
|
パナソニック「パルックボール・プレミアQ(クイック)」
|
電球型蛍光灯には大きな弱点がある。スイッチを入れてから、その蛍光灯が持つ明るさが得られるまで、どうしても時間がかかってしまう事である。最近の電球型蛍光灯はその弱点を随分改良してきてはいる。しかし、すぐに瞬時に明るさの必要な場所に取り付けるには、どうしても敬遠されがちな、まだまだ開発の余地のある製品であった。
その電球型蛍光灯の弱点を解消すべく、パナソニックより「パルックボール・プレミアQ(クイック)」が7月1日に発売された。電球色(EFA15EL/10HS)をさっそく購入したので、今回はその紹介をしたい。メーカー希望小売価格はオープンプライスで、ヨドバシカメラのネット通販で1,480円で購入した。
● 大きさや重さなど外見的な違い
このところ各社から発売される電球型蛍光灯は、一般的な電球のサイズとほぼ同じといえるほど、コンパクトになった。新しい機能が追加されたからといって、以前のように大きく重くなったのでは手放しで喜べない。そこで、以前紹介した、同社のパルックボール・プレミア(EFA15EL/10H)と大きさなど比較してみた。
|
|
|
左が新しいもの。ぱっと見では、デザインや印象は殆ど変わっていない
|
電球上部から見ると全く同じ印象だ。どちらも球の直径は55mmだ
|
しかし、よーく見ると新しいものは5mm強、背が伸びている。余談だが、ブランドもNationalからPanasonicと変っている
|
外観は以前からあるパルックボール・プレミアをそのまま継承したデザインだ。重さは以前と比べると10g程重くなって、約90g。そして高さは5mm強、背が高くなっている。若干大きくなってはいるものの、その差は並べて見ないと気にならない範囲だ。
● 進化1 瞬時に明るい

|
消灯時
|
パルックボール・プレミアQは、ハイブリッド点灯方式を採用している。スパイラル発光管の内部空間に、全く別の“クイックランプ”を内蔵している。クイックランプは白熱電球をベースとして改良を加えたものだそうだ。
蛍光管が十分な明るさになるまで、そのクイックランプが点灯し、約60%の明るさを1秒間で実現する。蛍光管がある程度明るくなったところで、クイックランプが自動的に消灯し、蛍光管にバトンタッチする、といった仕組みだ。
このパルックボール・プレミアQの消費電力は10Wとなっているが、クイックランプ点灯時は20Wが加算されてしまう。しかし蛍光管が安定したところで消えてしまうので、その後の消費電力は抑えられる。
|
|
|
点灯した瞬間。クイックランプが瞬時に点灯する。画像はクイックランプを捉えるため、かなり露出が絞られている。実際はかなり明るい
|
一瞬遅れて蛍光灯が点灯する。その間、コンマ数秒。一瞬の出来事だが、少々気になった
|
約1分後。クイックランプは既に消え、蛍光管だけで発光している
|
● 進化2 点灯時間の寿命、点滅寿命がさらに伸びた
旧プレミアは約10,000時間の長寿命(普通電球の10倍)を実現した。それに対し、プレミアQは、寿命がさらに3,000時間伸び、なんと13,000時間という長寿命を実現した。天井など高い位置に設置されがちな電球なので、取替え作業が減る事は嬉しい事に違いない。
そして、点滅寿命回数は旧プレミアが3万回(10秒オン、10秒オフ)に対して、プレミアQは4万回となり、頻繁な点滅にも耐えうるものとなった。
● 実際に使ってみる

|
このような環境で実際に測定した
|
実際に照明器具に取り付けて、瞬時に明るくなるのか測定してみた。測定時の室温は約25℃を保つように心がけた。
ダイニングテーブル上に備え付けてある器具に取り付けて測定した。テーブル面と電球の距離は、約60cmである。測定する前に電球を点灯せず、室温になじんだ状態で測定を始めている。
● 点灯後1分までの比較

|
点灯後1分までの比較
|
以前のものと比較して、どのぐらい立ち上がりが良くなったのか、グラフをご覧いただきたい。
プレミアQは点灯後5秒で既に350ルクスに達しており、旧プレミアと比較して約1.5倍は明るい。事務室等の最適な明るさが200~750ルクスとされている点から、5秒後には測定したテーブル面で、十分本が読める明るさになっている。
蛍光管の内側に内蔵された“クイックランプ”が瞬時に明るさを確保し、蛍光灯が十分明るくなるまで補助しているのがわかる。点灯直後から、その効果がはっきりと現れている。
● 点灯後50秒~5分までの比較

|
点灯後50秒後から5分後までの比較
|
1分を過ぎたところでプレミアQの"クイックランプ"が消灯した。その瞬間、100ルクス弱フッと暗くなってしまう。一瞬「あれッ!?」と気になる人がいるかもしれない。
蛍光灯は周囲の温度に影響を受けやすい。温度の低い場所で使う際にはクイックランプが消灯した瞬間、さらにその一瞬感じる暗さが気になるかもしれない。
今回の測定で、2分30秒あたりが一番明るく約530ルクス。その後、なだらかに明るさが下がり始めた。一方、クイックランプの無い、これまでの方式の旧プレミアは、じわりじわりと明るさが増してゆく。
プレミアQはなだらかに明るさが下がり続け、4分半を過ぎたところで旧プレミアと明るさが逆転してしまった。
● 点灯後3分50秒~21分までの比較

|
点灯後3分50秒~21分までの比較
|
プレミアQはなだらかに照度を下げていく。11分を過ぎたあたりで500ルクスを切り15分後、478ルクスあたりでほぼ安定に入った。
一方旧プレミアは10分前後で一番明るくなり(580ルクス)、それ以降少しずつ下降線を辿ってゆくが、550ルクス以上をキープしている。
● 測定後の印象
できるだけ同じ条件で数回測定してみたが、明るさが安定した15分後、プレミアQは、旧プレミアと比べ、100ルクス近く照度が低い。とは言え、500ルクス前後で安定しているところから、明るさに関しては大きな問題はないと言えるだろう。
しかし、明るさが完全に安定するまで、プレミアQも10分以上の時間を要してしまう。新たに「点灯した瞬時に明るい」という機能は盛り込まれたのだが、明るさが安定するまでは、相変わらず結構な時間がかかってしまう。その点は改良されていない印象だ。
● プレミアQが適している場所は……

|
このような細いタイプの照明器具に取り付けても全く問題ないサイズ。我が家のお風呂もいよいよエコ仕様となった
|
点けっぱなしをする時間が長く、点灯後すぐに明るくなくても済むような場所には、これまでの旧プレミアや、今現在手に入る他社の電球型蛍光灯で十分だ。数年前のものと比較して、殆どの製品は30秒以内でかなりの明るさが実現できているから、わざわざプレミアQに換える必要はないだろう。
パッケージの箱には「玄関・トイレ・洗面所におすすめ」と記されている。しかし、明るさが安定するまで10分前後かかる事実から、10分以内に消灯する確率の高いトイレ等の使用には、まだまだもったいないという気持ちが出てきてしまう。
そこで我が家では、それまで電球型蛍光灯の使用を避けていたお風呂に取り付けてみた。使うときにのみスイッチを入れ、すぐに明るさが欲しい場所である。また10分以上居ることの多い場所なので、最適の用途なのだ。
プレミアQは、電球型蛍光灯の欠点を、また1つ解決した製品だ。従来製品に比べると点滅寿命、点灯寿命も伸び、これまで電球型蛍光灯の使用を敬遠していた場所にも、お勧めできる。
■URL
パナソニック(松下電器産業株式会社)
http://www.panasonic.co.jp/
製品情報
http://ctlg.national.jp/product/info.do?pg=04&hb=EFA15EL10HS
■ 関連記事
・ パナソニック、すぐに明るくなる電球形蛍光灯「パルックボールプレミアQ」(2008/06/09)
・ ナショナル、洞爺湖の白熱電球を電球形蛍光灯に交換(2008/05/19)
2008/07/14 00:02
- ページの先頭へ-
|