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家電製品ミニレビュー
タイガー魔法瓶「とく子さん PVS-G」
~優れた保温機能を誇る省エネ電気ポット
Reported by 平澤 寿康
タイガー魔法瓶「VE電気まほうびん とく子さん(PVS-G)」
電気ポットの利点は、何といっても好きなときにすぐお湯を使えるという点にある。お湯の温度を常に90℃ほどにキープしてくれるため、お茶を飲みたいときなどもすぐにいれられるし、料理の時にもいちいちお湯を沸かす必要がなく手間が省ける。ただ、保温には比較的多くの電力を消費するため、電気代が気になるという人も多いはず。そういった声に対応するように、最近の電気ポットでは魔法瓶の構造を取り入れて保温能力を高め、保温時の消費電力を少なくした製品が主流になっている。
そこで、低消費電力をウリにしている電気ポットを実際に使ってみることにした。購入したのは、タイガー魔法瓶の「VE電気まほうびん とく子さん(PVS-G)」。“とく子さんプレミア”と呼ばれる、同社製電気ポットの中で最も優れた省エネ性を実現しているモデルだ。メーカー希望小売価格は26,250円。Amazon.co.jpで15,526円で購入した。
PVS-Gの最大の特徴となるのが、優れた保温能力だ。タイガー魔法瓶の電気ポットでは、「VEまほうびん構造」という魔法瓶とほぼ同じ構造(真空層を持つ2重の瓶構造)を採用する製品が多く、もちろんこのPVS-Gでも採用されている。ただPVS-Gでは、このVEまほうびん構造に加えて、「スーパーヒートキープ構造」という熱を逃がさない構造を採用することによって保温能力を従来よりも高めているそうだ。
正面。右に残湯量を見る窓がある
残湯量の表示は、一般的な電気ポットと同じ方式だ
側面。特に凝った装飾などはなくシンプルだ
背面。注意書きなどが書かれているが、こちらも特に装飾はない
電源プラグはマグネット式で、こちらも一般的なものと同じだ
底面には回転板が取り付けられており、本体を自由に回転させられる
上部の操作パネル部。「ロック解除」ボタンを押した後に「給湯」ボタンを押すと給湯される
まず、魔法瓶構造のポットの周囲を「真空断熱材」で取り囲むとともに、フタにも断熱材が取り付けられている。また、ポット底面部もヒーターギリギリの位置まで魔法瓶構造を実現するとともに、本体の底に断熱版を取り付けて底面からの熱の逃げも減少させている。従来機種で取り入れられている断熱構造に加えて、これらの新しい断熱構造を採用することにより、沸騰後に電源を抜いて約3時間経過しても90℃以上の湯温をキープするらしい。
そこで実際に、フル容量(3L)の水を沸騰させ、沸騰から保温に切り替わった段階で電源ケーブルを抜いて水温の変化をチェックしてみたところ、表1のような推移となった(定期的に電源ケーブルを接続して確認、温度表示は5℃刻み)。さすがに24時間経過すると50℃近くにまで湯温が落ちているものの、6時間経過後でも90℃ほどの温度となっており、かなり優れた保温能力を持っていることがわかる。
経過時間
1時間
2時間
3時間
4時間
5時間
6時間
9時間
12時間
18時間
24時間
温度
95℃
95℃
90℃
90℃
85℃
85℃
75℃
75℃
65℃
55℃
当然、これだけの保温能力があるということは、保温のためにヒーターを使うシーンはかなり減ることになる。そこで今度は、同じくフル容量の水を沸騰させ、90℃保温モードで12時間経過する間にどのように消費電力が変化するのかを調べてみた(測定間隔は10分間)。消費電力の測定には、システムアートウェア製の
「ワットアワーメーター」
を利用した。
結果はグラフ1のとおりで、最初お湯を沸かしている時の消費電力は最大878W、沸騰後はヒーター非稼働時に約0.2~0.3W、ヒーター稼働時に約67Wの消費電力で推移していた。また、沸騰後4時間ほどは消費電力が0.3W前後で推移しているが、これはお湯の温度が90℃を下回っていないために、ヒーターが稼働していないからだろう。
グラフ1
ただし、消費電力の測定間隔が10分間のため、ヒーター稼働時のタイミングとずれている部分もかなりあるはず。そこで、この12時間の消費電力量をチェックしてみたところ、約237Whであった。この時の電気代は約5円21銭。また、沸騰後の保温状態時の消費電力量は約97Whで、この場合の電気代は約2円13銭。これを元に、1日に2回3Lのお湯を沸かし、90℃保温モードで1年間利用した場合の電気代を計算してみると、約3,800円となる。今回は、沸騰後一切お湯を使わずに12時間保温という、一般的な使用状況と大きく異なる状況での測定をもとにしてはいるが、それでも十分優れた省エネ性が実現されていると考えていいだろう。
ちなみに、保温温度は90℃以外に98℃、85℃、80℃、75℃の全5種類から選択可能。もちろん、低い温度を選択するほどヒーターを使う頻度が減り電気代を節約できる。表1の結果から考えると、保温温度を75℃に設定した状態では、沸騰後12時間ほどはヒーターが使われないことになるわけで、まさに魔法瓶感覚といえる。
底面中央部のヒーターそばまで魔法瓶構造が取り入れられていて、底面からの熱の逃げも少なくなっている
保温温度は98℃、90℃、85℃、80℃、75℃の5種類から選択できる
さらに、指定した時間(3時間、6時間、9時間、12時間)ヒーターの電源をオフにして消費電力を抑え、タイマー終了時に自動的に設定した保温温度になるように水を温める節電タイマー機能も用意されている。これは、帰宅時や起床時にすぐお湯を使いたいという場合に重宝する。この機能も併用すれば、より節電効果が高まるだろう。
このように優れた省エネ性を実現していることはわかったが、ポット自体の使い勝手はどうだろう。
給湯方式は、電動式に加えエアー式の2種類を用意。電源が接続されている時には電動式が利用でき、電源を抜いた場合にはエアー式を利用することになる。これによって、電源が取りづらい食卓上でも全く問題なく利用できる。
【動画】給湯している様子(WMV形式,222KB)
電動での給湯時には、液晶に給湯した湯量が10ml単位で表示される
【動画】給湯量を表示している様子(WMV形式,230KB)
エアー式の手動給湯機能も用意されているので、電源が取れない場所でも給湯可能
【動画】手動で給湯する様子(WMV形式,262KB)
フタには液晶が用意されており、現在のお湯の温度(5℃刻み)や動作モードなどが一目でわかるようになっている。また、お湯を沸かす場合のお湯が沸くまでの時間や、急騰時の給湯量が10ml単位で表示されるなど、便利な表示機能も盛り込まれている。特に給湯量の表示機能はとても便利。料理の時はもちろん、インスタントラーメンを作る時などに大活躍だ。加えて、1分刻み最大30分のキッチンタイマー機能までも用意されており、カップラーメンを作る時などに活用できる。実際にこのキッチンタイマー機能はすこぶる便利で、このおかげで手持ちのキッチンタイマーを使う頻度がかなり減ってしまった。
フタ後部には、沸騰時の湯気が逃げる穴がある
フタを開ける時には、まずレバー手前を押し下げ、奥を持って引き上げる構造のため、少々開けづらい
フタは後部のレバーを操作して取り外すことが可能
フタが取り外せるので、フタはもちろんポット内部の洗浄も簡単に行なえる
ポットの入り口は内部よりも狭くなっていて、お湯の熱が逃げにくいように工夫されている。ただし内部の洗浄はやややりにくい
液晶パネルには、現在のお湯の温度や、動作モードなどが表示される
ところで、タイガー魔法瓶性の電気ポットで広く採用されている、「とく子さんコース」。過去の使用パターンを記憶し、自動的にお湯を沸騰させたりヒーターをオフにするという機能で、PVS-Gには、過去14日間の使用パターンを記憶して自動運転を行なう。「新・とく子さんコース」が採用されている。ただ、筆者はかなり不規則な生活をしていることもあって、寝ているときにお湯が沸いたり、使いたいときにヒーターがオフになっていたりすることが多く、この新・とく子さんコースがうまく働いてくれなかった。そのため、最初3週間ほど試したあとは利用しなくなってしまった。
もちろん、会社勤めで規則正しい生活をしている家庭では、かなり有効に利用できる機能だとは思うが、筆者個人にとっては、あまり魅力的な機能とは言えなかった。
今回使った範囲内では、新・とく子さんコースはあまり活用できなかったが、その他の機能については非常に便利なものが多く、機能面で不満を感じることは全くなかった。それでいて、優れた省エネ性も兼ね備えており、電気ポットとしての魅力は非常に高い。容量も3Lと、子供のいる家庭で利用するのにちょうどいいサイズだ。料理以外にも頻繁にお茶をいれて飲んだりしてお湯を使うことの多い人におすすめしたい製品だ。
ちなみに、現時点ではとく子さんプレミアシリーズはこれ1機種のみとなっている。容量2Lや容量4Lなどのバリエーションが増えると、より多くの家庭にフィットするだろう。今後の製品展開に期待したい。
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URL
タイガー魔法瓶株式会社
http://www.tiger.jp/
製品情報
http://www.tiger.jp/product/02electricthermos/pvs_g.html
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2008/03/28 00:07
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