● 「あ~、もうイヤだ!」とキレて食器洗い乾燥機を導入
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ナショナル「NP-P45MD1S」
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「なんでいままで使ってこなかったんだろう!」
私にとって食器洗い乾燥機(以下、食洗機)はまさにそんなアイテムでした。
数年前から検討しながら、導入した去年の秋までふんぎりが付かなかった理由は、設置面積とその価格の高さ。以前は狭小のキッチンだったため設置面積であきらめ、昨年4月の引っ越し時はマンションのオプション品としてカタログ掲載されていた30万円近い価格にびっくり。パートナーが「そんなに高いものを買わなくても、今度からは自分で食器洗いを担当する!」と驚きの宣言をしたので、じゃあ買わなくてもいいか、と思うことにしました。
ただ現実的には、生まれてこのかたほとんど家事を手伝ってこなかった彼が生まれ変わるのは難しかったようで、毎日皿を洗わなくなるのに一週間もかかりませんでした。土日にまとめて洗おうとするパートナーと言い合うのに疲れ、徐々に私が食器洗いをすることが多くなっていきました。
しかし、夕食後のゆったりした時間にひとりで食器洗いするのは本当にイヤなもの。お互い仕事で疲れているのになんで自分だけ……という気持ちが日々積もってきます。ある日とうとう、私が食器洗いしているのにソファに座ってテレビに馬鹿笑いしている彼にむかついて、「あ~、もうイヤだ!」と皿を放り出してキレました。驚いた彼に平謝りされましたが、これは今後もこの繰り返しになるだけだと悟り、結局、金額ではなく精神的な理由でふんぎりがついて食洗機を導入することになりました。
● ビルトインなら、食器容量の多い「ディープ型」がお得
さて、いざ購入することに決めたものの、設置が簡単で6万円前後で購入できる卓上タイプか、本体が10万円以上、さらに工事に3~4万かかるものの、システムキッチンにすっきり組み込めるビルトインタイプかしばらく迷いました。価格は圧倒的に卓上タイプが魅力的。でも作業台を広く確保したかったので、すっきり組み込めるビルトインタイプもあきらめきれません。
調べてみると、ビルトインタイプのナショナルの食洗機が新製品がマンションのオプション品として見た価格よりも、かなり安く入手できると知り、ナショナルの「スタイリッシュFULLオープン+除菌ミスト」シリーズの食洗機「NP-P45MD1S」の購入を決めました。
ナショナルのビルトインタイプの食洗機には、食器容量が少なめで本体が安い「コンパクト型」と、食器容量は多めで本体が高い「ディープ型」があります。ただ、コンパクト型は設置するときに「下部収納キャビネット」なる食洗機の下に設置する収納用の引き出しが必要になり、これだけで数万円プラスされてしまうことに……というわけで、たくさん入る上に下部収納キャビネットが必要ない「ディープ型」を選びました。
メーカー希望小売価格は本体のみで208,950円。今回購入したのは、価格の安さと、すでに同じマンションで多くの施工実績があった住宅設備の専門サイト「生活堂」。当時は「NP-P45MD1S」本体が114,980円、工事費が42,000円で、合計156,980円でした。
注文しては、まず工事の日程を決めて、その数日前に製品が届きます。届いた製品はびっくりするぐらい大きなものでした。本体サイズは45×63×85cm(幅×奥行き×高さ)で、重さ27Kg。マンションの玄関がそのまま占領されてしまうような大きさで、とても女性1人では動かせません。
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生活堂から届いた状態。キャビネット1つ分ある巨大なサイズで、一人では動かせません
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取り外す前のキッチンの状態。中身はキャビネットとして食器類が収まっていました
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● 設置工事は2人がかりで2時間以上
さて、設置工事は「自分でもできる」という意見も聞いたのですが、水まわりだけに自分でやるのは危険だろうと思い、最初から工事をお願いしていました。結果的にはそれで正解だったと思います。一応本体に設置方法を記載したマニュアルは付いていましたが、あの工事は素人にはかなり難しいと思います。
工事当日、まず男性2人がかりで本体を移動。すでに設置してあるシステムキッチンのキャビネットを取り外し、配管してから本体を設置するという大がかりな作業でした。それでも、マンション自体がすでに食器洗い乾燥機を設置するために床面が補強済みで、配管も食洗機用に設計されていたためスムーズだったとのことですが、それでも2人でトータル2時間以上かかっていました。
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設置工事のようす。もともと収まっていたキャビネットを取り外すところから開始します
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取り外したキャビネット。上の天板がないので、板だけ置いて再び収納キャビネットとしてキッチンで使用しています
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さて、設置自体はまったく問題なく終わり、取り外したキャビネットは「食器棚として使ったり、物置で物入れに使う方が多いですよ」と助言され、上に板を置いてそのままキッチンに設置することにしました。もしマンションを売りに出す場合、実は食洗機は「中古家電」としての価値しかなく、元のキャビネットに戻す必要が出る場合もあるそうで、どちらにしろ取り外したキャビネットは廃棄せずに保管しておいた方がいいそうです。なるほど、確かに他人が使った食洗機を使うのは、抵抗がある人もいるのでしょう。
設置が終わってみると、本体の色がシステムキッチンの引き手部分と同じグレーだったこともあり、思ったほど違和感もなく、ドアパネルなしでも大丈夫かもしれないと思ったぐらいでした。
● ドアパネルはシステムキッチンメーカーに直接オーダーできる場合も
ビルトインタイプの食洗機ならではの悩みが「ドアパネル」です。キッチンの一部に食洗機を入れるのですから、できればシステムキッチンの一部に見えるように本体のドアの色を合わせたいものです。
今回製品を購入した生活堂には6色の「オリジナルドアパネル」が10,500円から用意されているのでちょうどいいものがあればそこから選ぼうと思ったのですが、我が家のキッチンは、そのラインアップにないイエロー。なかばドアパネルを付けることをあきらめていました。
が、最後にシステムキッチンの保証書を参考に、製造メーカー「トステム」のお客様センターに直接問い合わせて、マンション名と部屋番号を伝えると、ドアパネルは10,500円で購入できるとのこと。
注文してから2週間程度で届きました。さっそく自分で設置してみると、同じメーカーのものは一体感がまったく違います。少し時間はかかったものの取り寄せてよかったと思います。
メーカーによってはドアパネルだけの発注も受け付けてくれるところもあるようです。取り付け前に一度確認するのがいいでしょう。
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メーカーから届いたパネル。サイズに合わせてカットした状態で、ディープタイプ前面の引き出しと、下の保護カバー分の2枚が届きました
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ドアパネルは、本体を取り付けたあとの状態でも、少し引き出せばねじどめするだけで簡単に付けられます
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プラスドライバー1本で、20分ぐらいで無事取り付けられました
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● 「低温除菌ミスト」と「ソフト排気温システム」が特徴の「NEXT ONE」シリーズ
今回購入した「NP-P45MD1S」は、ナショナルの食洗機「NEXT ONE」シリーズの1つ。主な特徴は、システムキッチンにすっきり溶け込み、腰をかがめずに操作できる優れたデザインと、これまでの食器洗い乾燥機で洗えなかった樹脂製食器や密閉容器も洗える「低温除菌ミスト」が搭載されていること。料理を多めに作って密閉容器で保存することが多い私には、この機能が機種選びのポイントになりました。
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洗浄の最初に「除菌ミスト」を発生させ、汚れを落ちやすくします
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「除菌ミスト」中に一時停止してあけてみた例。庫内に除菌ミストが充満しています
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もう1つ、「ソフト排気温システム」も特徴の1つで、乾燥行程で前面から排出される排気温が、約10cm離れた状態で約40℃に下がったこと。これは従来のP45Vシリーズと比べて約20℃下がったそうで、食器洗い乾燥機で洗っている最中にキッチンで作業していても気にならない温度です。本体が一番熱くなる乾燥工程中でも、本体によほど近づかないかぎり熱さを感じません。
私の場合、この「NP-P45MD1S」が始めて使う食器洗い乾燥機のため静音性について、比較はできないのですが、卓上タイプよりビルトインタイプの方が静かなようです。実感としては、5m程度しか離れていないソファに座っていてもそれほど気にならず、テレビの音を1つ上げるかどうかです。
● 洗浄コースは、5種類。仕上がりは調整もできる
搭載されている洗浄コースは全部で5種類。通常は「標準」(約84分)を使っていますが、プラスチック食器を一緒に洗える「低温」(約155分)や、調理器具や油分の多い汚れのときの「高温」(約125分)など、洗う食器によって使い分けています。また食器点数が23点以下の時はの「少量」(約68分)コースも便利。長時間のホームパーティの際などは、コップが足りなくなってしまうときも、そんな時は約18分で洗浄が終わる「スピーディ」で洗って乾燥はせずに自分で拭いて使うという使い方もおすすめです。
コスト面で考えるとなるべくまとめて洗った方がいいため、とりあえず「予洗」でざっと軽い汚れをとって、後でまとめて乾燥までさせたり、「乾燥のみ」のコースも用意されています。
気になったのは、上かごの奥や手前に深いグラスを入れて洗うと、ときどき粉っぽい汚れが残っていること。どうやら最新の節水タイプになってから起こるようになった現象のようなのですが、いざ水を飲もうとするときにゴミに気がつくことも多いので、深いグラスは下の段に入れるようになりました。ただ、そうすると入るお皿の量も少なくなってしまうので、「お客様ご相談センター」に相談してみたところ、すすぎ回数を一回増やす設定にしてみてはどうか、と調整機能を教えてくれました。指示通り、すすぎ回数を増やしたところ、粉が出ることがグンと少なくなりました。今回調整したすすぎ回数だけでなく、乾燥の効果なども細かく調整できるので、「なんとなく物足りない」と思ったら、調整してみるのが良いでしょう。
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グラスやマグカップなど深いものを上の段に入れると、底にときどきこびりつく粉。すすぎの回数を多くしたところ発生しにくくなりました
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すすぎや乾燥は、設定の変更もできます
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● 洗い上がりは抜群、食器のセットはちょっとめんどう
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夕飯後のセットのようす。それぞれある程度セットできる場所が決まっているので、いったん覚えてしまうとそれほど迷うこともなくなります
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さて、実際に導入してみて、手洗いから解放されるすばらしさについて力説したいところです。今までは洗うのが面倒で極力使う食器を少なくしていましたが、食器洗い乾燥機なら枚数が多くても気にならないので色々な食器を使うようになりました。手洗いだと面倒な、箸やスプーンなどの洗浄も本当にラク。基本的に水洗いも必要ないので、食べ終わったらそのまま食器洗い乾燥機にセットして、洗剤を入れてボタンを押すだけです。
以前は片付けの際にも、お皿を重ねると裏が汚れて洗うのが大変なので、重ねるのには抵抗がありましたが、食器洗い乾燥機なら気になりません。また、鍋やザルなどの調理器具まで洗浄できるのは本当に便利。
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箸は先を下に向け、スプーン類は持つところを下に向けてセットします。これは箸の先をかごの網目に固定して、水圧で飛ばないようにするためだそうです
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手洗いなら絶対しないパスタ皿を重ねた片付け方も気にせずできます
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セットすれば隅々まで洗われるので、もちろん裏まですっきり
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スクランブルエッグをしたあとの菜箸など、卵の焦げ付きには少し弱いようです
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ただ、毎日使う製品だけに、改善してほしい点もいくつかあります。まず、ときどき卵系の料理がパリパリに残るときがあります。それに気がついてからは、なるべくゴムベラのようなもので大きな汚れは取ってからセットするようになりました。また、あまりにべったり油分が残ったままだと全体的にすっきり仕上がらないので、これもある程度ゴムベラでよけてから洗うようになりました。
もう1つは食器洗い乾燥機へお皿をセットするのが意外と難しく感じました。指定された場所にきちんとお皿をセットすれば全部で45点程入るはずなのですが、形の違いもあるので、パズルのようにセットしていく感覚です。
入れる順番もある決まっていて、お皿などを下段にセットして、上段にカップなどを入れていくのですが、あとから下段にセットするものが見つかったりすると、それもめんどう。
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ちゃんとセットできないと、中で食器が仰向けになったりして水が残ってしまうことがあります
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ちゃんとセットできないと、中で食器が仰向けになったりして水が残ってしまうことがあります
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毎日の手入れは、網に残るこまかなゴミを捨てることぐらいでごく簡単
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また、クリスタルのグラスや漆塗りのお椀など、熱に弱いものには使えません。箸も対応していないものはだんだん曲がってくるので、対応のものに買い換えました。最初は、何が使えないのか、どこに何を置くと効果的なのかなかなか覚えられず、付属の小冊子は常にキッチンに常備されていました。セットのたびに「これはここで……」と覚えていきました。私の場合は、なんだかんだ2カ月ぐらいは小冊子が手放せませんでした。
設置工事が大変なので、次回の買い換えはかなり先になりそうですが、将来的には、さらに早く洗えて、セットがごく簡単な製品が出ることを期待したいと思います。
● 洗剤はグラスのキラキラ感には液体、マグカップのくすみ除去には粉末がおすすめ
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庫内の手前部分にある専用洗剤入れ。入れてすぐ洗う場合に限っては、洗剤が液体の方が低温ミストの効果は高いそうです
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さて、実際の汚れ落としの効果に関しては、使う洗剤によってもかなり違うようです。何度か、洗剤を入れ忘れて洗ってしまったときに、意外にキレイに洗い上がっていて「これでもいいかも」と思うぐらいでしたが、やはり油分が多いものには洗剤は必須。取扱説明書には「液体だと低温ミストが発生しずらい」と書かれていたため、粉末タイプを使っていたのですが、グラスの透明感がだんだんなくなってきたような気がして、液体を使うとどの程度低温ミストに影響があるのか、メーカー側に問い合わせてみました。
すると、実は「液体洗剤の方が低温ミストもたくさん発生するので効果が高い」という回答でびっくり。ただ、この場合、液体洗剤を入れてすぐに洗浄をスタートするという条件付きで、タイマーをセットして洗った場合などに、液体だとミスト発生部に洗剤がとどまらないため効果が薄くなるそうです。そのためトータルでそう解説しているとのこと。ただ、マグカップなどは、研磨剤や漂白剤が入っている粉末タイプの方が茶渋などのくすみが落ちやすいので、グラスのキラキラしたクリアさを重視するなら液体を、お皿やマグカップなどのくすみが気になるなら粉末をおすすめします、とアドバイスしてくれました。梅雨時など、粉末が固まりやすいときだけ液体を使うのも便利だそうです。
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鍋やフタなど大きなものを洗うと残る跡は、カルキ分のようです
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余談ですが、うちの場合、調理器具を洗っていると、洗い上がったあとにクルマのボンネットに残る雨の跡のような感じで水滴の跡が白っぽく残ることがあります。洗剤が残っていたのかと思い、これもお客様相談室に聞いてみたところ、「水のカルキ分ではないか」とのこと。カルキなら拭けば問題ないですし、安心しました。
● 食器洗い乾燥機は、日本の離婚率を下げるすごいアイテムかもしれない
半年使って思うのは、「たくさん入るディープ型でよかった」ということと、「無理してでもビルトイン型にしてよかった」ということ。食器容量は45点なので二人暮らしでは大きすぎるかなとも思いましたが、実際使ってみると食器の大きさやセットの仕方にも色々あるので、2人分の夕食の食器をセットするとそれでぴったりという感じです。また、調理器具まで洗おうとすると、ディープタイプの便利さを痛感。鍋はもちろん、オーブン皿や焼き網、セラミック皿までまるごと洗えます。また、マンションの狭いシステムキッチンの作業スペースがそのまま確保できたのも、ビルトインタイプならではで、便利さを実感できています。
買うまでいろいろあったこの食器洗い乾燥機ですが、私にとっては本当に買ってよかったアイテムでした。食洗機を購入してからは、彼が食器洗い担当になりました。こちらも、食器洗い乾燥機なら「無理矢理やらせている」と思わずに済みますし、自分で洗うときにも「やらされている」感じが薄いので気持ちがラクです。おおげさかもしれませんが、全家庭が食器洗い乾燥機を導入して後片付けを夫が担当するようになれば、将来的に日本の熟年離婚の発生率も下がるんじゃなか、などと漠然と思いました。
徐々に増えているとはいえ、現実的には家事を手伝う男性はまだまだ少数派。家で仕事をしている私でさえ、食器洗い乾燥機の導入1つでそう思うんですから、会社勤めの女性はさらに大変なはずです。それに、たとえ奥さんが専業主婦でも、子どもさんがいればなおさら大変です。もし奥さんから「食器洗い乾燥機」の話が出たら、ちょっと高額だと思っても、反対しないほうが、長い目で見ればきっと吉と出るのではないでしょうか。
■URL
ナショナル(松下電器産業株式会社)
http://national.jp/
製品情報
http://national.jp/sumai/dishwasher/products/np_p45md1w.html
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2008/04/10 00:08
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