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家電製品ミニレビュー
シャープ「HX-127CX」
~加湿/暖房/除菌が1台でできるファンヒーター
Reported by 本誌:正藤 慶一
シャープ 加湿セラミックファンヒーター「HX-127CX」
気がつけばいつのまにやら12月。今年も寒い寒い冬がやってきた。空気も乾き、風邪もひきやすい、とてもつらい季節ではあるが、こういう時だからこそ家電を使って快適に過ごしたいところだ。
そこで今回は「加湿ファンヒーター」というジャンルを試してみたい。ファンヒーターというと温風を放って部屋を暖める暖房器具だが、これに加湿機能も搭載することで、部屋を暖めるとともに空気を潤してくれるという、まさに冬の季節にピッタリの製品だ。
加湿ファンヒーターはパナソニックや三洋電機などのメーカーからも出ているが、今回選んだのは、シャープの「HX-127CX」だ。購入理由は、シャープは他社にない「自動フィルター洗浄」機能が付いている点が特徴。加湿器は水に含まれるカルキ成分などがフィルターに付着するため、メンテナンスがとにかく大変だが、それをサポートしてくれるのだからありがたい。また、同社独自の「除菌イオン(プラズマクラスターイオン)」の発生装置も備えている点も魅力だ。Amazon.co.jpにて購入した。
メーカー
シャープ
製品名
HX-127CX
希望小売価格
オープンプライス
購入場所
Amazon.co.jp
購入価格
19,551円
本体サイズは450×180×417mm(幅×奥行き×高さ)と、薄く幅広い。空気清浄機のような出で立ちだ。重量は約5.3kgと結構あるが、本体背面に取っ手があるため、持ち運びはさほど難しくはない。
本体は正面から見て右側に、ブルーの円筒形のスペースがあるが、これが加湿用のボトルを入れるタンク部になる。タンク容量は約2.7Lで、1時間当たりの最大加湿能力は520ml。フルパワーで運転すれば、約5時間でカラになる計算になる。
注意したいのが、タンクに入れる水は、必ず水道水を使用するようという注意書きが説明書に書かれている点だ。なんでも、水道水は塩素処理がされているため、雑菌が繁殖しにくいという。そのため、浄水器に通した水やミネラルウォーター、井戸水やアルカリイオン水などの使用は控えるように書かれている。ミネラルウォーターを入れてキレイな水で加湿しようと思う人もいるかもしれないが、本製品ではそれが裏目に出てしまうのだ。これには気を付けたい。
本体正面右側の円筒形の部分に水タンクが入っている
タンク容量は約2.7L
説明書では必ず水道水を使うよう指示している
タンクに水を入れ、本体にセットすればもう使用準備は万端だが、その前に本製品の機構を確認しておこう。電源スイッチをONにすると、本体背面から内部に空気を取り込み、内部のセラミックヒーターで取り込んだ空気を暖める。暖まった空気は加湿フィルターを通り、水分を取り込みながら本体前面から吹き出る、という仕組みだ。加湿方式で言えばハイブリッド方式に該当するため、加湿中の蒸気は目に見えない。暖房の目安はコンクリート住宅で約8畳、木造で約6畳まで(いずれも50cmの断熱材を採用した住宅)で、加湿は木造住宅で8.5畳、プレハブ住宅で14畳となる。
操作パネルは本体上部にあり、「暖房」「加湿」「除菌イオン」など、いろいろなボタンが用意されているが、一番右の「電源 入/切」ボタンを押せば、自動運転がスタートする。これは強運転と弱運転を自動で切替えて、室温を約22℃にコントロールするというモードで、同時に湿度を適湿に調節する「うるおい(自動)」モードも稼働する。つまり、電源スイッチを押すだけで、暖めすぎ、加湿しすぎを防いでくれるというわけだ。また、「暖房」「加湿」ボタンを押せば、暖房の強/弱、加湿の連続運転/オフなどを任意に選択でき、暖房や加湿だけの単独運転も可能。特に難しい操作はなく、誰でも問題なく使えるはずだ。
この操作パネルでうれしいのが、7/8時間のオンタイマーが付いているところ。オンタイマーで目覚めの時期に設定しておけば、目が覚めた時の空気を、暖かく潤いを持たせることができる。オフタイマー付きの加湿器はありふれているが、オンタイマーとなると実はほとんどない。もう少し時間に選択肢があれば完璧だったが、あるだけでも十分にうれしい。なお、1/2時間のオフタイマーも備えている。
運転音は「強」で38dB。静かではないが、テレビの音が聞こえにくいかなといった程度で、個人的にはあまり不都合は感じられなかった。一応、運転中の動画を下に掲載するので、参考にしていただきたい。
操作パネルは本体上部にある。いろいろ用意されているが、一番右の「電源 入/切」ボタンを押せば自動運転がスタートする。オンタイマーがあるのはありがたい
説明書に記されていた、本体内部の構造図。セラミックヒーターで熱した温風を加湿フィルターに通す“ハイブリッド式”の加湿方式を採用する
「電源 入/切」ボタンを押し、運転をスタートしたところ。運転音は強運転で38dB
シャープ独自の除菌イオン(プラズマクラスターイオン)の発生装置を搭載する。風邪の原因となるウイルスなどを分解・除去するはたらきがある
「除菌イオン」ボタンについては、若干説明が必要かもしれない。除菌イオンとは、シャープ独自の技術で、空気中の水分から作り出したイオンを放出し、空中に浮遊するカビ菌/ウイルス/ダニといったアレル物質を分解、除去するというもの。プラズマクラスターイオンと呼ばれることもある。イオンは電源ONで自動的に発生するが、このボタンを押すことで風量の強弱を繰り返す「シャワー」モードにしたり、またはOFFにすることもできる。
正直にいうと、暖房でも加湿でもないため、あまり“効いている”という実感はない。しかし、シャープではこのイオンの除菌効果について国内・海外の研究機関にて実証を受けている。
さて、ここで本製品を実際に使用して、どれだけ暖房・加湿効果があるかを数値で見てみよう。実験場所は私のマンション。4.5畳の部屋で、温度21.5℃、湿度38%の状態で「おまかせ」運転でスタートした。すると、1時間後には温度23.1℃となり、湿度は47%まで上がった。体感でも、運転当時はカラカラの空気で少し肌寒かった部屋も、潤いと暖かさが感じられるようになった。もちろん、エアコン・他の加湿器などは一切使用していない。これなら、本製品1台で快適な環境が作り出せそうだ。
自動モードで運転をスタートさせたところ。開始時点では室温21.5℃、湿度38%だったが……
1時間後には室温23.1℃、湿度47%となり、部屋に暖かさと潤いが感じられた
冒頭でも触れたが、加湿器で気をつけたいのがメンテナンス性。11月から2週間ほど使っているが、加湿フィルターに水アカがびっしりということはないだろうか。おそるおそる本体後部から加湿トレイを取り出して見てみるが、加湿フィルターにこれといった汚れはなく、安心した。実は加湿フィルターには抗菌加工が施されており、また運転停止後は加湿フィルターの上から水を注いで水アカを落とす自動洗浄機能が付いている。その効果が見事に出たというわけだ。
とはいえ、水アカを上から下へ落とす仕組みのため、加湿フィルター下部の外枠、および加湿トレイ内部には、白い水アカがしっかりと確認できる。フィルターに付着しないようにしているため、その他の部分に溜まってしまったのだ。確かに加湿フィルターは清潔に保てているが、本体内部にまったく水アカが発生しないというワケではない点には注意したい。メンテナンスのペースは2週間に1回とされている。
抗菌加工が施された加湿フィルター。写真は未使用時
本体後部の加湿ユニットにセットする
2週間使用した後の加湿フィルター。フィルターには汚れは確認できなかったが、ユニット内部には白い水アカがあった
メンテナンスは2週間に1回。手入れの方法は加湿ユニットに記されているのでわかりやすい
最後に、使用上の注意を2点。本製品は電気式のヒーターのため、酸素を燃焼せず、空気は汚れずキレイなままというメリットがあるが、運転中はセラミックファンヒーター特有のニオイがする。“電気のニオイ”というのか、何とも表現がしにくい。私は特に問題はなかったが、ニオイに敏感な人は使用中にストレスを感じるいこともあるだろう。
もう1点が、これはセラミックヒーターの宿命ではあるが、消費電力が1,200Wと高いところだ(「強」+加湿運転時)。取扱説明書によると、1時間当たりの電気料金は約26.4円で、1日6時間の利用で158.4円。これを1カ月(30日)使ったとして4,752円と、かなりの金額になってしまう。もちろんこれはフルパワーでの試算ではあるが、場合によってはエアコンと加湿器を同時に運転するよりも電力がかかってしまうことも考えられる。自動運転モードでパワーを抑制しながら使ったり、エアコンと併用する場合は加湿運転のみにするなどの工夫が必要になるだろう。
逆に本製品には、エアコンとは異なった手軽さがある。部屋に持ち込んでコンセントを差すだけで、簡単に室内を暖める効果が得られるのだ。しかも、加湿に除菌効果まであり、加湿のメンテナンスを省く工夫もある。ひとり暮らしの部屋や、エアコンが導入されていない空間を快適にするにはピッタリの製品といえるだろう。
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URL
シャープ株式会社
http://www.sharp.co.jp/
製品情報
http://www.sharp.co.jp/products/living/heater/prod01/hx127cxa/index.html
暖房器具 関連記事リンク集
http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/heat.htm
加湿器/空気清浄機/除湿器 関連記事リンク集
http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/air.htm
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2008/12/03 00:00
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