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やじうまミニレビュー ワコー「アンツキャピタル・ライト」
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~アリの巣をつぶさに観察できるLEDライト
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Reported by
西谷 有人
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ワコー「アンツキャピタル・ライト」
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季節はすっかり夏。ここで私たちの頭を悩ますのが、窓から入ってくる害虫たちだ。蚊や蛾、ゴキブリなど、連中の姿を見ただけで、イライラさせられる人も多いだろう。
だが、虫は人を不快にさせるだけのものではない。時には、人の心を癒し、また知的な刺激を与えてもくれるのだ。
今回は、株式会社ワコーの「アンツキャピタル・ライト」を使って、アリたちの生態を観察してみよう。
この「アンツキャピタル・ライト」では、アリたちは半透明のジェル(ゼリー)の中で生き、そこに巣を作ることになる。ジェルにはアリの養分となる成分が含まれているので、餌を与える必要もない。そして巣を置くベース(土台)には発光ライトが内蔵されており、それが巣を下から照らし出して、美しいインテリアとなる、というコンセプトだ。
メーカー希望小売価格は、2,709円。この製品は4月に発売されたものだが、現在では多くの店で品切れになっている。が、オークションなどでは1,000円前後で、良く出品されているので興味があったら探してみていただきたい。
● 自分の手でゼリーを作る楽しさ
さて、箱を開けてみると、中には円筒形の透明プラスチックケースとライトベース、そしてなにやら粉末が入った小袋が3つ、そして説明書だ。まずは説明書に書かれた手順に従い、自分の手で、アリたちの住みかとなるジェルを作らなければならないのだ。
透明ケースにアンツジェルの素Aを入れ、水を入れてよくかき混ぜる。そこに、さらにアンツジェルの素Bを入れ、さらにかき混ぜる。
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内容物の一覧。透明ケースとライトスタンド、そして「アンツジェルの素」が、A、B、Cと3種入っている。なおジェルの製作には電子レンジが必要となる
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透明ケースに、アンツジェルの素Aと水、そして素Bを入れ、よくかき混ぜる。なかなか完全には混ざらないが、この段階ではある程度むらがあっても問題ない
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アンツジェルの素Cを入れ、さらに混ぜる。全体がきれいなブルーに染まってきた
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ところが、これがなかなかよく混ざらない。どうしても粉末がダマになってしまうのだ。粘度が増し、糊のようになった液体を、混ぜるというよりは練る感じで、ひたすらかき回す。
あとで気づいたことだが、この後、電子レンジでの加熱処理によって、ジェルの素はさらさらの液体になるので、この時点で完璧に混ざりきらなくても大丈夫なのであった。とはいえ、粉の固まりが少しでも少なくなるよう、できるだけしっかり混ぜたほうがいいだろう。ある程度混ざったら、アンツジェルの素Cを投入。粘液に色がつき、半透明のブルーとなる。そしてさらに混ぜる。
いいかげん混ぜ続けるのにも飽きてきて、そろそろ頃合かなと思ったあたりで、電子レンジの出番である。説明書の指示に従い、一度加熱する。これにより、アンツジェルの素はさらさらの液体となるので、またしてもよくかき混ぜ、もう一度加熱。
そのまま、水平な場所においてジェルを冷ます。20分ほど経過したところで、ジェル表面の気泡を取り除くのだ。
この「気泡を取り除く」というのが、説明書を読むだけでは意味がよくわからず、色々悩んだのだが、どうやらジェル上面に張った気泡だらけの膜を取り除けばいいらしい。これで、完全に冷却されるまで待てば、ようやくアンツジェルの完成である。
とまあ、こうして手順を書くと非常に面倒そうに見えるかもしれないが、実際はなんだか化学実験のようで、むしろ心躍る楽しい作業であった。
● アリ捕獲大作戦
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アリの巣の近くに、紙片に乗せた飴を配置。たちまちたくさんのアリが集まってきた。全員まとめてアンツキャピタルにご招待だ
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ジェルが完成したら、次はそこに住む住民を手配しなければならない。もちろん、自分の手で捕まえてくるのである。
幸い、私の家のすぐ側にアリの巣がある。コンクリートのひび割れから土中に侵入し、その中で巣を作り上げているのである。今回は彼らを、完成したばかりの新居にスカウトすることにしよう。
とはいえ、アリなんかどうやって捕まえればいいのだろうか。説明書には「紙の上に砂糖などを置き、行列を作ったら行列ごとすくい上げる」とあるが、すくい上げたあとどうすればいいのか。
とりあえず、一匹一匹、ツマヨウジではじいてアンツジェルの上に配置しようとしたが、そんなことやってる間にも、アリはどんどん逃げていってしまい、周囲はアリまみれ。とんでもないことになってしまった。
数度の試行錯誤の結果、小さめの紙片の上にえさとなる飴などを置き、アリがたかったら飴を手早く取り除き、紙片ごとアンツキャピタルの中に入れてしまうのが、いちばん手際が良いという結論に達した。1回で足りないようなら、2回3回と繰り返せばいい。そしてアリがジェル内で巣を作り始めたら、紙片を取り除けばいいのである。
なお、アンツキャピタルには完全密封される蓋がついており、アリが脱走する心配はない。ただしこれでは空気も通さないため、1日1回蓋を開け、新鮮な空気を入れてやる必要がある。
● 見事なアリの巣が、透明な世界の中に展開
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4~5日ほど経過し、トンネルが形成され始めた。ちなみに、容器は中心に穴が開いたドーナツ状になっており、巣が外から見やすい
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アンツキャピタルの中に封印されたアリたちは、自分たちの身に起きたことが理解できず、戸惑っているようであった。それはそうだろう。
だが一晩たち、翌日になると、数匹がジェルの中にもぐりこみ、穴を掘り始めた。そしてその穴はどんどん伸びていき、複雑に分岐するトンネルとなり、4~5日ほどで見事なアリの巣が広がっていった。
アンツジェルが透明なため、アリの巣の広がりだけでなく、中で働いているアリたちの様子まで、つぶさに観察できる。どうも、真面目に働いているのは全体の半数足らずで、残りは地上でダラダラしているようだ。
よく見ると、トンネルの中で、アリ同士が頻繁に頭をぶつけ合っている。これは彼らの「会話」なのだという。化学物質を相手の触覚に付着させることで、意思を疎通させているのだ。
ライトベースに単4乾電池を3本入れ、ライトを点灯させて、その上にアンツキャピタルを乗せる。美しいブルーのLEDで照らされたアリの巣は、それ自体が幻想的なインテリアである。だがそれは単なるオブジェではなく、中のアリたちにとっては、自分たちのとっての全世界そのものなのだ。
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1週間ほど経過。迷路のようになったトンネルの中を、アリたちは迷うこともなく行き来して、さらに奥深く掘り続ける
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付属のライトベースに乗せると、巣全体が美しくライトアップされる。なお、別売りのアンツキャピタル(ライトがついていないタイプ)を上に重ねて、全部まとめてライトアップすることもできる
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複雑に成長するアリの巣は、まさに1つの小宇宙。最高に知的で刺激的なインテリアだ
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それにしても、自分を取り囲む環境自体がまるごと全部、食べられる餌だというのは、いったいどんな感覚なのだろうか。童話『ヘンゼルとグレーテル』に出てきたお菓子の家のようなものだろうか。
あらゆる危険から開放され、完全に食事が保障されたアリたち。しかし敬愛する女王蟻とは引き離され、彼らの労働は次の世代へと繋がることは決してない。
ここはアリたちにとっては天国なのだろうか、それとも地獄なのだろうか、などと考え込んでしまった。
それもこれも、このアンツキャピタルでは、アリたちの様子が克明に観察できるからである。普段、そこらへんでアリを見かけても、こんな感情など沸いたこともない。
単に美しいというだけでなく、非常に面白く、また知的な刺激を与えてくれる興味深いアイテムである。他の動物や熱帯魚などを飼育することに比べれば、はるかに手軽で場所もとらない。あなたもぜひ、アリたちの暮らす世界を、その手にしてみてはいかがだろうか。
■URL
株式会社ワコー
http://www.e-revolution.co.jp/
2008/07/15 00:01
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