|
サンワサプライ ディスク自動修復機「CD-RE1AT」
|
音楽CDやDVDビデオだけでなく、ゲーム機のメディア、PC用ソフトのインストール媒体などとしても広く利用されている光学メディア。これら光学メディアは、データ記録層がプラスチックで覆われ保護されているので、乱暴に扱うことがなければ、そう簡単にデータが壊れることはない。
とはいえ、光でデータを読み取るために、汚れやキズにはかなり弱く、ディスク表面に指紋やホコリが付いたり、小さなキズが付いただけでも正常にデータが読み出せなくなってしまうことがある。かといって、タオルやティッシュなどで表面を拭くのは、キズが付いてしまいそうで不安だ。
実は最近、付属のリカバリディスクを使ってノートPCのHDDを出荷状態に戻そうとしたところ、データが正常に読み出せずにリカバリできないことがあった。その時は、ディスク表面をクリーニングクロスで何度も拭いたりして何とか事なきを得たが、一時はかなり焦ってしまった。そこで、今後も同様なことが起こる可能性があると考え、ディスクのクリーニングツールを導入することにした。
選んだ製品は、サンワサプライの「CD-RE1AT」という製品だ。ディスク表面のクリーニングだけでなく、キズの修復もできるとあり、かなり重宝しそうだと考えての選択だ。メーカー希望小売価格は7,350円、ヨドバシカメラのネット通販では3,980円で販売されている。
CD-RE1ATは、OPENボタンを押すとフタが上に開く、シェルトップタイプの小型のCDプレーヤーのような形状をしている。フタを開けると、ディスクをセットする部分に2個の円形ヘッドが取り付けられており、その円形ヘッドとディスクを回転させることによって、ディスク表面の汚れを落としたり、表面のキズの修復をするようだ。
|
|
|
本体の形状やサイズは、一昔前のコンパクトCDプレーヤーに近い
|
フタが上に開くシェルオープンスタイル。中にはディスク表面を磨くヘッドが2個取り付けられている
|
本体前部には、フタを開くOPENボタンと、クリーニング動作を行なう「CLEAN」ボタン、キズ修復動作を行なう「REPAIR」ボタンが用意されている。動作中には中央のLEDが点灯する
|
円形ヘッドは、表面に青色のクリーニングクロスが取り付けられているものと黄色のクリーニングクロスが取り付けられているものがそれぞれ2個ずつ付属している。青色はクリーニング用、黄色はキズ修復用とされている。また、クリーニング用とキズ修復用の液体入りチューブも付属している。
|
|
ヘッドは、青色のクリーニングヘッドと、黄色のキズ修復ヘッドが2個ずつ付属する
|
クリーニング用のクリーニング液、キズ修復用の修復液も付属している
|
使い方は、クリーニング用またはキズ修復用のヘッドを本体内部に取り付け、クリーニングヘッド取り付け時にはクリーニング液を、キズ修復ヘッドを取り付けた時には修復液を右側のヘッドにのみ塗り、クリーニングまたはキズの修復をしたいディスクをセット、フタを閉めて「CLEAN」または「REPAIR」ボタンを押すだけだ。特に難しい作業はなく、誰でも簡単に扱えるはずだ。
対応するディスクは、音楽CDやDVD、ゲームディスクなどで、12cmディスクだけでなく8cmディスクにも対応する。Blu-rayディスクへの対応の有無はパッケージには明記されておらず、基本的には未対応と考えた方がいいだろう。
● クリーニングは手軽だが、余計なキズが付く場合もある
というわけで、さっそくクリーニングしてみた。今回は、筆者が初めて買った音楽CD(1985年頃に購入)や、むき出しのまま置き去りになって、かなり汚れてしまったCD-ROMなどを使って試してみた。表面には指紋や汚れがべったり付いているだけでなく、細かなホコリもびっしり付いていたので、布でホコリを拭った上で、クリーニングヘッドを取り付けたCD-RE1ATにセットし、「CLEAN」ボタンをプッシュ。すると、ディスクが回転し始め、クリーニングが開始された。クリーニング中の騒音は比較的大きく、やや耳障りだが、我慢できないほどではない。そして、約1分ほどで回転が止まり、クリーニングは終了した。
|
|
|
本体内部に、クリーニングヘッドを取り付ける
|
右のヘッドにのみクリーニング液を4滴ほどしみ込ませる
|
クリーニングしたいディスクをセットしてフタを閉じる
|
クリーニングされたディスク表面を見てみると、付いていた指紋や汚れはほぼなくなり、かなりピカピカになった。取り出した直後は、クリーニング液のふき残しのような跡も見られたが、それも数分放置しておけば見えなくなった。
ただ、何度か試した範囲内では、以前には付いていなかった小さなキズが付いてしまった場合もあった。おそらく、クリーニングヘッドにホコリが付着していたのだろう。小さなキズの付いたディスクの読み出しに問題はなかったが、せっかくクリーニングしたのにキズが付いてしまってはあまりにも悲しすぎる。
|
|
このように、指紋や汚れのひどいディスクをクリーニングしてみた
|
汚れはほぼ完璧に落ちた。ただ、クリーニング液のふき残しのようなシミや、もとは付いていなかった小さなキズが付くこともあった
|
全くキズを付けることなくクリーニングできたものもあるので、やはりヘッドなどに付着したホコリが原因と考えられる。クリーニングを行なう場合には、ディスクに付着したホコリを拭っておくだけでなく、ヘッドに付いたホコリにも十分気を付けた方がいいだろう。
● キズによっては完全に修復できない場合もある
次に、キズの修復を試してみた。
一般的なディスク修復は、傷の付いたディスク表面を薄く研磨するという方法が中心だ。キズで光学メディアのデータが読み出せなくなるのは、キズによってレーザー光線が乱反射を起こすことが原因だ。そこで、ディスク表面を研磨してキズを削り取ることでレーザー光線の乱反射をなくし、データを読み出せるように修復しているわけだ。
それに対しCD-RE1ATのキズ修復機能は、キズの付いた部分に修復液を浸透させることで、ディスク表面を削ることなくキズの修復をする点が特徴となっている。キズの部分に修復液が浸透することで、乱反射の原因となるキズの部分の凹凸がなくなり、データが正常に読み出せるようになるというわけだ。
今回は、データが読み出せなくなるほどキズの付いたディスクがなかったため、手持ちのディスクにわざとキズを付けて試してみた。キズは、アスファルトの地面にこすりつけて作ったものと、安全ピンの先でガリガリとひっかいて作ったものの2種類を用意した。それも、ドライブで認識すらしない状態になるまで念入りにキズを付けた。
キズ修復を行なう手順は、キズ修復用ヘッドを取り付け、キズ修復液を利用する点以外はクリーニング時とほぼ同じ。修復液を付けて傷の付いたディスクをセットし、「REPAIR」ボタンを押せばキズ修復作業が開始される。動作自体はクリーニング時とほぼ同じように、ディスクとヘッドの回転によって行なわれる。キズ修復作業は約4分ほどかかる。騒音はクリーニング時同様に、やや耳に付く大きな音がする。
さて、クリーニングの終わったディスクの表面を見てみると、確かに表面を削っていないためキズ自体は修復前と全く変わっていない。もちろんこれは、表面を研磨していないため当然だ。問題は、データを読み出せるようになったかどうか、という点だ。結果から言うと、今回試した限りでは、データが読み出せるように修復できたものと、修復できなかったものに分かれた。
修復されてデータが読み出せるように復活したのは、アスファルトこすりつけて作ったキズのあるディスクだ。修復前はドライブで認識すらしなかったが、修復後は全てのデータが問題なく読み出せたのだ。それに対し、安全ピンの先でガリガリとひっかいてキズを付けたディスクは、かろうじてディスクは認識され、一部のデータは読み出せるようになったものの、全データの読み出しまではできなかった。
地面にこすって付けた傷は、キズ自体を触ってもほとんど凹凸を感じることのない、比較的浅いキズだった。それに対し、安全ピンでひっかいて付けた傷は、手で触っても凹凸を感じるほどに深いキズだった。つまり、浅い傷に関しては修復しやすいものの、深いキズは少々苦手なのかもしれない。
|
|
|
安全ピンの先でこのような傷を付けて試してみた
|
修復後もキズは全く変化していないが、全く認識しなかったディスクが認識され、一部のデータは取り出せた
|
こちらは、地面にこすりつけて付けたキズ。キズ自体は大きいが浅い。こちらも修復前は認識しなかったが、修復後は全データが取り出せた
|
CD-RE1ATは、今回試したように、クリーニング時にディスク表面やヘッドに付着したホコリに気を付けなければキズを付けてしまうことがあったり、キズの付いたディスクを完全に修復できない場合があるなど、完璧な製品ではないかもしれない。しかし、この点を考慮したとしても、手軽にディスクのクリーニングや修復が行なえるという点は十分に魅力がある。
液体を使った湿式クリーニングのため、指紋などもしっかり落としてくれるし、キズの修復も、キズの具合によっては完璧な効果が得られる。誰でも簡単に扱えるという点も、ディスクメンテナンスツールとして魅力が大きい。普段からのディスククリーニングツールとして、また、いざという時のディスク修復ツールとしてオススメしたい。
■URL
サンワサプライ株式会社
http://www.sanwa.co.jp/
製品情報
http://www.sanwa.co.jp/product/syohin.asp?code=CD-RE1AT&cate=1
■ 関連記事
・ 家電製品ミニレビュー 第4回:東芝 超音波洗浄機「My Fresh TKS-100」(2006/10/04)
2008/08/12 00:01
- ページの先頭へ-
|