ナットをはめ込む モーター部の接続部分に露出している回転軸

回転軸にジョイントをはめ込む そこに本体のナットを差し込む 組み立て自体は難しくないが、ジョイント部分の結合にはちょっと手間がかかる。本体を持ち上げるようにして差し込むとやりやすい

 本体の組み立てが終わったらいよいよ、かつお節を削っていこう。

 と、その前にかつお節を削るという行為そのものを簡単に説明しよう。そもそもかつお節とは、かつおの切り身を乾燥させた「本節」というものを薄く削りだしたものだ。かつおを乾燥させたものというのはスーパーでは売っていないのでなかなかお目にかかかることがないが、大ぶりのかつおの切り身をそのまま乾燥させたような形。色は薄茶色で、表面はカチカチ。初めて見る人にこれカツオだよ。と、いってもにわかには信じられないような物体だ。


愛工業で販売している本節。真空パックで送られてくる
 昔は乾物屋などで容易に入手できたが、今では「本節」自体なかなか、入手できない。愛工業では本節もインターネット販売している。本節4~6本の1kgセットで価格は4,250円~6,350円程度。産地や本節の状態によっても価格が異なる。ちなみに今回使用した本節は「鹿児島枕崎の本節」だ。

 というわけで、本節が用意できたらいよいよかつお節を作る作業に入っていく。本節をカッター部分にセットしたら、安全カバーの上から押さえつけるようにして本体側面の作動スイッチを押す。そのあとその体勢のまま、右手で電源スイッチを押す。そうすると本体の回転カッターが動き出す。


本節を本体にセットした状態。刃の上にストッパーが設けられているためある程度固定できる 電源スイッチを入れたあと、本体側面の作動スイッチを押すとモーターが駆動し刃が回転する

 モーターのウィーンという音に、本節が削れているシャリシャリとした音が入る。本節は基本的にカツオの切り身のままの形をしているため、表面は平らではない。そのため、削り始めしばらくは粉状になってしまう。それが、しばらく作業を続けていると、音が変わってくる。最初はゴリゴリした音だったのがシャーという音に変わってくると、うまく削り出せているなという証拠だ。

 スピードは思ったよりも速い。かつお節40gを削るのにかかる時間は約3~5分程度。冷や奴にちょっと使うぐらいの量なら1分ほどで充分だろう。なお、本体では安全のため10分以上の連続使用は禁止されている。


実際に使用している様子

削りはじめはほとんど粉末状のかつお節になってしまう しばらく削ると薄くきれいにつながった普通のかつお節ができる 削った部分の本節は色が変わっている

 コツとしてはカバーの上からしっかり本節を押さえること。本節自体が動いてしまうと均等には削れない。

 本体の安全性はかなりしっかりしている。回転している刃の上にはカバーが設けられ、更に本節を支えるストッパーの上にもカバーがあるためよっぽど手をつっこんだりしない限り、刃には触れないようになっている。また、電源スイッチのほかに側面の作動スイッチがあるので、万一の誤作動の時にも迅速に電源を切れるようになっているのだ。


本節をしっかり固定するのがうまく削るポイントだ 回転刃はカバーに覆われているので、指を突っ込んだりしない限りケガすることはなさそう

削りたてのかつお節で和食を楽しむ

 削り出したかつお節は、最初の方のものが粉状、最後の方の者がキレイに削れていたので、用途を変えていくつか料理を作った。

 まずは粉状のかつお節と、昆布で「一番だし」をとってみよう。

 和食の料理本なんかには必ずといっていいほど登場する一番だしはすまし汁から、茶碗蒸し、煮物や鍋まで幅広く使える和食の基本ともなるもの。水1Lに対して、昆布10cm、かつお節30gほどだ。鍋に昆布と、水を入れ昆布が浮いてきたら鍋から取り除く。そのあとかつお節を一気にいれ、沸騰直前に濾したものが、一番だしだ。


愛工業ではだし用の昆布も販売している 出来上がった一番だし。昆布とかつお節だけしか入れてないがしっかり色がついている 一番だしをとった後のかつお節と昆布。これを使ってもう一度だしを取ったのが2番だしといわれるものだ

 3Lほどの一番だしを一気に作って色々な料理を作ったが、味が全く違う。普段インスタントのダシを使っている私にとっては、革命的とも思えるほどおいしい料理になった。ほんの数分でできるダシでも、味がしっかりついていて、味付けはいつもの半分ほどの量で充分だった。「和食が好き」などと冒頭でのたまっていたのが恥ずかしくなるほど味が一気に本格的になる。「ダシは和食の命だ」なんて聞き慣れた言葉をこれほど実感したのは初めてだった。


一番だしに塩少々で味付けして卵を溶いた溶き卵汁。だしの味がしっかりあるので塩はほんの少しでいい だしに醤油と酒を加えて、そばつゆとして使った。市販のものに比べるとずっと上品な味だ 本来は2番だしで作ることが多い煮物だが、今回は贅沢に一番だしを使った。こちらも味付けはいつもの半分で充分だった

 次に、作業に慣れてきたころに出来たフワフワのかつお節を使ってサラダと湯豆腐を作った。かつお節を生で食べてみると、市販のかつお節にあるような妙な甘さがほとんどないことに気づく。そうはいっても、味が薄いワケではない。噛みしめると魚の味がジワーっと出てきて、料理を盛り立ててくれる。市販のものと比べて、存在感のある味なので、豆腐や大根など素材自体の味が強くないものと合わせるのがオススメだ。


我が家の湯豆腐のたれはかつお節とネギをこまかく刻んだものに醤油を加えたもの。熱々の豆腐が冷めないように土鍋の中に入れてタレも温めてから使う かつお節とネギがいいだしを出してだし醤油になる 大根と水菜のサラダにかつお節と海苔をトッピングした和風サラダ。大根に良く合う

 気になるのはやはり本体のサイズ。モーターを後付けできるという発想は素晴らしいが、もうちょっとだけモータ部を縮小できれば更に使いやすくなるだろう。

 かつお節を削って、ダシをとって、そのダシを使って料理を作る。確かに何重もの手間がかかる作業ではある。だが、久しぶりに手間暇を掛けた料理は最近食べたどの料理よりも贅沢に、おいしく感じた。価格や用途を考えると、誰にでも勧められる種類の製品ではないが、嗜好品・贅沢品としては充分アリな製品。食卓が豊かになること間違いなしだ。





URL
  愛工業
  http://www.aikogyo.co.jp/



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2009/03/04 00:00

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