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阪和「クックマンミニ カジュアルミニIHクッキングヒーター BGW-064-BL」
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調理家電、それも小型のものには、特に心をくすぐられる。基本的に家電は家族皆のために使うものだが、小型なら“自分だけのもの”という特別な魅力がある。
そんなパーソナルな目的のために使っていたのが、小型の卓上コンロだ。一人前の鍋焼きうどんを作ったり、御燗を温めたり、スルメを炙ったりするのにちょうどいいのだった。
この小型卓上コンロに、IHタイプのものが出ているのを知った。阪和の「クックマンミニ カジュアルミニ IHクッキングヒーター BGW-064-BL」だ。IHなのでスルメを炙るのは無理だろうが、小型家電好きとしては是非とも触れてみたく、購入した。メーカー希望小売価格15,750円のところ、Amazon.co.jpで6,980円だった。
● 小型で、収納や持ち運びに便利な大きさ
「BGW-064-BL」は小型だが、仕組みは、普通のIHクッキングヒーターと同じ。IH調理器は、電磁誘導で鍋自体を発熱させるので、使える鍋は、IH対応の鍋か、電流を通しやすい鉄や鋳物、ホーローの鍋だ。
大きさは、18×18×7cm(幅×奥行き×高さ)で重さは1.2kg。小型でカラフルな青と白のボディカラーもあって、見た目は調理器というより文房具のように見える。CD用のファイルよりもひと回りほど大きく、軽くて、片手で持っても手首に負担がないくらいの重さだ。
表面に直径約13cmの円がある。これがトッププレートで、この上に鍋を置く。使える鍋の大きさは、鍋の底面が10~14cmのもの。普通サイズの卓上IH調理器よりもトッププレート自体が小さいので、使える鍋の大きさも小さい。
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外箱
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大きさは18×18×7cm(幅×奥行き×高さ)、重さは1.2kg
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CDのファイルよりも、ひと回り大きいくらいの大きさ
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温度は、3段階の調節ができる。消費電力は「強」が500W、「中」が300W、「弱」が150W、普通サイズの卓上IHは、「強」が1,200~1,500W、「中」が700W、「弱」が300Wくらいなので、比べるとさすがに火力は弱い。
電源コードをコンセントに差し込むと、電源ボタンが点滅する。電源ボタンを押すと、自動で「強」の加熱が始まるので、「中」や「弱」で加熱したい時は、ボタンを押して調節する。
安全装置が備わっており、IHで使用できない鍋を置いたり、鍋が置かれてない状態で電源を入れると、自動で電源がOFFになる。また、調理中の空焚きや電源の切り忘れを防止する機能もあり、鍋の温度が異常に高温になったり、2時間まったく操作がない場合も、自動で電源が切れる。
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3段階の温度調節が可能。消費電力は「強」が500W、「中」が300W、「弱」が150Wだ
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本体の裏側にファンがある
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● チーズフォンデュの溶けたチーズを、とろ火でキープ
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「強」の火力を使うと、500mlの水が約10分で沸く
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まずは、お湯を沸かしてみよう。ステンレス製のケトルに500mlの水を入れ、「強」で加熱すると、約10分でお湯が沸いた。普通サイズの卓上IHは、1Lの水を5分で沸かせるので、火力にはやはり差がある。ティファールのような小型の電気ケトルと比べると、電気ケトルは1Lの水を沸かすのに約4~6分なので、沸かすだけなら、これも電気ケトルの方が早い。
とはいえ、先ほど述べたように、この製品の良さはこの「弱火」にある。沸かした後、弱運転を継続することで、そのまま保温できるのだ。
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微妙な火加減を要するチーズフォンデュに挑戦。まずはホーローの鍋に、いろんな種類のチーズと牛乳を入れる
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ここで、チーズフォンデュに使ってみた。チーズフォンデュは焦がさず、固まらせずにチーズを加熱し続けなければならないため、微妙な火力が必要となる。本製品の弱火なら、それができるのではないかと踏んだのだ。
結論から言えば、チーズを溶かした後の維持には非常に向いている。ただし、伸びるチーズが見られず、鍋底の焦げも防げなかった。
刻んだチーズをホーロー鍋に入れて、火力を「弱」にする。ゆっくり溶けていくのだが、5分経っても、全部溶けきらない。そこで、「中」の火力で溶かしてから、「弱」に戻した。
チーズを溶かした後「弱」に戻すと、チーズはずっと液体のままだった。チーズは濃厚なスープのような感じになっている。パンをひたして食べると、チーズが熱々でとてもおいしい。結局、途中で一度も設定を変えずに、チーズは「弱」のままで熱々だった。この状態をキープするのは、ガスコンロではできない。「弱」はチーズフォンデュに最適のとろ火の火加減といえる。
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「弱」で約5分するが、チーズが全部溶けない。そこで「中」で溶かしてから「弱」に戻した
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溶けきったチーズ。濃厚なスープのように、とろとろだ
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「弱」にしておくと、チーズが煮詰まったりせず、同じ状態のままでキープできる
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難点をいえば、チーズが糸を引いて伸びるような姿は見られなかったところだ。チーズは冷えて固くなりはじめの頃が“伸び時”。味はまったく問題ないが、見た目までしっかり楽しむとなれば、電源をひんぱんに切り替える作業が必要になる。
また、鍋底にも焦げが発生してしまった。これは「中」でチーズを溶かすときに焦がしてしまったもの。火力が弱いとはいえ、チーズフォンデュにつきものの“焦げ”を抑制できるわけではなかった。
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熱々のおいしいチーズフォンデュが楽しめるが、チーズが冷えないので、チーズは糸を引くように伸びない
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「中」でチーズを溶かす時に、鍋底を焦がしてしまった。火力が弱いからといって焦げまでは防げなかったようだ
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● ガスコンロと変わらぬ使い心地。焼きムラには要注意
こんどは「焼き」料理に挑戦してみよう。火力「強」で、まずはホットケーキだ。生地をフライパンに敷き、10分ほどで表面が均一に焼きあがった。次に、厚さ約1cmの豚肉も焼いてみると、5分ほどで、ちゃんと中まで焼けた。少々時間がかかったが、ガスコンロと同じような使い心地でできた。
ちょっと気になったことは、ホットケーキの生地を、ちょうどトッププレートの上に置かないと、焼きムラができることだ。火力が弱いせいだろう。ビッグサイズの調理には向かないが、製品自体の小ささから考えれば当然だ。
ヒーターのお手入れ方法は、固く絞った布巾で全体を拭いて汚れを落とす、というIH調理器ならではの簡単さだ。サイズが小さいので、お手入れはとてもしやすい。
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ホットケーキを焼く。10分ほどで、きれいな色に焼きあがった
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生地の大きさは、トッププレートの円と同じ大きさにした方が、焼きムラができない
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肉は焼きやすい。焦げ目をつけることもできる
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● とろ火、保温、自室での調理にオススメ
火力が弱めではあるが、そのぶんとろ火でじっくりと煮込んだり、保温できる点は注目すべきポイントだ。また、若干時間はかかるものの、焼き調理もしっかりできるため、補助のコンロとして使える。省スペースで使用できるので、台所が狭くても問題ないだろう。
また、コンセントがあれば使用できるので、自室に持ち込むというのもアリだろう。書斎でコーヒーやカップラーメンを作る際にお湯を沸かす、鍋焼きうどんや熱燗作りをこっそりと楽しむという使い方も可能だ。また、使えない鍋を自動で判断してくれるというのもありがたい。さらにいえば、ガスを使わないので、火災になりにくいというIHならではの安全性も見逃せない。
実売で1万円を切る価格も購入しやすい。とろ火や保温、自室での調理に魅力を感じる方は購入してみてはいかがだろうか。
■URL
株式会社阪和
http://www.b-grow.com/
製品情報
http://www.b-grow.com/freeweb/bgw-064/
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2008/09/25 00:08
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